大前の頭脳」とのタイトルが付いた本書は、大前 研一氏が4年にわたり、毎週水曜日の日経BP社のウェブサイトに連載している「『産業突然死』時代の人生論」(これは、大前氏が今日の先行き不透明な時代を、グローバルな視点と大胆な発想、そして豊富なデータで読み解くという趣旨の投稿記事)を編集したもの。


これらの記事は、09-04-07まで「SAFETY JAPAN」サイトで公開されていましたが、現在は、「nikkeiBPnet」で掲載されています。(バックナンバーはこちらで閲覧ができます。)


大前の頭脳」とのタイトルがどうして付いているかということですが、


本書では、「少子高齢化、食料自給率の低下、防衛外交問題、学力低下、政治への無関心、若年労働者の非正規雇用、マスコミ低俗化、官製不況、地方自治の形骸化――といった幅広いテーマを取り上げています。


このような幅広い課題に好奇心と危機感を抱き、「我が国に迫りくる難題をどのように解決すべきか?」といった観点からどこにでも公開されている統計情報からデータの裏にある事実を掘り下げ、課題に対して、大前氏ならではの独創的な解決策を導き出すまでの発想法・思考過程が本書において公開されているからというところにあるようです


<<ポイント>>


問題解決のエキスパート」である大前研一氏の思考回路を公開している本


本書では、「産業突然死をまねく日本の病因について、13項目の我が国が抱えるリスクについての考察記事と深く掘り下げると共に、読者にリスクに関連したキーワードをもとに考える手がかりを示し、


産業突然死」時代を生き抜く」ための14項目の記事で我が国が直面する問題への独創的な解決策と13の問題解決方法を提言し、


揺れる世界経済と日本」に関する7項目の展望を論じています。


本書では、34項目の「知のサバイバル技術」を説いています。


本書:「大前の頭脳」です。


「産業突然死」時代を生き抜く知恵」との副題が付いています。


本書は、著者:大前 研一 氏にて、2009年7月に日経BP社より発行されています。


大前の頭脳 「産業突然死」時代を生き抜く知恵
日経BP社
発売日:2009-07-09
発送時期:在庫あり。
ランキング:296
おすすめ度:3.5
おすすめ度3 物事の見方を鍛える本
おすすめ度4 一貫した大前さんの主張

<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には、以下のように書かれています。


単純な統計データ

から日本に迫り来る

難題をすべて読み解く!

「知のサバイバル技術」を一挙公開!!

わたしは単に意見を言っているのではなく、誰にでもその気になれば入手できるデータを前に、その意味するところは何か、これから何が読みとれるか、何は読みとれないか、データが事実とすると今後どうなるのか、などに関してしつこいくらいの考察をしている。 そう、毎週、わたしの仕事には直接関係しない、こういう世界、社会、経済、経営、などに関する問題を「考察」しているのである。「大前の頭脳」は特殊ではないが、それをほとんど10代の高校生時代以来一貫してやっている、という点において奇特(?)ということは言えるのではないか ―――本書より


本書は、プロローグに続く2つの章と番外編、エピローグとからなります。


なかなか印象的なプロローグでは、本書を総括するような見地から21世紀経済は、1985年にはじまっていたとし、危機からの脱出には「心理経済学」が駆使されなくてはならないと説いています。


数式上の仮説に基づき、株価収益率(PER)、ヘッジング、デリバティブなどのレバレッジを働かせるマルチプル経済は、グローバル、サーバーとの相性が良く、無軌道に数々の金融商品が開発され続け、金融バブルの崩壊に至った。


このようなリスクに気付かない、リスク管理手法が未熟だと突然死を招くと説いています。


我が国は、少子高齢化、食糧自給率の低下、防衛外交問題、学力低下、政治への無関心、若年労働者の非正規雇用問題、マスコミの低俗化、中央政府・地方の形骸化した官僚機構などの突然死の病弊と成りかねない多くのリスクを抱えている。


これらの日本のリスクは、前世紀的思考に原因があると説いています。


また偏向報道と愚民政策が国民を陥れることになるが、自ら考えて行動しようとしない一人一人の日本人にも一端の責任があるとしています。


ここで頭脳を全開にして問題解決を図ることが大切で、不況を切り抜ける方策の一つに「心理経済学」がありその方向に舵取りをすべきと説いています。


また読者に向けて以下のように呼びかけています。


本書を読み、わたしが長年培ってきた、壁を打破するイノベーティブな発想力、仮説設定力、論理思考力など、数々の思考・発想法、すなわち、「大前の頭脳」を活かして問題解決の糸口を見いだしていただくことを期待している。」


いつもの大前節とも言うべき明快で説得力を持ったロジックが展開されています。


対象の問題について深く考えたプロセスが見え、主張が正しいか否かを超えて大前氏の思考発想法がよく伝わってくる内容となっています。


テーマについての中項目のタイトルの命名の巧みさや図表及び分析ツールを交えての論旨の展開は、優れたプレゼンテーションのお手本のような展開で参考になります。


第1章では、「産業突然死をまねく日本の病因
と題して、我が国が抱えるリスクをあらためて浮き彫りにする13の論考がまとめられています。


ここでは、前世紀型思考は、国家を「突然死」に招く死神である/ただちに教育を変えなければ、日本の集団IQはさらに低下する/システム貧国ニッポン、東証のトラブルは必然だった/マスコミは表層の事件や現象しか追わない/技術だけで世界戦略を持たずに負け続ける/日本企業のグローバル化には3つの問題点がある/不まじめ”なサラ金と銀行がまじめな消費者を陥れる/国の愚民政策が国民をだまし続ける/日本のお役所情報システムは、無駄だらけ/小泉改革の目玉「郵政民営化」はどこへ行った/官製不況が日本を襲う─グレーゾーン金利廃止と建築基準法/官僚+マスコミ+企業、「合成の誤謬」により官製不況は悪化する/日本は「アジアで最も豊かな国」から転落した といったテーマを取り上げ考察しています。


