技術開発での各種シミュレーションの活用は、うまく使うと開発期間の短縮化など開発効率の向上が見込めます。


シミュレーション技術により電磁波分布、熱伝達、空気流といった見えない世界を可視化して説得力あるデータを得ることができます。


私も昔、大型コンピュータでNASTRANという有限要素法の汎用ソフトを計算センターの人の支援を受けて活用したことがあります。


結果は、コンピュータの高額の使用料に対して見合った成果には至りませんでした。


3D-CADと組み合わせて結果をまとめると実に素晴らしそうな結果が得られます。


本日紹介する本の筆者は、技術のブラックボックス化と呼んでそれが技術力の低下をもたらすと懸念していますが、ブラックボックス化というのは本来、進化の過程の段階の展開で悪いことではないように思います。


ただし、シミュレーション技術に限らず、その技術が標準化され、バカちょん式に誰がやっても間違いのないところに行き着ける場合にはということですが。


技術開発のツールの部分においては、何も考えることなく機械的なルーチンワークとして評価等ができるというのが開発の理想的な世界でもあります。


しかし現状では、シミュレーションはそこまで進化しておらず、厳密な意味での物理定数や境界条件などのデータが揃わなかったり技術的な知見を十分に備えてシミュレーションを行わないと大きな誤りを招いてしまったり、意味のないデータを作ってしまう懸念があります。


現場・現物での泥臭い実証確認を伴わないとシミュレーションは、只の机上の空論の世界となってしまいます。


バカと鋏は、…とかいいますが、シミュレーション技術は、正に使い方次第です。


シミュレーションを援用した業務スタイルでは技術のブラックボックス化を招き、このままでは開発スピードは向上しても技術力低下を招きかねないという問題が生じていると危惧し、SQC統計的品質管理)とうまく融合させてこのような問題を解決するというテーマでシミュレーションSQCとの関わり方を論じている本を紹介します


<<ポイント>>


シミュレーションSQCとを有効に融合しての技術的に見通しよくシミュレーションを活用する方法を説いている本


本書では、


これまでのシミュレーション技術を概観し展望すると共に、


シミュレーション適用におけるブラックボックス化の問題点を指摘し、


シミュレーションとSQCの併用の効果・課題を考察し、


シミュレーションによる合わせ込み、応答曲面法、最適化などの


事例を交えてシミュレーションとSQCとの融合化による


技術問題の解決を図る方法論(考え方・手順等)を解説しています。


本書:「シミュレーションとSQC」です。


場当たり的シミュレーションからの脱却」との副題が付いています。


本書は、吉野 睦氏と仁科 健氏との共著、ならびに(財)日本品質管理学会の監修にて、2009年11月に日本規格協会よりJSQC選書の一冊として発行されています。



<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には、以下のように書かれています。


SQC(統計的品質管理)

技術的に納得できる

シミュレーション適用手順


本書は、9章から構成されています。


多数の写真、グラフなど図表が挿入され初心者向きとは言えませんが、分かり易い解説の構成となっています。


本書のまえがきにも書かれていますが、本書の対象として想定している読者は、以下のような方々とのことです。


  • 一通りのSQC手法を既に学びシミュレーションに適用してみたが芳しい結果が得られていないという技術者。
  • 企業でSQCの推進を担当し、シミュレーションに適用したいとの相談に対してどのように指導すればよいか思案している人。

本書では、「シミュレーションとは」として「現物を用いずに結果を図る手法」との話題からはじまり、シミュレーションの目的、種類(とくに有限要素法(FEM)の業務の流れなど解説)、製造業(自動車関連企業)での適用分野などを解説し、シミュレーションの歴史と現状、大規模シミュレーションの不確実性の課題、シミュレーションのためのソフトのソルバー、最適化エンジン等の進歩などを展望しています。


またソルバーを用いた構造解析のステップなどの例をもとにシミュレーション適用の課題を精度、下流再現性、近似手法の問題を考察し、また外乱や設計パラメータの変動に対する特性値のロバストネスの確保を意図するロバスト最適化の問題点を考察し、本書で取り上げる問題点(ブラックボックス化下流再現性SQC手法の従来パラダイムの使用)を整理しています。


そして、シミュレーションSQCとの併用のメリットとデメリット(フィッシャーの3原則が通用しない、実験順序がランダムでなくとも良い、繰返し誤差がない、収束効率最優先)を考察し、メカニズムの解明とばらつき退治における留意点を説いています。


また実機における実験結果とシミュレーションの結果を一致させる合わせ込み」についてどのようにして行うかの方法・手順等について解説しています。


そして「応答曲面法」(設計パラメータと特性値の関係を応答関数によりモデル化した効率的な最適地探索法)について、その普及と課題、メリット、応答曲面法の概要、単峰仮定、実験計画法と重回帰分析を併用するときの留意ポイント、中心複合計画、ボックス−ベンケン計画、コンピュータ支援計画など解説し、要因効果モデルの違いを考察しています。


また「最適化」について片持ち梁での形状の最適化の事例を通して最適化探索の進め方、ステップの解説にはじまり、目的関数が複数となる多目的最適化、制約条件を含む場合の最適化、最適化の留意点といった点にも触れています。


第7章から第9章までは、事例解説になります。


また「合わせ込み」については、超音波Alワイヤボンディングにおけるループ共振のワイヤ破損についての解析の事例での2段階合わせ込み方法を適用した事例を取り上げ、合わせ込み因子及び検証因子の選定と水準の設定から合わせ込みの結果までの取り組みをを解説しています。


そして、「最適化」については、RCカー(ラジコンの自動車模型)の設計パラメータの最適化を行った事例について設計パラメータのスクリーニングからロバスト最適化までの取り組みを解説しています。


さらに下流再現性に関わる「適合」については、RCカーの設計シミュレーションでの下流での適合化を行った事例を取り上げ、適合のモデルについての従来の適合との比較から問題を解決し結論に至るまでの取り組みを解説しています。


<<本書で何が学べるか?>>


本書では、折角のシミュレーションを活用しても場当たり的シミュレーションとなってしまい、技術のブラックボックス化を招くとの危機感が出発点にあります。


そのような場合に開発スピードは、見かけ上で向上しても技術力低下を招きかねないという問題が生じているとして、SQC(統計的品質管理)との融合化が解決の切り口になると説いています


SQC のもつモデル化の機能や直交分解の方法の活用を通して、シミュレーションの技術問題の解決が開けるとし、シミュレーションSQCの融合による「最適化」、「応答曲面法」の理論面の解説から、とくに「合わせ込み」、「最適化」、「適合」などについては、事例を交えて解説しています


<<まとめ>>


シミュレーションSQCとの融合化に関心がある方は、本書を是非、読んでみて下さい


なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 シミュレーションとは
第2章 シミュレーション適用における課題
第3章 シミュレーションとSQC―併用のメリット・デメリット
第4章 シミュレーションの合わせ込み
第5章 モデル化法―応答曲面法
第6章 シミュレーションを用いた最適化
第7章 合わせ込みの事例―ワイヤボンディングの共振問題への適用
第8章 最適化(ロバスト最適化)の事例―RCカーの設計パラメータの最適化
第9章 適合の事例


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