東京電力の福島第1原子力発電所1号機の海水注入の中断で菅総理の指示があったなかったですったもんだしたが、結局のところ、海水注入の中断はなく、福島第1原発の吉田所長が海水注入を続けていたことが明らかにされた。


これまでも菅総理の失言と取られそうな問題が起きる度に「言った」「言わない」から誰か関係者の発言のせいにしてことごとく逃げるパターン。


案の定、今回のターゲットは、班目委員長となったよう。


首相官邸と原子力安全委員会の班目春樹委員長との間で海水注入による再臨界の可能性について「言った」「言わない」から間を取った形で「再臨界の可能性はゼロではない」とかで決着をつけようとしていたもの。


すでに水素爆発が起こってしまった後になるので、海水注入で再臨界の可能性とかを班目委員長に質問するとかは考えられず、この時点でメルトダウンが政府関係者にも周知の事実となっていたのではないかと推定される。


「圧力容器内に水がなく底に燃料がメルトダウンして塊状になっている」とかの情報なしに再臨界とかが話題になることは無いように思われる。


発電所所長、東電本社、原子力安全保安員、政府官邸、菅総理大臣の間の責任・権限がどうなっているのか良く分からないが、素人が思い込みとかで重大な影響がある問題に指示できるとかがあれば怖いこと。


どんな組織でも責任は、後で知らんぷりだが、権限は強大であれこれ口を出すというのがもっとも始末が悪い。


このような緊急事態において事態収束に向けての最適戦略の選択および最終的な指揮と判断は、現場責任者である発電所所長に一元的に委ねられるべき。


その他の東電本社、原子力安全保安員、政府官邸、原子力安全委員会、菅総理大臣等は、全て現場のサポートの立場に徹すべき。


…と思う。


ここのところ政府、東電からの小出しでの新情報の発表が相次いでいる。


この背景に国際原子力機関(IAEA)の20名の調査団が、福島第1原発などに入り調査中であることが関係していると思われる。


この調査団は、6月2日までの滞在中に政府当局者や東電関係者などから事情聴取を重ねるとのこと。


G8サミット(仏ドービルでの主要8カ国首脳会議)で菅首相は、来年1月までに原発からの放射性物質放出を止めるなど、事故を早期に収束させると言明。


国際社会に対しての見通しの立たない約束をして大丈夫なのだろうか。


さらに事故情報の全面開示を公約したことも宣言に明記されている。


一方、政府が設置を決めた「事故調査・検証委員会」は、「失敗学」で知られる畑村洋太郎・東大名誉教授が委員長。


10人程度の委員で年末までに中間報告をまとめるとのこと。


しかしこの委員会は、政府の管理下に置かれているので、政府の「人災」とかの検証は、どうみても無理に思える。


政府の「人災」の有無をしっかりと追求すべきは国会だ。


国会でも早急に専門家を組織化し国とは別に事故調査・検証を進めるべきだ。




本日は、初版の発行から16年間、品質工学の入門書として長きにわたり読まれて来た『品質工学入門』の全面改定版について紹介します


筆者の矢野 宏氏は、品質工学の方法論に触れ、本書の「まえがき」で以下のように述べています。


あえて一言でいえば多次元世界の評価の思想である。

計測技術とは、何が正しくて、何が誤っているかを評価する方法である。

このようにいえば、品質工学とは広義の計測技術であり,評価の学問である。

 しかし評価したこと妥当性を改めて問うという二重の評価を行うところが極めて複雑な構造である。』


<<ポイント>>


品質工学の定番入門書の最新動向を踏まえた全面改定版


本書では、田口玄一氏の品質工学に至る道筋と支えた人々のエピソード等からはじまり、


技術開発と


  • 実験計画法
  • マネジメント
  • パラメータ設計

との関わりや考え方を辿った上で


  • パラメータ設計の進め方
  • 最適条件の探索
  • エネルギー変換
  • 品質工学の考え方
  • ものの働きの考え方とその拡大
  • ソフトウェアの品質工学
  • 計測技術論
  • MTシステム
  • 誤差の損失
  • 取引きにおける機能性評価品質工学の活用

等のテーマについて筆者の経験した事例解説と共にその本質の部分に切り込み分かり易く解説しています。


本書:「品質工学入門技術者力を高める」(新版)です。


本書は、著者:矢野 宏氏にて、2011年4月に日本規格協会より発行されています。



<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には以下のように書かれています。


初版発行から16年、この間の
研究の進展を踏まえ、新たに出版


『品質工学は実践の学問であることだけは確かである。
入門するためには、具体的に適用しなければ本当のところはわからないが、
そうは言ってもどこかに手がかりが欲しいと言われる。
その手がかりの本であると思って読んで欲しい。
そして、何よりも、いま自分が置かれている立場を考え、
そこで何をしなければならないかの
きっかけをつかんでもらえることを期待している』(”まえがき”より)


本書は、下記の目次のように18章から構成され品質工学(タグチメソッド)がどのように誕生し発展してきたかの全貌が本質論として学べるものとなっています。


写真から多数の図表を交えての分かり易い解説となっています。


そこは、他の品質工学の本でも同様です。


しかしとくに本書は、見出しの作り方をはじめ、筆者の文章力が優れていて、何故そのように考えるかといった方法論のところを急所を突いて解説しています。


その点がロングセラーとして読まれて来たポイントだと思われます。


各章の終わりには、ある種の禅問答のような勘所についての関連するエピソード等を紹介しながらその章のまとめとしてのエッセンス部分が整理してあります。


品質工学をしっかりと学ぶには、課題を見いだし、考え方の利用方法を検討し、何よりも本気で取り組むこと


と18章のまとめの項で筆者も説いています。


本書は、その品質工学を学び使ってみたいという気持ちにさせてくれる一冊でもある。


本書の16年に及ぶ読者の支持はそんなところにもあるように思う。


<<本書で何が学べるか>>


本書では、技術の本質, 設計の進め方, 設計・開発部門のマネジメントなどを交えて品質工学の本質を説くという内容で体系的に品質工学の基本を学ぶことができます


またどのような着眼点から課題にアプローチするかといった課題解決の前さばきといった品質工学の考え方も学ぶことができます


<<まとめ>>


技術者力を高める」と本書の副題にありますが、そのようなニーズを持つ技術者だけでなく、品質工学の方法論に関心がある人には、本書は、是非、読んで頂きたい一冊です。


なお本書の目次は以下の内容です。
1. 歴史的に品質工学を支えた人々
1.1 品質工学のもとのもと1.2 電通研の仕事
1.3 理解をして支えた人
2. 技術開発の発想のもと
2.1 考えのもとはすでに初めにあった
2.2 タイル焼成の実験
2.3 タイルの焼成実験により明らかになったこと
2.4 基礎を作った実験計画法の時代
3. 技術におけるマネジメント
3.1 品質工学におけるマネジメントのもと
3.2 マネジメントと品質工学の関係
3.3 マネジメントにおける源流
3.4 技術者の歴史的立場
4. 技術開発の勘違い
4.1 マネジメントにおける上流
4.2 1980年代における品質工学の構成
4.3 中流における品質工学5. 切削加工の初期の具体例を通して考える
5.1 切削加工の働きを考えてみた
5.2 技術のもとにさかのぼる
5.3 パラメータ設計のための評価尺度の作り方
5.4 SN比の求め方
6. パラメータ設計の具体化
6.1 設計条件の選び方と組合せ方
6.2 これまでの実験の進め方
6.3 設計条件を合理的に組み合わせる
7. 設計条件の組合せによる効果
7.1 信号因子の効果のSN比による表現
7.2 制御因子の水準ごとのSN比と感度S
7.3 制御因子の水準の選び方で変わるSN比と感度
8. 最適条件を確かめる
8.1 確認実験を行う
8.2 実験の確かさを効率的に調べる意味
8.3 求められない組合せ効果を視覚化してみた
9. エネルギー変換の発見
9.1 1990年代からの品質工学の発展
9.2 電力変換の広汎な利用9.3 エネルギー変換のさらなる応用
10. 新しい考え方への革命10.1 品質工学の考え方を積み上げる努力
10.2 ものの考え方の枠組み変革
10.3 新しい考え方への覚悟
11. ものの働きを見いだす11.1 場数の意味
11.2 転写性が生まれたとき
11.3 基本機能の発見
11.4 基本機能は計測技術
12. ものの働き方の考えの拡大
12.1 ものの働きとは消費者の条件
12.2 “品質を欲しければ品質を測るな”はどこまで可能か
12.3 農作物の品質工学
12.4 感覚的特性は扱えるか
13. ソフトウェアの品質工学
13.1 シミュレーションは正確でなくてよい
13.2 非線形効果の処理
13.3 シミュレーションのパラメータ設計の加速
13.4 反復最適化の方向
13.5 ユーザビリティの評価
14. 品質工学の本質は計測技術
14.1 計測技術の基本
14.2 基本機能という発見に至る
14.3 真の値が不明の信号の作り方
15. パターンによる測定―MTシステム
15.1 MTシステムの始まり
15.2 MTシステムの方法
15.3 病気の診断に対するMTシステム
15.4 地震の予測もMTシステム
16. 誤差の損失を考える
16.1 測定の誤差による損失
16.2 許容差と損失
16.3 管理と検査の区別を―オンライン品質工学
16.4 社会損失と社内損失の関係
16.5 工程管理の新しい方法の導入
17. 取引きにおける機能性評価
17.1 新しい考え方の誕生
17.2 取引きにおける機能性評価の方法
18. 品質工学の活用
18.1 品質工学の考え方の活用
18.2 品質工学の研究課題の構築のために



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エジプトでは、民衆による100万人規模に及ぶ大規模な民主化要求の抗議行動により約30年に及ぶムバラク前大統領の独裁政権がついに崩壊し軍に権限委譲がされました。


ムバラク氏ら一族は、同国東部の紅海に面する保養地に脱出したとみられている。


ムバラク独裁政権下では、汚職が横行し、言論の自由も選挙の自由もなく、ムバラク氏が大統領に就任した1981年の非常事態法がそのまま弾圧に用いられてきた状態。


経済成長に伴う貧富の格差は拡大し、物価も高騰するばかりとの厳しい情勢。


隣国チュニジアで1月起きた「ジャスミン革命」をきっかけにしてたまりに溜まったエジプト民衆の不満が爆発したもの。


8,000万人の国民の4割近くの民衆は、日収が2ドル以下の貧困層で国民の約2/3を占める30才以下の若者の失業率が20%を越える状況と言われている。


これから伸びる若い国。


ヨルダン、イエメン、クウェート、サウジアラビアなどアラブの親米国の政府は、いずれも独裁的な王政か終身的な大統領の長期政権でいずれも飛び火を懸念しています。


このような流れの飛び火を恐れたバーレーンでは、民衆の不満が溜まらないようにこの11日に国王が1世帯あたり約22万円の現金を支給することを決めたとのこと。


イスラエルは、イラン革命のような流れとなりイスラム原理主義の「ムスリム同胞団」による反米政権が誕生するリスクよりはムバラク政権が続く方がましとしてムバラク政権を維持すべく動いていたとされる。


1月25日に始まった反政府運動は、18日間均衡を保っていたが、これまでムバラク政権を支えてきた軍が一転してアメリカ政府の意向を汲んで反政府の民衆に同調したため関ヶ原の戦いでの小早川秀秋の寝返りのように決定的な流れとなって独裁政権が崩壊することとなった。


