MTシステム(Mahalanobis-Taguchi System:マハラノビス・タグチ・システム)は、インドの統計学者のマハラノビスが提案したマハラノビスの距離を田口玄一博士が異常の判定、パターン認識、予測等の分野に活用できるように考案したものでマハラノビス距離(多次元空間での空間距離)とSN比を用いたパターン認識技術の体系になります


MTシステムに関して、「単位集団の選択・項目の選択・単位集団の分割統合などの情報システムのパラメータ設計の方法」との観点から手法の拡大が進み、品質工学の発展分野になっています。


本日は、難解と思われがちなMTシステムについての基本から実践までを初心者向けにわかりやすく解説している入門書を紹介します。


本書の「はじめに」で筆者:田村 希志臣氏は、「本書は、MTシステムという新しく、そして強力なパターン認識技術とその考え方を、できるだけわかりやすく紹介することを目指して執筆したもの」とした上で、以下のように述べています。


本書の主題であるMTシステムは、個人認証や音声認識といったMMI(マンマシンインターフェイス)から人の意志決定、さらには経済動向や天災発生の予測まで、広義のパターン認識を対象にしています

 世の中には、最短距離法、決定木法といった比較的シンプルなものから、判別分析法、ベイズ推定法、ニューラルネットワークなど少し複雑なものまで、様々なパターン認識技術があり、それぞれに特徴を持っています。

 これら従来のパターン認識技術に対してMTシステムが持つ強みは、「使いやすさ」と「認識精度の高さ」が非常に高い次元でバランスしていることにあると思います。

 使いやすさについては、MTシステムではすでにデータ処理の手順が与えられていますから、いちいちパターン認識モデルを構築する必要はありません。

 また学習させることで認識力を高めていく、いわゆる学習型でもありませんので、即座にパターン認識結果を得ることができます。

(略)

本 書は、MTシステム初心者の方から、活用経験をお持ちの初中級クラスの方まで、幅広い層に満足いただけるよう、構成を工夫しました。

 各章とも、本文では計算式をできるだけ使用せず、MTシステムの考え方を中心に解説しました。」


<<ポイント>>


MTシステム(マハラノビス・タグチ・システム)の有効活用のための入門書


本書では、MTシステムの基礎的な考え方からはじまり、


MTシステムの原点となるMT法についてのデータ処理手順、状態診断の方法、


MT法の進化形であるMTA法、方向判定のできるTS法T法


さらにRT法判別技術への展開など取り上げ解説しています。


本書:「よくわかるMTシステム」です。


品質工学によるパターン認識の新技術」との副題が付いています。


本書は、著者:田村 希志臣氏にて、2009年8月に日本規格協会より発行されています。



<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には、以下のように書かれています。


基礎から実践までを

やさしくガイド!


本書は、6章から構成されています。


各章の終わりに「その章のまとめ」があり、箇条書きでその章のエッセンスがまとめられてあります。


また章の途中には、『Case Study』として、「MT法を応用した自動車用部品の外観検査」といった事例解説のコラムが挿入されており、参考になります。


またまた章の終わりなどに『MTシステムをさらに詳しく知りたい方のためのコラム』として、「パターン認識精度のSN比 算出手順」といった初中級者クラス向けに次のMTシステムのレベルに向けての足がかりとなるテーマが取り上げられ解説されています。


またデータ処理に関する具体的な手順と計算式については、本文と切り離して各章の終わりの部分にまとめて掲載されています。


また全体的にイラストなどの図表が多数挿入されていて、具体的な事例を交えての解説となっており、わかりやすい解説の流れとなっています。


章を追って簡単に概要を紹介します。


第1章では、「パターン認識の新技術 −MTシステム−
と題して、多くの情報を総合して一つの判断を導く「パターン認識」の技術としてのMTシステムの基本的な考え方から特徴などの概要を解説しています。


ここでは、MTシステム(以降、MTSと略記)の「単位空間」を設定して、基準点からの離れ具合を調べ、基準パターンと似ている程度を定量的に算出するという基本的な方法、さらに、MTSで取り扱うパターン認識は、以下の4つの種類に大別されることなど説いています。


  • 「判別のためのMTS」
  • 「推定のためのMTS」
  • 「予測のためのMTS」
  • 「診断のためのMTS」

MTSの急速な最近の進捗を交えて様々なMTSMT法、MTS法、旧MTA法、新MTA法、TS法、T法(1)、T法(2)、RT法:詳細は別の章で解説)の発展の経過を総括して紹介しています。


第2章では、「MTシステムの原点 −MT法ー
と題して、MTSの原点となっている「判別」「診断」に向いた解法のMT法についてその考え方、特徴、データ処理の手順など詳解しています。


MT法による判別の閾値の決め方について、「損失関数を用いて判別を誤ることによって発生する損失が最小となるように閾値を決める」といった解説をはじめ、単位空間の定義に逆行列を利用しているために生じる数学的な制約について、MT法の利用上の要注意点であると説いています。


またMT法の特徴項目を減らすことなくMT法が含んでいる数学上の制約を回避するために開発された解法のマルチMT法についてもデータ処理手順等について解説しています。


第3章では、「MT法による状態診断
と題して、MT法を用いての状態診断方法について、診断問題とは何かといったことからその考え方、データ処理手順等を解説しています。


