シックスシグマ(6σ)は、1980年代にMotorola社により開発され、GE社の収益を6億ドル改善などの成果が公表され世界中で注目された経営手法ですが、ともするとQC七つ道具、実験計画法、多変量解析法などの統計手法に目が向きますが、ビジネスのプロセスを対象に、データに基づく組織的な管理を対象とした経営手法です。
シックスシグマの改善活動は、DMAIC、または、MAIC(問題を明確化し、D:問題をはっきり定義する(Define)→M:プロセスの現状を測定(Measure)→A(何が問題であるか要因を分析し)→I:改善案を提示し対策を実施し(Improve)→C:それが定着するように標準化する(Control)というマネジメントサイクルを通してプロセスを改善します。
本日は、先般、こちらのブログで紹介した「なぜおいしいアイスクリームが売れないの?」の著者のシビル・チョウドリ(Subir Chowdhury)がシックスシグマについて、2人の人物の掛け合いの物語を通してそのエッセンスを分かり易く解説している本を紹介します。
本書: 「シックスシグマ」です。
本書は、 シビル・チョウドリ(Subir Chowdhury)による原著:「THE POWER of SIX SIGMA」を丸山 聡美氏の訳により、2001年8月に翔泳社より発行されています。
本書の裏表紙にシックスシグマについて以下のように説明しています。
「もともとは100万に3~4個しか不良品が出ないような
品質特性値のことを指したが、
1980年代、日本の優れた品質管理技術に感銘を受けた
モトローラ社が、概念を拡張させ、
生産プロセス改革手法へと落とし込んだ。
ジャック・ウェルチ氏が同手法によって
GEの生産性を大きく改善したことが話題を呼び、
昨今ではソニー(1999年)、日産(2001)年をはじめ、
多くの日本企業も導入しつつある。」
本書の登場人物は、アメリカン・フーズと呼ばれる食品卸会社のジョー・ミーターとラリー・ホーガン。
2人は、20年前に学生時代に同社のメールルームで郵便の仕分けの仕事をしていたころから親交が始まったがここ5年間は会っていなかった友人。
ジョーは、15年前には、商品のハンバーガーがバンバン売れ4,000店舗をもつ事業部門だったけれども、現在は斜陽化しているハンバーガー事業部の地域担当マネジャー。しかし当日、解雇されたところ。
他方のラリーは、やはり15年前には、数10店舗の規模の新規事業であったピザ事業部にいて、キャシー・ベーカーという熱心な事業部長の下でシックスシグマを導入・実践し、見事にピザ事業を高収益事業に育て上げた人物。
解雇されたその日にジョーは、ラリーに面会し一緒にランチをとりながら、ラリーがシックスシグマについてどのように導入し、どんな実践をしてきたかの経緯について実体験をもとに語りはじめるもの。
ジョーは最初は、ラリーの話に懐疑的だが、成功に至るまでのプロセスの実践の話が進むにつれてシックス・シグマに興味を抱き、次第に納得しその理解者になっていく過程がうまく描かれています。
本書の表紙の折り返し部に両者の会話の一節が以下のように紹介されています。
「シックスシグマにおいて品質の向上は
目標を達成する手段に過ぎない。
目標そのものではないんだよ。
目標は品質向上のための品質向上ではなく、
顧客満足度を上げて収益を増やすことだ。
仮に品質を向上させても、
顧客が不満を感じたり収益が減ったりしたら、
本末転倒になってしまう……」
本書は、わずか100ページの物語ですが、シックスシグマとは、どんなものか?どんな場面で活用すると有効か?などのシックスシグマの概要が分かり易く描かれています。シックスシグマに関心のあるビジネスパーソンが読む最初の一冊としておすすめの本です。





なお本書の目次は以下の内容です。
第1章 解雇の日
Moving Day
第2章 ランチ
Lunch Is Served
第3章 シックスシグマ
Swallowing Six Sigma
第4章 決定的な違い
The Crucial Differences
第5章 ピープル・パワー
People Power: Who Does What
第6章 ピープル・パワーの実践
Putting People Power Into Practice
第7章 プロセス・パワー
Process Power: The Five Steps of Six Sigma
第9章 目標を達成する
We Deliver