技術者の意地」というタイトルは、本書の物語の中心となる技術者・矢吹真一郎(架空の人物)が「なぜ品質工学(物語のなかでは十文字メソッドと呼ばれている)を始めるに至ったかという動機」を問われた際に思わず直感的につぶやいた言葉になります。

技術にも品質がある』(「ISOの本棚」でも紹介)の著者:長谷部 光雄氏が、“品質工学”の考え方と方法論を架空の中堅企業を舞台に小説仕立てで説いている本を紹介します。

品質工学(タグチメソッド)の誤差因子に強い技術や製品を開発するための最適化手法で、SN比と感度を指標にしてシステムの設計定数を決める方法の『パラメータ設計(ロバスト設計)』の手法等を中心に未然防止を中心にした品質の作り込みのための手法として説いています。

先の技術者・矢吹真一郎(架空)は、湿度センサなどの装置を開発し製造・販売している会社で湿度センサ技術の社内の第一人者の人物。

湿度センサをめぐるこの主人公の矢吹真一郎の悩みと行動を軸に十文字メソッド(十文字博士がこの手法のアドバイザーとして登場しています)と名付けた方法を活用して課題解決するストーリーを通じて品質工学の考え方を解説しています。

小説を読み進める中で品質工学の考え方が学べるという構成になっています。

また本書の途中には、筆者による例えば、「SN比」、「二段階設計」などの基礎概念の解説文も挿入されており本書のストーリーを補完・レビューするという構成になっています。

<<ポイント>>

技術者の悩みと行動を軸にしたストーリー仕立てで品質工学タグチメソッドの考え方と方法論を説く本。

本書では、

架空の中堅企業を舞台にして

技術者たちが湿度センサをめぐる

品質問題を解決するため十文字メソッド

品質工学:タグチメソッド

に取り組むとの展開を通して

品質工学の考え方・手法を解説しています。

また小説のなかの会話と解説を通して筆者の技術開発哲学

も語られています。

本書:「技術者の意地」です。

読むだけでわかる品質工学」との副題が付いています。

本書は、著者:長谷部 光雄氏にて、2010年3月に日本規格協会より発行されています。

本書は、日本規格協会の月刊誌『標準化と品質管理』に連載され好評を博した『読むだけでわかる品質工学』が単行本化された一冊です。

<<本書のエッセンスの一部>>

本書の帯には、以下のように書かれています。

好評既刊『技術にも品質がある』の著者が、

技術者・矢吹慎一郎(架空)の悩みと行動を軸にして、

品質工学”の考え方と方法論を

小説仕立てで解き明かす


本書の『リコールとは見えない不良』と題した「まえがき」で

筆者は、リコールについて論じ、

リコールの未然防止が良いのは自明のことだが、問題の中味が複雑化し高度化しており従来の品質管理の手法では制御できなくなっている。

検査では見つけ出せないが市場で使われるうちに発生してくる不具合点に関わる「見えない不良」などにも対応できる品質を管理できるとの観点から矢吹慎一郎と共に読者も考えて欲しいとしています。

本書のストーリーは、「八方ふさがり」との矢吹慎一郎が湿度センサの市場の不具合情報が掲載されたレポートを見ている場面から始まります。

矢吹達の開発陣が長年苦労して見つけ出した製造の最適条件と思える条件で生産が進められているはずだが、市場トラブルが相次いでおり、そこに手を付けたいが、日常的な初期不良の対策に手一杯の状況で根本的な対策にはなかなか手が回らないという悩ましい状況。

そのような状況のなか、『十文字メソッド』を活用して製造条件を見直すとの流れが。

最初は、『十文字メソッド』に最初は、複雑な思いを持った矢吹だが、専門家の話を聞いたり勉強してみて自分が思考の惰性に陥っていたとのことに気付く。

十文字教授に指導を受けるなかでロバスト性SN比機能性評価手法などを学んでそれを湿度センサの評価手法に取り込んでとの展開。

36節の「エピローグ」まで

「二段階設計」について、

  1. パラメータ実験での制御因子(パラメータ)とその水準の選び方
  2. 製造工程の改善方法
  3. 基本は安定性(二段階設計の思想)

