2008年7月29日付けで、マネジメントシステム規格認証制度の信頼性を確保するために認定機関、認証機関をはじめとする関係者が取り組むべき事項について経済産業省がとりまとめた「マネジメントシステム規格認証制度の信頼性確保のためのガイドライン」が公表されました。


これを受けて、MS(マネジメントシステム)信頼性ガイドライン対応委員会(審査登録機関協議会(JACB)、情報マネジメントシステム認証機関協議会(JISR)、財団法人 日本情報処理開発協会(JIPDEC)及び財団法人 日本適合性認定協会(JAB)の各機関からの委員、有識者として椿広計氏(統計数理研究所 リスク解析戦略研究センター長)及びオブザーバーとして経済産業省認証課が参加)において11回の会議での議論を経てまとめたアクションプランを策定した「MS 信頼性ガイドライン対応委員会 報告書」がこの8月に公開されています。


ここでは、「認証に係る規律の確保」、「審査員の質向上と均質化」、「認定・認証に係る情報公開」といった事項を取り上げています。


さて、約40年にわたり多くの業種で改善プロジェクトをはじめ、ISOマネジメントシステムのコンサルティング活動に携わってきた著者:西沢 隆二 氏がISOマネジメントシステムについて、その審査に合格した企業の不祥事が、今絶えない状況にあるが、それは何故か?と考察している本を紹介します。


本書の「まえがき」で筆者は、ISOマネジメネントシステムについて、以下のように述べています。


ISOマネジメントシステムの審査登録というときは、この品質と環境の「お墨付き」を指す。ところが、企業がかなりのカネをかけて、この「お墨付き」を持っていることが多い。

 ISOマネジメントシステムによる「お墨付き」システムが始まってから、20年ほどになるが、このトラブルは絶えることがない。

「お墨付き」の信用問題にもなっており、言わば、ISOマネジメントシステムの崩壊現象を呈している。(略)

日本政府も「厳しい審査」を要請している。

しかし、効果は薄い。

何故だろうか。
それは、日本では非正規社員の増加や成果主義の拡大による職場活動(本書では「コア活動」と言っている)の荒廃とリンクしているようである。」


<<ポイント>>


ISOマネジメントシステムの「お墨付き」を受けた企業の不祥事が絶えないのは何故かといった点からISOマネジメントシステムの本質論を考察している本


ISOマネジメントシステムと「コア活動」との関わりを概観した上で、


  • ISOマネジメントシステム規格へのPDCAモデルの誤適用
  • 文書と記録の定義のあいまいさ
  • プロセスアプローチのあいまいな説明
  • ムダな膨大な書類の山とその原因
  • 審査員の問題
  • 有益な環境側面という奇妙な解釈の登場

といった観点からその原因を考察しています。


本書:「ISOマネジメントシステムの崩壊は、何故起きたか」です。


本書は、著者:西沢 隆二 氏にて、2009年7月に近代文藝社より発行されています。


本書は、筆者の多年にわたるISOマネジメントシステムのコンサルタントとして、ISOマネジメントシステムの本質の追究をベースに問題点の平易な説明を試みたもので、筆者のホームページの審査や企業活動の記録のエキスをまとめたものとのこと。



<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には、以下のように書かれています。


書類重視が

品質活動、環境改善になるという幻想から

コア活動」を軽視したツケ


本書は、3部から構成されています。


以下に本書の概要を紹介します。


1部では、「ISOマネジメントシステムを知るための予備知識
とい題して、7つの章から構成されています。


「マネジメント」(management)の英語の語源からはじまり、野球を例にあげ、組織の活動は、監督が担う「マネジメント活動」(共通性が特徴)プレイヤーが担う「コア活動」(個別性が特徴)との見方を説いています。


ISOマネジメントシステムの概要とISO9001規格、ISO14001の発行の経緯を概観しています。


PDCAサイクルとマネジメントステップを考察し、PDCAサイクルには「コア活動」のDoが存在しているので改善ステップだが、マネジメントステップではないと説いています。


マネジメント活動は、「コア活動」をしているときに、「実施」段階においては「統制」していると解説しています


また「コア活動」とマネジメントシステム活動とのあるべき姿について、品質マネジメント活動は、「品質で「コア活動」を」マネジメントすることが本質とし、品質マネージャーはIE(インダストリアル・エンジニアリング)屋であることが必要と説いています。


マネジメント活動と改善技術との関わりについて、古典的IE論から、トヨタ式生産方式などコア活動重視の意味を総括しています。


さらに、ISOマネジメントシステム審査の仕組み、ISOマネジメントシステム構築に求められる代替実行案の選択能力に関わる設計能力、審査側の課題といった事項を取り上げ論じています


