「ISO規格は分かり難い」という読者のニーズに応えて、ISO 9001(JIS Q 9001)規格について、図解で一目でわかるをモットーに2004年に発行された前著の「一番やさいい・一番くわしい 図解でわかるISO9001のすべて」がISO 9001:2008の改訂に伴って最新版として改訂発行されています。
本書の「はしがき」で筆者は、本書の意図する点などについて以下のように述べています。
「今回のISO 9001:2008規格の改定は、要求事項の明確化を主な目的としています。
そのため、本書は、規格改定の主旨に添って、規格の要求事項を、より詳しく理解してもらえるように解説しています。
組織が認証機関の認証を取得するにあたり、まず悩むことは「ISO9001規格は読んでもよくわからない」「品質マネジメントシステムはどのように構築・運用したらよいのか」ということです。
そのため本書は「ISO9001とは何かを知りたい」という人にために、絵と図を一体化させることで「目で見てわかる」を実現し、わかりやすく説明しています。」
本書は、これからISO 9001の認証取得をめざす組織の関係者にとっては、ISO 9001に関わる全体像を把握するための参考図書として、すでに認証を取得された組織でISO9001の2000年版(第3版)から2008年版(第4版)への移行に向けての参考図書、また2008年版での組織での関係者への教育参考資料などといった目的での活用に適切なISO 9001:2008の入門書と思います。
<<ポイント>>
ISO 9001とは何かから、認証取得のノウハウまで、ISO 9001の全体像を「目で見てわかる」ように図解で概観できるISO9001(2008年対応の)入門書。
本書では、審査員側、企業側両方の視点を併せ持つ筆者が、
ISO9001の認証を取得することで見込まれるメリット
から
- アウトソーシングについての説明の追加、プロセスの測定が常に可能なわけではないことの明確化
- 管理責任者は組織自身の管理者のメンバーでなければならないことの明確化
- 作業環境の例として、騒音、温度、湿度、照度、天候といった物理的、環境的及びその他の要素を含むことの明確化
- 知的所有物及び個人データが顧客所有物と見なされるべきであることの説明
といったISO 9001:2008改訂内容を含むISO 9001:2008規格の要求事項の解説。
品質マネジメントシステム(以降QMSと略記)構築と運用のコツ。
品質マニュアル・文書作成の秘訣。
業種別のQMSの事例解説などを豊富な図版で解説しています。
本書:「最新版 図解でわかるISO9001のすべて」です。
「一番やさしい・一番くわしい」との副題が付いています。
本書は、著者:大浜 庄司 氏にて、2009年8月に日本実業出版社より発行されています。
<<本書のエッセンスの一部>>
本書の帯ならびに表紙カバーの折り返し部には、以下のように書かれています。
2008年12月改訂版に完全対応!
豊富な図解で基礎から「規格の要求事項」を解説
『ISO9001規格は読んでもわからない…』
と嘆くあなたに贈る
「目で見てわかる」
完全図解
ISO9001とは何かから、
認証取得のノウハウまで、
ISO9001のすべてがつまった一冊。
本書は、9つの章から構成されています。
全般的に各章の節毎に、タイトルについて原則見開きの2ページで図解を含めた解説といった構成で文字通り図を見ただけで内容が概ね理解できる内容となっています。
また章の終わりには、『参考』として「組織」、「供給者」といったISO9000で定義されている基本用語の図解で分かりやすい解説が添付されています。
また巻末に「資料1:認定機関・審査員評価登録機関」、「資料2:認証機関」が添付されています。
章を追って本書の概要を紹介します。
第1章では、「ISO9001を取得すれば多くのメリットが得られる」
と題して、ISO9001の認証の取得に取り組むことで、どのようなメリットが見込めるかといった点について経常利益が増大するといった4つの切り口から解説しています。
第2章では、「ISOの規格とは何かを理解しよう」
と題してそもそもISO規格とはどのようなものか、国際標準化機構、ISO9000ファミリー規格、ISO9000ファミリー規格の誕生の経緯、ISO9001から派生したセクター規格といったことを解説しています。
第3章では、「認定・認証制度とはどんな制度か」
と題して、認定・認証制度について認定制度とはどのようなものか、認証機関を選定するコツ、認証登録申請から登録証の発行までの手順、審査員に求められる力量、資格といった事項を取り上げ解説しています。
第4章では、「品質マネジメントシステムの基本を知る」
と題して、QMSの8つの原則をはじめ、品質マネジメントシステム、マネジメント、システムの意味の違い、QMSの要求事項と製品の要求事項との違い、QMSの要求事項についてどのような方法で満たすかは組織の実力を考慮して決める、「プロセス」と「プロセスアプローチ」の概念の解説などを取り上げ解説しています。
第5章では、「ISO9000ファミリー規格の基礎知識を習得する」
と題して、ISO9000ファミリー規格の基本的事項について解説しています。
すなわち、ISO9000ファミリー規格が制定された背景、ISO9000ファミリー規格相互の関連性、ISO9000規格の概要と特に用語の理解の重要性、ISO9001規格の概要、ISO9004規格の概要、ISO19011規格の概要について解説しています。
第6章では、「ここが肝心ISO9001規格の要求事項を理解しよう」
と題して、ISO 9001:2008(JIS Q 9001:2008)規格の要求事項を解説しています。
この章が本書の主要部になります。
ISO 9001:2008(JIS Q 9001:2008)規格の各条項毎に見開きの2ページで図解して、図だけを見ても一目でわかるように解説しています。
表題については、表題の中味が理解し易いようにとの観点からサブ表題が設けられ併記されています。