「ムスリム同胞団」は、ムバラク政権下では、保身からか穏健野党となっていたが、民主的選挙が実施されるとなると圧倒的多数を占めると予想されるのでいざ政権に関わりを持った途端にどのように変貌していくかは分からない。


CIA、モサド、MI6らが入り乱れで諜報合戦を繰り広げていたことと想像される。


案外イスラエルが掴んでいた情報が正解だったということになるのだろうか。


今回の政変を先導したのは、フェイスブックやツイッターなど新しいメディアを通じたインテリ中間層のネットワークと言われる。


エジプトの反政府デモの最中に行方不明になり、秘密警察に11日間拘束されていたと話題となったGoogleの中東・北アフリカの地域幹部のワエル・ゴニム氏が絡んでいたことなど考えると今回の一連の民主化の流れは、中東・北アフリカ地域の安定化に向けてアメリカが仕掛けた流れなのかも知れない。


ワエル・ゴニム氏がどのような役割を担っていたのかは良く分からないが。


エジプトが民主化されたときに親米政権が誕生するのか反米に転じて行くのかは分からない。


エジプトの今後を含めこれからの中東・北アフリカ地域がどのように動いていくかが注目される。


国内に目を向けるとどうしても非観的になってしまう。


外交でも内政でも国益を損ねる稚拙で場当たり的な対応を重ねている管内閣の消費税増税への動きもひどいものである。


消費税増税に関して、麻生政権の末期に成立した09年度税制改正法附則104条で、「消費税を含む税制の抜本的な改革をおこなうため、2011年度までに必要な法制上の措置を講じる」としていたことをそのまま継承するとのこと。


与謝野氏の入閣から予想されたことだが、菅内閣は、自民党政権だったかと錯覚するほど。


なり振りかまわず公明党にすり寄ったかと思えば、駄目だとわかると社民党へアプローチなどと無節操なこと。


政府の主体性は全く見えず、財務省のやりたい放題になっています。


消費税を社会保障目的の特別会計とする方向が打ち出され、社会保障の財源は消費税だけとするかのような論法が横行しています。


これは1種の脅しの論理でそれなら仕方がないかという空気が生まれていくと問題です。


  消費税の使い道についての論議の前に消費税の徴収に関わる問題点の論議が置き去りにされているように思います。


社会保障目的とは口先だけで無策のままの消費税増税が招く結果として有名無実化している下請法を尻目に大企業が力関係で増税分を利益として取込む一方で中小企業が軒並み潰れてしまうような弱肉強食の流れを引き起こし確実に失業率が増え自殺者が急増するような悲惨な格差社会を生み出してしまうことが懸念されます。


消費税増税論議の前に、政府と官僚のリストラ大改革が大前提。


また懸念される問題点には、十分な手が尽くされるべきで決して拙速にことを進める問題ではないと思われます。




さて本日は、製造業の開発技術者向けに実験やテストをどう設計していくかといった品質工学の基本的な考え方を分かり易く説いている入門書を紹介します。


開発現場で時間とお金がかかる信頼性の問題をどのように検討するか、なぜ品質工学ではそのように考えるのかといった切り口と視点から品質工学の基本思想について解説しています


実践的に現場ですぐに使えるように品質工学に基づく品質評価法、データ解析法のエッセンスを分かり易く解説しています。


<<ポイント>>


SN比パラメータ設計を重点として品質工学の中心的考え方となる二段階設計を中心に解説している品質工学の入門書


本書では、


信頼性の要となる評価テストの考察からはじまります。


  • 機能についての考え方
  • 品質機能展開(QFD)の考え方
  • データ解析の基礎
  • SN比と機能性評価
  • パラメータ設計と二段階設計の手順
  • 戦略ツールとしての品質工学の位置づけと損失関数
  • 品質管理の限界を超える(QCからTQMへの流れと今後の技術開発の動向)

といった各要素について重点となる考え方をクローズアップしながら品質工学の基本を説いています


本書:「開発現場で役立つ品質工学の考え方」です。


機能展開・データ解析・パラメータ設計のポイント」との副題が付いています。


本書は、著者:長谷部 光雄氏にて2010年11月に日本規格協会より発行されています。



<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には以下のように書かれています。


コレならわかる!実践できる!!

本書で、あなたのQE(品質工学)をステップアップ



本書は、日本規格協会の月刊誌「標準化と品質管理」に連載された『初心者のための品質工学』が書籍化されたものになります。


ルール栄え、モラール廃れる」と題した序章で、ものづくり現場での信頼性と寿命に関する問題提起と本書の全体構成の概観から始まりますが、下記の目次のように8つの章から構成されています。


品質工学のコンサルタントとして国内40か所以上での講演やセミナーまた数社での技術指導を続け、下記の品質工学の啓蒙書でも知られる筆者らしく読者が品質工学のどのような点で躓きやすいかといったツボを十分に心得て、シンプルで明快な言葉で要約しての解説が進められていきます。



数学的な解説部分でも図を多用した解説となっており、挿入された多数のグラフなどの図表も分かり易くシンプル化されており入門者に親切な解説となっています。


特に重要な考え方の箇所について下記の例のようなスタイルで枠囲みで強調しての分かり易い構成となっています。


『少ないデータで正しい判断を導く戦略』

  1. いじめれば、わかる(機能性評価)
  2. 試せば、わかる(パラメータ設計)

本書のざっとした構成を紹介します。


本書は、信頼性試験における評価テストについての考察を取り上げ品質工学とはどのようなものかといった解説からスタートしています。


品質工学」について以下のようにまとめています。


少ない情報で正しい判断を導く工夫。
品質工学とは、ものづくり技術の文法であり、
技術者の基本的リテラシーだ。


そして機能性評価機能展開について各1章を割いて「品質とは何か」との問いかけから「機能を考えることは本質に迫ること」とし機能性評価の考え方を説き、機能展開をどのように進めるかの実施上のポイントを解説しています。


次いで技術情報を引き出す方法に関する実践的データ解析の基礎として統計数学の基本を解説した上でノイズ因子の重要性に焦点を当てデータマイニングの方法論と実践的データ解析とを比較しながら「事前に情報を仕込むこと」「直交表を使った因子の組合せ」などを解説しています。


また(ノイズ因子を活用しながら機能を測定する)機能性評価の手順、ノイズの意味とSN比の考え方を解説した上で


  • 静特性のSN比を使った機能性評価
  • 動特性のSN比を使った機能性評価
  • 極端ノイズを使った動的SN比

の解説をしています。


そして直交表を活用したパラメータ設計の手順の解説に入ります。


選択肢が限られている場合の最適化設計の解説に次いで選択肢が多い場合の最適化設計のための9つのステップについて詳解しています。


さらに終わりの2章で品質工学について技術体質の改革のための戦略ツールとしての観点からの解説と損失関数の
考え方、今後の技術開発の展望など説いています


<<本書で何が学べるか>>


本書では、開発現場で品質確立と効率化の切り口から品質工学を活用するとの観点から、その場合、信頼性をどのように検討するのかなぜそのように考えるのかといった点に焦点を当てて品質工学の二段階設計を中心に解説しています


SN比機能展開データ解析パラメータ設計などの原理・原則をなす考え方を重点化し解説しています。


開発現場に精通した筆者らしくかゆいところに手が届く丁寧な解説となっています。


<<まとめ>>

本書は、品質工学の基本的な考え方を学びたい技術者、マネジャーにはお奨めの一冊です。

なお本書の目次は以下の内容です。
序章 ルール栄え, モラール廃れる
ものづくり現場の実情
品質工学のねらいは経営課題の解決
本書の全体構成
第1章 技術者よ, 自由になれ!―デバッグ体質からの脱却―
評価テストは信頼性の要
評価テストのコストが肥大化している
時間と数量の壁
時間短縮は可能か
評価テストの意味
シミュレーションの目的
少ないデータで正しい判断をする
自由になれ, そして, 大志を抱け
第2章 機能のやさしい考え方
品質とは何か
品質の検出力を高めることがねらい
機能の重要性は, 様々なツールでも共通
対象を一般化して考える
具体的な例
機能を考えることは本質に迫ること
機能を考えるコツ(1)
機能を考えるコツ(2)
機能を考えるコツ(3)
機能はアイデアを生み出す
機能分離で複雑化に適応
第3章 機能展開の考え方
品質機能展開(QFD)とサブ機能
機能展開のメリット
サブ機能に展開する際の注意点
機能展開の失敗例
機能展開のコツ
よい機能展開は優れたアイデアにつながる
機能展開のまとめ
機能展開の注意点
第4章 実践的データ解析の基礎(技術情報を引き出す方法)
ばらつきは宝の山
データから情報を取り出す方法
変動と自由度の関係
ばらつきの変動を分解する方法
分解された変動の意味
繰返しデータの分解
三元配置のデータ解析と直交表
データマイニングとの違い
第5章 検出力を高める方法(機能性評価,SN比)
理想的なデータの条件
少数精鋭データのコツ(1)
少数精鋭データのコツ(2)
いじめればわかる機能性評価
ノイズの意味とSN比
静特性のSN比を使った機能性評価
動特性のSN比を使った機能性評価
極端ノイズを使った動的SN比
第6章 改善策を効率的に見つける方法(最適化設計)
選択肢が限られている場合の最適化設計
選択肢が多い場合の最適化設計(パラメータ設計)
第1ステップ:課題の確認
第2ステップ:機能の定義
第3ステップ:その1 ノイズ因子の決定
          :その2 ノイズ因子のコツ
第4ステップ:その1 制御因子の決定
           :その2 制御因子のコツ
第5ステップ:その1 実験計画(制御因子の割付け)
           :その2 実験計画(ノイズ因子の割付け)
第6ステップ:実験と計測
第7ステップ:その1 データの解析, 要因効果図のつくり方
           :その2 要因効果図の見方 二段階設計
第8ステップ:再現性の確認
第9ステップ:考察、 まとめ
パラメータ設計の本当のねらい
第7章 戦略ツールとしての品質工学
マネジャーのためのツール
開発期間の短縮
市場不具合はソフトウェア関連がトップ
直交表の性質を活用する
バグ検出の効率化
絶対安全は存在しない
第8章 品質管理の限界を超える
QCからTQMへの流れ
QCの限界とTQMのねらい
基本はパラダイムシフト
新パラダイムとは技術的考え方のこと
現実的な判断には, 損失関数が必要



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メガコンペティションが進み、企業環境はますます厳しい状況にあることは変わりません。


とくにメーカーが収益を確保するための手法として


経営資源を技術開発段階に集中させ


タグチメソッドによるパラメータ設計を活用し、開発の効率化を図っていくことは、有力な方法になります。


そこでは、パラメータ設計などタグチメソッドの使いこなし力が必要になります。


パラメータ設計というのは、


システムの要素の設計値を決める際に、


個々のパラメータ(条件)について、


使用上、あるいは製造上の


安定性(SN比)が高く、


ロバストネス(頑健性:すなわちシステムがノイズの影響を受けにくいこと)


を備えた水準値を決めることを意図した設計になります。


タグチメソッドの使いこなしという面から上級者向けに以下の3点を重点ターゲットとしてタグチメソッドの活用を解説している本を紹介します。


  1. 自分でSN比の式を作ることができること
  2. 基本機能の詳細な解説
  3. 2段階設計法の具体的な方法論と完全適用

なおタイトルにもある「上級」との部分ですが、本書は、筆者らによるパラメータ設計の入門書である「入門パラメータ設計」(「ISOの本棚」でも紹介)を既に読了している技術者、技術系管理者、役員を対象とのことです。


