オフライン品質工学は、市場における品質問題について設計段階で製造の現場を離れて行う研究活動を対象にしており、さまざまな使用条件に耐え得る設計といった点を重視した品質工学のアプローチになります。


これに対してオンライン品質工学は、以下のような原因による製品品質の悪化予防の活動を対象に製造部門が日常の生産の中で行う管理活動のばらつきに対して、品質の確保だけでなく、消費者が被る損失や製造者が負担するコストとのバランスの上で品質を追求するという工程の管理方法を提供する品質工学のアプローチになります


  1. 工程の状態が悪化する
  2. 装置や機械が故障する
  3. 原材料がばらつく
  4. 作業ミス

本日は、このオンライン品質工学について、品質工学の第一人者の田口 玄一 博士が解説している本を紹介します


<<ポイント>>


オンライン品質工学の要を、品質工学の第一人者が理論と事例でわかりやすく解説している本


本書では、損失関数の考え方と許容差の決め方といった基本事項にはじまり、


工程を健全な状態で管理するための


  • フィードバック制御と工程水準の維持、
  • 陰故障の管理、
  • 多工程の連結設計、
  • 陽故障・潜在陽故障の予防、

ばらつきのある原材料でも原材料の特性に見合った製造条件にコントロールしてばらつきのない製品特性を管理する適応制御フィードフォワード制御)、


さらには、無検査出荷か全数検査出荷の選択基準を考察し製品検査の考え方を説いています。


オンライン品質工学に欠かせない基本的な内容から実際の適用での諸問題まで事例を交えて解説しています


本書:「ベーシック オンライン品質工学」です。


本書は、著者:田口 玄一博士と横山 巽子 博士との共著にて、2009年9月に日本規格協会より発行されています。



<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には、以下のように書かれています。


オンライン品質工学の要を理論と実例でわかりやすく解説


本書は、12章から構成されています。


各章の終わりには、その章の理解のための演習問題が付与され、また章の内容を補完する『注』で計算などに関する詳細で補足的な解説が掲載されています。


以下に章を追って概要を紹介します。


第1章では、「許容差と品質水準
と題して、製品の合否判定にも関わる許容差について品質工学の立場からみて合理的な許容差とは何か?またそれをどのように求めるかを取り上げ、品質工学の基本となる損失関数の考え方と合理的な許容差の決定の考え方など解説しています。


基準値許容差との位置づけに始まり、目標値からのずれによる損失はどのようなものになるか、電源回路の出力に対する許容差の算出など交えて損失関数に基づく許容差の算出手順、さらには、下位特性(原因特性)の許容差/特性値のばらつきによる損失、特性値の分布型と損失関数、特性値の種類と損失関数といった事項を取り上げ解説しています。


第2章では、「フィードバック制御による工程水準の維持
と題して、生産される品物の特性を一定の間隔nで計測し、ある臨海値Dを超えたら工程の悪化と判断し調整してもとの状態に戻すとの考えに基づく、フィードバック制御による工程水準の維持の考え方と方法を解説しています。


工程の悪化は以下の3つの原因で生じるとして1.2.の場合は、診断や調整により工程状態を管理できると説いています。とくに1は予防的な手段が望ましいとし、2のケースを対象にフィードバック制御を解説しています。


  1. 生産を継続していく中で、摩耗などが原因で徐々に悪化する場合。悪化状態は時間に比例する。
  2. 種々の原因が累積して時間と共に悪化するが、悪化の程度は時間の平方根に比例する場合。(工程の悪化の程度の2乗が生産量に比例する)
  3. 計測の誤差や電源のばらつきなど生産量とは無関係に突発的に起こる。

2のケースを対象に最適化のための「フィードバック制御の理論式の解説」や「損失Lを最小にする計測間隔nや調整限界Dの求め方の解説」などをはじめ、「悪化量が生産量(時間)に依存しない場合への適用の可否」までを解説しています。


第3章では、「品質特性によるフィードバック制御
と題して、フィードバック制御について実際の工程を対象にした適用の仕方について事例を交えて工程の管理手法を解説しています。


工程状態の推移→パラメータの見積り→計測システムの検討→計測システムの確認→計測誤差の影響まで評価する方法を解説しています。


さらに蒸着工程などの一度に多数の加工や処理をするバッチタイプにおいてのフィードバック制御の管理方法も解説しています。


第4章では、「化学工程におけるフィードバック制御
と題して、原料を投入し自動調整で最終工程まで進む化学工程を対象としたフィードバック制御について解説しています。


蒸留工程の例をあげて、目的成分の濃度を目標値に管理するフィードバック制御の方法の解説しています。


また最適計測システムにより損失を更に改善する重要性、工程条件によるフィードバック制御工程能力指数と総合損失、さらに不純物を望小特性で管理する方法も解説しています。


第5章では、「計測誤差のフィードバック制御
と題して、計測器についても誤差が時間の平方根に比例するということを前提としたフィードバック制御が適用できるとの観点から損失誤差も含めた損失の式を用いての計測誤差フィードバック制御について解説しています。


計測器の校正システム、モールド金属温度のフィードバック制御と温度計測の誤差、さらには、計測器の社外校正と社内校正について解説し、とくに計測特性が物理量ではなくて2乗の次元を持つ特性の光パワーメーター(dBm)を単位とした計測特性を得たい場合の留意点等も解説しています。


第6章では、「陰故障の診断と調節
と題して、陰故障の管理について取り扱っています。


故障状態で工程が止まらずに不良品を作り続けるのを陰故障というがこの場合には早急に工程を止め元の状態に戻さないと不良品が増大しその損失が大きくなるということになります。