状態の診断とは、判別によって正常ではないと判断された際に、その異常の種類を特定したり、異常となった原因を絞り込んだりするための状態情報を得て、これを判断材料にして、次のアクション(再発防止や修復)を決めるための方法で、


考え方としては、「異常サンプルのマハラノビス距離への寄与を大きくしている原因がどの特徴項目にあるかを調べる」という「項目診断」と呼ばれている方法といった事項を解説しています。


第4章では、「MT法の進化形 −MTA法−
と題して、MT法の特徴を生かしながら(多重共線性が一つでも発生すると計算不能になるという)数学上の制約を解消すべく開発され、信号の概念が導入され活用範囲が一段と拡大したMTA法(Mahalanobis-Taguchi-Adjoint)について、MT法からの進化した2つのポイントの「余因子行列の利用」(旧MTA法)と「信号の導入」(新MTA法、単位空間に加え、信号水準の定義も必要。これは総合判断の精度に大きく影響を及ぼす)による2段階進化の詳細、さらには、データ処理手順等を詳解しています。


余因子行列の利用」と「信号の導入」による新MTA法への進化によって計測技術としての位置づけがはっきりとしたとし、同時に判断の結果は、マハラノビスの距離としてではなく、「総合推定値」という計測値として得られる等を解説しています。


第5章では、「方向判定のできるMTシステム −TS法,T法−
と題して「良すぎて異常」なのか「悪すぎて異常」なのかといった正負の方向判定ができるMTSとして開発されたMTS法TS法T法T法(1)T法(2)RT法:ただし、T法(2)、RT法については、方向判定はできない)の方向判定技術について方向判定の考え方、メリット、各方法の特徴とデータ処理手順等を解説しています。


MTS法TS法シュミットの直交化法を利用)→T法究極の汎用性を誇る方法で、MTSとして優先的に活用することを推奨)の特徴と考え方を順次解説しています。


第6章では、「RT法で究極の判別技術を目指す
と題して、判別のためのパターン認識の解法でデータ処理が簡単で速く、数学上の制約を受けにくいので特に「文字認識」や「音声認識」などの数多くのパターンのどこに分類されるかを素早く大量に判断する必要がある認識対象に適している(T法の考え方をベースとしている)RT法(Recognition Taguchi)を取り上げ、その考え方、特徴、データ処理手順等を解説しています。


パターン認識がうまくいったかどうかの判定について、SN比によって定量的に判断でき、SN比が大きいほどパターン認識の精度が高いことになる等について詳解しています。


<<品質工学の関連書籍>>


「ISOの本棚」のブログですでに紹介した以下のような『タグチメソッド品質工学』に関する本がありますのでご参照下さい。



<<本書で何が学べるか?>>


本書では、個人認証や音声認識から人の意思決定、さらには経済動向や天災発生の予測までを対象としたパターン認識技術のMTシステムについて初心者~初中級者向けにその基本的事項、考え方、特徴、データ処理の手順等を最新のMTシステムであるT法までを対象に取り上げ、丁寧にわかりやすく解説しています。


また具体的なMTシステムの有効活用の観点から、実際の活用事例や、初中級者に向けたコラムを多数掲載してあって実践的な内容となっています


<<まとめ>>


本書は、MTシステムに関心があって活用してみたいと考えている人には、お薦めの一冊です。


なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 パターン認識の新技術 −MTシステム−
1.1 MTシステムでできること
1.2 パターン認識について考える
1.3 MTシステムの特徴
1.4 判別分析法とはどこが違うの?
1.5 単位空間はどうやって決める?
1.6 MTシステムで取り扱う四つのパターン認識
1.7 様々なMTシステム
第2章 MTシステムの原点 −MT法ー
2.1 MT法の特徴
2.2 MT法のデータ処理手順
2.3 判別の閾値の決め方
2.4 MT法には制約が多い
2.5 マルチMT法で制約を乗り越える
2.6 マルチMT法のデータ処理手順
第3章 MT法による状態診断
3.1 診断問題とは何か
3.2 MT法による診断の考え方
3.3 MT法による「項目診断」のデータ処理手順
3.4 診断システムの完成度について
第4章 MT法の進化形 −MTA法−
4.1 2段階で進化したMTA法
4.2 進化の第1段階−余因子行列の利用
4.3 進化の第2段階−信号の導入
4.4 MTA法のデータ処理手順
4.5 MTA法がMTシステムを変えた
第5章 方向判定のできるMTシステム −TS法,T法−
5.1 パターン認識と方向判定
5.2 MTS法の特徴
5.3 TS法の特徴
5.4 TS法のデータ処理手順
5.5 究極の汎用性を誇るT法
5.6 T法(1)のデータ処理手順
第6章 RT法で究極の判別技術を目指す
6.1 RT法の特徴
6.2 RT法のデータ処理手順
6.3 RT法に関する田口氏の提案
6.4 どのMTシステムを使えばよいのか
6.5 パターン認識の精度を評価する
6.6 進化し続けるMTシステム







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