<<ポイント>>

タグチメソッドのパラメータ設計のエッセンス部分を上級向けとして説く解説書。


本書では、


最初に、タグチメソッドの基本となる


  • 損失関数
  • 許容差設計

の基礎概念等を分かり易く確認した上で、


以下の3つのポイントに重点を置いてタグチメソッドを解説しています。


  • 「SN比の式」を自分で作れるようになること
  • 「基本機能」についての詳細解説(機能性、基本機能を考えなければならない理由、基本機能の定義など交えての解説)
  • 2段階設計法(すなわち、第1段階でSN比が高いパラメータを決め、第2段階で感度を調整する)の完全適用の方法

さらにタグチメソッドを活用しての企業の開発マネジメントについても言及しています。


本書:「上級タグチメソッド」です。


タグチメソッドの真髄を3つのポイントから重点的に明快に解説」との副題が付いています。


本書は、著者:中野 惠司氏、井上 清和氏、大場 章司の共著で2009年12月に日科技連出版社より発行されています。



<<本書のエッセンスの一部>>

本書は、下記の目次のように7章から構成されています。


また付録として、直交表でよく用いられるものが巻末に添付されています。


ざっとした構成は、第1章、第2章がタグチメソッドの入門編との位置づけとのことで、損失関数や許容差設計等の基本的な考え方の解説になっています。


タグチメソッドにおける品質の定義を一般的な品質と対比しての解説にはじまり、損失関数、安全係数、許容差設計(許容差の決め方:特性をばらつかせている原因の除去)の基本的な考え方を解説しています。


次いで、「SN比と感度の式」をどのように作成すれば良いかという点について、


  • 静特性/表示因子/表示因子がある場合
  • 動特性(ゼロ点比例式)/表示因子がある場合

の方法を解説しています。


また「基本機能」について概観した上で、基本機能を導き出すための手順、目的機能と基本機能といった流れで解説しています。


  • 基本機能を用いることの利点、
  • ユーザーサイドでの使用条件に対する信号因子と誤差因子に関わる考え方、
  • 電源回路等の各種技術での基本機能、
  • 化学反応の基本機能の考え方としての動的機能

といった展開になります。


パラメータ設計を行う際に知っておいた方がよい知識として逐次近似法分割型SN比による取扱について解説しています。


最終章が本書のまとめとしての位置づけにもなっています。


タグチメソッドを用いた効率的な開発の進め方について論じています


ここでは、


  • 2段階設計法の完全適用と機能性評価、
  • 開発にタグチメソッドを組み込むためのマネジメント、
  • 技術開発段階、商品企画段階、商品開発段階との開発のフェーズに対応したタグチメソッドを組み込んだ開発

について解説しています。


本書の各章の終わりには、演習問題が付いていますが、上級編だから解答は用意していないとのことで各自が考えるガイドにして欲しいとしています。


本書の「はじめに」で


「本書は難しい。

一読しただけで本書のすべてが理解できることは先ず無い」


としています。


と紹介すると本書を手にするのに尻込みする読者があるかも知れませんが、本書は、決してそんなにハードルが高い内容とも感じられませんでした。


パラメータ設計」を一読した上でないと本書の理解が困難というものようなものでは無いと思います。


その昔、経路積分や、素粒子の反応を図示化したファインマン・ダイアグラムの発案でも知られるリチャード・P・ファインマン(Richard Phillips Feynma)がカリフォルニア工科大学時代の講義内容をもとにした、物理学の教科書で、『ファインマン物理学』というのがありました。


この本は、分かりやすさと読者を惹きつける軽妙な語り口から世界中でヒットしました。


私もかってこの本で勉強し、物理学が好きになりました。


専門書のなかには、読者を余り意識することなくマイぺースで、敢えて難解に書いて煙に巻くようなものもあったかも知れません。


情報化時代で読者の選択肢が多くなって、そういうものは、受入れられない時代になっていると思います。


そんなことから専門書といえども、またたとえその扱っていることが難しいことであっても如何に平易に説明できるかが筆者の力量だと思います。


その面では、本書は分かり易く書かれているのではないかと思います。


筆者らは、コンサルタントをされているとのこと。


クライアントの支援を通してタグチメソッドのどのような点が分かり難いとしているか等の急所を日常的に良く把握されているので分かり易い説明ができているのだと思います。


<<本書で何が学べるか>>

本書では、機能性の評価技術としてのタグチメソッドのなかでも開発・設計段階のオフラインに関わるエッセンスを以下の3つの目的を中心に解説している上級向けのタグチメソッドの解説書になります。


  • 「SN比の式を自分で作ることができる」
  • 「基本機能の明確化解説」
  • 「2段階設計法の完全適用」

事例の解説を交え、数学的な取扱も比較的少なくして分かり易く解説しています。


<<まとめ>>

本書は、タグチメソッドの設計・開発への活用に関心がある技術者、技術系マネジャー、技術系経営者にはお奨めの一冊です。


タグチメソッド(とくにパラメータ設計)についての何らかの入門書と併せて読まれることが必要かも知れません。


なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 損失関数
第2章 許容差設計
第3章 静特性のSN比と感度の式を作る
第4章 ゼロ点比例式のSN比と感度の式を作る
第5章 基本機能
第6章 知っていると良い他の知識
第7章 タグチメソッドを用いた開発の進め方
付録 直交表



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品質は、人質との言葉があります。

すなわち、モノづくりの基本は、究極のところヒトづくりに帰すると言われます。

現下の職場に多数の課題が山積している環境下で、より高いモノづくり品質を目指すとなるとそれに携わる技術者が適切な力量と顧客視点のセンスをしっかりと磨くことが重要になります。

本日は、開発・設計における“Qの確保”をテーマとした書籍を紹介します。

日本品質管理学会中部支部産学連携研究会の編集による本書において、厳しい環境の中、モノづくり品質をつくり込むためにエンジニアがどのように仕事を進めたらよいかといった一つの指針を説いています

モノづくりの成果は、製開販に関わる実務担当者の思いと努力と粘りの結晶がもたらすものということになりますが、とりわけ原流側の立場にある開発・設計のエンジニアは、大きな位置づけを占めています。

とくに「お客様に安心して、いつまでも安全に使っていただける“良いモノづくり”を可能にするのは、モノづくりに携わる一人ひとりの技術者」次第とも言えます。

本書の「まえがき」で日本品質管理学会中部支部 支部長の木下潔氏は、本書について、


『モノづくりに携わる一人ひとりの技術者が、愚直に、地道に、徹底して品質にこだわりをもち続けることができるよう、研究会で検討を続けた”Qの確保”のための道筋をまとめました。

自らの仕事のプロセスを常に見える化し、潜在する問題にもスポットがあるようにして問題解決・未然防止につなげられる実践的な内容です。

この中で述べられている内容をモノづくりに携わる一人ひとりが実践できるかどうかが、次の時代への飛躍につなげるための鍵を握っているといっても過言ではありません』

と述べています。

<<ポイント>>

品質(Q)の確保”をテーマに、現在、モノづくりの現場が抱えている問題を現地・現物の視点から抽出し、具体的に解決していくための方法論・考え方・手順等を中心に“品質(Q)の確保のための指針として多数の事例解説を交えて説いている本

本書は、社団法人 日本品質管理学会中部支部 産学連携研究会(早稲田大学 永田靖教授を代表とした12名の執・編著者)で“品質(Q)の確保”をテーマに検討を重ねてきた内容で、

トヨタグループの取組みを基に、品質工学を効果的に活用するためのコツと社内に展開する上でのポイント等を分かり易く解説しています。

また設計の変更点やお客様の使用条件・環境条件の変化点に潜んでいる問題にいかに気づくか、一人ひとりの技術者が、これまで以上に感度を上げていくために、モノづくり品質をつくり込むためにエンジニアがどのように仕事を進めていけばよいのかの道標となる内容にまとめられています。

本書:「開発・設計における“Qの確保”」です。

より高いモノづくり品質をめざして」との副題が付いています。

本書は、日本品質管理学会中部支部 産学連携研究会の編集にて、2010年5月に日本規格協会より発行されています。

<<本書のエッセンスの一部>>

本書の帯には、以下のように書かれています。

高い品質で新たな時代を切り開く!

品質確保のための新しい実践的手法の提案


本書は、10章から構成されています。

トヨタ自動車(株)の豊田章一郎名誉会長の自動車技術会60周年講演での日本の自動車産業の今日までの発展要因について「現場現物」、「品質は工程でつくり込む」、「価格はお客様が決める」、「モノづくりはヒトつくり」という4つの努力があった結果とのお話から、トヨタのモノづくり基盤を築いて来た人たちの品質に対する考え方を上記4つの言葉にまつわるエピソード等を交えて紹介するところから始まります。

また最近のモノづくりに関して技術分野の「信頼の崩壊」とも言える重大事故、失敗、問題による信頼の崩壊といった事象を取り上げ、それらの「開発・設計問題」の真因は何かを考察し、開発・設計の早い段階で、変更点、変化点に潜む問題を発見して未然に対処する「未然防止」を徹底するマネジメントの必要性を強調しています。

そして、本書の「Qの確保」というテーマに関して、『現在の厳しい経済状況のもと、逆風を追い風に変えていくためのキーワードは、仕事のプロセスを見える化する「プロセスマネジメント」と、問題発見に着目した「未然防止」』と述べています。

また「Qの確保」の重要性を再確認し、中部地方のモノづくりの現場が抱えている問題の調査の結果、「仕事のプロセスが見えていない」「見えていない問題を解決する能力の低下」の問題に集約されたとし、「Qの確保」のルーツとなる『トヨタ生産方式TPS)』(”ジャストインタイム”と”自働化”)を概観し、自工程完結に繋がる仕事のプロセスが「Qの確保」のキーになるとしています。

そして、「Qの確保”のための問題発見と問題解決(未然防止)」をテーマに顕在化した問題の再発防止と対比して起こりそうな問題を予測してそれに未然に対処する未然防止に焦点を当てて論じています。

FMEAやFTAなどリスク評価の手法に触れ、未然防止の観点からリスク評価の結果、切り捨てられそうになった部分に問題が潜んでいる可能性があることなど留意した上で、

  • 「変更点」や「変化点」に潜む問題を発見すること
  • 比較による思考の連鎖から問題の芽に気づくといったこと
  • 既存の問題解決手法

について考察し、実践的問題解決手法をその手順と共に提示しています。

またなぜなぜ5回で真の原因に到達できるかを考察し、真の原因を特定するのにStress-Strengthモデルを考えることの意義を説いています。

そして「Qの確保」をモノづくりの開発・設計現場で実践していくために必要なマネジメント力の発揮に焦点をあて、プロセスマネジメント問題解決の側面から何が必要かを説いています。

自工程完結の基本思想の「One Process,One Decision)を果たすための手法として、品質工学SQCデザインレビューについてプロセスマネジメントの視点からどのように取組むべきかを説いています。

また「マネジメントの基本は“プロセスの見える化”」と「プロセスマネジメントの実践手法と事例」について、方針使命の理解、ビジョン策定、お客様の声(VOC)から要求項目の整理、方針管理と日常管理、プロセスリンクマネジメント、TLSC(Total Link System Chart)の実践事例、QCMS(Quality Chain Management System)の実践事例など詳解されています。

