東京電力の福島第1原子力発電所1号機の海水注入の中断で菅総理の指示があったなかったですったもんだしたが、結局のところ、海水注入の中断はなく、福島第1原発の吉田所長が海水注入を続けていたことが明らかにされた。
これまでも菅総理の失言と取られそうな問題が起きる度に「言った」「言わない」から誰か関係者の発言のせいにしてことごとく逃げるパターン。
案の定、今回のターゲットは、班目委員長となったよう。
首相官邸と原子力安全委員会の班目春樹委員長との間で海水注入による再臨界の可能性について「言った」「言わない」から間を取った形で「再臨界の可能性はゼロではない」とかで決着をつけようとしていたもの。
すでに水素爆発が起こってしまった後になるので、海水注入で再臨界の可能性とかを班目委員長に質問するとかは考えられず、この時点でメルトダウンが政府関係者にも周知の事実となっていたのではないかと推定される。
「圧力容器内に水がなく底に燃料がメルトダウンして塊状になっている」とかの情報なしに再臨界とかが話題になることは無いように思われる。
発電所所長、東電本社、原子力安全保安員、政府官邸、菅総理大臣の間の責任・権限がどうなっているのか良く分からないが、素人が思い込みとかで重大な影響がある問題に指示できるとかがあれば怖いこと。
どんな組織でも責任は、後で知らんぷりだが、権限は強大であれこれ口を出すというのがもっとも始末が悪い。
このような緊急事態において事態収束に向けての最適戦略の選択および最終的な指揮と判断は、現場責任者である発電所所長に一元的に委ねられるべき。
その他の東電本社、原子力安全保安員、政府官邸、原子力安全委員会、菅総理大臣等は、全て現場のサポートの立場に徹すべき。
…と思う。
ここのところ政府、東電からの小出しでの新情報の発表が相次いでいる。
この背景に国際原子力機関(IAEA)の20名の調査団が、福島第1原発などに入り調査中であることが関係していると思われる。
この調査団は、6月2日までの滞在中に政府当局者や東電関係者などから事情聴取を重ねるとのこと。
G8サミット(仏ドービルでの主要8カ国首脳会議)で菅首相は、来年1月までに原発からの放射性物質放出を止めるなど、事故を早期に収束させると言明。
国際社会に対しての見通しの立たない約束をして大丈夫なのだろうか。
さらに事故情報の全面開示を公約したことも宣言に明記されている。
一方、政府が設置を決めた「事故調査・検証委員会」は、「失敗学」で知られる畑村洋太郎・東大名誉教授が委員長。
10人程度の委員で年末までに中間報告をまとめるとのこと。
しかしこの委員会は、政府の管理下に置かれているので、政府の「人災」とかの検証は、どうみても無理に思える。
政府の「人災」の有無をしっかりと追求すべきは国会だ。
国会でも早急に専門家を組織化し国とは別に事故調査・検証を進めるべきだ。
本日は、初版の発行から16年間、品質工学の入門書として長きにわたり読まれて来た『品質工学入門』の全面改定版について紹介します。
筆者の矢野 宏氏は、品質工学の方法論に触れ、本書の「まえがき」で以下のように述べています。
『あえて一言でいえば多次元世界の評価の思想である。
計測技術とは、何が正しくて、何が誤っているかを評価する方法である。
このようにいえば、品質工学とは広義の計測技術であり,評価の学問である。
しかし評価したこと妥当性を改めて問うという二重の評価を行うところが極めて複雑な構造である。』
<<ポイント>>
品質工学の定番入門書の最新動向を踏まえた全面改定版。
本書では、田口玄一氏の品質工学に至る道筋と支えた人々のエピソード等からはじまり、
技術開発と
- 実験計画法
- マネジメント
- パラメータ設計
との関わりや考え方を辿った上で
- パラメータ設計の進め方
- 最適条件の探索
- エネルギー変換
- 品質工学の考え方
- ものの働きの考え方とその拡大
- ソフトウェアの品質工学
- 計測技術論
- MTシステム
- 誤差の損失
- 取引きにおける機能性評価品質工学の活用
等のテーマについて筆者の経験した事例解説と共にその本質の部分に切り込み分かり易く解説しています。
本書:「品質工学入門―技術者力を高める」(新版)です。
本書は、著者:矢野 宏氏にて、2011年4月に日本規格協会より発行されています。
<<本書のエッセンスの一部>>
本書の帯には以下のように書かれています。
初版発行から16年、この間の
研究の進展を踏まえ、新たに出版
『品質工学は実践の学問であることだけは確かである。
入門するためには、具体的に適用しなければ本当のところはわからないが、
そうは言ってもどこかに手がかりが欲しいと言われる。
その手がかりの本であると思って読んで欲しい。
そして、何よりも、いま自分が置かれている立場を考え、
そこで何をしなければならないかの
きっかけをつかんでもらえることを期待している』(”まえがき”より)
