東北、関東各都県の自治体などを中心に色々な場所での放射線量の計測が進んで来ている。
また身近な場所の「放射線量が知りたい」とのニーズから住民らが独自に放射線量を測る動きも広がっているようだ。
住民の見えない放射線への不安は、消えない。
福島第1原発から3キロ近く離れた大熊町の土壌でアメリシウム、キュリウムなどの超ウラン元素が検出されたと報道されている。
これらは、原子番号が95、96の元素でプルトニウムが中性子を捕獲してアメリシウム、アメリシウムが中性子を捕獲してキュリウムにというような過程で生成する核分裂の副生成物になる。
アメリシウムの融点、沸点は、995℃、2600℃、キュリウムの融点、沸点は、1340℃、3520℃なので、このような超ウラン元素が検出されるということは、燃料棒がメルトし、著しい高温にさらされたこと、さらには圧力容器、格納容器での閉じ込めが機能していないという証拠でもある。
土壌は4月下旬~5月上旬に採取されたもの。
アルファ崩壊核種の分析には、前処理等に時間がかかるとしてももっと迅速に情報公開してもらいたいものだ。
土壌1キログラムあたり各0.032ベクレル、0.0093ベクレルが検出されたとしている。
土壌の表面に局所的に存在している放射性物質について土壌を深さ約5センチとかまで掘り、採取した土壌1キロ・グラム当たりの量としての線量測定は、ほとんど放射性物質を含まない土壌で測定値を希釈している状態となり、測定値を過小に評価することになる。
政府は、「特定避難勧奨地点」なる地点を設定し「住居単位」で指定するとのこと。
原発周辺の警戒区域や計画的避難区域よりも外側の地域でも局所的に高い放射線量を記録する場所は当初からホットスポットとして対処すべきとされてきた。
福島第1原発事故から1週間後に緊急時避難準備区域となった30キロ圏の外の地域でもチェルノブイリの事故の強制避難地域の1平方メートルあたり148万ベクレルや一次移住の55.5万ベクレルから148万ベクレルの範囲に匹敵する地域があった。
文部科学省では、これまでにも土壌について1平方メートルあたりではなくkgあたりの放射線量値を採用し、問題を過小評価するような測定値を発表してきた。
原発事故から100日も経過してから「特定避難勧奨地点」では遅すぎる。
放射線の影響を受けやすい妊婦や子どものいる世帯などに避難を促すという。
また福島県では、全県民を対象に健康調査を実施するとのこと。
調査結果をデータベース化し、長期的に管理するようだ。
原発事故後の行動や食事内容の問診などを基に被ばく線量を推計する先行調査からスタートし、手法を検証した上で8月にも全県民対象の基本調査を始めるとのこと。
内部被曝を評価するとなると体内に取り込まれた放射性物質から放出される放射線を計測できる全身測定装置(ホールボディカウンター)などが必要になる。
情報が的確に伝えられていなかったのでもしかすると原発事故の初期にひどい内部被曝をしてしまった人もいるのではと思われる。
移動式のホールボディカウンターもあるので可能なものは、すぐにでも福島に集結させたい。
固定式のものでは、設置されている病院などに人が行って受診することが必要。
国内でのホールボディカウンターは、100台程度の設置。
事態を過小評価し、「国民は、常に国の指示に従うことが大切」などと言うとんでもない御用学者のもとでは信頼できるデータが提供されるだろうか。
信頼できる医療機関での正確な測定が必要だ。
ところで世界の知恵を集めた注目の「浄化システム」だが、試運転で水漏れが見つかるトラブルが相次ぎ発生し、6月17日夜にようやく本格的に稼働したが、約5時間後に停止してしまった。
アメリカ製の4基あるというセシウム吸着装置の吸着塔で放射線量が交換時の被曝の目安とする毎時4ミリシーベルトを超えたためとのこと。
セシウム吸着装置の吸着材は、ゼオライトだが、ゼオライトのナトリウム部分をより吸着性が強いセシウムとイオン交換して吸着除去するもの。
吸着材の単位重量あたり吸着できるセシウムイオン量がある。
ゼオライトのセシウムが浸透できる部分しか利用できないわけで利用率が決まる。
吸着飽和してしまうとゼオライトの吸着力がなくなるのでそうなるとゼオライトは新品交換することが必要。
海水のような種々の物質を含む汚染水の処理となるとその物質がゼオライトの細孔表面を塞いでしまうと内部の吸着箇所が利用できなくなる。