例えば、8.2.4項:「製品の監視及び測定」であれば、「-製品の特性を監視・測定する-」というようなサブ表題が付けられています。
ISO 9001:2008(JIS Q 9001:2008)規格の全体像をはじめとして、「序文0.1一般」から「3用語及び定義」、さらに品質マネジメントシステム「4.1項:一般要求事項」から「8.5.3項:予防処置」までを解説しています。
第7章では、「品質マネジメントシステム構築・運用のノウハウを学ぶ」
と題して、組織がISO9001規格に基づくQMSを構築し、運用・維持し、認証機関の認証を取得するまでの手順を解説しています。
認証登録の適用範囲、適用除外の設定、また認証取得に必要な費用の概要、キック・オフから推進体制の確立、…、品質マニュアル・文書作成といった運用の概要、内部監査の概要、認証機関の審査の内容と受審の仕方などを解説しています。
第8章では、「品質マニュアル・文書作成の秘訣」
と題して、品質マニュアル等のQMSの手順を効果的に文書化するための考え方等を解説しています。
文書化にあたり目的を明確にすること、文書体系をどのようにするかの判断、ISO9001規格で要求されている文書と記録、品質マニュアルを作成する上でのポイント、文書作成の仕方・文書の書き方・表現方法といった事項を解説しています。
第9章では、「業種別品質マネジメントシステムの事例」
と題して、製造業、建設業、ソフトウェア業、証券代行サービス業、医療業、ホテル業、百貨店業、飲食サービス業、幼稚園、ビル清掃サービス、美術館の各業種においてどのようにQMSを構築しているかの事例をQMS体系図をベースに解説しています。
<<ISO 9001:2008の関係書籍>>
「ISOの本棚」のブログですでに紹介した以下のような『ISO 9001:2008』に関する本がありますのでご参照下さい。
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ISO9001:2008(JIS Q9001:2008)要求事項の解説}
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ISO9001新旧規格の対照と解説
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対訳ISO9001:2008(JIS Q9001:2008) 品質マネジメントの国際規格
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新ISO9001わかりやすい解釈
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2008年版対応 ISO9001規格のここがわからない
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ISO9000入門 改訂版―2008年改正対応
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2008年改正対応 ISO 9001本審査問答集
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審査員が教えるISO9001実践導入マニュアル
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取る前に読む本ISO9001編 2008年版対応
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ISO 9001:2008 内部監査の実際
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ISO9001新・解体新書―2008年版対応
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図解ISO9001早わかり 2008年12月最新改訂版完全対応
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ISO9001内部監査指摘ノウハウ集〈2008年改正対応〉
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ISO9001内部品質監査の実務知識早わかり(改訂4版)
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現場視点で読み解くISO9001:2008の実践的解釈
<<本書で何が学べるか?>>
本書では、「目で見てわかる」完全図解を特徴として、ISO 9001:2008規格の要求事項の解説を中心に、ISO 9001とは何かから、認証取得のノウハウまで、ISO 9001の全体像をまとめて解説しています。
<<まとめ>>
本書は、これからISO 9001の取得を目指す人がISOを概観するには格好の入門書です。またISO 9001:2008(JIS Q 9001:2008)への移行を控えている組織の関係者、すでにISO9001:2008の移行を完了した組織での教育参考図書としてお薦めです。
なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 ISO9001を取得すれば多くのメリットが得られる
第2章 ISOの規格とは何かを理解しよう
第3章 認定・認証制度とはどんな制度か
第4章 品質マネジメントシステムの基本を知る
第5章 ISO9000ファミリー規格の基礎知識を習得する
第6章 ここが肝心ISO9001規格の要求事項を理解しよう
第7章 品質マネジメントシステム構築・運用のノウハウを学ぶ
第8章 品質マニュアル・文書作成の秘訣
第9章 業種別品質マネジメントシステムの事例
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