当時27歳だったカダフィ大佐がクーデターにより共和国の事実上の元首となったのは1969年のこと。


丁度、アポロ11号が月面着陸した年になる。


その翌年には、我が国では、大阪万博が開催されている。


その後、「砂漠の狂犬」「アラブの暴れん坊」とか呼ばれつつ独裁政権を長期にわたり維持できてきたのは時代が求めた突出したリーダー力を持っていたからだろう。


戦国時代の武将のようなある種の人間的な魅力を備えていないと部下を命令一下で死地に赴かせるようなことはできないように思う。


特異なキャラクター部分が誇張されているようだが、恐怖を与えるだけでは、軍隊・国家・政権を41年にもわたってまとめきれるものではない。


「人間的魅力の研究」のまえがきで筆者の伊藤肇氏は、魅力の条件を以下の4つの条件からまとめるような構想があったように述べている。


  • 「使命感-生きがい」
  • 「プロフェッショナル」
  • 「ロマン-詩心(うたごころ)」
  • 「無私」

カダフィ大佐という人間がどうプロファイルされるのかよく知らないが欠陥はあったとしてもなかなか興味深い人物に思える。


だが独裁政権というのは、何時の時代もそんなに長く続くものではない。


いつの間にかほころびを生じてくるものということは歴史が証明している。


大体、世襲とかが弱体化、失敗のはじまりになる。


2009年から二男を後継者と位置づけてきたようだが、最近、その二男がテレビで演説している場面が放映されていたが凡庸な人物としか見えなかった。


カダフィ大佐の失敗は、


反米路線から転じて開発中とされていた核兵器を含む大量破壊兵器を廃棄しアメリカとの協調路線に切り替えたこと(これに併せて親アラブから親アフリカへの転換)



特に決定的なのは今回、国民に銃を向け空爆までの無差別攻撃を仕掛け、それが世界中に放映されてしまったことだ。


「天網恢々疎にして漏らさず」というが暴力と恐怖で弾圧し国民に「見ざる聞かざる言わざる」を強制しても,今日のネット社会では電撃的に「百聞は、一見に如かず」状態になる。


独裁者がその権力を維持するのに自分に反旗を翻す勢力を無慈悲に根絶やしにするといったことは、どこの独裁政権でもやってきたことで珍しいことではないのだろうが。


しかしほとんどの場合は、報道や情報が徹底的に規制されその種のことは隠されてしまうはず。


チュニジア、エジプトの革命の波は、中東、北アフリカのアラブ諸国に飛び火した。


この波及は、アジアの独裁国家等にも及びデモ等が行われたとの報道はある。


リビアの場合には、エジプトなどとは異なり国民の失業率こそ30%と高いとされているが、国民一人あたりのGDPは、アフリカではトップクラス(12,062ドル(US$))と生活水準はそれほど悪くないので今日の食べ物もないというレベルの極度の貧困は、反政府の動機にはならない。


ただ広がり行く格差社会への不満はリビア国民には鬱積していたようだ。


民主化要求がリビアにも波及したと報道された初期には、首都のトリポリなどでは、むしろカダフィー支持派の集会が開かれていたほどで政権の崩壊に至るまでの大きな動きに拡大するようには推測されていなかった。


マスコミでは、一様に「大規模」な反政府デモと報じて映像を流していたが、映像を見る限りではエジプトで見られたような百万人とかのレベルではなくどうみても攻撃を受けて逃げるパラパラとした人数しか映っていなかったように見えた。


そのような場面しか写せなかったのかも知れないが。


「大規模」と報じる作為的な意図があったのだろうか。


国際社会がカダフィ大佐の「残虐行為」を非難する流れとなったことから、国よりも部族への帰属意識が高いとされる国民性なのでここが、カダフィ大佐を引き下ろすチャンスとし、同時に部族意識がふつふつとわき上がるという感じで、政府要人や軍人が反カダフイの方向に舵を切り始めたことにより一気に拡大していったと思われる。


カダフィ大佐の死亡説やら亡命説が流れたが、首都のトリポリで支持者を集めて集会を開き徹底抗戦、さらに武器庫も解放とのことなので。


滅亡に至るのが時間の問題だとしてもこのような内戦状態がしばらく続いてしまう気配もあるように思われる。


アラブ世界の不安定は、原油供給の不安定・原油高に繋がり世界の景気動向に大きく影響するのでリビアのこの先が注目される。




さて、本日紹介する一冊は、コンサルタント、研究者、マーケター、プランナーなど、「生み出す変化」で稼ぐプロフェッショナルの知的生産活動の本質について論じたもの


著者は、東京大学大学院生物化学専攻にて修士号取得→マッキンゼー・アンド・カンパニー(4年半)→イェール大学・脳神経科学(3年9カ月)で学位取得(Ph.D.)→帰国しマッキンゼー復帰。マーケティング研究グループで活躍→さらに同社東京事務所で新人教育のトレーニングを担当→2008年からヤフー株式会社で幅広い経営課題・提携案件の推進等に関わってきたというキャリアを持つ安宅 和人氏。