水和した状態でのイオン半径は、カリウムがセシウムより小さいのでカリウムがよりゼオライトの内部まで浸透し易い。
カリウムは、セシウムの吸着の妨害となる懸念があるように思われる。
原子炉建屋、タービン建屋、トレンチ(坑道)に滞留している放射性汚染水の量は、約11万トン。
原因を明確にし待ったなしの早急な対策が必要。
汚染水浄化システムから排出される高濃度の放射性汚泥のメンテナンスの取扱作業から最終処分までの放射性廃棄物の管理も見通しの立たない困難な問題。
そもそも汚染水の浄化装置を発注したのは、圧力容器内に水があって燃料棒の一部が露出と想定していた時点。
しかしその後、事態は変わって来ている。
現在、肝心の核燃料、核分裂生成物などは、どこでどのような状態となっているのか不明。
政府・東電は、先日、メルトスルーを認めたが。
圧力容器の中に大部分の核燃料等が残存しているのであれば、水を浄化して注入することも意味があるが。
核燃料等が圧力容器の下の格納容器でも留まることなく、炉建屋地下のぶ厚いコンクリートの構造物に、どんどん溶けながらめり込んでいるというような状態だとすれば、水の注水はほとんど意味をなさないと思われる。
地下水への放射能汚染の防止措置など別の対応が必要になる。
これまでの政府・東電の炉心の状態分析は、ことごとく悪い方に外れてきている。
核燃料等が圧力容器に残存していないとなると冷温停止を目指す活動は、全く意味が無くなってしまう。
硬直した考えから脱しきれず拘泥している間に地下水汚染から著しい海洋汚染を招いてしまう恐れがあるのではと心配。
何としても先ず把握すべきは、核燃料等の状態。
把握できない場合は、最悪の状態を想定して対処するのが鉄則では。
6月17日改訂された「工程表」。
東電・政府は、 「全体的に見れば、目標は期限通り達成できると考えている」と強気だが。
現場では、熱中症の季節が到来し、作業員の被曝管理も厳しい環境が続く。
頼みの綱の現場作業員の放射線管理と医療体制の改善が必須。
さて、本日は、設計が起因の不具合予防のために(株)デンソーで設計審査(デザインレビュー)時等に活用され効果をあげているFMEA(故障モード影響解析)データベース:「FMEA辞書」のノウハウを余すところなく公開している一冊を紹介します。
本書の「まえがき」で筆者:本田 陽広氏は、源流段階で不具合に気づけるツールの「FMEA辞書」等の特長について
- 忙しいときでも知りたいことがすぐに探し出せ
- 使用マニュアルなしですぐに使える
- 設計者も審議者も、容易に漏れの無いチェックができる道具
とし、
未然防止の活動事例として取り上げられている内容の工夫のポイントは、以下としています。
- 人の能力、設計審査などの場面にあわせた道具を何種類も開発
- その道具を使って、二重三重のチェックを実施
<<ポイント>>
(株)デンソーで実用され効果をあげているFMEA(故障モード影響解析)データベース―「FMEA辞書」等の全貌を解説した書籍。
本書では、
一般的な設計手順と仕組みの確認からはじまり、
「FMEA辞書」の詳細とその製品開発の場面での適用結果
を中心に以下の管理面(仕組み、人材育成、マネジメント技術)の改善
気づきを支える管理の仕組み
今後の取組み
(株)デンソーの品質保障体系
までを「FMEA辞書」の画面実例など交えて実務的に説いています。
本書:「FMEA辞書」です。
「気づき能力の強化による設計不具合未然防止」との副題が付いています。
本書は、著者:本田 陽広氏、ならびに(社)日本品質管理学会 の監修にて、2011年5月に日本規格協会より、JSQC 選書の14として発行されています。(なおJSQC 選書というのは、「品質重視」への原点回帰の意義を再認識するために、日本品質管理学会(JSQC=Japanese Society for Quality Control)の監修のもと、「質(品質)」をテーマとした教養講座シリーズです。)
<<本書のエッセンスの一部>>
本書の帯には以下のように書かれています。
デンソーで実際に効果を上げている。
「FMEA辞書」(故障モード影響解析データベース)を軸にした設計手順や仕組みで、
源流段階で不具合に気付く!
- 「FMEA辞書」の画面実例など, デンソーのノウハウを惜しみなく公開!