各テーマの終わりには、例えば、1については、『少子高齢化→外国人労働者の受け入れ→中国製品依存』といった我が国の抱えるリスクについて『考えるためのkeywords』が取り上げられています。

第2章では、「「産業突然死」時代を生き抜く14の提言
と題して、 我が国が直面する問題に対する解決策に関わる提言としての14の論考がまとめられています。


ここでは、 答えのない問題に向き合う勇気を持とう/日本に必要な「真のリーダー」はエンパワー型である/新しい時代こそ、「構想力」で乗り切れ!/サイバー社会の格差を埋めるのもまたサイバーである/道州制は、この国の長期衰退を救う/「市場は縮小する」と思った瞬間に成長も止まる/団塊世代の退職金85兆円を市場に呼び込め/1億人で日本国憲法を書き直してみよう/EUに対抗できる優遇税制度を構築せよ/仕事の能率を見直せ~労働生産性は米国の7割/統計手法を刷新し、経済の実態を正確に測れ/日本企業は、グローバル・ニッチ・トップで生き残れ/「細く、深く、長く」仕事ができる人材を育てよ/いまこそ心理経済学で発想せよ! といったテーマを取り上げ考察しています。


ここでも各テーマの終わり等に13の「Real Time Case Study」などの問題解決法が『この問題解決法を使え!』としてまとめてあります。


第3章では、「揺れる世界経済と日本
と題して、米国発の金融危機に関する解説・展望・提言などがまとめられています。


ここでは、金融危機に慣れた日本人には絶好のチャンスが来た/日本は、ビッグ3を買って米国に恩を売れ/機能不全のIMFを超える金融チェック機構を作れ/「失われた15年」に日本は失われていなかった/世界がオバマ政権に求める「責任」とは何か?/オバマ政権の経済認識は相当に危うい/日本政府はバイアメリカン条項を恐れるな といったテーマが取り上げられています。


ここでは、「サブプライム→CDO(債務担保証券)→ドルの将来)」といった金融危機とこれからの世界経済の展望に関する『考えるためのkeywords』がまとめて掲載されています。


<<本書で何が学べるか?>>


本書では、最初から読んでいってても良いし、興味のある箇所をとばし読みしてといった色々な読み方があるが、本書を通じてから『壁を打破するイノベーティブな発想力、仮説設定力、論理思考力』といった「大前流の発想・思考術」を学ぶことができます


<<まとめ>>


本書は、単純な統計データから、日本の抱えるリスクや日本に迫りくる難題を読み解くといった大前氏の論理展開を通して「大前流の発想・思考術」を学ぶことができます


サバイバルのための知の活性化に関心があるビジネスパースンにはお薦めの一冊です


なお本書の目次は、以下の内容です。
プロローグ
第1章 産業突然死をまねく日本の病因
1 前世紀型思考は、国家を「突然死」に招く死神である
2 ただちに教育を変えなければ、日本の集団IQはさらに低下する
3 システム貧国ニッポン、東証のトラブルは必然だった
4 マスコミは表層の事件や現象しか追わない
5 技術だけで世界戦略を持たずに負け続ける
6 日本企業のグローバル化には3つの問題点がある
7 “不まじめ”なサラ金と銀行がまじめな消費者を陥れる
8 国の愚民政策が国民をだまし続ける
9 日本のお役所情報システムは、無駄だらけ
10 小泉改革の目玉「郵政民営化」はどこへ行った
11 官製不況が日本を襲う─グレーゾーン金利廃止と建築基準法
12 官僚+マスコミ+企業、「合成の誤謬」により官製不況は悪化する
13 日本は「アジアで最も豊かな国」から転落した
第2章 「産業突然死」時代を生き抜く14の提言
1 答えのない問題に向き合う勇気を持とう
2 日本に必要な「真のリーダー」はエンパワー型である
3 新しい時代こそ、「構想力」で乗り切れ!
4 サイバー社会の格差を埋めるのもまたサイバーである
5 道州制は、この国の長期衰退を救う
6 「市場は縮小する」と思った瞬間に成長も止まる
7 団塊世代の退職金85兆円を市場に呼び込め
8 1億人で日本国憲法を書き直してみよう
9 EUに対抗できる優遇税制度を構築せよ
10 仕事の能率を見直せ~労働生産性は米国の7割
11 統計手法を刷新し、経済の実態を正確に測れ
12 日本企業は、グローバル・ニッチ・トップで生き残れ
13 「細く、深く、長く」仕事ができる人材を育てよ
14 いまこそ心理経済学で発想せよ!
番外編 揺れる世界経済と日本
1 金融危機に慣れた日本人には絶好のチャンスが来た
2 日本は、ビッグ3を買って米国に恩を売れ
3 機能不全のIMFを超える金融チェック機構を作れ
4 「失われた15年」に日本は失われていなかった
5 世界がオバマ政権に求める「責任」とは何か?
6 オバマ政権の経済認識は相当に危うい
7 日本政府はバイアメリカン条項を恐れるな
エピローグ






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