労働安全衛生法関係の諸規制は、「複雑で分かりにくい」といわれています。
ところでOHSAS18001:2007(労働安全衛生マネジメントシステム)規格の4.3.2項:「法的及びその他の要求事項」では、以下のように要求されています。
「組織は、組織に適用される法的及びその他の要求事項を特定し、参照できる手順を確立し、実行し、維持すること。
組織は、組織が同意した法的及びその他の要求事項がOH&Sマネジメントシステムを構築し、実行し、維持する際に確実に考慮に入れること。
組織は、この情報を最新のものに維持すること。
組織は、組織の管理下で働く人々及びその他の利害関係者に、法的及びその他の要求事項についての適切な情報を伝達すること。」
OHSAS18001:2007に基づくOH&SMSの活動では、『適用される法的及びその他の要求事項を特定し、参照できる手順』の確立・実行・維持が要求されています。
便覧(安全衛生法令要覧〈平成21年版〉)を参照したり、ネットで厚生労働省の法令情報や安全衛生情報センターを調査したりと労を尽くして、一覧表などにまとめ上げたとしても、さらに『この情報を最新のものに維持する』との【法的及びその他の要求事項】の最新情報のウオッチングによるメンテナンスをしっかりと行うことが必要です。
労働安全衛生関連の諸規則の詳細は、法律、政令、省令、告示などにより重層的に規定され、複雑な体系となっています。
OHSMSに取り組んでいるか否かに関係なく、組織の安全衛生担当者にとっては、自組織の事業場に適用される諸規制を十分に理解しておくことが必要ですが、しかしながら、なかなかその活動は簡単なことではなくなっています。
そのようなニーズに答えるのが本書のような法令早見表です。
本書は、改訂11版になりますが、本書では、安衛法関係の諸規制を項目別に整理し、「ひと目で分かる一覧表」に編集し、まとめてあります。
<<ポイント>>
安衛法関係の諸規制を項目別に整理し、「ひと目で分かる一覧表」にまとめた本。
本書の「はしがき」で編者は、以下のように述べています。
「本書は、安全衛生担当者が常にそばに置き、必要に応じて参照していただくことを念頭に、「複雑でわかりにくい」とされている安全衛生法令に関する諸規制を、項目毎にひと目でわかる一覧表の形にまとめたものです。
改訂11版は、原則として、平成21年3月31日現在の労働安全法令をもとに編集しています。」
本書:「安全衛生法令早見表(改訂11版)」です。
「ひと目でわかる規制一覧」との副題が付いています。
本書は、労働調査会出版局の編集にて、2009年6月に労働調査会より発行されています。
<<本書のエッセンスの一部>>
本書の表紙裏面の下部には、以下のように書かれています。
本書の特徴
複雑でわかりにくい安衛法関係の諸規制を項目ごとに、
ひと目でわかる一覧表に編集。
すべての安全衛生担当者に役立つ実務必携書。
本書は、5章から構成されています。
赤黒の2色刷で見やすく構成されています。
章を追って概要を紹介します。
第1章では、「安全衛生管理体制に関する措置」
と題して、安全衛生に関して管理体制が要求されている事項をまとめています。
安全委員会設置基準(令8条)から衛生推進者(則12条の2)に至る各種安全衛生管理体制に関わる「業種別の安全衛生管理体制の規制一覧」にはじまり、
- 『統括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者、産業医』の「安全衛生管理体制選任者一覧」、
- 『統括安全衛生管理者』などの「安全衛生管理体制選任者一覧<建設・造船現場>」
- 「元方事業者・特定元方事業者の講ずべき措置」、
- 『発破の作業の業務』など資格等の必要な業務一覧、
- 『第1種衛生管理者免許』など「免許試験一覧」、
- 『木材加工用機械』などの【作業前・作業中】の「作業主任者の職務一覧(主として製造業)」、
- 『地山の掘削』などの【作業前・作業中】の「作業主任者の職務一覧(主として建設現場)」、
- 『プレス作業』などの「作業主任者の必要な業務一覧」、
- 『安全委員会』など「安全衛生委員会規制一覧」
がまとめてあります。
第2章では、「手続き等に関する措置」
と題して、以下の手続き関係義務が求められている事項がまとめてあります。
- 『4.つり上げ荷重3トン以上(スタッカー式クレーンにあっては1トン以上)のクレーンを設置し、若しくは移転し、又はこれらの主要構造部分を変更しようとするとき』などの44種の「計画の届出義務一覧」
- 『塔:3.高さが300メートル以上の塔の建設の仕事』などの「計画届の参画者資格一覧」
さらに「報告・届出事項一覧」/「作業計画及び施工計画の必要な作業一覧」/「保存書類一覧」/「調査・記録の必要な作業一覧」/「安全衛生特別教育訓練一覧」/「特別教育一覧」がまとめてあります。
第3章では、「現場作業における安全管理措置」
と題して、現場の作業について安全管理に対する措置が求められている事項がまとめてあります。
- 『車両系荷役運搬機械』などの「作業指揮者の選任が必要な事項一覧」
- 『車両系建設機械』などの「誘導者の配置が必要な作業一覧」
- 『安衛法及びこれに基づく命令の要旨』などの「労働者等への周知義務一覧」
さらに 「表示・掲示すべき事項一覧」/「合図の必要な作業一覧」/「立入禁止が必要な場所一覧」/「悪天候時及び地震後の作業規制一覧」/「組立図の必要な作業一覧」/「監視人の配置が必要な作業一覧」がまとめてあります。
第4章では、「機械・設備に関する安全措置」
と題して、機械・設備の安全について規定されている事項がまとめてあります。
- 『移動式クレーン(つり上げ荷重3トン以上)』などの「特定機械等に関する規制一覧」
- 『ボイラー 製造許可』などの「特定機械等の規制一覧」
- 危険有害な機械設備としての『アセチレン溶接装置のアセチレン発生器』など「構造規格を具備すべき機械等一覧」
さらに「定期自主検査等が必要な機械等一覧」/「化学設備等の規制一覧」/「機械等の安全措置一覧」/「トンネルの警報設備等、避難訓練一覧」がまとめてあります。
第5章では、「労働衛生に関する措置」
と題して、健康診断から有機溶剤規制など労働衛生に関する規定をまとめています。
- 『雇入れ時又は配置替え時の健康診断』などの「健康診断管理一覧」
- 『産業医の選任』などの「産業医の活用等健康管理一覧」
さらに、「作業環境測定規制一覧」/「有機溶剤規制一覧」がまとめてあります。
<<本書で何が学べるか?>>
本書は、複雑でわかりにくい労働安全衛生法関係の諸規則について体系的に項目別にしてひと目でわかる一覧表にまとめ編集してあり、安全衛生の関係者の実務に役立つ構成となっています。
<<まとめ>>
安全衛生関係者には、本書は、手元に置いておきたい一冊です。
なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 安全衛生管理体制に関する措置
第2章 手続き等に関する措置
第3章 現場作業における安全管理措置
第4章 機械・設備に関する安全措置
第5章 労働衛生に関する措置
1.健康診断管理一覧
2.産業医の活用等健康管理一覧
3.作業環境測定規制一覧
4.有機溶剤規制一覧
- 2009年08月12日
- OHSAS18001
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