陰故障を早く見つけるにはチェックを頻繁に行うことになりますがコストとの兼ね合いになります。


陰故障がある工程での診断間隔を変更することで管理コストと不合格品の損失の和を最小にする最適化の方法について解説しています。


また陰故障についての「診断調節の損失関数と最適診断間隔」、「パラメータの見積り」、「簡単な例」、「自動機の採否」、「フィードバック制御との比較」といった事項を解説しています。


第7章では、「陰故障のシステム要素による改善
と題して、前章での診断間隔を変更による陰故障の改善に加えて、陰故障のシステム要素である『平均故障間隔の改善』と『診断方法の変更』、『調整方法による対策』の各要素の陰故障の損失改善の方法について解説しています。


第8章では、「多工程の連結設計
と題して、多工程よりなり、在庫もスペースもない工程の集まりの連結設計の最適化について解説しています。


このような工程では、一つの工程が陰故障し、その工程を回復させるために調節を実施すればその間は、全工程が停止するので、工程連結において考慮すべき事項を解説しています。


「工程停止と加工時間」、「最適診断間隔と損失」、「多工程の工程設計の方法」、「定期交換を伴う場合」、「トランスファー加工工程への応用」、「最適案検討の工夫」といった事項を解説しています。


第9章では、「陽故障の予防
と題して、故障すると工程が停止したり、事故につながるようなタイプの陽故障を取り上げ予防を怠ると実際に故障や事故が発生するとの観点から予防コストトラブルによる損失の和を小さくする予防の仕方について解説しています。


予防の種類を以下の3種類に分類し、それぞれの損失の最小化の方法を解説しています。


  • 定期保全(交換)
  • 定期点検(定期診断)
  • 定期保全と定期診断の併用

さらにこれらの予防の3方式について機能部品について最適化を比較した事例も「故障原因と保全対象」として評価しています。


第10章では、「潜在陽故障の予防(安全装置の管理)
と題して、直接その故障が必ずしも事故になるわけではないが、直接原因の発生と重なったときに事故となる潜在陽故障の予防について前章と同様の考え方(定期保全(交換)、定期点検(定期診断)、定期保全と定期診断の併用)に直接原因の発生率を考慮した方法で、定期保全等のコストとトラブルによる故障による損失の最小化の方法を解説しています。


陽故障が起きた時に大きな事故にならないように安全装置安全対策が取られるが、この安全装置が壊れている時に事故原因が発生するという安全装置の故障が実際の故障につながるのは事故原因が起きた時でこの故障が潜在陽故障になります


第11章では、「適応制御(フィードフォワード制御)
と題して、工程のばらつきによる製造上のばらつきに対して、工程は正常でありながら原材料のバッチ側のばらつきにより標準的な工程条件や製造条件のままでは製品特性が目標値からずれることに対して、バッチの諸特性が標準値から離れていたら、標準値からのずれの影響を相殺するように工程条件を変更するといった適応制御フィードフォワード制御)の方法を解説しています。


製品機能が次のような原因で本来あるべき機能から外れます。


  1. 内乱:使用部品の初期のばらつき、劣化などによる設計値からのずれ
  2. 外乱:使用条件、環境条件
  3. 製造上のばらつき:工程のばらつき

上記の1.2.に対処するのがオンライン品質工学パラメータ設計で、3.を取り扱うのが本章の適応制御(フィードフォワード制御)


「選択嵌合」、「適応制御概要」、「目的特性が一つの場合」、「目的特性が複数の場合」といった構成となっています。


第12章では、「検査の価値と検査設計
と題して、製品検査について考察しています。


検査の目的、検査の経済的価値、臨界不良率の全貌、臨界不良率と損失、自動検査機とその経済性、MT法の出荷検査への応用といった内容になります。


なお臨界不良率は、不合格品が含まれるロットをそのまま出荷した時の損失が、不合格率を検査で見つけだし、その処置を行うときの損失が等しくなる不良率のこと


製品検査で合格率が高くなれば検査の経済的価値が薄くなり、不合格品がわずかであるなら出荷先における不合格品に対しては補償することを前提とした無検査出荷も選択肢として、無検査出荷か全数検査出荷かの選択基準を臨界不良率におくという観点も提示しています。


<<品質工学の関連書籍>>


「ISOの本棚」のブログですでに紹介した以下のような『タグチメソッド品質工学』に関する本がありますのでご参照下さい。



<<本書で何が学べるか?>>


本書は、品質の確保だけでなく、消費者が被る損失や製造者が負担するコストとのバランスの上で品質を追求する製造工程の管理方法であるオンライン品質工学について、品質工学の第一人者が多数の貴重な現場の事例を交えて解説しています


品質工学で欠かせない基礎的な理論から実際の適用での実務的な諸問題までを、許容差と品質水準損失関数陰故障の診断と調節多工程の連結設計適応制御(フィードフォワード制御)などについて総括的に解説しています


<<まとめ>>


本書は、これからオンライン品質工学を学ぶ方のテキストとして最適の良書です。


なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 許容差と品質水準
第2章 フィードバック制御による工程水準の維持
第3章 品質特性によるフィードバック制御
第4章 化学工程におけるフィードバック制御
第5章 計測誤差のフィードバック制御
第6章 陰故障の診断と調節
第7章 陰故障のシステム要素による改善
第8章 多工程の連結設計
第9章 陽故障の予防
第10章 潜在陽故障の予防(安全装置の管理)
第11章 適応制御(フィードフォワード制御)
第12章 検査の価値と検査設計






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