といった解説などを含めて、ストーリーの展開とレビューとなる解説を交えて設計・製造に関わる品質工学の考え方と方法論が分かり易く説かれていきます。

会話のやりとりのなかで品質工学に関わる筆者の開発哲学も説かれています。

以下に一端を紹介します。

「要するに設計の役割は、SN比を使って製品のロバスト性を高めることなんだ」

「そうです。現在の我が社の課題は、開発部門で技術のロバスト性を高めることと製造部門で品質管理の技術を確立することの二つなんです。」

「張は、不良が発生した際の損失金額と、不良を防止するために必要な経費を計算し、その二つの金額が一致するように管理するのが最良の工程条件であると説明した。」

「うーん、最近の経営方針は、効率化だけを追求している例が多いからな。我が社もそうだが、どの会社も判で押したようにスピード経営を謳っている。表面的な効率は改善されたかもしれないが、一人一人の心が貧しくなっているのかもしれないね。そして知らないうちに技術力も低下しているのだろうな」

「最適条件の決定よりももっと重要なことがあります。技術者にとって重要なのは、何が起きているかを理解することです。起きている現象を把握しコントロールできるならば、最適条件は容易に導き出せますから

「汎用技術とは、個別問題に対して汎用的な観点で機能を導き出して、その機能をシステムとして解析するやり方のように見える。

いままで自分たちは、あまりにも個別の技術だけに目を奪われていたようだ。矢吹は、個別問題を一度突き放して、技術の考え方や開発のやり方について考えてみることも必要だなと感じだした。」

「勝ち負けにこだわるのは、本当の技術者の意地じゃないですよ。本当に良いもの、世の中にないものを創り出すことにこだわるのが、技術者の意地ですよ。勝ち負けは外面的なこと、一時的なことですが、内面的なこと、自分で納得できるかどうかの方がはるかに重要です。」

などほんの一端を紹介しましたが、本書には、このような内容が満載されています。

本書の最後に「田口玄一博士の本当の言葉」についてエピソードなど交えて解説しています。

以下のように述べて結んでいます。

技術立国日本の将来を考えたとき、モノづくり技術を極めたその先に、創造性を基盤にした技術開発力の構築が重要と思える。

その構築のためには、タグチメソッドと呼ばれる品質工学の考え方が、非常に重要であると筆者は信じている。』


<<本書で何が学べるか?>>

本書では、物語の展開と重点内容をレビューしている解説を通して、“品質工学”の考え方と方法論についてどのようなものかを学ぶことができます。

<<まとめ>>

本書では、『パラメータ設計ロバスト設計)』等を中心とした品質工学タグチメソッド)の考え方や手法について架空の中堅企業を舞台に技術者たちが湿度センサにまつわる品質問題を解決していくとの物語仕立てのストーリーを通して分かり易く解説しています

品質工学についての知識の如何に関係なく、リコールの未然防止の考え方等に関心がある経営者・マネジャー・ビジネスパースンには、本書は、是非、読んで頂きたい一冊です

なお本書の目次は以下の内容です。
まえがき―リコールとは「見えない不良」
1. 八方ふさがり
2. 論争
3. 可能性
4. 動き出し
5. 見せかけの矛盾
6. 因数分解
7. 思いもよらない収穫
8. ロバスト性
9. SN比
10. 極端条件
11. 懸念項目
12. いじめられる子ども
13. 製造工程の改善
14. 改善のパラメータ
15. 基本は安定性
16. 要因実験
17. 設計の責任
18. 実験の意味
19. レビュー
20. 見えない不良
21. マネジャーの責任
22. 常識のウソ
23. 実験結果
24. 報 告
25. 製造技術の問題
26. 現場の観察
27. 結果の解釈
28. 偶然の必然
29. なぜなぜ分析
30. 免疫に学ぶ汎用技術
31. 生産の開始
32. Q研での発表
33. 目標管理
34. プロセス改善プログラム
35. 成果報告
36. エピローグ
[ 解 説 ]
現状把握
心理的惰性からの脱却
SN比
二段階設計
設計の責任
損失関数とマネジャーの役割
実験結果の見方
ばらつきの意味
フロントローディング
目標の達成と体質の改善
田口玄一博士の本当の言葉

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