コスト削減への、一番の近道は、「在庫削減」にあるとして、大手電機メーカーでシステムエンジニア(SE)として数多くの製造業の在庫削減プロジェクトや3000億円の在庫削減に関わり、100社以上のコスト削減を指導してきた在庫削減コンサルタントの著者:若井 吉樹氏が知っておくべき「在庫削減」の基本的な知識や考え方を9限の授業形式でレクチャーしている本を紹介します。
本書の「はじめに」で筆者は、在庫について以下のように述べています。
在庫は、「入荷と販売の差」が蓄積されたものです。
売れる以上に入荷(インプット)されれば、当然在庫は増えます。
販売(アウトプット)が伸びれば在庫は減ります。
そして、売れれば売れるほど、品切れを起こさないようにさらに在庫を増やそうとします。
ただし、ある日突然売れ行きがピタリと止まると、そこには山のような在庫が残ってしまうようになります。
販売を伸ばしながら、同時に入荷に智恵を働かせ、品切れを起こさず余分な在庫を持たない。
こうした必要最低限の在庫を維持することが、理想の在庫の持ち方なのです。
(略)
この本では、そうした在庫削減のコツについて手順を踏まえた授業形式で説明していきます。
授業で学ぶ主なポイントは、次の4つです。
- なぜ在庫は増えるのか?
- 余分な在庫が、どんな問題を引き起こすのか?
- どのように”適正な在庫”の数を維持すればよいか?
- 在庫はどうやったら減らせるのか?
本書では、液晶テレビや健康器具を仕入れて販売する商社の「ヤマヅミ商事」を経営している「貝杉社長」が来期、5,000万円の利益を捻出しなければ、銀行からの融資もストップされるという状況で在庫削減の達人と呼ばれている「先生」からレクチャーを受けるとの展開で在庫削減の基本と考え方を学ぶというものです。
<<ポイント>>
キャッシュフローをよくするために知っておくべき「在庫削減」の基本的な知識や考え方を、わかりやすく体系的に説く在庫削減の入門本。
本書では、
なぜ在庫は増えるのか?
余分な在庫はなぜ問題か?
適正な在庫の数を維持するには?
在庫削減のコツとは?
など手順を踏まえて9限の授業形式でわかりやすく解説しています。
本書:「世界一わかりやすい在庫削減の授業」です。
本書は、著者:若井 吉樹氏にて、2009年8月にサンマーク出版より発行されています。
<<本書のエッセンスの一部>>
本書の帯には、以下のように書かれています。
経営者が社員にもっとも読ませたい本はこれだ!
NECで3000億円の
在庫削減に関わり、
100社以上のコスト削減を
指導してきた著者が教える
みるみるキャッシュフローが良くなる方法。在庫削減のツボが3時間でスラスラ読める!
経営者や経営幹部はもちろん、コンサルタント、
仕入れ担当者、小売り店長、税理士、中小企業診断士………
流通の現場に関わるすべての人が
一度は読んでおきたい入門書の決定版。
本書は、先生が9限の授業で「在庫削減」のレクチャーをするという構成になっています。
本書には、写真、イラストなどの図表が多数挿入され分かり易い解説となっています。
また授業の限の区切り毎にその授業でのまとめが集約されてありここでレビューできるようになっています。
また限目の区切りで、((これまでの成果))として、「ここまで減らすぞ目標」と「これだけ稼ぐぞ目標」というのを示しそこまでの成果を確認するようになっています。
それでは、本書の各限のレクチャーの内容について簡単に紹介します。
1限目では、「くさった在庫は捨てよう」
と題して、メタボの内臓脂肪と在庫の対比の話題にはじまり、また生鮮食品だけでなく全ての商品は賞味期限があり在庫中に商品としての価値が下がり陳腐化していくことなど説いています。
また在庫の状態について自分の目で確認することが大切とし、在庫について「日数」の尺度として考えること、そして在庫のために生じるコストについて概算してみることなど解説しています。
とくに赤札作戦と5Sの「整理」の必要性を説き、『整理』が「貝杉社長」の宿題として課せられます。
2限目では、「売れているものと売れていないものを分けよう」
と題して、コンビニ弁当の品切れの話題にはじまり、在庫は入荷と販売の数量で決まることを確認し、売れ行きを見ながら注文することが必要と説いています。
また注文については、商品毎に売上高を計算し、金額の高いものは手間をかけ、低いモノは手間を省いてと、取り扱い商品を区分し、以下の3つの方式などメリハリを付けた注文を説いています。
- 予測方式(定期発注方式)
- ボーダーライン方式(発注点方式)
- ツーボックス方式(ダブルピン方式)