そして、品質工学とSQC との融合などを含む「開発・設計における技術力アップのための問題解決の実践方法」について、機能展開の手順、品質工学の効果的活用のポイント、適合設計の進め方、有限要素法(FEM)シミュレーション実験の合わせ込みの品質工学の活用、品質工学とシャイニンメソッドの活用、設計・製造におけるばらつきの低減、品質工学とSQC の推進体制等のポイント、パラメータ設計の留意点などを解説しています。

次いで「問題の見える化」から「問題解決」につなぐプロセスとしての視点からのデザインレビューと情報抽出、問題発見のためのデータベースの活用をどのように進めたらよいかについて事例を交えて詳解しています。

また“Qの確保”の源泉となる「現場力と職場力」についてその重要性、「現場力と職場力」に基づくエンジン開発、ハイブリッド車開発の事例を交えて問題解決に現場力と職場力がどのように発揮されたかを解説しています。

最後に、“Qの確保”に関わる産学連携研究会、テーママップなどをまとめ整理した上で、今後の課題について展望しています。

<<本書で何が学べるか>>

本書では、商品の質と価値を守り、安心・安全を保証する“Qの確保”には何が必要かとの観点から日本品質管理学会中部支部 産学連携研究会で重ねてきた検討がベースになっています

特に「仕事のプロセスが見えていない」「見えていない問題を解決する能力の低下」が課題であるとしてこれを解決すべく、トヨタグループでの取組みを基に、SQC品質工学デザインレビューを核としてこれらを融合的に効果的に活用するためのコツと社内に展開する上でのポイント等を事例を交えて分かり易く解説しています

<<まとめ>>

本書は、開発・設計に関わるエンジニアの方々をはじめ“品質(Q)の確保”に関心がある技術者には読んで頂きたい一冊です。

なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 先人たちの品質へのこだわり
1.1 現地現物
1.2 品質は工程でつくり込む
1.3 価格はお客様が決める
1.4 モノづくりはヒトづくり
第2章 最近のモノづくりで何が起こっているか
2.1 最近多発している重大事故,失敗,問題による信頼の崩壊
2.2 日本のモノづくり品質における優位性の低下
2.3 開発・設計現場で発生している問題の真因は何か
2.4 経済危機の中で“Qの確保”の解を見いだせるか
第3章 モノづくりにおける“Qの確保”
3.1 “Qの確保”の重要性
3.2 “Qの確保”のルーツ―トヨタ生産方式(TPS)
3.3 “Qの確保”はそれぞれの工程で品質をつくり込む自工程完結
第4章 “Qの確保”のための問題発見と問題解決(未然防止)
4.1 見えていない問題を発見して解決する未然防止
4.2 これまでの問題解決手法で見えていない問題に手を打てるか
4.3 問題発見に着目した実践的問題解決手法の提案
第5章 “Qの確保”へのアプローチ―プロセスマネジメントと問題解決
5.1 プロセスマネジメントからのアプローチ
5.2 問題解決からのアプローチ
第6章 プロセスを見える化するプロセスマネジメントの実践方法
6.1 マネジメントの基本は“プロセスの見える化”
6.2 プロセスマネジメントの実践手法と事例
第7章 開発・設計における技術力アップのための問題解決の実践方法
7.1 品質工学とSQC との融合に向けて
7.2 基本機能を導くための機能展開
7.3 品質工学の効果的活用のポイント
7.4 適合設計の方法論
7.5 シミュレーション実験における品質工学とシャイニンメソッドの活用
7.6 設計・製造におけるばらつきとは
7.7 品質工学とSQC の推進体制
7.8 パラメータ設計における留意点
第8章 “Qの確保”を支えるデザインレビューとデータベース
8.1 デザインレビューのシステム
8.2 データベースと情報抽出,問題発見について
第9章 “Qの確保”の源泉―現場力と職場力
9.1 現場力と職場力の重要性
9.2 現場力と職場力の発揮による問題解決事例
第10章 まとめと今後の課題
10.1 “Qの確保”のための産学連携研究会
10.2 “Qの確保”のためのテーママップ
10.3 “Qの確保”のための今後の課題

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技術者の意地」というタイトルは、本書の物語の中心となる技術者・矢吹真一郎(架空の人物)が「なぜ品質工学(物語のなかでは十文字メソッドと呼ばれている)を始めるに至ったかという動機」を問われた際に思わず直感的につぶやいた言葉になります。

技術にも品質がある』(「ISOの本棚」でも紹介)の著者:長谷部 光雄氏が、“品質工学”の考え方と方法論を架空の中堅企業を舞台に小説仕立てで説いている本を紹介します。

品質工学(タグチメソッド)の誤差因子に強い技術や製品を開発するための最適化手法で、SN比と感度を指標にしてシステムの設計定数を決める方法の『パラメータ設計(ロバスト設計)』の手法等を中心に未然防止を中心にした品質の作り込みのための手法として説いています。

先の技術者・矢吹真一郎(架空)は、湿度センサなどの装置を開発し製造・販売している会社で湿度センサ技術の社内の第一人者の人物。

湿度センサをめぐるこの主人公の矢吹真一郎の悩みと行動を軸に十文字メソッド(十文字博士がこの手法のアドバイザーとして登場しています)と名付けた方法を活用して課題解決するストーリーを通じて品質工学の考え方を解説しています。

小説を読み進める中で品質工学の考え方が学べるという構成になっています。

また本書の途中には、筆者による例えば、「SN比」、「二段階設計」などの基礎概念の解説文も挿入されており本書のストーリーを補完・レビューするという構成になっています。

<<ポイント>>

技術者の悩みと行動を軸にしたストーリー仕立てで品質工学タグチメソッドの考え方と方法論を説く本。

本書では、

架空の中堅企業を舞台にして

技術者たちが湿度センサをめぐる

品質問題を解決するため十文字メソッド

品質工学:タグチメソッド

に取り組むとの展開を通して

品質工学の考え方・手法を解説しています。

また小説のなかの会話と解説を通して筆者の技術開発哲学

も語られています。

本書:「技術者の意地」です。

読むだけでわかる品質工学」との副題が付いています。

本書は、著者:長谷部 光雄氏にて、2010年3月に日本規格協会より発行されています。

本書は、日本規格協会の月刊誌『標準化と品質管理』に連載され好評を博した『読むだけでわかる品質工学』が単行本化された一冊です。

<<本書のエッセンスの一部>>

本書の帯には、以下のように書かれています。

好評既刊『技術にも品質がある』の著者が、

技術者・矢吹慎一郎(架空)の悩みと行動を軸にして、

品質工学”の考え方と方法論を

小説仕立てで解き明かす


本書の『リコールとは見えない不良』と題した「まえがき」で

筆者は、リコールについて論じ、

リコールの未然防止が良いのは自明のことだが、問題の中味が複雑化し高度化しており従来の品質管理の手法では制御できなくなっている。

検査では見つけ出せないが市場で使われるうちに発生してくる不具合点に関わる「見えない不良」などにも対応できる品質を管理できるとの観点から矢吹慎一郎と共に読者も考えて欲しいとしています。

本書のストーリーは、「八方ふさがり」との矢吹慎一郎が湿度センサの市場の不具合情報が掲載されたレポートを見ている場面から始まります。

矢吹達の開発陣が長年苦労して見つけ出した製造の最適条件と思える条件で生産が進められているはずだが、市場トラブルが相次いでおり、そこに手を付けたいが、日常的な初期不良の対策に手一杯の状況で根本的な対策にはなかなか手が回らないという悩ましい状況。

そのような状況のなか、『十文字メソッド』を活用して製造条件を見直すとの流れが。

最初は、『十文字メソッド』に最初は、複雑な思いを持った矢吹だが、専門家の話を聞いたり勉強してみて自分が思考の惰性に陥っていたとのことに気付く。

十文字教授に指導を受けるなかでロバスト性SN比機能性評価手法などを学んでそれを湿度センサの評価手法に取り込んでとの展開。

36節の「エピローグ」まで

「二段階設計」について、

  1. パラメータ実験での制御因子(パラメータ)とその水準の選び方
  2. 製造工程の改善方法
  3. 基本は安定性(二段階設計の思想)

といった解説などを含めて、ストーリーの展開とレビューとなる解説を交えて設計・製造に関わる品質工学の考え方と方法論が分かり易く説かれていきます。

会話のやりとりのなかで品質工学に関わる筆者の開発哲学も説かれています。

以下に一端を紹介します。

「要するに設計の役割は、SN比を使って製品のロバスト性を高めることなんだ」

「そうです。現在の我が社の課題は、開発部門で技術のロバスト性を高めることと製造部門で品質管理の技術を確立することの二つなんです。」

「張は、不良が発生した際の損失金額と、不良を防止するために必要な経費を計算し、その二つの金額が一致するように管理するのが最良の工程条件であると説明した。」

「うーん、最近の経営方針は、効率化だけを追求している例が多いからな。我が社もそうだが、どの会社も判で押したようにスピード経営を謳っている。表面的な効率は改善されたかもしれないが、一人一人の心が貧しくなっているのかもしれないね。そして知らないうちに技術力も低下しているのだろうな」

「最適条件の決定よりももっと重要なことがあります。技術者にとって重要なのは、何が起きているかを理解することです。起きている現象を把握しコントロールできるならば、最適条件は容易に導き出せますから

「汎用技術とは、個別問題に対して汎用的な観点で機能を導き出して、その機能をシステムとして解析するやり方のように見える。

いままで自分たちは、あまりにも個別の技術だけに目を奪われていたようだ。矢吹は、個別問題を一度突き放して、技術の考え方や開発のやり方について考えてみることも必要だなと感じだした。」

「勝ち負けにこだわるのは、本当の技術者の意地じゃないですよ。本当に良いもの、世の中にないものを創り出すことにこだわるのが、技術者の意地ですよ。勝ち負けは外面的なこと、一時的なことですが、内面的なこと、自分で納得できるかどうかの方がはるかに重要です。」

などほんの一端を紹介しましたが、本書には、このような内容が満載されています。

本書の最後に「田口玄一博士の本当の言葉」についてエピソードなど交えて解説しています。

以下のように述べて結んでいます。

技術立国日本の将来を考えたとき、モノづくり技術を極めたその先に、創造性を基盤にした技術開発力の構築が重要と思える。

その構築のためには、タグチメソッドと呼ばれる品質工学の考え方が、非常に重要であると筆者は信じている。』


<<本書で何が学べるか?>>

本書では、物語の展開と重点内容をレビューしている解説を通して、“品質工学”の考え方と方法論についてどのようなものかを学ぶことができます。

<<まとめ>>

本書では、『パラメータ設計ロバスト設計)』等を中心とした品質工学タグチメソッド)の考え方や手法について架空の中堅企業を舞台に技術者たちが湿度センサにまつわる品質問題を解決していくとの物語仕立てのストーリーを通して分かり易く解説しています

