ISO14001:2004(JIS Q 14001:2004)規格の4.3.2項「法的及びその他の要求事項」において、以下の手順を確立し、実施し、維持することが要求されています。
-
組織の環境側面に関係して適用可能な法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項を特定し、参照する。
-
これらの要求事項を組織の環境側面にどのように適用するかを決定する。
また4.6項の「マネジメントレビュー」においてもそのインプット情報に
- 「 環境側面に関係した法的及びその他の要求事項の進展を含む、変化している周囲の状況」
を含め法的及びその他の要求事項への最新情報を適切に把握し、更新することが要求されています。
組織が同意するその他の要求事項についても同様ですが、環境法も新たな法律の制定や既存の法令が改正された情報(とくに組織の環境側面に適用される要求事項)について適切に把握して、法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項をまとめた一覧表などをリニュアル及びメンテすることが必要でISO14001の認証取得及び維持に関係して対応が難しい活動内容の一つとなっています。
本書の「はじめに」で執筆組織の社長の下井 泰典 氏は、環境への取組が企業の存続に影響を及ぼす時代となり、環境抜きでは経営ができない時代になったことを論じた上で、環境法の制定・改訂の変遷について以下のように述べています。
「時代別に大きく分類すると1.典型7公害に関する法律、2.循環型社会形成のための各種リサイクル法、そして近年では、京都議定書採択・発行に呼応して温暖化対策関連の法律が多く制定・改訂されています。
二酸化炭素削減に係る法律の制定は古くは1979年の省エネ法制定までさかのぼることになります。当時は、第二次オイルショックのときであり、エネルギー需要の観点から制定されました。
と同時に省エネ技術と管理技術が多く開発され、世界にも類を見ないほど普及定着しました。
しかし、工場や製造業が主体の活動でした。
お陰で、映像業のエネルギー消費はここ20年は大きく変化していないことはご承知の通りであります。
反面で運輸部門やオフィス系、民政部門での消費が大きく伸びていることから、自動車大量保有者や大型店舗、大型オフィスビルにも適用範囲が拡大していることも、そして国民の生活様式への参考提案も出始め、国をあげて低炭素社会実現のために動いています。
(略)
本書の特徴は、法律別に成り立ちから最新の規制まで解説し、「すぐに役に立つ」をモットーに記述したものです。」
ISO環境法の解説書を紹介します。
本書では、2009年3月31日公布までの法令の内容を掲載しています。
<<ポイント>>
ISO環境法の最新対応改訂版の解説書。
省エネ法、家電リサイクル法、化学物質管理法の最新法改正に対応し、ISO環境法の要旨と要求事項をわかりやすく解説しています、
本書では、環境ISOと環境法を概観し、環境法の体系について解説し、環境関連法を
- 環境一般・地球環境
- 循環型社会
- 大気汚染・水質汚濁等
- 化学物質・防災等
のカテゴリーに分類し解説しています。
本書:「すぐ役に立つISO環境法 改訂第6版」です。
本書は、著者:(株)日本環境認証機構にて、2009年7月に東洋経済新報社より「JACO・BOOKS」の一冊として発行されています。
<<本書のエッセンスの一部>>
本書の帯には、以下のように書かれています。
省エネ法、家電リサイクル法、
化学物質管理法の最新法改正に対応。法の要旨と要求事項をわかりやすく解説。
2009年3月公布法令対応
本書は、6章と3つの付表とから構成されています。
ざっと章を追って概要を紹介します。
第1章では、「環境ISOと環境法」
と題して、ISO14001:2004(JISQ14001:2004)規格の要求事項について最初に規格要求事項をハッチング囲みで掲載し、その要求項番とISO環境法との関連について解説しています。
またとくに4.3.2項の要求事項に対応してISO環境法と組織の環境側面との関連を特定化すること(ちなみに付表3がそのような構成になっています)が必要と確認しています。
第2章では、「環境法の体系」
と題して、「環境関連法の仕組み」として条約と国内法、基本法と個別法、法律、施行令、施行規則等の法の種類を解説しています。
次いで、我が国の主要な環境関連法について、区分して法律の名称と略称、公布年月についてリストアップしています。
またEUの環境関連法の動向として、ELV(使用済自動車)指令、WEEE(廃電気電子機器)指令、RoHS(有害物質使用制限)指令、REACH(化学物質の登録・評価・認可・制限制度)の概要を解説し、さらに環境関連法令の入手手段、法令の読み方について詳解しています。
第3章~第6章までが「主な環境関連法の概要」との表題で個別法についての解説になります。
ここでの法令の解説については、法令名(その公布年月日等)に続き、法令の性質により少し異なる場合もあるが
- 背景
- 目的
- 定義
- 法律の対象となる者
- 法律の対象となる関係者の責務
- 法律の対象となる者のやるべきこと
- 国の主な施策
- 留意点