<<ポイント>>


コンサルタント、研究者、マーケター、プランナーなどのプロフェッショナルに向けて価値ある知的生産活動のための『イシュー』からはじめる思考術を説く本。


本書のタイトルに取り上げられている『イシュー』というのは、「issue」のことで辞書では幾つかの説明はあるが「an important topic that people are discussing or arguing about」とかと定義される【論点】ということだろうが、筆者によると以下の両方の条件を満足する問題のこと。


  • 2つ以上の集団の間で決着のついていない問題
  • 根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題

科学者とコンサルタントとビジネスの現場の経験を通して筆者が見てきた優れた知的生産に共通する仕事術が「バリューのある仕事」をターゲットとするアプローチ。


バリューのある仕事」は、横軸に「イシュー度」と縦軸に「解の質」をとのマトリックスとする図の右上の領域として位置づけられるもの。


ちなみにその各軸に関して以下のように定義している。


イシュー度」:「自分のおかれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ

解の質」:「そのイシューに対してどこまで答えを出せているかの度合い


価値あるアウトプットを生み出すための知的生産の思考術について本書では、イシューの見極めからはじまり報告書や論文にまとめるまでの5つステップによる手順を明快に解説しています。


本書:「イシューからはじめよ」です。


知的生産の「シンプルな本質」』との副題が付いています。


本書は、著者:安宅和人氏にて、2010年11月に英治出版より発行されています。



<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には以下のように書かれています。


人生は何かを成し遂げるためにはあまりにも短い。

「脳科学×マッキンゼー×ヤフー」
トリプルキャリアが生み出した究極の問題設定&解決法

「やるべきこと」は
100分の1になる

「根性」に逃げない。
労働時間なんてどうでもいい。
価値のあるアウトプットが生まれればいいのだ。

コンサルタント、研究者、マーケター、プランナー‥‥
「生み出す変化」で稼ぐプロフェッショナルのための思考術


本書は、本書のエッセンスを概観する序章にはじまり、「イシューを見極める」ことを説く第1章から「伝えるべきものをまとめる」に関する第5章までの5章から構成されています。


この5つの各章は、価値ある知的生産術のための時系列的に整理された5つのステップの取組を解説する流れとなっています。


イシュー度と解の質を各軸とするマトリクスの右上の「バリューのある仕事」の領域へ原点となる左下の領域から出発する際に「一心不乱に大量の仕事をして右上に行こうとする」左回りのアプローチを筆者は「犬の道」と呼び、踏み込んではならないダメな道と述べ、先ずは「イシュー度」を上げて、次に「解の質」を上げる右回りのアプローチを目指すべしと説いています。


筆者は、このような「犬の道」を通っているようでは「リーダーとして大成できない」「リーダーとしての芽を摘む行為」としているがこれには賛成できない。


あくまでコンサルタントなどのプロフェッショナルサービスを提供するスタッフ、専門家等の世界に限定されるものでしかないように思える。


リーダーとしては、自身が全く専門家としての経験がなかったとしてもその人物が価値あるアウトプットを出せるプロフェッショナルかどうかが見極められる眼力を備えられたら良いのではないか。


名選手でなかった名監督は、野球やサッカーでも多数いる。


「プロフェッショナル」の力量のみを突出させたとしても精々参謀レベルで留まり、以下のような人間的魅力を備えていないと大きなリーダーにはなれないように思う。


  • 「使命感-生きがい」
  • 「プロフェッショナル」
  • 「ロマン-詩心(うたごころ)」
  • 「無私」

また知的生産力に秀でて才気煥発の人間は、ともすると自分の才に任せて突っ走ることでキラキラしたものが出過ぎて、第三者からは、それが鼻についたものと受け止められるようになると孔明に斬られた馬謖(ばしょく)のように自滅のもとになる危うさがでてしまうようにも思われる。


また筆者は、「うさぎ跳びを繰り返してもイチロー選手にはなれない。「正しい問題」に集中した「正しい訓練」が成長に向けたカギになる。」 と述べる。


才能を備えた新人から一流選手として大成できるためには良く言われる10,000時間の基礎的なトレーニングが必要とされるとの経験則からすると「犬の道」から飛躍するということもありそうにも思える。