品質工学についての知識の如何に関係なく、リコールの未然防止の考え方等に関心がある経営者・マネジャー・ビジネスパースンには、本書は、是非、読んで頂きたい一冊です

なお本書の目次は以下の内容です。
まえがき―リコールとは「見えない不良」
1. 八方ふさがり
2. 論争
3. 可能性
4. 動き出し
5. 見せかけの矛盾
6. 因数分解
7. 思いもよらない収穫
8. ロバスト性
9. SN比
10. 極端条件
11. 懸念項目
12. いじめられる子ども
13. 製造工程の改善
14. 改善のパラメータ
15. 基本は安定性
16. 要因実験
17. 設計の責任
18. 実験の意味
19. レビュー
20. 見えない不良
21. マネジャーの責任
22. 常識のウソ
23. 実験結果
24. 報 告
25. 製造技術の問題
26. 現場の観察
27. 結果の解釈
28. 偶然の必然
29. なぜなぜ分析
30. 免疫に学ぶ汎用技術
31. 生産の開始
32. Q研での発表
33. 目標管理
34. プロセス改善プログラム
35. 成果報告
36. エピローグ
[ 解 説 ]
現状把握
心理的惰性からの脱却
SN比
二段階設計
設計の責任
損失関数とマネジャーの役割
実験結果の見方
ばらつきの意味
フロントローディング
目標の達成と体質の改善
田口玄一博士の本当の言葉

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オフライン品質工学は、市場における品質問題について設計段階で製造の現場を離れて行う研究活動を対象にしており、さまざまな使用条件に耐え得る設計といった点を重視した品質工学のアプローチになります。


これに対してオンライン品質工学は、以下のような原因による製品品質の悪化予防の活動を対象に製造部門が日常の生産の中で行う管理活動のばらつきに対して、品質の確保だけでなく、消費者が被る損失や製造者が負担するコストとのバランスの上で品質を追求するという工程の管理方法を提供する品質工学のアプローチになります


  1. 工程の状態が悪化する
  2. 装置や機械が故障する
  3. 原材料がばらつく
  4. 作業ミス

本日は、このオンライン品質工学について、品質工学の第一人者の田口 玄一 博士が解説している本を紹介します


<<ポイント>>


オンライン品質工学の要を、品質工学の第一人者が理論と事例でわかりやすく解説している本


本書では、損失関数の考え方と許容差の決め方といった基本事項にはじまり、


工程を健全な状態で管理するための


  • フィードバック制御と工程水準の維持、
  • 陰故障の管理、
  • 多工程の連結設計、
  • 陽故障・潜在陽故障の予防、

ばらつきのある原材料でも原材料の特性に見合った製造条件にコントロールしてばらつきのない製品特性を管理する適応制御フィードフォワード制御)、


さらには、無検査出荷か全数検査出荷の選択基準を考察し製品検査の考え方を説いています。


オンライン品質工学に欠かせない基本的な内容から実際の適用での諸問題まで事例を交えて解説しています


本書:「ベーシック オンライン品質工学」です。


本書は、著者:田口 玄一博士と横山 巽子 博士との共著にて、2009年9月に日本規格協会より発行されています。



<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には、以下のように書かれています。


オンライン品質工学の要を理論と実例でわかりやすく解説


本書は、12章から構成されています。


各章の終わりには、その章の理解のための演習問題が付与され、また章の内容を補完する『注』で計算などに関する詳細で補足的な解説が掲載されています。


以下に章を追って概要を紹介します。


第1章では、「許容差と品質水準
と題して、製品の合否判定にも関わる許容差について品質工学の立場からみて合理的な許容差とは何か?またそれをどのように求めるかを取り上げ、品質工学の基本となる損失関数の考え方と合理的な許容差の決定の考え方など解説しています。


基準値許容差との位置づけに始まり、目標値からのずれによる損失はどのようなものになるか、電源回路の出力に対する許容差の算出など交えて損失関数に基づく許容差の算出手順、さらには、下位特性(原因特性)の許容差/特性値のばらつきによる損失、特性値の分布型と損失関数、特性値の種類と損失関数といった事項を取り上げ解説しています。


第2章では、「フィードバック制御による工程水準の維持
と題して、生産される品物の特性を一定の間隔nで計測し、ある臨海値Dを超えたら工程の悪化と判断し調整してもとの状態に戻すとの考えに基づく、フィードバック制御による工程水準の維持の考え方と方法を解説しています。


工程の悪化は以下の3つの原因で生じるとして1.2.の場合は、診断や調整により工程状態を管理できると説いています。とくに1は予防的な手段が望ましいとし、2のケースを対象にフィードバック制御を解説しています。


  1. 生産を継続していく中で、摩耗などが原因で徐々に悪化する場合。悪化状態は時間に比例する。
  2. 種々の原因が累積して時間と共に悪化するが、悪化の程度は時間の平方根に比例する場合。(工程の悪化の程度の2乗が生産量に比例する)
  3. 計測の誤差や電源のばらつきなど生産量とは無関係に突発的に起こる。

2のケースを対象に最適化のための「フィードバック制御の理論式の解説」や「損失Lを最小にする計測間隔nや調整限界Dの求め方の解説」などをはじめ、「悪化量が生産量(時間)に依存しない場合への適用の可否」までを解説しています。


第3章では、「品質特性によるフィードバック制御
と題して、フィードバック制御について実際の工程を対象にした適用の仕方について事例を交えて工程の管理手法を解説しています。


工程状態の推移→パラメータの見積り→計測システムの検討→計測システムの確認→計測誤差の影響まで評価する方法を解説しています。


さらに蒸着工程などの一度に多数の加工や処理をするバッチタイプにおいてのフィードバック制御の管理方法も解説しています。


第4章では、「化学工程におけるフィードバック制御
と題して、原料を投入し自動調整で最終工程まで進む化学工程を対象としたフィードバック制御について解説しています。


蒸留工程の例をあげて、目的成分の濃度を目標値に管理するフィードバック制御の方法の解説しています。


また最適計測システムにより損失を更に改善する重要性、工程条件によるフィードバック制御工程能力指数と総合損失、さらに不純物を望小特性で管理する方法も解説しています。


第5章では、「計測誤差のフィードバック制御
と題して、計測器についても誤差が時間の平方根に比例するということを前提としたフィードバック制御が適用できるとの観点から損失誤差も含めた損失の式を用いての計測誤差フィードバック制御について解説しています。


計測器の校正システム、モールド金属温度のフィードバック制御と温度計測の誤差、さらには、計測器の社外校正と社内校正について解説し、とくに計測特性が物理量ではなくて2乗の次元を持つ特性の光パワーメーター(dBm)を単位とした計測特性を得たい場合の留意点等も解説しています。


第6章では、「陰故障の診断と調節
と題して、陰故障の管理について取り扱っています。


故障状態で工程が止まらずに不良品を作り続けるのを陰故障というがこの場合には早急に工程を止め元の状態に戻さないと不良品が増大しその損失が大きくなるということになります。


陰故障を早く見つけるにはチェックを頻繁に行うことになりますがコストとの兼ね合いになります。


陰故障がある工程での診断間隔を変更することで管理コストと不合格品の損失の和を最小にする最適化の方法について解説しています。


また陰故障についての「診断調節の損失関数と最適診断間隔」、「パラメータの見積り」、「簡単な例」、「自動機の採否」、「フィードバック制御との比較」といった事項を解説しています。


第7章では、「陰故障のシステム要素による改善
と題して、前章での診断間隔を変更による陰故障の改善に加えて、陰故障のシステム要素である『平均故障間隔の改善』と『診断方法の変更』、『調整方法による対策』の各要素の陰故障の損失改善の方法について解説しています。


第8章では、「多工程の連結設計
と題して、多工程よりなり、在庫もスペースもない工程の集まりの連結設計の最適化について解説しています。


このような工程では、一つの工程が陰故障し、その工程を回復させるために調節を実施すればその間は、全工程が停止するので、工程連結において考慮すべき事項を解説しています。


「工程停止と加工時間」、「最適診断間隔と損失」、「多工程の工程設計の方法」、「定期交換を伴う場合」、「トランスファー加工工程への応用」、「最適案検討の工夫」といった事項を解説しています。


第9章では、「陽故障の予防
と題して、故障すると工程が停止したり、事故につながるようなタイプの陽故障を取り上げ予防を怠ると実際に故障や事故が発生するとの観点から予防コストトラブルによる損失の和を小さくする予防の仕方について解説しています。


予防の種類を以下の3種類に分類し、それぞれの損失の最小化の方法を解説しています。


  • 定期保全(交換)
  • 定期点検(定期診断)
  • 定期保全と定期診断の併用

さらにこれらの予防の3方式について機能部品について最適化を比較した事例も「故障原因と保全対象」として評価しています。


第10章では、「潜在陽故障の予防(安全装置の管理)
と題して、直接その故障が必ずしも事故になるわけではないが、直接原因の発生と重なったときに事故となる潜在陽故障の予防について前章と同様の考え方(定期保全(交換)、定期点検(定期診断)、定期保全と定期診断の併用)に直接原因の発生率を考慮した方法で、定期保全等のコストとトラブルによる故障による損失の最小化の方法を解説しています。


陽故障が起きた時に大きな事故にならないように安全装置安全対策が取られるが、この安全装置が壊れている時に事故原因が発生するという安全装置の故障が実際の故障につながるのは事故原因が起きた時でこの故障が潜在陽故障になります


第11章では、「適応制御(フィードフォワード制御)
と題して、工程のばらつきによる製造上のばらつきに対して、工程は正常でありながら原材料のバッチ側のばらつきにより標準的な工程条件や製造条件のままでは製品特性が目標値からずれることに対して、バッチの諸特性が標準値から離れていたら、標準値からのずれの影響を相殺するように工程条件を変更するといった適応制御フィードフォワード制御)の方法を解説しています。


製品機能が次のような原因で本来あるべき機能から外れます。


  1. 内乱:使用部品の初期のばらつき、劣化などによる設計値からのずれ
  2. 外乱:使用条件、環境条件
  3. 製造上のばらつき:工程のばらつき

上記の1.2.に対処するのがオンライン品質工学パラメータ設計で、3.を取り扱うのが本章の適応制御(フィードフォワード制御)


「選択嵌合」、「適応制御概要」、「目的特性が一つの場合」、「目的特性が複数の場合」といった構成となっています。


第12章では、「検査の価値と検査設計
と題して、製品検査について考察しています。


検査の目的、検査の経済的価値、臨界不良率の全貌、臨界不良率と損失、自動検査機とその経済性、MT法の出荷検査への応用といった内容になります。


なお臨界不良率は、不合格品が含まれるロットをそのまま出荷した時の損失が、不合格率を検査で見つけだし、その処置を行うときの損失が等しくなる不良率のこと


製品検査で合格率が高くなれば検査の経済的価値が薄くなり、不合格品がわずかであるなら出荷先における不合格品に対しては補償することを前提とした無検査出荷も選択肢として、無検査出荷か全数検査出荷かの選択基準を臨界不良率におくという観点も提示しています。


<<品質工学の関連書籍>>


「ISOの本棚」のブログですでに紹介した以下のような『タグチメソッド品質工学』に関する本がありますのでご参照下さい。



<<本書で何が学べるか?>>


本書は、品質の確保だけでなく、消費者が被る損失や製造者が負担するコストとのバランスの上で品質を追求する製造工程の管理方法であるオンライン品質工学について、品質工学の第一人者が多数の貴重な現場の事例を交えて解説しています


品質工学で欠かせない基礎的な理論から実際の適用での実務的な諸問題までを、許容差と品質水準損失関数陰故障の診断と調節多工程の連結設計適応制御(フィードフォワード制御)などについて総括的に解説しています