といった順で解説が進められるという構成になっています。
第3章では、「主な環境関連法の概要(1)環境一般・地球環境」
と題して、ここでは、以下の『環境一般・地球環境』の環境関連法を取り上げ解説しています。
- 環境基本法
- 環境影響評価法
- 特定工場における公害防止組織の整備に関する法律(公害防止組織整備法)
- 地球温暖化対策の推進に関する法律(地球温暖化対策推進法)
- 特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律(オゾン層保護法)
- エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)
第4章では、「主な環境関連法の概要(2)循環型社会」
と題して、ここでは、以下の『循環型社会』の環境関連法を取り上げ解説しています。
- 循環型社会形成推進基本法
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)
- 資源の有効な促進に関する法律(資源有効利用促進法)
- 容器包装に係る分別回収及び再商品化の促進に関する法律(容器包装リサイクル法)
- 特定家庭用機器再商品化法(食品リサイクル法)
- 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)
- 食品循環資源の再利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)
- 国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)
- 使用済自動車の再資源化に関する法律(自動車リサイクル法)
第5章では、「主な環境関連法の概要(3)大気汚染・水質汚濁等」
と題して、ここでは、以下の『大気汚染・水質汚濁等』の環境関連法を取り上げ解説しています。
- 大気汚染防止法
- 自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(自動車NOx・PM法)
- 悪臭防止法
- 騒音規制法
- 振動規制法
- 水質汚濁防止法(水濁法)
- 下水道法
- 浄化槽法
- 工業用水法
- 土壌汚染対策法
第6章では、「主な環境関連法の概要(4)化学物質・防災等」
と題して、ここでは、以下の『化学物質・防災等』の環境関連法を取り上げ解説しています。
- 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)
- 特定化学物質の環境への排出等及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR法)
- 毒物及び劇物取締法(毒劇法)
- ダイオキシン類対策特別措置法(ダイオキシン対策法)
- ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の促進に関する特別措置法(PCB特措法)
- 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律(フロン回収破壊法)
- 労働安全衛生法(安衛法)(抄)(有害物関係)
- 消防法(抄)(危険物関係)
- 高圧ガス保安法(抄)
付表1では、「主要規制化学物質対応一覧」
と題して、ア行から物質名を縦軸に、横軸に化学物質関係、公害関係、廃棄物関係、危険物に関係する法令名が配されたマトリックス表で化学物質についての法的規制との関連がまとめてあります。
付表2では、「環境基準一覧」
と題して、大気汚染、水質汚濁から騒音にまつわる環境基準についての表がまとめられています。
付表3では、「主な環境関連法と要求事項一覧」
と題して、公害規制から、自然保護までの環境ISO法に関して、【環境側面の具体例】【環境法】【要求事項(主要な要求事項)】【最近の追加要件】といった各項目についての一覧表が掲載されています。
これを活用して、自組織の環境側面に適用される法的要求事項内容を要領よく把握することができます。また【最近の追加要件】では、2009年3月公布の法令に対応した最新情報が把握できるようになっており参考になります。
<<本書で何が学べるか?>>
本書は、ISO14001に関わるニーズに答えたISO環境法について法の要旨及びその要求事項のポイントを理解するための最新の情報を反映した解説書となっています。
<<まとめ>>
これからISO14001の認証取得を目指す組織、ならびにすでに認証を取得された組織の関係者には、本書は、お薦めの一冊です。
なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 環境ISOと環境法
第2章 環境法の体系
第3章 主な環境関連法の概要(1)環境一般・地球環境
第4章 主な環境関連法の概要(2)循環型社会
第5章 主な環境関連法の概要(3)大気汚染・水質汚濁等
第6章 主な環境関連法の概要(4)化学物質・防災等
付表1 主要規制化学物質対応一覧
付表2 環境基準一覧
付表3 主な環境関連法と要求事項一覧
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