環境コンサル、ISO認証審査員、さらに1,000回にも及ぶISO研修セミナーの講師をつとめた著者の豊富な経験をもとにISO14001などの環境マネジメントシステムのための環境教育と持続発展教育ESD)をターゲットに理解が得やすい環境教育について説いている本を紹介します。


なおこの『持続発展教育ESD)』というのは、「持続可能な開発のための教育(ESD:Education for Sustainable Development)」のことで、


国連「環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会)」報告書:『我ら共通の未来(Our Common Future)』(1987年)による「持続可能な開発」の定義を背景に、「将来の世代が自らのニーズを充足する能力を損なうことなく、今日の世代のニーズを満たすような開発を可能する教育」との位置づけのもの。


本書の「はじめに」で筆者は、『持続発展教育ESD)』について以下のように述べています。


持続発展教育ESD:Education for Sustainable Development)とは、「我が国における”ESDの10年”実施計画」において、「一人ひとりが、世界の人々や将来世代、あまた環境との関係性の中で生きていることを認識し、行動を変革するための教育」と定義されている。

また”ESDの学び方・教え方”の中では、「関心の提起→理解の深化→参加する態度や問題解決能力の育成」を通じて「具体的な行動」を促すという一連の流れに位置づけられている。

さらに、体験、体感を重視して、探求や実践を重視する参加型アプローチが望ましいとされている。

本書では、このESDの考え方に着目して、環境マネジメント教育の事例を紹介する。」


本書は、「ISO14001エコアクション21などの環境マネジメントシステム、環境教育や持続発展型教育についてこれから勉強しようとする人およびISO14001の導入や環境教育のベテランであるが、マンネリ化してきたためにリフレッシュしたいと考えている人向けに執筆した」ものとのこと。


<<ポイント>>


ISO14001エコアクション21などの環境経営システム、環境マネジメントシステムのための環境教育及び持続型発展教育ESD)に関する解説書。


本書では、環境に配慮する人材を育成し、研修受講者の力量を向上させるために,どのような教育研修を行うことが望ましいのかとの観点から、


筆者の豊富な環境教育の経験に基づき、各種ノウハウ・データ・実用ワークシート例などの具体的資料を駆使しつつ、理解が得やすい、環境マネジメントシステムEMS)導入と効果的活用の本質と環境教育持続発展教育ESD)のあるべき姿について説いています


本書:「ISO14001環境マネジメントと持続発展教育(ESD)」です。


EA21・演習型環境教育のあり方」との副題が付いています。


本書は、著者:小野木 正人 氏にて、2009年8月に技報堂出版より発行されています。


ISO14001環境マネジメントと持続発展教育(ESD)―EA21・演習型環境教育のあり方
技報堂出版
発売日:2009-08
発送時期:通常2~4週間以内に発送
ランキング:101983

<<本書のエッセンスの一部>>


本書は、10章から構成されています。


全般的に豊富な写真、概念図、帳票例などの各種図表を用いており、さらには、各章の終わりの『持続型発展教育(ESD)の経緯と基本的考え方』といったトピックスを取り上げた「コラム」などで具体的で分かり易い展開となっています。


原則、1項目4ページで解説されており、本書のどこから読んでもまとまった読みやすい構成になっています。


特にテーマの終わりには、【要点の整理】、【推薦図書】などがまとめてあります。


過去の環境教育についてのアンケート結果を反映して、エコクイズ、環境心理学といった受講者の興味が持続する工夫も織り込まれています。


簡単な概要を章を追って紹介します。


第1章では、「ESDプログラムとフライブルクのエコライフ紹介
と題して、本書で提起している演習を中心とした環境教育プログラムについて概観し、環境マネジメントにおける環境教育の必要性についての背景(持続発展教育(ESD)、環境の保全のための意欲の促進及び環境教育の推進に関する法律、環境配慮促進法)について総括しています。


またドイツのフライブルグのエコライフについて、(エコ生活編)、(デポジット編)、(省エネ編)に分けて多くの写真などを交えて実情を紹介しています。


第2章では、「環境ISOとエコアクション21(EA21)の環境調査とは?
と題して、ISO14001のPDCAサイクルと継続的改善と目標管理、環境パフォーマンス指標などのキーワードの解説を交えてその特徴、また日本版ISOとしてのエコアクション21についての特徴について解説しています。


