ISO9001の審査員やTQMのコンサルタントなどの品質管理の実務者の著者らがコンサルや審査の場を通じて、中小企業の方々が直面しているISO9001に関する悩みや疑問に対してQ&A形式で現場の困りごとに対する解決のヒントを提示し解説している本を紹介します。


本書の「はじめに」で著者は、「ISO9001の認証を取得している企業について、地道にPDCAを回して着実に成果を上げている企業がある一方、経営者は、品質マネジメントシステム(QMS)の必要性を認識しているものの、活動が空回りして、具体的な成果が実感できていない企業がたくさんある。そんななかで活動はやがて形骸化してしまう。」とした上で、筆者らが考察した結論、また本書を企画した動機、そして本書の特徴について以下のように述べています。


「なぜ、ISO9001に基づくQMSが有効に機能しないのか、われわれの中で連関図を作りながら議論しました。その結果、責任の半分は、現行の認証制度の中で形式的な審査をする審査員の側にありますが、残りの半分は、企業側が「ちょっとした活用の術」を知らないことに起因しているのではないか、という結論に至りました。

そこで、コンサルや審査の場を通じて、実際に中小企業の方々が直面している悩み、疑問を集めてみようということになりました。そして、約1年間、100件近い現場の声”どうすればいいんだ”(困り毎)が集まりました。それに対して、われわれで議論して”こうすればいいんだ”(解決のヒント)を加えてできたのが本書です。

したがって本書は、既存の品質管理の書籍やISO9001の解説書のように体系化した内容にはなっていません。内容の粗密もあります。しかし、差し迫った疑問や悩みに直接応える仕事のやり方やヒント、そしてすぐ使える帳票の様式や参考事例を盛り込むことに注力しました

 本書は、始めから通して読んでもらうことを意図していません。今抱えている疑問や、困ったことに関連するところを拾い読みしてもらえばよいと思っています。」


<<ポイント>>


ISO9001について中小企業が直面している悩み、疑問に対する解決のヒントをQ&A形式で解説している本


方針管理プロセスを中心としたPDCAサイクルによる継続的改善の取り組みから


顧客満足度、人材育成、5S活動などのQMSの基本的事項、


設計開発/購買/製造・サービス/検査・試験/不適合・クレーム対応、


QCストーリーよる問題解決に手順までの52のQ&Aについて


具体例を交えて分かり易く解説しています。


本書:「ISO9001 現場の困りごと解決事例集」です。


Q&A」との副題が付いています。


本書は、著者:小柳津 正彦氏、 篭橋 正則氏、 春日 修氏、 細田 章氏、 笹原 時博氏、 上杉 和久氏、 門間 清秀 の共著にて、2009年10月に日科技連出版社より発行されています。



<<本書のエッセンスの一部>>


本書は、8つの章から構成され、52件のQ&Aが取り上げられています。


またQ&Aとは別に資料編では、Q&Aを補完するような観点からの以下の資料1から資料3が掲載されています。


資料1では、「現状の把握の道具
と題して、「推移図」、「管理図」、「チェックシート」、「パレート図」、「ヒストグラム」を取り上げ、解決すべき問題を把握するためのツールとして、それぞれどのようなものかを例も含めて解説してます。


資料2では、「原因の追求の道具
と題して、「特性要因図」(魚の骨)、「連関図」、「FTA故障の木解析)」の原因の候補をもれなく抽出するためのツールとしてそれぞれどのようなものかを例も含めて解説してます。


資料3では、「対策の検討と実施の道具
と題して、「系統図」と対策評価表を例を交えてどのように用いるのかを解説しています。


また途中の随所に[コラム]欄が設けてあり、ISO9001等に関係しての色々のエピソードを親しみ深く取り上げています。


各章のQ&Aによる解説は、


最初にQ&Aの「タイトル


『Q』については、


次いで枠囲みで[現場の困りごと]として現場の疑問や問題点などの「困りごと」について数行で解説しています。


さらに【ここが知りたい?】としてQのポイントを要約して取り上げています。


『A』については、


最初に【改善のヒント】として、「困りごと」をどのようにしたら解消できるかの「解決のヒント」を箇条書きで要約してあります。


次いで3から数ページ程度にわたり、解決のための考え方から業務の進め方、具体的な活動といった解説が多数の帳票の様式や参考事例を交えて分かり易く解説されるとの構成になっています。


それでは章を追って概要を紹介します。


第1章では、「PDCA
と題して、方針管理プロセスにまつわる方針に沿った目標立案から、具体活動計画への展開し、進捗状況を監視・測定しながら、内部監査やマネジメントレビューで総括し、継続的改善に結びつけていくための工夫といった以下のような8件のQ&Aを取り上げ解説しています。

  • 『Q&A1. PDCAだけでなくC→APD、D→CAPでサイクルを回す』
  • 『Q&A2. 品質方針、品質目標を明確にして、全社活動のベクトルを合わせる』
  • 『Q&A3. 現場の”悪さ加減”と”上司の方針”を品質目標に反映する』
    (略)
  • 『Q&A7. マネジメントレビューではシステムに対する改善の方向付けをする』
  • 『Q&A8. PDCAの”CとA"に注目して、継続的改善を目指す』


第2章では、「QMSの枠組み
と題して、QMSの基本的要素の「顧客満足度・従業員満足度」、「人材育成」、「5S活動」、「文書体系と標準書」といった内容についての以下のような7件のQ&Aを取り上げ解説しています。

