文部科学省から4月19日に「福島県内の学校等の校舎、校庭等の利用判断における暫定的考え方」が発表されています。
児童生徒等が学校等に通える地域で20ミリシーベルト/年という放射線量の値を学校等での児童生徒の暫定的な目安とするというもの。
これによると16時間の屋内(木造)、8時間の屋外活動の生活パターンを想定して20ミリシーベルト/年に到達する空間線量率は、屋外3.8マイクロシーベルト/時間、屋内(木造)1.52マイクロシーベルト/時間というもの。
これまでの一般的な屋外での放射線量は、0.05マイクロシーベルト/時間のレベルなので屋外の1時間当たりでは、約80倍、年間では、1ミリシーベルトに対して20倍の我慢を子供達に求めようというもの。
根拠としては、国際放射線防護委員会(ICRP)の事故後の復旧段階の被ばくの参考値の1-20ミリシーベルト/年の上限側の値を採用したもの。
原子力安全委員会は、この値を校舎内では、放射線量が相当減少することなどから、実際の被ばく線量は、20ミリシーベルトを大幅に下回るだろうとのことから妥当としている。
この年間20ミリシーベルトとの値は、現状の放射線量の積算の測定値に合わせてリスクを妥協的に許容してしまった値のように思える。
事故からの緊急時の被曝防御といっても従来のX線取扱者などの放射線業務従事者に適用される労働安全衛生法の電離則(「電離放射線障害防止規則」)レベルに近づくような放射線量値を児童生徒等に適用するというのは大変心配なこと。
- 「次代の社会を担う子ども1人ひとりの育ちを社会全体で応援する」
- 「子育ての経済的負担を軽減し、安心して出産し、子どもが育てられる社会をつくる」
とした民主党の子供手当の概念などとも相容れない考え方になる。
子供は、国の宝であり、地域における将来の希望でもあるので、両親等と離れるという問題が生じることになるが、このような高い放射線量のリスクを子供達に負わせるよりは、放射線影響の少ない地域へ疎開させるとかの手がとれなかったものだろうか。
このような将来に禍根を残すような誤った対応は、撤回させるすべはないものだろうか。
また重大な決定にも関わらず政府、文部科学省、原子力安全委員会などどこも第三者的な印象で誰がどのように責任を持つというのかが見えない。
また政府は、22日午前0時から福島第1原発から20キロ圏内を、立ち入ると罰則がある災害対策基本法の「警戒区域」とした。
この法律の目的は、
『国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、防災に関し、国、地方公共団体及びその他の公共機関を通じて必要な体制を確立し、責任の所在を明確にするとともに、防災計画の作成、災害予防、災害応急対策、災害復旧及び防災に関する財政金融措置その他必要な災害対策の基本を定めることにより、総合的かつ計画的な防災行政の整備及び推進を図り、もつて社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資する』
ということだが。
なぜ今、性急に「警戒区域」なのかが全く分からない。
また災害対策基本法の第六十三条では、「警戒区域」の設定権は、もともと市町村長の職権と定められている。
ただ第三条では、国の責務の中で「組織及び機能のすべてをあげて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する」とされている。
「防災のための万全の措置」との位置づけにおいて被害が広域に及ぶ原子力災害であるということから国が「警戒区域」を決定したと思われるが、「警戒区域」の設定について事前に関係の市町村長との十分な話し合いが行われたようには思えない。
「警戒区域」の設定は、政府側からの一方的で有無を言わせない唐突な通知だったように見える。
また住民が渇望している一時帰宅についても「1世帯1人2時間」と管理する側の事情が優先され住民の気持ちとはずれたものとなっている。
いつから国民目線から離れるこのような独裁国家のようになってしまったのか。
リスクマネジメントのALARP原則からすると「リスクは、合理的に実行可能な限り出来るだけ低くしなければならない」ということだが。
このレベルは、絶対的なものではなく、あくまで相対的なもの。
例えば、避難所生活の方がむしろ屋内被曝よりもリスクが高いという高齢者も多くおられるわけで、その場合に私は被爆のリスクを受容できるという人に対して絶対的な安全を押し付けるのには無理がある。
また「警戒区域」の20キロ圏内でも実測されている放射線量の積算値等にもかなり幅がある。
地域住民に納得して貰える十分な説明と手厚い支援が必要。
とくに「警戒区域」を強制するのであれば、住民の不安・心配に対して補償とかお金の問題を先だって明確にしておくべき。
原発のリスク上でこのタイミングで突如、「警戒区域」としてグレードアップしなければならない理由があったようには思えない。
「計画的避難区域」と「緊急時避難準備区域」の設定も含めて住民の不安・心配に対して十分な説明が果たせていないように思える。
さて、本日は、ISO 9004:2009 「Managing for the sustained success of an organization-A quality management approach」(JIS Q 9004:2010 「組織の持続的成功のための運営管理-品質マネジメントアプローチ」)の規格の中味の詳細からその活用法までを規格開発に参画した専門家(品質マネジメントシステム規格国内委員会)が解説している一冊を紹介します。
ISO 9004:2009 規格は、ISO9001に基づくQMSをすでに構築した組織が「品質マネジメントアプローチ」により『持続的成功』を達成することに焦点を当てこれを支援するためのガイドラインを「~が望ましい(should)」等の文言で示している規格。