<<まとめ>>


本書は、これからオンライン品質工学を学ぶ方のテキストとして最適の良書です。


なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 許容差と品質水準
第2章 フィードバック制御による工程水準の維持
第3章 品質特性によるフィードバック制御
第4章 化学工程におけるフィードバック制御
第5章 計測誤差のフィードバック制御
第6章 陰故障の診断と調節
第7章 陰故障のシステム要素による改善
第8章 多工程の連結設計
第9章 陽故障の予防
第10章 潜在陽故障の予防(安全装置の管理)
第11章 適応制御(フィードフォワード制御)
第12章 検査の価値と検査設計






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MTシステム(Mahalanobis-Taguchi System:マハラノビス・タグチ・システム)は、インドの統計学者のマハラノビスが提案したマハラノビスの距離を田口玄一博士が異常の判定、パターン認識、予測等の分野に活用できるように考案したものでマハラノビス距離(多次元空間での空間距離)とSN比を用いたパターン認識技術の体系になります


MTシステムに関して、「単位集団の選択・項目の選択・単位集団の分割統合などの情報システムのパラメータ設計の方法」との観点から手法の拡大が進み、品質工学の発展分野になっています。


本日は、難解と思われがちなMTシステムについての基本から実践までを初心者向けにわかりやすく解説している入門書を紹介します。


本書の「はじめに」で筆者:田村 希志臣氏は、「本書は、MTシステムという新しく、そして強力なパターン認識技術とその考え方を、できるだけわかりやすく紹介することを目指して執筆したもの」とした上で、以下のように述べています。


本書の主題であるMTシステムは、個人認証や音声認識といったMMI(マンマシンインターフェイス)から人の意志決定、さらには経済動向や天災発生の予測まで、広義のパターン認識を対象にしています

 世の中には、最短距離法、決定木法といった比較的シンプルなものから、判別分析法、ベイズ推定法、ニューラルネットワークなど少し複雑なものまで、様々なパターン認識技術があり、それぞれに特徴を持っています。

 これら従来のパターン認識技術に対してMTシステムが持つ強みは、「使いやすさ」と「認識精度の高さ」が非常に高い次元でバランスしていることにあると思います。

 使いやすさについては、MTシステムではすでにデータ処理の手順が与えられていますから、いちいちパターン認識モデルを構築する必要はありません。

 また学習させることで認識力を高めていく、いわゆる学習型でもありませんので、即座にパターン認識結果を得ることができます。

(略)

本 書は、MTシステム初心者の方から、活用経験をお持ちの初中級クラスの方まで、幅広い層に満足いただけるよう、構成を工夫しました。

 各章とも、本文では計算式をできるだけ使用せず、MTシステムの考え方を中心に解説しました。」


<<ポイント>>


MTシステム(マハラノビス・タグチ・システム)の有効活用のための入門書


本書では、MTシステムの基礎的な考え方からはじまり、


MTシステムの原点となるMT法についてのデータ処理手順、状態診断の方法、


MT法の進化形であるMTA法、方向判定のできるTS法T法


さらにRT法判別技術への展開など取り上げ解説しています。


本書:「よくわかるMTシステム」です。


品質工学によるパターン認識の新技術」との副題が付いています。


本書は、著者:田村 希志臣氏にて、2009年8月に日本規格協会より発行されています。



<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には、以下のように書かれています。


基礎から実践までを

やさしくガイド!


本書は、6章から構成されています。


各章の終わりに「その章のまとめ」があり、箇条書きでその章のエッセンスがまとめられてあります。


また章の途中には、『Case Study』として、「MT法を応用した自動車用部品の外観検査」といった事例解説のコラムが挿入されており、参考になります。


またまた章の終わりなどに『MTシステムをさらに詳しく知りたい方のためのコラム』として、「パターン認識精度のSN比 算出手順」といった初中級者クラス向けに次のMTシステムのレベルに向けての足がかりとなるテーマが取り上げられ解説されています。


またデータ処理に関する具体的な手順と計算式については、本文と切り離して各章の終わりの部分にまとめて掲載されています。


また全体的にイラストなどの図表が多数挿入されていて、具体的な事例を交えての解説となっており、わかりやすい解説の流れとなっています。


章を追って簡単に概要を紹介します。


第1章では、「パターン認識の新技術 −MTシステム−
と題して、多くの情報を総合して一つの判断を導く「パターン認識」の技術としてのMTシステムの基本的な考え方から特徴などの概要を解説しています。


ここでは、MTシステム(以降、MTSと略記)の「単位空間」を設定して、基準点からの離れ具合を調べ、基準パターンと似ている程度を定量的に算出するという基本的な方法、さらに、MTSで取り扱うパターン認識は、以下の4つの種類に大別されることなど説いています。


  • 「判別のためのMTS」
  • 「推定のためのMTS」
  • 「予測のためのMTS」
  • 「診断のためのMTS」

MTSの急速な最近の進捗を交えて様々なMTSMT法、MTS法、旧MTA法、新MTA法、TS法、T法(1)、T法(2)、RT法:詳細は別の章で解説)の発展の経過を総括して紹介しています。


第2章では、「MTシステムの原点 −MT法ー
と題して、MTSの原点となっている「判別」「診断」に向いた解法のMT法についてその考え方、特徴、データ処理の手順など詳解しています。


MT法による判別の閾値の決め方について、「損失関数を用いて判別を誤ることによって発生する損失が最小となるように閾値を決める」といった解説をはじめ、単位空間の定義に逆行列を利用しているために生じる数学的な制約について、MT法の利用上の要注意点であると説いています。


またMT法の特徴項目を減らすことなくMT法が含んでいる数学上の制約を回避するために開発された解法のマルチMT法についてもデータ処理手順等について解説しています。


第3章では、「MT法による状態診断
と題して、MT法を用いての状態診断方法について、診断問題とは何かといったことからその考え方、データ処理手順等を解説しています。


状態の診断とは、判別によって正常ではないと判断された際に、その異常の種類を特定したり、異常となった原因を絞り込んだりするための状態情報を得て、これを判断材料にして、次のアクション(再発防止や修復)を決めるための方法で、


考え方としては、「異常サンプルのマハラノビス距離への寄与を大きくしている原因がどの特徴項目にあるかを調べる」という「項目診断」と呼ばれている方法といった事項を解説しています。


第4章では、「MT法の進化形 −MTA法−
と題して、MT法の特徴を生かしながら(多重共線性が一つでも発生すると計算不能になるという)数学上の制約を解消すべく開発され、信号の概念が導入され活用範囲が一段と拡大したMTA法(Mahalanobis-Taguchi-Adjoint)について、MT法からの進化した2つのポイントの「余因子行列の利用」(旧MTA法)と「信号の導入」(新MTA法、単位空間に加え、信号水準の定義も必要。これは総合判断の精度に大きく影響を及ぼす)による2段階進化の詳細、さらには、データ処理手順等を詳解しています。


余因子行列の利用」と「信号の導入」による新MTA法への進化によって計測技術としての位置づけがはっきりとしたとし、同時に判断の結果は、マハラノビスの距離としてではなく、「総合推定値」という計測値として得られる等を解説しています。


第5章では、「方向判定のできるMTシステム −TS法,T法−
と題して「良すぎて異常」なのか「悪すぎて異常」なのかといった正負の方向判定ができるMTSとして開発されたMTS法TS法T法T法(1)T法(2)RT法:ただし、T法(2)、RT法については、方向判定はできない)の方向判定技術について方向判定の考え方、メリット、各方法の特徴とデータ処理手順等を解説しています。


MTS法TS法シュミットの直交化法を利用)→T法究極の汎用性を誇る方法で、MTSとして優先的に活用することを推奨)の特徴と考え方を順次解説しています。


第6章では、「RT法で究極の判別技術を目指す
と題して、判別のためのパターン認識の解法でデータ処理が簡単で速く、数学上の制約を受けにくいので特に「文字認識」や「音声認識」などの数多くのパターンのどこに分類されるかを素早く大量に判断する必要がある認識対象に適している(T法の考え方をベースとしている)RT法(Recognition Taguchi)を取り上げ、その考え方、特徴、データ処理手順等を解説しています。


パターン認識がうまくいったかどうかの判定について、SN比によって定量的に判断でき、SN比が大きいほどパターン認識の精度が高いことになる等について詳解しています。


<<品質工学の関連書籍>>


「ISOの本棚」のブログですでに紹介した以下のような『タグチメソッド品質工学』に関する本がありますのでご参照下さい。



<<本書で何が学べるか?>>


本書では、個人認証や音声認識から人の意思決定、さらには経済動向や天災発生の予測までを対象としたパターン認識技術のMTシステムについて初心者~初中級者向けにその基本的事項、考え方、特徴、データ処理の手順等を最新のMTシステムであるT法までを対象に取り上げ、丁寧にわかりやすく解説しています。


また具体的なMTシステムの有効活用の観点から、実際の活用事例や、初中級者に向けたコラムを多数掲載してあって実践的な内容となっています


<<まとめ>>


本書は、MTシステムに関心があって活用してみたいと考えている人には、お薦めの一冊です。


なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 パターン認識の新技術 −MTシステム−
1.1 MTシステムでできること
1.2 パターン認識について考える
1.3 MTシステムの特徴
1.4 判別分析法とはどこが違うの?
1.5 単位空間はどうやって決める?
1.6 MTシステムで取り扱う四つのパターン認識
1.7 様々なMTシステム
第2章 MTシステムの原点 −MT法ー
2.1 MT法の特徴
2.2 MT法のデータ処理手順
2.3 判別の閾値の決め方
2.4 MT法には制約が多い
2.5 マルチMT法で制約を乗り越える
2.6 マルチMT法のデータ処理手順
第3章 MT法による状態診断
3.1 診断問題とは何か
3.2 MT法による診断の考え方
3.3 MT法による「項目診断」のデータ処理手順
3.4 診断システムの完成度について
第4章 MT法の進化形 −MTA法−
4.1 2段階で進化したMTA法
4.2 進化の第1段階−余因子行列の利用
4.3 進化の第2段階−信号の導入
4.4 MTA法のデータ処理手順
4.5 MTA法がMTシステムを変えた
第5章 方向判定のできるMTシステム −TS法,T法−
5.1 パターン認識と方向判定
5.2 MTS法の特徴
5.3 TS法の特徴
5.4 TS法のデータ処理手順
5.5 究極の汎用性を誇るT法
5.6 T法(1)のデータ処理手順
第6章 RT法で究極の判別技術を目指す
6.1 RT法の特徴
6.2 RT法のデータ処理手順
6.3 RT法に関する田口氏の提案
6.4 どのMTシステムを使えばよいのか
6.5 パターン認識の精度を評価する
6.6 進化し続けるMTシステム







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タグチメソッド品質工学)の考え方の基本を説く入門書の本書の「はじめに」で日本の製造業の現場で品質向上のために努力しているにもかかわらず、リコール等の品質問題が発生している状況について、従来の品質管理の手法では対応できないようになっているとした上で、以下のように述べています。


「本書で取り上げたいのは、日本の製造業の底流で静かに進行している「ある傾向」についてです。

 冒頭で示した現象は、底流に流れているこの傾向が根本原因となって表面化してきたと考えられるからです。

 このように静かに進行している傾向は、内側から日本のモノづくり技術の弱体化を加速します。

技術力の低下を引き起こし、リコールを増加させている根本原因です。

 幸いなことに、これに対する処方箋はすでに提案されています。

田口玄一氏が40数年前から提唱しているタグチメソッドです。

最近多くの企業から注目されており、採用する会社も増えています。

その背景には、現在問題となっている品質問題を解決するには、技術の本質に切り込む必要がある、という気付きがあります

それを可能にする手段がタグチメソッドです。

 本書は、タグチメソッドをわかりやすく解説します

とはいっても手法の解説書ではないので、統計解析計算の面倒な説明はいっさいありません。

技術や製品を効率よく開発するにはどうすればいいか、という基本的な考え方を解説しました。」


<<ポイント>>


タグチメソッドの基本的な考え方を解説している入門書


本書では、日本のモノづくりの再構築が必要となっているという現状の課題の把握にはじまり、


その背景にあるものを抽出・分析した上で、


  • タグチメソッドの全体像
  • 見える化(考え方1)
  • 二段階設計(考え方2)

の3つの視点からタグチメソッドとはどのようなものかを解説し、


さらに戦略的な活用の観点から


タグチメソッドの根本思想を知るための7つのキーワードの解説と関連手法(実験計画法、……HALT / HASS試験)等も解説しています


本書:「タグチメソッドがよ~くわかる本」です。


本書は、著者:長谷部 光雄氏にて、2009年8月に秀和システム より「ポケット図解」シリーズの一冊として発行されています。



<<本書のエッセンスの一部>>


本書の表紙カバーには、以下のように書かれています。


技術の本質に切り込む

モノづくり復活の処方箋!

