松下幸之助さんがリーダーに向けて語っている成功の智恵を凝縮した本を紹介します。
本書は、松下政経塾で当時の塾生たちにその思いを切々と伝えつづけた未公開テープ約百時間から厳選された『リーダー論』を中心に成功の智恵を説いています。
本書の「序にかえて」で松下政経塾 の佐野尚見塾長が本書の刊行の契機等について以下のように述べています。
今、日本はまさに「百年に一度の危機」に瀕しています。長い不況のトンネルからいつ抜け出すことができるのか、まだ誰にもわからないというのが現状です。そして、こうした危機の時代になると、決まり文句のようにいわれるのが「リーダーの不在」です。
(略)
危機の時代だからこそ、リーダーたる人は先ず目先の厳しい現実と闘わなければなりません。
社員が30人いる会社の社長なら、その家族を含め100人以上もの生活を守る責任があります。
さらに関係している会社を含めると、数十倍以上の責任があるといえます。そうした厳しい現実を生き抜いていくことは並大抵のことではできません。
人間力、精神力、決断力といった能力、そして智恵を、常日頃から磨き上げておかなければ不可能といってもよいでしょう。(略)
松下幸之助については、これまでも多くの出版物が刊行されてきました。
本書では、一部公開されたものもございますが、主として未公開テープ約百時間の中から、塾主が伝えたかったこと、そして塾生に最低限心にとどめておいてほしいことについて、48項目を厳選し、そしてその考え方の要諦をまとめた次第です。
<<ポイント>>
松下幸之助塾主が松下政経塾で塾生に説いた物事の本質を見極め衆知を集めつつ道を切りひらいていく人材となるための考え方:「リーダーたるものまたリーダーを目指す人は日々なにを心がけておくべきか」を説く本。
本書では、
『物事の本質を見る眼』といった16の「成功するために知っておいてほしいこと」(1部)、
ならびに
『初志を貫いて生きる』といった32の素志貫徹・自主自立・万事研修・先駆開拓・感謝協力に関わる「リーダーになる人に知っておいてほしいこと」(2部)
を説いています。
本書:「リーダーになる人に知っておいてほしいこと」 です。
本書は、松下幸之助塾主の[述]、松下政経塾の[編]にて、2009年3月にPHP研究所より発行されています。
<<本書のエッセンスの一部>>
本書の帯には、以下のように書かれています。
松下政経塾の未公開テープ約百時間から厳選された成功の智恵
戦略・戦術は大事
しかしそれ以上に
大切なことがある
本書は、2部から構成されています。
本文の構成は、節のタイトルに続き、2、3行でそのキーワードが取り上げられ、松下塾主の言葉が紹介されるという構成になっています。最後に何時のお話であったのかについて、日付等が記入されています。
各章の印象深い一節を紹介します。
1部の「成功するために知っておいてほしいこと」は、以下の3つの章から構成されています。
第1章では、「素直な心で衆知を集める」
と題して、6つの智恵が説かれています。
『よいことは素直に取り入れる』として
「誰のいうことでも一応は素直に聞く。いいなと思ったら素直に取り入れて実行する。人の意見を聞く時は、虚心になって、私心をなくして、素直な心で聞く。そすして他人の智恵才覚を授かる。そのむずかしくないことを、人はなかなかできない。そして失敗する。
第2章では、「自修自得で事の本質を究める」
と題して、6つの智恵が説かれています。
『成功のコツをつかむまでやめない』として、
「一事に成功すれば万事に成功する。一事に成功できない者が、あせって万事に手を出してもそうそう成功するものではない。まずは成功のコツをつかむまで努力をやめない。そして、使命感と気力、この二つなくして真の成功はない。」
第3章では、「日に新たな生成発展の道を求める」
と題して、4つの智恵が説かれています。
『すべてのものが生かされている』として、
「すべてのものが、すべての分に応じてこの世に生かされている。人知が進めば、それはいつの日か実現するはずだ。」
2部の「リーダーになる人に知っておいてほしいこと」は、素志貫徹・自主自立・万事研修・先駆開拓・感謝協力についての以下の5つの章から構成されています。
第1章では、「素志貫徹─道を切りひらくために」
と題して、7つの智恵が説かれています。
『苦労と生きがい』として、
「何もかも自分の思うとおりになるなどと考えないこと。辛抱、苦労があって当然と割り切ってやる。いずれその苦労は、生きがいとなる。」
第2章では、「自主自立─知恵と力を集めるために」
と題して、4つの智恵が説かれています。
『一言一句の力』として、
「成功する人は、一言一句が相手の胸を刺すものだ。しかしそれが自然と出てくる。心の動くままに言葉にあらわれてくる。」
第3章では、「万事研修─すべてに学ぶ人となるために」
と題して、10つの智恵が説かれています。
『人情の機微を知る』として、
「人情の機微は、教えることができない。学ぶのではなく、自分で悟るしかない。しかしその人情の機微こそが、人生の根底であり、一番大事なことである。」
第4章では、「先駆開拓─新たな歴史の扉を開くために」
と題して、5つの智恵が説かれています。
『「言いだしべえ」になる』として、
「物事をかえるには、「きっかけ」がいる。「これをやるべきだ」「これをやりたい」と言い出す人になる。その志が、道を切りひらく。」
第5章では、「感謝協力─真の発展を目指して」
と題して、6つの智恵が説かれています。
『自己観照をする』として、
「他人に観てもらうより、自分で自分を観る。自分のどこがいけないかを自分で見つける。この自己観照が大切である。」
タイトルとポイントだけの紹介なので本書の詳細は伝わらないかも知れませんが、松下幸之助塾主自身が自らの人生でつかまれた物事の本質を見極め衆知を集めつつ道を切りひらいていく人材となるための考え方が平易な言葉とともに良く伝わり内容になってい啓発されるところが多い内容になっています。
<<本書で何が学べるか?>>
本書では、「リーダーたるものまたリーダーを目指す人は、日々なにを心がけておくべきか」といった松下幸之助塾主の松下政経塾での生きた智恵が説かれています。
まさに目の前でその講演を受講してかのような臨場感のもと学ぶことができます。
本書では、松下政経塾での塾生に対するお話ということで先入観として、政治的な内容が多いのかと思われたが、そうではなく、リーダーの成功論と人としての生き方、心構え、人間性、経営観といった普遍的なテーマが取り上げられています。
松下政経塾の『塾訓』は以下の内容。
素直な心で周知を集め
自修自得で事の本質を究め
日に新たな生成発展の
道を究めよう
<<まとめ>>
リーダーの立場の人、これからリーダーを目指す人には、本書は、是非、読んで頂きたい一冊です。
なお本書の目次は、以下の内容です。
1部 成功するために知っておいてほしいこと
第1章 素直な心で衆知を集める
第2章 自修自得で事の本質を究める
第3章 日に新たな生成発展の道を求める
2部 リーダーになる人に知っておいてほしいこと
第1章 素志貫徹─道を切りひらくために
第2章 自主自立─知恵と力を集めるために
第3章 万事研修─すべてに学ぶ人となるために
第4章 先駆開拓─新たな歴史の扉を開くために
第5章 感謝協力─真の発展を目指して
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