この限での「貝杉社長」の宿題は、『整頓』になっています。
3限目では、「売れる商品には手間をかけよう」
と題して、売れる商品に適用する予測方式などの注文数の決め方の算出についての詳細解説をしています。
従来のやり方に比して、きめ細かな対応が可能な予測方式を採用することで、平均在庫数が44%減、最大在庫数で31%減など見込めることなど試算しています。
また『トヨタ生産方式』の「かんばん方式」(ただし、「かんばん方式」をするために必要な条件についても考察。)を採用すれば在庫削減はどのような効果が見込めるかを例を挙げて解説しています。
この限での「貝杉社長」の宿題は、『在庫数を減らす科学的予測のシミュレーションの実践』になっています。
4限目では、「売れ筋以外は手間をかけずにいこう」
と題して、売れ筋以外の商品に適用する注文方式について解説しています。
売れている順分析のB分析区分になるの商品(ヤマヅミ商事の健康器具)の事例について「ボーダーライン方式」(予め決められたボーダーラインの量まで在庫が減った時点で予め決めておいた注文数を注文する)及び、売れている順分析のC分析区分に適用する「ツーボックス方式」(予め用意しておいた2つの箱にうち、片方の箱が空になった時点で決められた量を注文する方法。)による試算等を中心に解説しています。
5限目では、「トラブルに強い在庫削減の方法」
と題して、ヤマヅミ商事で品切れが起こったという事象から入荷数や販売数の間違えた記録によって生じるトラブル等を避けるためにはどのようにすべきかを説いています。
正しいデータを掴むことの重要性とそのための留意ポイント、ボーダーライン方式の注文点等で在庫を見直しておくことが重要と説いています。
6限目では、「入荷条件の「当たり前」を見直す」
と題して、注文方式を活用して過剰在庫を減らせた次のステップでさらなる在庫削減の切り口にどのような観点が必要かを説いています。
例えば、「注文から入荷までの日数を短くする」などの『注文の根本的なやり方を見直す』との観点、その際に取引先とネゴシエーションを進めていく上でのポイントを解説しています。
7限目では、「本当の売れ行きをつかもう」
と題して、商品の性質に関係して途中に卸売業者や小売店などが介在するとエンドユーザーの本当の売れ行きがつかめないことになるので、最終消費者の本当の売れ行きをつかむことが必要と説いています。
また本当の売れ行きをつかむために「情報を買う」「間の在庫(流通在庫)を減らす」といった方法などを解説しています。
8限目では、「今までと違った形で在庫を持とう」
と題して、さらなる在庫削減の手だてを考えるとし、注文・入荷とかの枠を超えての、シュークリーム、パソコンの例を取り上げての、ものづくりに踏み込んでの取り組みの切り口を取り上げて解説しています。
ものづくりに踏み込むと製造段階で各要素に区分できることになるんで商品の種類が枝分かれする前に在庫を持つことでBTOのように必要在庫や品切れのリスクを減らせることが見込めると説いています。
9限目では、「身近なコンビニに見る在庫削減」
と題して、トヨタ生産方式は、スーパーマーケットからヒントを得たといったことを話題にしながら、コンビニの仕組みを時系列的に整理して、第1限目の授業から第8限目の授業までを復習をかねてレビューし、総括するという構成になっています。
<<本書で何が学べるか?>>
本書では、トヨタ生産方式による「在庫削減」の基本的な知識や考え方についてわかりやすく体系的に商社の「ヤマヅミ商事」の在庫削減の問題に取り組むという授業形式で以下のような内容を説いています。
- なぜ在庫は増えるのか?
- 余分な在庫が、どんな問題を引き起こすのか?
- どのように”適正な在庫”の数を維持すればよいか?
- 在庫はどうやったら減らせるのか?
入門書として気楽に読めて、読む進める中で、在庫管理のツボについて要領よく理解することができます。
<<まとめ>>
本書は、コスト削減,、在庫削減に関心があるビジネスパースンには、読んで頂きたい一冊です。
なお本書の目次は、以下の内容です。
1限目 くさった在庫は捨てよう
2限目 売れているものと売れていないものを分けよう
3限目 売れる商品には手間をかけよう
4限目 売れ筋以外は手間をかけずにいこう
5限目 トラブルに強い在庫削減の方法
6限目 入荷条件の「当たり前」を見直す
7限目 本当の売れ行きをつかもう
8限目 今までと違った形で在庫を持とう
9限目 身近なコンビニに見る在庫削減
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