また「環境調査」について「環境面での棚卸し」として、インアウト情報調査の考え方と集計表の例と「マテリアルバランス」のチェックの活用法などを交えて解説しています


そして、「機器設備調査」について環境法規制調査のベースとしても活用できる「機器設備一覧表」を作成しての調査法について記載例と活用手段の帳票例を交えて解説しています。


第3章では、「サイトツアーで発見する環境側面と環境影響
と題して、EMS構築の際に計画段階で必要なISO14001:2004規格の4.3.1項に対応した『初期環境調査』(第2章での調査+「3.環境側面及び環境影響の把握」+「4.環境影響評価」と『環境法規制調査』についてのポイントを解説しています。


とくにサイトツアーの実施要領、『環境評価リスト』を用いての「直接影響と間接影響の把握」、「判定フロー方式」と「スコアリング方式」に基づく『重大性の評価』、「プラス影響評価リスト」を活用しての『プラス影響評価』、「環境法規制の調査と登録」の基本的な手順とポイントを重点解説しています。


第4章では、「演習方式で環境配慮のアイディアを考える
と題して、最初に初期環境調査と環境法規制調査をベースにした環境方針の作成についてポイントをまとめて解説しています。


また環境目的・目標を決めるために「目標設定アイデアシート」を用いてのBS(ブレーンストーミング)による検討、「環境目的目標一覧表」を用いての環境目標の設定、「環境実施計画表」での実施計画の策定のポイントと留意点、「EMS整合表」の作成と環境配慮アイデアの発表のグループ演習などを解説しています。


第5章では、「クイズと心理テストで学ぶ環境マネジメント
と題して、ISO14001規格の要求事項は、ISO規格に触れたのことのない学生や社会人には難解と感じられるとのことから筆者が教育研修の演習で実施している「クイズ形式のワークシート」を紹介しています。


またEMS組織体制の決定の要領を解説しています。


そして、教育研修について以下の教育区分で行うための年間計画の作成から教育カリキュラムや教材の工夫、記録の作成など解説しています。


  1. 基本教育=自覚教育
  2. 手順教育=手順周知・訓練・力量向上
  3. 専門教育=資格取得・能力向上・力量向上

さらに「交流分析」、「エゴグラム」の心理学理論を有効に活用しての効果的なコミュニケーションについてのポイントを解説しています。


第6章では、「環境マネジメントの運用と監視測定・順守評価
と題して、文書管理と記録の管理のポイントにはじまり、EMSの運用管理と緊急事態対応のポイント、監視測定と順守評価のポイント等について帳票事例など交えて特に重要なポイントを重点解説しています。


第7章では、「環境監査の計画から準備まで(模擬監査とロールプレイ)
と題して、内部監査についてその位置づけから目的、全体の流れ、監査計画から準備段階、監査の実施と報告段階、指摘のフォローアップまでの重要ポイントについて解説しています。


とくに年間計画の立案、監査実施スケージュールの策定、監査項目を網羅したチェックリストの作成といった活動の重点ポイントを帳票例など交えて解説しています。


第8章では、「環境監査の実施から報告まで(ヒアリングのコツと是正・予防処置)
と題して、現地監査での効果的なヒアリングから是正処理要求書と監査報告書の作成要領、指摘事項に対する是正処置と予防処置の考え方、マネジメントレビューの重要ポイントまでを帳票例など交えて解説しています。


第9章では、「環境マネジメント教育の成果(アンケートと統計分析結果)
と題して、筆者が大学で環境マネジメント教育と持続発展型教育(ESD)に関して行った環境マネジメント教育での調査と研究について解説しています。


筆者は、環境マネジメント教育と持続発展型教育(ESD)の関連性について以下の3つの先行研究の視点から研究しているとこと。


  1. 演習型教育プログラムの開発
  2. 環境心理学の環境配慮行動の2段階モデルと3つのアプローチ
  3. 開発教育のアクティビティ等による参加型学習

そして大学及び自治体での演習型教育の成果を統計分析で検証した状況を解説しています。


さらに大学授業でのコメントの結果を紹介し、今後の課題について展望しています。


第10章では、「環境マネジメント&環境教育実践事例(大学・企業・自治体)
と題して、9つの組織の大学・企業・自治体の環境マネジメントの特徴を紹介し、とくにそこで実践されている環境教育の特徴など解説しています。


