品質は、人質との言葉があります。

すなわち、モノづくりの基本は、究極のところヒトづくりに帰すると言われます。

現下の職場に多数の課題が山積している環境下で、より高いモノづくり品質を目指すとなるとそれに携わる技術者が適切な力量と顧客視点のセンスをしっかりと磨くことが重要になります。

本日は、開発・設計における“Qの確保”をテーマとした書籍を紹介します。

日本品質管理学会中部支部産学連携研究会の編集による本書において、厳しい環境の中、モノづくり品質をつくり込むためにエンジニアがどのように仕事を進めたらよいかといった一つの指針を説いています

モノづくりの成果は、製開販に関わる実務担当者の思いと努力と粘りの結晶がもたらすものということになりますが、とりわけ原流側の立場にある開発・設計のエンジニアは、大きな位置づけを占めています。

とくに「お客様に安心して、いつまでも安全に使っていただける“良いモノづくり”を可能にするのは、モノづくりに携わる一人ひとりの技術者」次第とも言えます。

本書の「まえがき」で日本品質管理学会中部支部 支部長の木下潔氏は、本書について、


『モノづくりに携わる一人ひとりの技術者が、愚直に、地道に、徹底して品質にこだわりをもち続けることができるよう、研究会で検討を続けた”Qの確保”のための道筋をまとめました。

自らの仕事のプロセスを常に見える化し、潜在する問題にもスポットがあるようにして問題解決・未然防止につなげられる実践的な内容です。

この中で述べられている内容をモノづくりに携わる一人ひとりが実践できるかどうかが、次の時代への飛躍につなげるための鍵を握っているといっても過言ではありません』

と述べています。

<<ポイント>>

品質(Q)の確保”をテーマに、現在、モノづくりの現場が抱えている問題を現地・現物の視点から抽出し、具体的に解決していくための方法論・考え方・手順等を中心に“品質(Q)の確保のための指針として多数の事例解説を交えて説いている本

本書は、社団法人 日本品質管理学会中部支部 産学連携研究会(早稲田大学 永田靖教授を代表とした12名の執・編著者)で“品質(Q)の確保”をテーマに検討を重ねてきた内容で、

トヨタグループの取組みを基に、品質工学を効果的に活用するためのコツと社内に展開する上でのポイント等を分かり易く解説しています。

また設計の変更点やお客様の使用条件・環境条件の変化点に潜んでいる問題にいかに気づくか、一人ひとりの技術者が、これまで以上に感度を上げていくために、モノづくり品質をつくり込むためにエンジニアがどのように仕事を進めていけばよいのかの道標となる内容にまとめられています。

本書:「開発・設計における“Qの確保”」です。

より高いモノづくり品質をめざして」との副題が付いています。

本書は、日本品質管理学会中部支部 産学連携研究会の編集にて、2010年5月に日本規格協会より発行されています。

<<本書のエッセンスの一部>>

本書の帯には、以下のように書かれています。

高い品質で新たな時代を切り開く!

品質確保のための新しい実践的手法の提案


本書は、10章から構成されています。

トヨタ自動車(株)の豊田章一郎名誉会長の自動車技術会60周年講演での日本の自動車産業の今日までの発展要因について「現場現物」、「品質は工程でつくり込む」、「価格はお客様が決める」、「モノづくりはヒトつくり」という4つの努力があった結果とのお話から、トヨタのモノづくり基盤を築いて来た人たちの品質に対する考え方を上記4つの言葉にまつわるエピソード等を交えて紹介するところから始まります。

また最近のモノづくりに関して技術分野の「信頼の崩壊」とも言える重大事故、失敗、問題による信頼の崩壊といった事象を取り上げ、それらの「開発・設計問題」の真因は何かを考察し、開発・設計の早い段階で、変更点、変化点に潜む問題を発見して未然に対処する「未然防止」を徹底するマネジメントの必要性を強調しています。

そして、本書の「Qの確保」というテーマに関して、『現在の厳しい経済状況のもと、逆風を追い風に変えていくためのキーワードは、仕事のプロセスを見える化する「プロセスマネジメント」と、問題発見に着目した「未然防止」』と述べています。

また「Qの確保」の重要性を再確認し、中部地方のモノづくりの現場が抱えている問題の調査の結果、「仕事のプロセスが見えていない」「見えていない問題を解決する能力の低下」の問題に集約されたとし、「Qの確保」のルーツとなる『トヨタ生産方式TPS)』(”ジャストインタイム”と”自働化”)を概観し、自工程完結に繋がる仕事のプロセスが「Qの確保」のキーになるとしています。

そして、「Qの確保”のための問題発見と問題解決(未然防止)」をテーマに顕在化した問題の再発防止と対比して起こりそうな問題を予測してそれに未然に対処する未然防止に焦点を当てて論じています。