野球選手の育成法として「正しい問題」に集中した「正しい訓練」の道が確立され誰もがイチローになれる道筋が明らかになっている訳ではない。


また「正しい問題」に集中した「正しい訓練」の側になるのかも知れないが禅の荒行に千日回峰行というのもある。


これは「犬の道」とは言えない伝統的な修行の方法だ。 


というような気になる点が少しあったとしても、別に本書の価値を低下させるものではない。


本書では、コンサルタント、研究者、マーケター、プランナーなどのプロフェショナルサービスの仕事の生産性の向上の問題に踏み込み生産性の高いアプローチを具体的に論理性高く解説しています


とくにイシュー度」を上げて、次に「解の質」を上げる右回りのアプローチを繰り返し精度を高めていくとの方法論は実務的で卓越したものと思います。


本書は、しっかりと練られた構想のもと作成されたと思われ、展開がスッキリと構造化され、文章もロジカルでかつ平易で読みやすいものとなっています。


重要なことだが、本書で学んだことが実践できるようになったからといって、決してできる人間になった気になっては駄目だ。


若い時には、生意気なくらいな方が元気があって良いのだが。


しかし組織の風土にもよるが新人として組織に入った時には、当然、そこのトップや上司の方針には、理屈抜きで従うことが必要だ。


舞台は、主役だけで成り立つものではなく、脇役から黒子、裏方まであって成り立つもの。


組織も同じだ。


しかし草食系とか言ってもスポットライトの当たる主役を目指そうとする人は多いが、価値ある黒子や裏方を目指す人は余りいない。


そのため価値ある黒子は、どこでもいつも不足している状況にある。


目立つ目立たないは価値とは無関係。


目立たない黒子を仮に命じられたとしても価値ある実力を蓄えていくことが肝心なこと。


少し本書からそれるた、帝王学の書の「宋名臣言行録」で人物を登用する時の原理原則について以下のように明示している。


人を抜擢する時には「退を好む人間」を挙げるようにすべき。大臣とか社長とかになりたくてなりたくてしようのないのをもってきてはいけない。むしろ、「いやだ、いやだ」と辞退するくらいの男を持ってくるべき。「退を好む男」は本来、清廉で恥を知っているから一度、そういう役職につけると、誠心誠意で働き、けっしてちゃらんぽらんなことをしない。」


残念ながら「退を好む人間」でなく「競馬の馬」のような人間がトップにいるというところから我が国の政治の不幸がはじまっているようだ。


<<本書で何が学べるか>>


本書では、「自分のおかれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ」の『イシュー度』を軸とした問題設定と「そのイシューに対してどこまで答えを出せているかの度合い」の『解の質』に着目した解決法を特徴とする価値ある知的生産のための方法論を下記の5つのステップに整理して説いています


  1. 「解く」前にイシューを「見極める」(『イシュードリブン』のステップ)
  2. イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる(『仮説ドリブン(1)』のステップ)
  3. ストーリーを絵コンテにする(『仮説ドリブン(2)』のステップ)
  4. 実際の分析を進める(『アウトプットドリブン』のステップ)
  5. 「伝えるもの」をまとめる(『メッセージドリブン』のステップ)

<<まとめ>>


本書は、コンサルタント、研究者、マーケター、プランナーなどのプロフェショナルサービスの人だけでなく、スタッフ部門等のビジネスパースンにも学ぶべきところが多い一冊だと思います


なお本書の目次は以下の内容です。
はじめに 優れた知的生産に共通すること
序章 この本の考え方―脱「犬の道」
常識を捨てる
バリューのある仕事とは何か
踏み込んではならない「犬の道」
「圧倒的に生産性の高い人」のアプローチ
「根性」に逃げるな
コラム:「噛みしめる」ことを大切にしよう
第1章 イシュードリブン―「解く」前に「見極める」
イシューを見極める
仮説を立てる
「スタンスをとる」ことが肝要
何はともあれ「言葉」にする
言葉で表現するときのポイント
よいイシューの3条件
イシュー特定のための情報収集
イシュー特定の5つのアプローチ
第2章 仮説ドリブン(1)―イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる
イシュー分析とは何か
・ステップ1:イシューを分解する
・ステップ2:ストーリーラインを組み立てる
コラム:MECEとフレームワーク
第3章 仮説ドリブン(2)―ストーリーを絵コンテにする
絵コンテとは何か
・ステップ1 軸を整理する
・ステップ2 イメージを具体化する
・ステップ3 方法を明示する
コラム:知覚の特徴から見た分析の本質
第4章 アウトプットドリブン―実際の分析を進める
アウトプットを生み出すとは
トラブルをさばく
軽快に答えを出す
第5章 メッセージドリブン―「伝えるもの」をまとめる
「本質的」「シンプル」を実現する
ストーリーラインを磨き込む
チャートを磨き込む
コラム:「コンプリートワーク」をしよう
おわりに 「毎日の小さな成功」からはじめよう


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