<<本書で何が学べるか?>>


本書は、ISO14001エコアクション21などの環境経営システム、環境マネジメントシステムのための環境教育及び持続型発展教育ESD)について豊富な写真、概念図、帳票例などの図表を交えて「見える化」し、具体事例を交えて分かり易く解説しています


環境教育、演習型教育で使える技法が多数解説されています。


企業や学校などでの環境研修テキストとして好適な内容となっています。


<<まとめ>>


ISO14001エコアクション21などの環境マネジメントシステム(EMS)に関わる関係者から、持続型発展教育ESD)に関心を持つビジネスパースン等には、本書は、読んで頂きたい一冊です。


なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 ESDプログラムとフライブルクのエコライフ紹介
1-1 演習を中心とした環境教育プログラムとは
1-2 環境マネジメントと環境教育の位置付け
1-3 フライブルクのエコライフ(エコ生活編)
1-4 フライブルクのエコライフ(デポジット編)
1-5 フライブルクのエコライフ(省エネ編)
第2章 環境ISOとエコアクション21(EA21)の環境調査とは?
2-1 環境ISO と継続的改善の本質
2-2 エコアクション21 とは何ですか
2-3 環境調査(インアウト情報を把握する)
2-4 環境調査(機器設備情報を把握する)
第3章 サイトツアーで発見する環境側面と環境影響
3-1 サイトツアーをしてみよう
3-2 環境側面と環境影響の把握はどうする
3-3 環境影響評価の重要ポイント
3-4 プラス影響評価とは
3-5 環境法規制の調査と登録
第4章 演習方式で環境配慮のアイディアを考える
4-1 環境方針を作成する
4-2 環境配慮活動のアイディアを考える
4-3 環境目標を決定しよう
4-4 環境実施計画(活動計画)をつくろう
4-5 EMS整合表と環境配慮アイディアの発表
第5章 クイズと心理テストで学ぶ環境マネジメント
5-1 クイズ形式で学ぶISO14001規格
5-2 EMS組織体制を決定する
5-3 計画的に環境教育を行う
5-4 心理テストで効果的なコミュニケーション
第6章 環境マネジメントの運用と監視測定・順守評価
6-1 文書管理と記録管理のポイント
6-2 EMSの運用管理と緊急事態対応
6-3 EMSの監視測定と順守評価のポイント(1)
6-4 EMSの監視測定と順守評価のポイント(2)
第7章 環境監査の計画から準備まで(模擬監査とロールプレイ)
7-1 内部監査の目的と全体の流れ
7-2 内部監査の年間計画を立てる
7-3 監査実施スケジュールを決めよう
7-4 チェックリストで監査項目を網羅する
第8章 環境監査の実施から報告まで(ヒアリングのコツと是正・予防処置)
8-1 監査で効果的にヒアリングを行うために
8-2 環境改善要求と監査報告
8-3 誤解の多い是正処置と予防処置の考え方
8-4 マネジメントレビューでは何をするのか
第9章 環境マネジメント教育の成果(アンケートと統計分析結果)
9-1 環境マネジメント教育における調査と研究
9-2 大学における統計分析の結果と評価
9-3 自治体における統計分析の結果と評価
9-4 コメントの結果と今後の課題
第10章 環境マネジメント&環境教育実践事例(大学・企業・自治体)
10-1 東京外国語大学 専門科目としての環境教育の実践
10-2 パナソニック株式会社 一歩先のエコアイディア宣言
10-3 株式会社シマノ チームシマノの統合マネジメント
10-4 大阪府都市開発株式会社(泉北高速鉄道) 環境内部監査の評価が高い
10-5 イアス株式会社 エコアクション21の取組みで高い評価
10-6 渡辺ケミカル株式会社 3拠点含む全社でエコアクション21取得
10-7 京都府宇治市 宇治市学校版環境ISO 認定制度の導入
10-8 滋賀県栗東市 演習型の環境研修でREMSの継続的改善を推進
10-9 兵庫県高砂市 愛・長寿・和合・平和と環境配慮のブライダル都市







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