- 「FMEAに振り回されている」「これまでのFMEA知見を有効活用したい」「忙しいときでも漏れのないFMEAを行いたい」方などに最適。
本書は、下記の目次のように6章から構成されています。
全般的に参考写真や「FMEA辞書」の画面実例などの図表が沢山挿入されており、極めて実務的な構成となっています。
表も分かり易いプレゼン資料のようにシンプルで明快なものとなっています。
第3章では、「FMEA辞書」の詳細な内容から製品開発のDR(デザインレビュー)の場面でどのように活用するかを具体的に解説しており本書の中核になります。
特に表のポイントとなる箇所は、吹き出しなどで何を意図しているかなど強調解説するという分かり易い構成になっています。
本書は、一般的な設計手順と仕組みの解説から始まっています。
本書の各章の位置づけを総括する内容となっています。
製品企画→製品設計→生産準備→量産へと至る「開発のステップ」を整理し、その中で製品設計におけるFMEA、FTA作成と品質保証に関わる仕組みとしてのFMEAチーム活動の位置づけ等をクローズアップしていきます。
また設計手順と仕組みに関わる源流管理等の重要ポイントをどのように進めて設計変更件数の削減やクレーム率の低減などにつなげるといった関わりを解説。
「FMEA辞書」は、情報蓄積、共有化、活用の目的で(株)デンソーの全てのノウハウを使い易くまとめたものでこれを活用して良い製品を世に送り出すために開発されたもの。
しかし、前記の手順を踏んで開発を進めても設計を起因とする不具合(設計起因不具合)は発生するとし、
ウイスカーによる不具合の仮想事例を用いてなぜ設計起因不具合が発生してしまうのかを発生原因と流出原因から解説し、それらを裏返して、ではどのように改善すれば設計起因不具合が防止できるかを解説し、その目的のため用いる以下の道具とその概要、さらには、そのための仕組みとしてのFMEAチーム活動との関係についてまとめています。
- FMEA辞書
- 新規点・変更点抽出シート
- キーワード集
- マクロFMEA作成シート
- 司会者の注意事項集
第3章が本書の中核になっておりFMEA辞書等の道具とFMEAチーム活動により成果があがった未然防止活動(PDQR:Perfect Quaity Design Review)の事例が取り上げられています。
ここでは、上記の気付き能力強化のFMEAの道具の構成、内容と使い方と気づきの道具を活用したFMEAチーム活動について画面解説を交えて分かり易く解説されています。
また仕組み、人材育成、マネジメント技術といった管理面に関わる不具合未然防止活動(成立性DR、ESDR(Early Stage Design Review等)の事例、
本書で解説している設計起因不具合を改善する取組みの特徴、その取組ができた理由から今後の方向性の展望、
など解説しています。
さらに本書の内容に関係する(株)デンソーの組織と品質保障体系についても触れています。
<<本書で何が学べるか>>
本書では、(株)デンソーで設計不具合未然防止の成果を上げた方法論が説かれています。
抜け・漏れのないFMEAの実施、さらには、デザインレビューを効果的に運営するための道具として有効なFMEA辞書などの構成、内容、使い方等を実務的に解説しています。
設計部門のマネジメント層の方に大いに参考となるFMEA辞書等を活用して設計手順や仕組みで源流段階で設計不具合の未然防止を行うためのノウハウが語られています。
<<まとめ>>
本書は、設計不具合の未然防止に関心がある方には、是非、読んで頂きたい一冊です。
なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 一般的な設計手順と仕組み
1.1 設計手順と仕組み
1.2 設計手順と仕組みの重要ポイント
第2章 設計起因不具合の分析と改善の考え方
2.1 発生原因と流出原因
2.2 不具合の分析結果
2.3 改善の考え方
2.4 開発した道具と仕組みの関係
第3章 未然防止の活動事例
3.1 気づき能力強化FMEAの道具
3.2 気づきの道具を活用したFMEAチーム活動
第4章 気づきを支える管理の仕組み
4.1 人材育成の改善事例
4.2 マネジメント技術の改善事例
4.3 仕組みの改善事例
4.4 仕組みを継続的に実施するための節目管理
第5章 今後の取組み
5.1 これまでの取組みの特徴
5.2 これまでの取組みができた理由
5.3 今後の取組み
第6章 当社の品質保証体系
6.1 当社の紹介
6.2 品質保証体系