「人を動かすコツは、質問をすること」と弁護士で、テレビでも活躍し、『するどい「質問力」』、『弁護士が教える気弱なあなたの交渉術』(「ISOの本棚」のブログで紹介)などの著作でも知られる筆者の谷原 誠 氏は、本書の「はじめに」で以下のように述べています。
「人を動かすには、命令してはいけません。
質問をすることです。
人をその気にさせるには質問をすることです。
また人を育てるには質問をすることです。
そして、人生で勝利するには、やはり質問をすることなのです。」
また続けて質問力を身につけることで以下の6つの効果が得られると説いています。
- 思いのままに情報を得る
- 人に好かれる
- 人をその気にさせる
- 人を育てる
- 議論に強くなる
- 自分をコントロールする
「なぜ、いま質問力が求められるのか?」という点について、質問は相手を強制的に特定の方向で考えさせる力をもっており、このような質問力を身につけると、あなたは人生を思い通りにコントロールできるようになると説いています。
<<ポイント>>
一流弁護士:谷原 誠 氏が人を動かし自分を変えるための質問力の強化のノウハウを説く本。
質問は、相手から情報を引き出すだけではなく、相手を「その気にさせて」「自ら動いてもらう」ようにすることができる。
本書では、知りたい情報を獲得するためのテクニックから
- 人から好かれ
- 人をその気にさせ
- 人を育て
- 議論を制することができ
- 自分を変える
ことができる気弱でも口ベタでも使える質問力の技を説いています。
本書:「人を動かす質問力」です。
本書は、著者:谷原 誠 氏にて、2009年7月に角川書店より、「角川oneテーマ21」の一冊として発行されています。


<<本書のエッセンスの一部>>
本書の帯には、以下のように書かれています。
1分で心をつかみ人を動かす!
気弱でも口ベタでもできる!
敏腕弁護士の手法を公開。
当てはまるものはありますか?本書を読めば、すべて解決します。
- 人や情報が自然と集まってくる人になりたい
- 気に入られたい人がいる
- お客さんの本音や関心を見抜きたい
- 妻(夫)や恋人に携帯電話を見せろと言われたら困る
- ダメな上司や部下に困っている
- 意志が弱く、なかなか目標を達成できない
- どちらかというと悲観的だと思う
本書は、6章から構成されています。
本書では、豊富な会話等の事例を交えて具体的に説得力に富んだロジックのもと質問力に関わるノウハウについて分かり易く説いています。
230ページの新書版サイズで2時間程度で読了できるボリュームながら内容は、豊富な引用を交えて充実した構成になっています。
各章の概要と印象的な箇所をピックアップして紹介します。
第1章では、「知りたい情報を楽々獲得する6つのテクニック」
と題して、質問についての基本的な事項を確認するような趣旨の内容になっています。
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの違いにはじまり、ベーシックな質問としていわゆる5W1Hの基本を確認し、相手の立場を考えた答えやすい質問をすることの配慮や、質問の前に準備しておくべきこと、推理質問法(シャーロック・ホームズ)として仮説をもとに証拠を確認するようなスタイルの質問法などを説いています。
またダメな(人から嫌われる)質問の7つのパターンとして以下のものをあげています。
- ネガティブ
- ノー・アンサー
- 相手の答えを即座に否定する
- 一人質問・質問の連打
- 誤導質問
- 相手の脳に負担をかけるもの
- 刑事の尋問
第2章では、「聞くだけで人に好かれる質問力」
と題して、相手に好意を持たれる質問力をテーマに説いています。
ロバート・チャルディーニによる人に好かれる6つの法則は、以下の通りと紹介しています。
- 外見の魅力
- 類似性
- 賞賛
- 単純接触効果
- 協同
- 連合
上記のような原則を応用した人に好かれる質問力が説かれています。
面白いのは、『人に好かれる最強の方法は犬を真似ること』と説いています。
第3章では、「その気にさせる質問力」
と題して、人をその気にさせ動かすとの観点からの質問力がこの章のテーマになっています。
ここでは、ロバート・チャルディーニの影響力の武器に説かれる心理的な説得術をはじめ多様な観点からのテクニックが説かれていますが、ごく一部のみ紹介します。
そもそも人がその気になるというのは、以下の2つの場合と説いています。
- 自尊心を満足させるために動く
- 自尊心が傷つくのを回避するために動く
先ずは感情を動かし、どの後、理性に訴えかける質問スタイルが効果的で、そのための質問のシナリオを組み立てて質問にあたることが重要と強調しています。
第4章では、「人を育てる質問力」
と題して、部下など人を育てることをテーマとして質問力の方法を説いています。
逆転の発想ではありませんが、部下からの信頼を失ってしまう上司の10パターンとは以下のようなこととしています。
- 部下が話している途中で遮ったり、話したことを否定したりする
- 自分の自慢話ばかりする
- 部下の手柄を横取り
- えこひいきする
- 間違ったことをしても謝らない
- 感謝の気持ちを表さず
- 自分の意見を押しつける
- 責任回避して他人の責任にする
- 相手を傷つけることを言う
- 陰口を言う
人を変えようとすればこんな上司は、先ず自分を変えるべしと説いています。
ここでも部下育成等の質問力について「ポジティブ・クエスチョン」、「核心をつく質問で、自分を取り戻させる」など感動的なエピソードを交えて種々のノウハウが説かれています。
第5章では、「議論を制する質問力」
と題して、議論を制することをテーマとして質問力の方法を説いています。
相手をその気にさせ動かすためには、まず感情を動かし、その後で、相手が理性で結論を正当化できるように手伝ってあげることが必要で、相手の立場に立った論理的思考力が要求されると説いています。
ソクラテスの議論、リンカーンの尋問の例など挙げて、質問をする方は、自分の立場を明らかにする必要がないため、その論理の矛盾を攻撃されることなく、黙ってしまうこともない、ただ相手の論理の欠陥を見つけるべく質問をしていればよいので議論に負けることはないと説いています。
第6章では、「自分を変える質問力」
と題して、これまでの章では、相手に対しての質問であったのに対し、ここでは、自分自身に質問をし、自分を自在に変えるということをテーマにその方法を説いています。
人生で成功するためには、自己コントロールが不可欠だが、自己コントロールをするための一番の近道が自分に良い質問をすることと『心のチキンスープ』の例を紹介して説いています。
人生で成功するための普遍的な3つのルールとして以下の点を説いています。
- 目標を設定し
- 行動を起こし
- 成功するまでやり抜く
本章では、さらに「7つのフィードバッククエスチョン」、「問題解決のための8つのクエスチョン」、「短所を長所に変える逆転クエスチョン」などを説き、10項目から成る「今すぐ自分を変えるための質問ワーク」で結んでいます。
<<本書で何が学べるか?>>
本書では、人の心をつかみ、人を動かし自分を変えるための質問力の強化のノウハウを多数の事例を交えて説得力高く説いています。
<<まとめ>>
対人コミュニケーション力を上げたい、自分を変えたいと感じている人は、本書を是非、読んでみて下さい。
なお本書の目次は、以下の内容です。
はじめに
第1章 知りたい情報を楽々獲得する6つのテクニック
第2章 聞くだけで人に好かれる質問力
第3章 その気にさせる質問力
第4章 人を育てる質問力
第5章 議論を制する質問力
第6章 自分を変える質問力
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- 2009年07月29日
- ビジネス、自己啓発、スキルアップ
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