組織の『持続的成功』は、顧客及びその他の利害関係者のニーズ及び期待を満たす組織の能力によって長期にわたりバランスのとれた方法で達成される。
としています。
ISO 9004:2009 規格の主要な特徴は、以下の2点。
- 顧客情報提供に関わる激変する環境変化への対応を十分に考慮。
- とくに『持続的成功』のための戦略性を重点化。
<<ポイント>>
規格開発に参画した専門家がISO 9004:2009の内容とその活用法を解説している本。
本書では、
ISO 9004:2009規格の概要について
改正の経緯、どこがそのように変わったのか、関連規格類といったISO 9004:2009 規格の概要の解説にはじまり、
次いでISO 9004:2009 規格の基本となる以下の重要概念を詳解しています。
「持続的成功」
「品質マネジメントアプローチ」
さらにISO 9004:2009 規格の本体の構造等を概説した上で
「4.組織の持続的成功のための運営管理」から
「9.改善、革新及び学習」まで
を逐条的に解説、さらに
さらにISO/TC 176/SCによるISO 9004の3点の関連支援文書を掲載しています。
本書:「ISO 9004:2009(JIS Q 9004:2010)解説と活用ガイド」
「持続的成功のための品質アプローチ」
です。
本書は、品質マネジメントシステム規格国内委員会 監修、飯塚 悦功氏、國分 恵夏氏、福丸 典芳氏、平林 良人氏、安藤 之裕氏、住本 守氏の共著にて、2011年3月に日本規格協会より発行されています。
<<本書のエッセンスの一部>>
本書の帯には、以下のように書かれています。
- ISO 9004の「大幅改正」で何がどう変わったのか?
- どのように活用すればよいのか?
→規格開発に参画した専門家が徹底解説!
- なかなかISO 9001の効果があがらない、物足りない…
- 自社のQMS(品質マネジメントシステム)の強化を図りたい…
- いかなる状況においても持続的成功を実現したい…
→ISO 9004はそれらをかなえる一策!
本書は、下記の目次のように4章から構成されています。
ISO 9004:2009 規格が意図しているポイント、2009改正の経緯、またISO 9001、JIS Q 9005/9006などの関連規格類との関係などの解説に続き、「持続的成功」や「品質マネジメントアプローチ」といった重要なコンセプトの解説があります。
そして、本書の中核となる第3章では、「4.組織の持続的成功のための運営管理」から「9.改善,革新及び学習」までの各箇条について概ね以下の順序に沿って逐条的に解説するという構成になっています。
【1.目的】では、対応する箇条の意図や狙いを解説。
【2.規定事項の要約】では、その箇条の要約・要点を枠囲みでまとめ。
【3.規定事項の解釈】では、箇条の重要な概念や分かり難い事項を解説。
【4.実施事項】では、何をどのように実施することをその箇条が意図しているのかを解説。さらに推奨される実施法や留意事項等も解説。
序文にもあるが、ISO9004は、『複雑で、過酷な、刻々と変化する環境の中で、組織が品質マネジメントアプローチによって持続的成功を達成するための支援の手引』としての規格。
本書では、「持続的成功」、「品質マネジメントアプローチ」、「自己評価」といった規格の根幹をなす概念等の丁寧な解説も含め全般的に明快な解説となっています。
また4章では、ISO 9004の規格開発を担当したISO/TC 176/SC 2で作成されている(一部は現在も作成中とのことだが)以下の3つの支援文書の日本語訳が掲載されています。
- “持続的成功”を求めて
- ISO9004:2009実施の手引
- ISO9004:2009のよくある質問集(FAQs)
<<本書で何が学べるか>>
本書では、組織の品質マネジメントアプローチによる持続的成功を支援するガイドライン規格のISO9004 について規格開発に参画した専門家が規格の中味がどのように変わったのかどのように活用すれば持続的成功が見込めるかなど分かり易く解説しています。
すでにこのISO9004:2009 規格の基本文書となったJIS Q 9005:2005「質マネジメントシステム-持続可能な成長の指針」やJIS Q 9006:2005「質マネジメントシステム-自己評価の指針」はあるが、本書は、ISO 9001を超えて、ISO9004に基づきQMSを改善したい組織の関係者にとっては必読の一冊。
<<まとめ>>
QMSの強化やISO 9004 の活用に関心がある関係者は、是非本書を読んで下さい。
なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 規格の概要
1.1 ISO9004:2009とは
1.2 規格改正の経緯
1.3 ISO9004:2009の概要
1.4 関連規格類との関係
第2章 ISO9004にかかわる重要概念
2.1 ISO9004の適用範囲と重要概念
2.2 持続的成功
2.3 品質マネジメントアプローチ
第3章 ISO9004の解説
4. 組織の持続的成功のための運営管理
5. 戦略及び方針
6. 資源の運用管理
7. プロセスの運営管理
8. 監視、測定、分析及びレビュー
9. 改善、革新及び学習)
第4章 ISO9004関連支援文書
4.1“持続的成功”を求めて
4.2 ISO9004:2009実施の手引
4.3 ISO9004:2009のよくある質問集(FAQs)
- 2011年04月24日
- ISO9001 | 質マネジメント,JIS Q 9005/9006
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