2部では、「ISOマネジメントシステム審査登録制度の崩壊現象と原因
と題して、ISOマネジメントシステム審査登録制度と不祥事の発生など含めた問題事象に関わる原因について考察しています。


第2部は、6つの章から構成されています。


ISOマネジメントシステム規格にPDCAモデルを適用したのが混乱の始まりとし、「コア活動」に関わるDo部分の「運用」、「製品実現」は、マネジメントシステムと分離すべきであったとし、審査現場での事例、各種不祥事の事例等をあげ、マネジメント規格と製品(「コア活動」)との分離論を展開しています。


そしてISO9000による「文書と記録の定義のあいまいさ」、「プロセスアプローチのあいまいな説明」といった事象を論じています。


また品質保証で形式だけのISO9001システムを考えるパラダイムによると書類重視型になり、ムダな膨大な書類の山といった事態につながると「コア活動重視」のパラダイムと比較して論じています。


そして審査員の問題について、shall意識のないとの審査員とのやりとりの事例などあげて問題点の側面を考察しています。


さらに有益な環境側面、審査機関の不適切な事例を取り上げ論じています。


3では、「ISOマネジメントシステム審査登録制度はどうなるか
と題して、第3部は、2ページで本書の内容をまとめた展望を述べるという形になっています。


ISOマネジメントシステムを導入して成功したという会社は、ISOに他の改善方法をうまく組み合わせているとし、基本に「書類重視パラダイム」でなく、「「コア活動」重視パラダイム」があると説いています。


ISOマネジメントシステム審査登録制度はどうなるかの鍵は、この制度を利用する各企業の判断次第であると結んでいます。


<<本書で何が学べるか?>>


本書では、ISOマネジメントシステムの認証を取得した企業にもかかわらず不祥事が発生しているという事象を取り上げて、なぜかという原因を探るということで、筆者がISOコンサルタントとして経験されたISOマネジメントシステムの問題点等を取り上げて考察されています


ISOマネジメントシステム規格の要求事項への適合をもとに構築される仕組みは、不祥事の発生しないことを保証することに照準を当てたものではなく、認証自体も、不祥事が発生しないことへの「お墨付き」でもないため、両者を関連付けて論ずると次第に論点がずれてきてしまいます。


本書でも、不祥事を最初の論点には取り上げていますが、不祥事を決定的になくせるための組織のマネジメントに直接、焦点を当てているわけではありません。


ISOマネジメントシステム規格の認証の取得・非取得の如何に関わらず、不祥事の発生には、組織の倫理観、経営状況、経営方針、風土、体質、権力構造等の側面がケースバイケースで関係します。


審査機関が関与できる部分は、ISO規格に基づく審査の限られた時間・場面での審査員のコンタクトしかありません。


不祥事はそもそも隠蔽される性質のものでしょうからなかなかその間に不祥事にまつわる問題を検出することは困難と思われます。


一方、ISOマネジメントシステムの誤った運用などではらんでいる種々の問題は、確かにISOが経営や品質にインパクトをもたらさないのであれば無駄と言うことになりますので、これは、確実に改善されていく必要があります


確かに筆者の「コア活動」の重視の視点やISOマネジメントシステムに絡んだ種々の危機感には、大いに共感します。


現場・現物・事実が軽視され、形式・書類が重視という風潮になるとそういったマネジメントシステムは、まさに砂上の楼閣ということになります。


<<まとめ>>


経営に役立つ観点からのISOマネジメントシステムの継続的改善に関心がある人は、本書を是非、読んで見て下さい


なお本書の目次は以下の内容です。
1 ISOマネジメントシステムを知るための予備知識
第1章 マネジメント活動とそのコア活動とは何か
第2章 ISOマネジメントシステムとは何か
第3章 マネジメントの基本的なすすめ方
第4章 「コア活動」とマネジメント活動とのあるべき関係
第5章 マネジメント活動と改善技術
第6章 ISOマネジメントシステム審査の構造
第7章 ISOマネジメントシステム構築と審査の本質的な特徴
2 ISOマネジメントシステム審査登録制度の崩壊現象と原因
第1章 ISOマネジメントシステム規格へのPDCAモデルの誤適用
第2章 文書と記録の定義のあいまいさ
第3章 プロセスアプローチのあいまいな説明
第4章 ムダな膨大な書類の山とその原因
第5章 審査員の問題
第6章 有益な環境側面という奇妙な解釈の登場
3 ISOマネジメントシステム審査登録制度はどうなるか





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