本書は、下記の目次のように18章から構成され品質工学(タグチメソッド)がどのように誕生し発展してきたかの全貌が本質論として学べるものとなっています。
写真から多数の図表を交えての分かり易い解説となっています。
そこは、他の品質工学の本でも同様です。
しかしとくに本書は、見出しの作り方をはじめ、筆者の文章力が優れていて、何故そのように考えるかといった方法論のところを急所を突いて解説しています。
その点がロングセラーとして読まれて来たポイントだと思われます。
各章の終わりには、ある種の禅問答のような勘所についての関連するエピソード等を紹介しながらその章のまとめとしてのエッセンス部分が整理してあります。
『品質工学をしっかりと学ぶには、課題を見いだし、考え方の利用方法を検討し、何よりも本気で取り組むこと』
と18章のまとめの項で筆者も説いています。
本書は、その品質工学を学び使ってみたいという気持ちにさせてくれる一冊でもある。
本書の16年に及ぶ読者の支持はそんなところにもあるように思う。
<<本書で何が学べるか>>
本書では、技術の本質, 設計の進め方, 設計・開発部門のマネジメントなどを交えて品質工学の本質を説くという内容で体系的に品質工学の基本を学ぶことができます。
またどのような着眼点から課題にアプローチするかといった課題解決の前さばきといった品質工学の考え方も学ぶことができます。
<<まとめ>>
「技術者力を高める」と本書の副題にありますが、そのようなニーズを持つ技術者だけでなく、品質工学の方法論に関心がある人には、本書は、是非、読んで頂きたい一冊です。
なお本書の目次は以下の内容です。
1. 歴史的に品質工学を支えた人々
1.1 品質工学のもとのもと1.2 電通研の仕事
1.3 理解をして支えた人
2. 技術開発の発想のもと
2.1 考えのもとはすでに初めにあった
2.2 タイル焼成の実験
2.3 タイルの焼成実験により明らかになったこと
2.4 基礎を作った実験計画法の時代
3. 技術におけるマネジメント
3.1 品質工学におけるマネジメントのもと
3.2 マネジメントと品質工学の関係
3.3 マネジメントにおける源流
3.4 技術者の歴史的立場
4. 技術開発の勘違い
4.1 マネジメントにおける上流
4.2 1980年代における品質工学の構成
4.3 中流における品質工学5. 切削加工の初期の具体例を通して考える
5.1 切削加工の働きを考えてみた
5.2 技術のもとにさかのぼる
5.3 パラメータ設計のための評価尺度の作り方
5.4 SN比の求め方
6. パラメータ設計の具体化
6.1 設計条件の選び方と組合せ方
6.2 これまでの実験の進め方
6.3 設計条件を合理的に組み合わせる
7. 設計条件の組合せによる効果
7.1 信号因子の効果のSN比による表現
7.2 制御因子の水準ごとのSN比と感度S
7.3 制御因子の水準の選び方で変わるSN比と感度
8. 最適条件を確かめる
8.1 確認実験を行う
8.2 実験の確かさを効率的に調べる意味
8.3 求められない組合せ効果を視覚化してみた
9. エネルギー変換の発見
9.1 1990年代からの品質工学の発展
9.2 電力変換の広汎な利用9.3 エネルギー変換のさらなる応用
10. 新しい考え方への革命10.1 品質工学の考え方を積み上げる努力
10.2 ものの考え方の枠組み変革
10.3 新しい考え方への覚悟
11. ものの働きを見いだす11.1 場数の意味
11.2 転写性が生まれたとき
11.3 基本機能の発見
11.4 基本機能は計測技術
12. ものの働き方の考えの拡大
12.1 ものの働きとは消費者の条件
12.2 “品質を欲しければ品質を測るな”はどこまで可能か
12.3 農作物の品質工学
12.4 感覚的特性は扱えるか
13. ソフトウェアの品質工学
13.1 シミュレーションは正確でなくてよい
13.2 非線形効果の処理
13.3 シミュレーションのパラメータ設計の加速
13.4 反復最適化の方向
13.5 ユーザビリティの評価
14. 品質工学の本質は計測技術
14.1 計測技術の基本
14.2 基本機能という発見に至る
14.3 真の値が不明の信号の作り方
15. パターンによる測定―MTシステム
15.1 MTシステムの始まり
15.2 MTシステムの方法
15.3 病気の診断に対するMTシステム
15.4 地震の予測もMTシステム
16. 誤差の損失を考える
16.1 測定の誤差による損失
16.2 許容差と損失
16.3 管理と検査の区別を―オンライン品質工学
16.4 社会損失と社内損失の関係
16.5 工程管理の新しい方法の導入
17. 取引きにおける機能性評価
17.1 新しい考え方の誕生
17.2 取引きにおける機能性評価の方法
18. 品質工学の活用
18.1 品質工学の考え方の活用
18.2 品質工学の研究課題の構築のために