  • 技術の効率的な開発がよくわかる!
  • 製品開発の改善シナリオがわかる!
  • 技術力の高い企業の特徴がわかる!
  • 製品品質改善のヒントが得られる!
  • リコール増加の根本的な原因とは!
  • 市場の品質問題を予測する鍵とは!

本書は、7章から構成されています。


章の各節のテーマについて原則見開きの2ページで左側のページには、タイトルに続き、そのテーマの要約があり、解説文が掲載され、右側のページには、図解で一目でそのテーマの概要がわかる図解が掲載されているという構成になっています。


また右側のページの上部には、【one point】として、『検査と評価は違う』といった関連するキーワード等が取り上げられ豆知識といった要領で解説されています。


さらに各章の終わりには、「コラム」欄が設けられ、「シックスシグマのトリック」といった筆者に考察事項等が掲載されています。


それでは、章を追って概要を簡単に紹介します。


第1章では、「日本のモノづくりは再構築が必要
と題して、日本のモノづくりの現場で工場出荷時の検査では発見できない「見えない不良」が企業を困らせているとの現状の課題を取り上げ、考察し、設計に起因する見えない不良に対処するためには、従来型の方法論では限界があり、タグチメソッドを紹介しながら、生産中心のモノづくり視点から設計中心の視点への思い切った発想の転換が必要になっていると論じています。


第2章では、「見えない不良の背景
と題して、「見えない不良」が増加してきている背景について考察しています。


その背景には、モノづくり技術の軽視の風潮:すなわち、技術を育てるための泥臭い研究などを捨て去って、寄せ集め部品を組み立ててソフトで厚化粧して簡単にお金儲けができそうなコモディティ製品への傾斜やグローバルスタンダードなどの形式的な手法に頼ることなどがあるとしています。


収益のみが企業の目的ではないはずで持続して社会に貢献できるための高収益、高品質のための技術開発やソリューションの提供の重要性を説いています。


この意見には、強く共感を覚えます。


以降の第3章から第5章で「タグチメソッドとは何か?」といった基本的な考え方を説いています。


第3章では、「タグチメソッドの全体像
と題して、この章でタグチメソッドの全体像について解説しています。


タグチメソッドは、企業の成果に結びつく実践的方法論であり、統計学などの学術的なアプローチや机上の建前論ではなく、技術の現場で使える実用性を重視した考え方であると説いています。


製品開発に意味を考察し、その流れについて「製品開発は設計思想の移植作業」との考え方を提示し、タグチメソッドによる『機能』を重視する考え方、「見えない不良」に対処する観点から量から質への発想の転換の必要性を説いています。


また未然防止の方法論としては発生のメカニズムも予測できない未知の現象も予測できる必要があるとし、タグチメソッドによる『フロントローディング型の2段階設計』の考え方を解説しています。


第4章では、「見える化(考え方の基本1)
と題して、タグチメソッドによる見えないバラツキを検出するための方法について解説しています。


以下の3つの「見える化のシナリオ」を説いています。


またSN比についても「使用条件の変動から影響を受ける度合い」として解説しています。


「見えないバラツキ」(SN比で表現)を漏れなく「見える化」するキーワードについて「いじめればわかる」とし、極端条件で変化量を大きくし「見える化」を図るその考え方を解説しています


とくに設計段階でいじめの結果を評価する考え方を解説しています。


また「見えないバラツキ」を漏れなく「見える化」する際に抜け漏れを少なくするために組み合わせを直交表を使って行う考え方を解説しています


さらに「見えないバラツキ」を漏れなく「見える化」する工夫として基本的な機能を評価する視点が大切と基本的な機能、転写性、エネルギー変換といった機能について例をあげて解説しています

第5章では、「二段階設計(考え方の基本2)
と題して、タグチメソッドの考え方の基本2として二段階設計について解説しています。


その方法は、「試せば、わかる」(パラメータ設計)であるとして、多くのアイデアを効率的に試せば、どのくらい改善するかがわかる。ポイントは早く失敗することと解説しています。


常に根本的課題に手を打つべし、本質を掴むことを強調した上で、技術の効果的な改善シナリオについて、前章の「いじめればわかる」(SN比の活用)と「試せばわかる」(パラメータ設計)が効率的な二つの改善シナリオと説いています。


そして、「試せばわかる」を手順化した直交表を活用したパラメータ設計について、アイデアのリストアップ→条件表に基づくデータの採取→実験結果の要因効果図での整理といった要領を解説し、二段階設計の方法をまとめています。


第6章では、「タグチメソッドを知る七つのキーワード
と題して、タグチメソッドの思想の全体的な枠組みについて、品質を確保した上で開発期間を短縮するシナリオの沿って以下の7つのキーワードを取り上げて解説しています。


  • フロントローディング
  • 二段階設計
  • 品質を改善したかったら、品質を測るな
  • 制御因子・誤差因子
  • LD50(Lenthal Dose)と機能性評価
  • チューニング(編集設計)
  • 試作レス、試験レス、検査レス

第7章では、「関連手法の紹介
と題して、表面上は異なるように見える手法同士でも、基本的考え方には近似したところがあるとし、タグチメソッドの理解を深める観点から以下の各関連手法とその本質の考え方について解説しています。


  • 実験計画法
  • SQC(統計的品質管理)
  • 実践的品質管理手法
  • データマイニング
  • 信頼性工学
  • 安全工学
  • TRIZ
  • QFD(品質機能展開)
  • シックスシグマとDFSS(Design For Six Sigma)
  • HALT (Highly Accelerated Life  Test)/ HASS(Highly Accelerated Stress Screening)試験

<<タグチメソッドの関連書籍>>


「ISOの本棚」のブログですでに紹介した以下のような『タグチメソッド品質工学』に関する本がありますのでご参照下さい。



<<本書で何が学べるか?>>


本書では、製造現場では、生産中心のモノづくり視点からタグチメソッドを活用しての設計中心の視点への思い切った発想の転換が必要な状況となっているとの考察から始まり、タグチメソッド品質工学)のやさしい入門書として、タグチメソッドの基本的な考え方をそのポイントをイラストや図表を交えて解説しています。


特にタグチメソッドの基本的な考え方について『タグチメソッドの全体像』、『見える化(考え方1)』、『二段階設計(考え方2)』といった3つの視点から解説しています。


タグチメソッドの基本思想に関わる7つのキーワードを解説し、さらに関連手法の考え方も含めてタグチメソッドの活用の思想を解説しています。


本書は、タグチメソッドの基本的な考え方を学ぶ入門書として最適です。


<<まとめ>>


本書は、技術者だけでなく、品質、技術、モノづくり、製品開発等の本質論に関心を持つビジネスパースンには、読んで頂きたい一冊です。


なお本書の目次は以下の内容です。
第1章 日本のモノづくりは再構築が必要
第2章 見えない不良の背景
第3章 タグチメソッドの全体像
第4章 見える化(考え方の基本1)
第5章 二段階設計(考え方の基本2)
第6章 タグチメソッドを知る七つのキーワード
第7章 関連手法の紹介






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学校教育において品質工学タグチメソッド)を採用するところが増加しているとのことです。


にもかかわらずそのような目的に教科書として使える本は、これまでになかったとのことから、現在、品質工学会の会長で、品質工学の創始者である田口 玄一 氏に並ぶ品質工学の第一人者の矢野 宏 氏が、学校教育用の品質工学の本として一般の技術者の利用にも配慮して企画された品質工学を学ぶための格好のテキストを紹介します


品質工学について体系的に学ぶための講義・教材用として、これまでに筆者が幾つかの大学で行ってきた指導ノウハウと講義のエッセンスを詰め込んだ一冊とのことです


本書では、品質工学の歴史的背景や成立の事情から、SN比の発明、実験による設計技術の開発、パターン認識の方法、技術開発の課題まで、品質工学について体系的に解説しています


<<ポイント>>


これ一冊で品質工学を実践的・体系的に学ぶための教科書本


本書の「はじめに」で本書への思いに関して以下のようにその一端を述べています。


「知識の総量というのは、時代と共に増えているから、これを教えようとすれば膨大な時間を要する。

品質工学にしても個々の知識は図書館で学べばよいことで、重要なのはその知識の生まれた背景である。

なぜそのように考えるのかを中心に教えれば、それに伴う個別知識は具体例を通して学べるはずである。

場合によっては、参考文献にあたって欲しいが、これは演習問題の中で果たしたい。

演習問題については、本文の補足になるように図っているので、実際に解かなくても、目は通してほしい。

さらに実学である以上、教える側の教師自体が自分の研究において活用しない限り、具体化するのは難しいと思っている。

個別に体験して理解すると、品質工学の面白さと奥深さが見えてくる。」


本書では、品質工学に関する個別の知識の背景と,考え方の基礎を説いており、基本的内容を網羅した構成となっています。


また演習問題および品質工学導入事例など盛り込まれ実践的な構成となっています


本書:「品質工学概論」です。


本書は。著者:矢野 宏 氏にて、2009年4月に日本規格協会より発行されています。


品質工学概論
日本規格協会
発売日:2009-04
発送時期:在庫あり。
ランキング:225080

<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には、以下のように書かれています。


学生・技術者 諸君!