FMEAやFTAなどリスク評価の手法に触れ、未然防止の観点からリスク評価の結果、切り捨てられそうになった部分に問題が潜んでいる可能性があることなど留意した上で、

  • 「変更点」や「変化点」に潜む問題を発見すること
  • 比較による思考の連鎖から問題の芽に気づくといったこと
  • 既存の問題解決手法

について考察し、実践的問題解決手法をその手順と共に提示しています。

またなぜなぜ5回で真の原因に到達できるかを考察し、真の原因を特定するのにStress-Strengthモデルを考えることの意義を説いています。

そして「Qの確保」をモノづくりの開発・設計現場で実践していくために必要なマネジメント力の発揮に焦点をあて、プロセスマネジメント問題解決の側面から何が必要かを説いています。

自工程完結の基本思想の「One Process,One Decision)を果たすための手法として、品質工学SQCデザインレビューについてプロセスマネジメントの視点からどのように取組むべきかを説いています。

また「マネジメントの基本は“プロセスの見える化”」と「プロセスマネジメントの実践手法と事例」について、方針使命の理解、ビジョン策定、お客様の声(VOC)から要求項目の整理、方針管理と日常管理、プロセスリンクマネジメント、TLSC(Total Link System Chart)の実践事例、QCMS(Quality Chain Management System)の実践事例など詳解されています。

そして、品質工学とSQC との融合などを含む「開発・設計における技術力アップのための問題解決の実践方法」について、機能展開の手順、品質工学の効果的活用のポイント、適合設計の進め方、有限要素法(FEM)シミュレーション実験の合わせ込みの品質工学の活用、品質工学とシャイニンメソッドの活用、設計・製造におけるばらつきの低減、品質工学とSQC の推進体制等のポイント、パラメータ設計の留意点などを解説しています。

次いで「問題の見える化」から「問題解決」につなぐプロセスとしての視点からのデザインレビューと情報抽出、問題発見のためのデータベースの活用をどのように進めたらよいかについて事例を交えて詳解しています。

また“Qの確保”の源泉となる「現場力と職場力」についてその重要性、「現場力と職場力」に基づくエンジン開発、ハイブリッド車開発の事例を交えて問題解決に現場力と職場力がどのように発揮されたかを解説しています。

最後に、“Qの確保”に関わる産学連携研究会、テーママップなどをまとめ整理した上で、今後の課題について展望しています。

<<本書で何が学べるか>>

本書では、商品の質と価値を守り、安心・安全を保証する“Qの確保”には何が必要かとの観点から日本品質管理学会中部支部 産学連携研究会で重ねてきた検討がベースになっています

特に「仕事のプロセスが見えていない」「見えていない問題を解決する能力の低下」が課題であるとしてこれを解決すべく、トヨタグループでの取組みを基に、SQC品質工学デザインレビューを核としてこれらを融合的に効果的に活用するためのコツと社内に展開する上でのポイント等を事例を交えて分かり易く解説しています

<<まとめ>>

本書は、開発・設計に関わるエンジニアの方々をはじめ“品質(Q)の確保”に関心がある技術者には読んで頂きたい一冊です。

なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 先人たちの品質へのこだわり
1.1 現地現物
1.2 品質は工程でつくり込む
1.3 価格はお客様が決める
1.4 モノづくりはヒトづくり
第2章 最近のモノづくりで何が起こっているか
2.1 最近多発している重大事故,失敗,問題による信頼の崩壊
2.2 日本のモノづくり品質における優位性の低下
2.3 開発・設計現場で発生している問題の真因は何か
2.4 経済危機の中で“Qの確保”の解を見いだせるか
第3章 モノづくりにおける“Qの確保”
3.1 “Qの確保”の重要性
3.2 “Qの確保”のルーツ―トヨタ生産方式(TPS)
3.3 “Qの確保”はそれぞれの工程で品質をつくり込む自工程完結
第4章 “Qの確保”のための問題発見と問題解決(未然防止)
4.1 見えていない問題を発見して解決する未然防止
4.2 これまでの問題解決手法で見えていない問題に手を打てるか
4.3 問題発見に着目した実践的問題解決手法の提案
第5章 “Qの確保”へのアプローチ―プロセスマネジメントと問題解決
5.1 プロセスマネジメントからのアプローチ
5.2 問題解決からのアプローチ
第6章 プロセスを見える化するプロセスマネジメントの実践方法
6.1 マネジメントの基本は“プロセスの見える化”
6.2 プロセスマネジメントの実践手法と事例
第7章 開発・設計における技術力アップのための問題解決の実践方法
7.1 品質工学とSQC との融合に向けて
7.2 基本機能を導くための機能展開
7.3 品質工学の効果的活用のポイント
7.4 適合設計の方法論
7.5 シミュレーション実験における品質工学とシャイニンメソッドの活用
7.6 設計・製造におけるばらつきとは
7.7 品質工学とSQC の推進体制
7.8 パラメータ設計における留意点
第8章 “Qの確保”を支えるデザインレビューとデータベース
8.1 デザインレビューのシステム
8.2 データベースと情報抽出,問題発見について
第9章 “Qの確保”の源泉―現場力と職場力
9.1 現場力と職場力の重要性
9.2 現場力と職場力の発揮による問題解決事例
第10章 まとめと今後の課題
10.1 “Qの確保”のための産学連携研究会
10.2 “Qの確保”のためのテーママップ
10.3 “Qの確保”のための今後の課題

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