  • 『Q&A9. 経営者の意志決定には、「顧客満足」の姿勢を強く打ち出す』
  • 『Q&A10. 簡単なアンケートで、顧客満足度の情報を入手し改善に反映する』
  • 『Q&A11. 重度の重点課題に直結した「社員教育・訓練計画表」を策定する』
    (略)
  • 『Q&A14. 失敗・クレームの事例を技術標準書にフィードバックし活用する』
  • 『Q&A15. マネジメントレビューを活用して文書体系と品質マニュアルを点検する』

第3章では、「設計開発
と題して、ISO9001規格の7.3項「設計・開発」のプロセスに関係した以下のような5件のQ&Aを取り上げ解説しています。


  • 『Q&A16. 設計・開発管理は画一的ではなく、内容に応じた柔軟な仕組みをつくる』
  • 『Q&A17. ISO9001規格の「7.3 設計・開発」の考え方は、製造部門でも活用できる』
  • 『Q&A18. 「お客様の使われ方」を設計のインプット、妥当性確認に適用する』
  • 『Q&A19. 試作段階で心配事を洗い出し、宿題を解決して生産に移行する』
  • 『Q&A20. 簡潔なFMEA(故障モード影響解析)で製品のリスクを低減する』

第4章では、「購買
と題して、ISO9001規格の7.4項「購買」プロセスに関係した以下のような4件のQ&Aを取り上げ解説しています。


  • 『Q&A21. 購買品、購買先を層別し、それぞれに適した購買管理が求められる』
  • 『Q&A22. 購買先に「購買先評価表」の評価情報を提供し改善を促す』
  • 『Q&A23. 協力工場からの納品遅れの問題は、発注側も協力して改善する』
  • 『Q&A24. 製造委託に際しては、契約文書として「品質管理協定書」を結ぶ』

第5章では、「製造・サービス
と題して、ISO9001規格の7.5項「製造・サービス提供の管理」プロセスに関係した以下のような11件のQ&Aを取り上げ解説しています。


  • 『Q&A25. グラフには上下管理限界を入れ「管理図」にして工程管理に従う』
  • 『Q&A26. 4Mの”変化点管理ボード”を活用し、不具合の未然防止に役立てる』
  • 『Q&A27. 管理指標は「定義」と「計算式」を明確にして情報を共有化する』
    (略)
  • 『Q&A34. リードタイムの短縮には、製造部門だけでなく全社の協力が必要だ』
  • 『Q&A35. トレーサビリティは、仕事のしかたの改善のきっかけに役立つ』

第6章では、「検査・試験
と題して、ISO9001規格の7.6項「監視機器及び測定機器の管理」及び8.2.4項「製品の監視・測定」プロセスに関係した以下のような6件のQ&Aを取り上げ解説しています。


  • 『Q&A36. ”悪いものを出さない、悪いものを作らせない”検査体制を築く』
  • 『Q&A37. 抜取検査結果にもとづいて、ロットに対する処置基準を明確に決める』
  • 『Q&A38. 検査基準は、適宜「お客様の期待」を反映して見直しをする』
    (略)
  • 『Q&A40. 外注委託の場合でも、計測機器の管理状況の確認は必要である』
  • 『Q&A41. 「計測機器は必ず専門業者による校正が必要」という誤解を解く』

第7章では、「不適合・クレーム対応
と題して、ISO9001規格の8.3項「不適合製品の管理」に対応するが、問題解決の進め方に焦点を当てて、以下のような5件のQ&Aを取り上げ解説しています。


  • 『Q&A42. ヒューマンエラーの原因を”作業標準”の視点から分析する』
  • 『Q&A43. 簡潔な「不適合報告書」の様式で、現場から報告を出しやすくする』
  • 『Q&A44. ”不適合らしい製品”は定期的に再評価し、白黒をつける』
  • 『Q&A45. クレームに迅速・確実に対応する「クレーム処理連絡書」の工夫』
  • 『Q&A46. クレーム対応の進捗管理と対策・処置の最終確認を確実に実施する』

第8章では、「問題解決」
と題して8.5.2項「是正処置」、8.5.3「予防処置」に関係して、特に、「QCストーリーによる問題解決の手順」について以下の6つのQ&Aにより解説しています。


  • 『Q&A47. 【手順1 問題の特定】』
  • 『Q&A48. 【手順2 目標・実行計画の設定と現状の把握】』
  • 『Q&A49. 【手順3 原因の追及】』
  • 『Q&A50. 【手順4 対策の検討と実施】』
  • 『Q&A51. 【手順5 効果の確認】』
  • 『Q&A52. 【手順6 標準化と管理の定着】』

<<本書で何が学べるか?>>


本書では、ISO9001に関わる審査員やコンサルタントの立場の筆者らが、ISO9001の認証を取得した中小企業の抱える課題や疑問についてQ&A形式で分かり易く解説しています。


ISO9001の主要な各プロセスの運用のポイントや改善のためのヒントなどすぐ使える帳票の様式や参考事例も盛り込み実務的に解説してあるのでそのまま活用することもできます


<<まとめ>>


ISO9001の認証を取得されている中小企業の関係者には、本書は、QMSの改善のヒントを得るためにお薦めしたい一冊です


なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 PDCA
第2章 QMSの枠組み
第3章 設計開発
第4章 購買
第5章 製造・サービス
第6章 検査・試験
第7章 不適合・クレーム対応
第8章 問題解決
資料編
資料1 現状の把握の道具
資料2 原因の追求の道具
資料3 対策の検討と実施の道具


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