いま企業から求められている

田口玄一博士発信の”品質工学”を

本書で学ぼう。


本書は、12の章から構成されています。


また巻末には、品質工学会規格 QES S 1001:2007 の品質工学用語(基本)、QES S 1002:2007 品質工学用語(MTシステム)についての番号、用語、定義、対応英語といった品質工学用語をまとめた表が掲載されています。


さらに田口玄一博士の著書一覧が添付されています。


本書の本文中には、グラフなどの多数の図表が挿入された解説となっており教科書らしい分かり易い解説構成となっています。


また各章の終わりには、充実した参考文献の紹介とその章の理解のための関連する演習問題が掲載されています。


各章の概要を以下で紹介します。


第1章では、「品質工学の構成
と題して、品質工学の発祥、その構成要素(損失関数SN比直交表)などにはじまり、システムとしての働きに対してのシステム選択、パラメータ設計許容差設計許容差決定生産工程の最適化等の概要、さらに設計に対する考え方MTシステムオンライン品質工学ユーザビリティといった品質工学の基本的な考え方と全体像について解説しています。


第2章では、「品質工学成立の背景
と題して、近代における我が国の技術開発の歴史を概観した上で、田口先生の実験計画法から品質工学への発展がどのような考え方のもとに進められていったかという背景について考察し解説しています。


第3章では、「SN比の発明―評価方法の設計
と題して、SN比の考え方とその手法がどのように生まれ成立していったかの過程を振り返ると共に、SN比の計算方法と、SN比の持つ技術的な意味について解説し、技術の働きの基本機能の表現について品質工学の研究成果として整理された事例を交えてその考え方と評価方法を解説しています。


第4章では、「SN比の正しさの確認―直交表
と題して、SN比を用いて品質工学の研究を進めた際に、それが妥当なものであるかどうかを検討するための直交表について、交互作用の現象、意味について、さらに18直交表の活用について工作機械での切削条件の最適化の事例を交えて解説しています。


第5章では、「社会損失の評価―損失関数
と題して、「社会的自由の総和の拡大」といった品質工学の本質的な考え方に関わる社会損失の考え方と「望小特性の損失関数」、「望目特性の損失関数」、「望大特性の損失関数」のそれぞれの特性値をどのように評価するかといった損失関数による損失の定量化の方法、またそれを利用した規格値の決定法について事例を交えて解説しています。


第6章では、「計測技術におけるSN比の役割
と題して、計測器の校正、計測器の誤差の評価、食品の菌の培養といった信号の水準で作るSN比、標準値の推定方法としてのプラスチックの寸法測定のSN比、といったテーマを取り上げ計測技術をいわば可視化するといった観点から用いられる計測のSN比の考え方について解説しています。


第7章では、「実験による設計技術の開発
と題して、設計・開発において活用される品質工学の手法と考え方について、事例を交えて解説しています。ここでは、設計システムの考え方、実験におけるパラメータ設計の考え方、実験におけるパラメータ設計の考え方、電圧と電流の関係、荷重と変形量の関係、電気量の利用、回転する働きの評価、化学反応の評価方法、転写性などの事例の解説、官能検査、率のデータについてのSN比の考え方と表し方などを取り上げ解説しています。


第8章では、「設計技術への応用
と題して、標準SN比の概念、電子回路の事例によるシミュレーションによるパラメータ設計の方法、経済的に有利であるかを評価する許容差設計の方法、取引きにおける機能性の評価の21世紀に展開されたテーマを取り上げ、品質工学の設計技術への応用事例として解説しています。


第9章では、「パターン認識の方法
と題して、パターンで表される特性を定量化するための手法であるMTシステムとくにTシステムを中心に解説しています。


ここでは、パターン認識の定義に始まりMTシステムの考え方、病気の診断におけるMTシステム、火災報知機のMTシステム、足浴用漢方入浴剤の開発といった事例をもとに解説しています。


またMTシステムSN比について、T法(1)と(2)、RT法について解説しています。


第10章では、「製造工程条件の設計―オンライン品質工学
と題して、製造工程の管理条件を設計するための方法のオンライン品質工学についての基本的な方法について解説しています。


製造工程条件の設計の課題、フィードバック制御による調整、工程の診断、検査の課題、不可抗力な事柄への対応といった事項について事例を交えて解説しています。


第11章では、「データの不完全さへの対応
と題して、ソフトウェアのバグチェックと実験の際に何らかの理由でデータが得られなかったといったシステムやデータが不完全さを持っている場合に発生する問題への対応の方法を解説しています。


設計における使いやすさの評価(バグチェック)、不完全データが少ない場合と多い場合の二つのデータが十分に求められないケースと判定能力の評価を取り上げ解説しています。


第12章では、「技術開発の課題
と題して、品質工学がなぜ必要になるかとくにそのもとになる技術の考え方は何かを考察しています。科学と技術の関わり、技術者の位置付け、技術開発、またシステム開発における品質工学との関わり等を論じています。


<<品質工学(タグチメソッド)の関係書籍>>


「ISOの本棚」のブログですでに紹介した以下のような『品質工学(タグチメソッド)』に関する本がありますのでご参照下さい。



<<本書で何が学べるか?>>


本書は、品質工学が誕生した歴史的背景や成立の事情から、SN比の発明、実験による設計技術の開発、パターン認識の方法、技術開発の課題といった品質工学を体系的に解説する品質工学の教科書です


個別のテクニックの前に考え方を詳解するというスタイルで品質工学の基本の理解の観点から体系的にまとめられた分かり易い解説書となっています。


<<まとめ>>


本書は、品質工学をこれから学ぶ学生および技術者にお薦めの一冊です。


なお本書の主要目次は、以下の内容です。
第1章 品質工学の構成
第2章 品質工学成立の背景
第3章 SN比の発明―評価方法の設計
第4章 SN比の正しさの確認―直交表
第5章 社会損失の評価―損失関数
第6章 計測技術におけるSN比の役割
第7章 実験による設計技術の開発
第8章 設計技術への応用
第9章 パターン認識の方法
第10章 製造工程条件の設計―オンライン品質工学
第11章 データの不完全さへの対応
第12章 技術開発の課題





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タグチメソッド(品質工学)を学びたいとのニーズをもっている人は、多いとのことですが、最初に当たる壁が言葉(用語)の壁とのこと。


本書の「まえがき」にも紹介されていますが、タグチメソッドのメミナーで初心者の人が決まって、アンケート用紙に記すのは、「言葉の意味がわからない」との項目がトップだそうです。


そこで急速に興味を失ってしまい、タグチメソッドの面白さや有用性を理解するところまで至らないまま挫折し、勉強をやめてしまうことのようです。


埼玉の品質工学研究会のワーキンググループのメンバーの方々が原稿を起こし、最終的には、タグチメソッドのエキスパートの金本 良重 氏、丸山 洋一郎氏、渡部 義晴 氏が編集したタグチメソッドの用語の解説書を紹介します。


本書の「まえがき」によると執筆にあたって特に分かりやすさに主眼を置き、以下のような点に留意したとのことです。


  1. 用語の意味は、タグチメソッドの用語を極力用いないようにして、簡潔な表現を心がけた。
  2. 用語集として位置づけられるが、タグチメソッドのテキストとしての活用も配慮した解説としている。冒頭から読み進めることで、タグチメソッドの概要が分かるように構成されているので、入門者用セミナー用のテキストとして、又は中級者向けの補助教材としても活用できる。
  3. ところどころにタグチメソッドの考え方(タグチフィロソフィーともいうべきもの)が記述されている。このタグチメソッドの考え方を理解しやすくするために、図やイラストを用いたり、難しい数式による解説を極力しないといった工夫を行った。

<<ポイント>>


タグチメソッドを学ぶうえで入門者がつまずきやすい用語の意味を解説した用語集


各用語(キーワード)の意味について、図やイラストが多数、挿入されていて、直感的にも理解できるように工夫されています。


タグチメソッドの基本から始まり、SN比パラメータ設計MTシステムオンライン品質工学の章区分のもと、43のキーワードを取り上げ解説しています。


品質」「機能」といったタグチメソッド独特の使われ方をする用語の意味や、用語の使い分けも含めて解説しています。


本書:「早わかりタグチメソッド用語集」です。


入門者がつまずきやすい43のキーワードを再確認!」との副題が付いています。


本書は、著者:品質工学フォーラム埼玉ワーキンググループ 、ならびに 金本 良重 氏、丸山 洋一郎 氏、渡部 義晴 氏 の編著にて、2009年4月に日科技連出版社より発行されています。


早わかり タグチメソッド用語集―入門者がつまずきやすい43のキーワードを再確認!
日科技連出版社
発売日:2009-04
発送時期:在庫あり。
ランキング:124249

<<本書のエッセンスの一部>>


本書の表紙カバーの折り返し部には、以下のように書かれています。


本書は、入門者がタグチメソッドを学ぶうえでつまずきやすい用語の意味を解説した用語集です。

 各用語の意味は、図やイラストを活用しながら、直感的に理解できるように解説しています。また、タグチメソッド独特の使われ方をする「品質」や「機能」といった用語が、品質管理などにおける用語の意味とどのように違うのか、様々な種類があるSN比や機能などは、どのように使い分けるのかを、解説しています。

 はじめてタグチメソッドを学ぶ方の最初のテキストとしてはもちろん、すでに勉強をされている方のタグチメソッド用語の辞書としてもお使いいただけます。


本書は、5つの章から構成されています。


最初にタイトルとしてキーワードが「1.3 品質-quality」といったように取り上げられています。


タイトルの右下には、(「品質工学便覧」定義No1001)というように品質工学便覧の巻末の用語の定義で定義されている用語については、その番号が参照されています。


全体で43のキーワードについて、【用語の意味】、【解説】といったスタイルで2ページから4ページ程度で解説されるという展開になっています。


また一部のキーワードについては、【ワンポイント】として関連事項が解説されているものもあります。


キーワードの説明には、イラスト、概念図、グラフなどの図表が多数用いられており、親しみやすく分かり易い解説となっています。


また各章の終わりには、その章に関係する参考文献が掲載されています。


ざっとした内容は、以下の通りです。


第1章では、「タグチメソッドの基本用語
と題して、「1.1 タグチメソッド-taguchi method」からはじまり、「1.11 制御因子-
cotrol factor/controlable factor」まで基本的な11キーワードが取り上げられ解説されています。


第2章では、「SN比の基本用語
と題して、「2.1 2乗和の分解-decompositon of total variation」から、「2.9 機能窓-operationg window method」までの9キーワードが解説されています。


第3章では、「パラメータ設計の基本用語
と題して、「3.1 パラメータ設計-parameter design、robust design」から「3.7 確認実験-confirmation run」までの7キーワードが解説されています。


第4章では、「MTシステムの基本用語
と題して、「4.1 MTシステム-Mahalanobis-Taguchi system」から「4.9 項目診断-item diagnosis」までの9キーワードが解説されています。


第5章では、「オンライン品質工学の基本用語
と題して、「5.1 オンライン品質工学- on-line quality engineeering」から、「5.7 検査設計- inspection plannig」までの79キーワードが解説されています。


また付録として、「直交表の使い方と種類」として、3.2でもキーワードとして取り上げられている直交表について、ここでは、L18を例にした使い方の解説とその種類の簡単な解説が添付されています。



<<タグチメソッド(品質工学)の関係書籍>>


「ISOの本棚」のブログですでに紹介した以下のような『タグチメソッド品質工学』に関する本がありますのでご参照下さい。



<<本書で何が学べるか?>>


本書は、入門者がタグチメソッドを学ぶ際に、つまづきやすい43のキーワードを取り上げて、図やイラストを活用しながら分かり易く解説しているタグチメソッドの用語集です


本書は、厳密性を重視したよくある学術用語集などとは、異なり、はじめてタグチメソッドを学ぶ方もアレルギーとかにならないように十分な配慮のもとに初心者に優しく書かれています。


またこれまでにタグチメソッドを勉強をされてきた方が、改めて本書で基本用語を確認しながら活用していくためのハンドブック的な観点からも利用できると思います。


<<まとめ>>


本書は、これからタグチメソッド品質工学)を学びたい方から中級者の方まで、お薦めの利用価値の高いタグチメソッドの用語集です。


なお本書の主要目次は、以下の内容です。
第1章 タグチメソッドの基本用語
第2章 SN比の基本用語
第3章 パラメータ設計の基本用語
第4章 MTシステムの基本用語
第5章 オンライン品質工学の基本用語





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