ISO 9001:2008(JIS Q 9001:2008)規格の7.5.4項の「顧客の所有物」において、2000年版では、「参考」で、「知的所有権も含まれる」となっていましたが、以下のような注記となっています。
注記 顧客の所有物には、知的財産及び個人情報を含めることができる。
ここの個人情報は、一般的な個人情報の管理を求めるものではなく、製品及びサービス提供に関係して顧客から入手した個人情報を管理すべきとの内容になります。
したがってここでの管理は、顧客所有物としての要求事項への対応が必要で、個人情報の利用目的の制限、漏洩防止、利用後の返却および廃棄処分などが対象になります。
さて、話は変わりますが、個人情報保護法が施行され、数年が経過しています。
2005年の刊行で87万部の大ヒットとなった『これだけは知っておきたい 個人情報保護』の著者:岡村 久道 氏 ならびに 鈴木 正朝 氏による最新作を紹介します。
最新の改正情報を反映し、改めて、個人情報とは何か、個人情報に関する法律は、会社やビジネスパースンに何を要求しているのか等を分かり易く解説してしています。
<<ポイント>>
個人情報保護の最新の手引き書。
本書では、政令・政府の基本方針・標準ガイドラインなどの改正に対応した内容を反映し、行き過ぎた個人情報に対する『過剰反応』の問題も取り上げています。
本書:「これだけは守りたい個人情報保護」です。
本書は、著者:岡村 久道 氏ならびに 鈴木 正朝 氏の共著にて、2009年2月に日本経済新聞出版社より発行されています。
『これだけは知っておきたい 個人情報保護』と同様にポータブルな小B6判、オール4色刷りの分かり易い構成で、個人情報保護法施行後に新たに変わった点を加味して解説しています。
<<本書のエッセンスの一部>>
本書の表紙の下部には以下のように書かれています。
これで納得!
改正政令・政府の基本方針、標準的なガイドラインに対応!
96ページでわかる決定版
本書は、『Q1防犯カメラで録画された氏名不詳の人物映像は個人情報である』といった10問の「個人情報保護法理解度チェック」で始まります。その回答と共にその○×の説明とそれが本書の何ページの解説に関係しているかがまとめられています。
全般的に平易な文章で明快に解説されており、概念図やフロー図などのカラフルな図表が多数挿入されていて親しみやすく分かり易い構成となっています。
会社やビジネスパースンが関心を持つ箇所等では、Q&Aが挿入され解説を補完する構成となっています。
4つの章(chapter)から構成されています。
ざっと概要を紹介します。
Chapter 1では、「保護しなければならない情報とは」
と題して、保護すべき個人情報とは何かといった基本が解説されています。
Chapter 2では、「個人情報取扱事業者とは何か」
と題して、個人情報保護法において、規制の対象となる個人情報取扱事業者についてその範囲、対象情報と義務などが解説されます。
Chapter 3では、「個人情報を扱うときに守らなければならないこと」
と題して、「個人情報」、「個人データ」、「保有個人データ」について個人情報を取り扱う際に何を守らなければならないのかが解説されます。
Chapter 4では、「 個人情報保護法に違反したらどうなる? 個人情報を漏えいしたらどうする?」
と題して、個人情報保護法への違反と行政との関わり、苦情への対応、個人情報の漏洩事故が発生した場合の代償から個人情報に関わる緊急対応が必要な事故への対処、コンプライアンスのための社内体制、過剰反応対策といった内容が取り上げられ解説されています。
また巻末資料として以下の資料が添付されています。
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「個人情報の保護に関する法律」に基づく公表等事項(例)」
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「個人情報の保護に関する法律(抄)」
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「個人情報の保護に関する法律施行令」
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「個人情報の保護に関する基本方針(抄)」
また本書の末尾には、しっかりと守りたい「個人情報保護心得10カ条」が掲載されています。
なお個人情報保護法に関する関連サイトを以下に紹介します。
<<個人情報保護法の関係書籍>>
「ISOの本棚」のブログですでに紹介した以下のような『個人情報保護法』に関する本がありますのでご参照下さい。
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個人情報保護法
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事例に即答!個人情報保護法
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個人情報保護法 - 中小企業・個人事業者にも役立つビジュアル対策マニュアル
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個人情報保護法の知識
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個人情報保護法対策ハンドブック
- 誤解だらけの個人情報保護法
<<本書で何が学べるか>>
個人情報保護について日常業務との関わりで何が必要かといったエッセンス部分を実に分かり易く本書から学ぶことができます。
本書は、個人情報保護の研修のテキストとしても格好の内容であると思います。
<<まとめ>>
今一度、個人情報保護について最新の政令等も織り込んで適切な理解をと考えるビジネスパースンには、本書はお薦めです 。
なお本書の主要目次は、以下の内容です。
はじめに
個人情報保護法理解度チェック
Chapter 1 保護しなければならない情報とは
Chapter 2 個人情報取扱事業者とは何か
Chapter 3 個人情報を扱うときに守らなければならないこと
Chapter 4 個人情報保護法に違反したらどうなる? 個人情報を漏えいしたらどうする?
個人情報保護心得10カ条
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