環境適合設計(エコデザイン)とは、環境に配慮した製品・サービスの設計開発を行うことを言います。
全ての製品・サービスは、結果的に環境に何らかの影響を及ぼし、その影響は、原材料の調達から、製造、流通、使用及び廃棄までに至る製品のライフサイクルの全ての段階で発生し、その環境影響は、軽微なものから重大なもの、短期から長期にわたるもの、地域的なものから地球規模に至るものなどがあることが社会的にも幅広く認識されてきた背景から、環境適合設計への新たなアプローチが求められています。
この環境適合設計について、設計実務者等を対象に環境適合設計の実践方法を提案している本を紹介します。
本書:「環境適合設計ツールの活用入門」です。
また「コアツールLCA、QFDE、TRIZの効果的活用方法とその事例」との副題が付けられてあります。
本書は、坂尾 知彦氏編著で笠井 肇氏ならびに増井 慶次郎著で2006年1月に日科技連出版社より発行されています。
製品の設計・開発は、経済的制約や技術的制約やコスト的制約や法的制約や日程的制約など種々の制約条件の中で製品の価値に関わる品質を高めることが求められています。
例えると多次元空間の中での最適解を求めるようなものでヤジロベーのようなバランスを保ち、トレードオフの関係の相互矛盾をクリアーしていくような面があります。
前記に加えて、環境適合設計の軸が追加となると一層、複雑な取り組みになります。
本書では、LCA(ライフサイクルアセスメント)、QFDE(環境調和型品質機能展開)、TRIZ(発明的問題解決理論)の3つのツールを有効な手順のもとに活用することで、多数の相互矛盾の課題をうまくクリアーしようという環境適合設計のための方法論を提示しています。
第1部では、3つのツールのそれぞれの解説が掲載され、第2部では、これらのツールの適用事例が紹介され、どのようにツールを組み合わせて活用するかについて詳細に解説されています。以上を通して、効果的・効率的な環境適合設計の実施方法を具体的に提示しています。
出版社によると製造業の設計実務者。EMS(環境管理システム)の実務者、次世代を担う学生必読の一冊とのことです。
なお本書の目次は、以下の内容となっています。
序章 環境適合設計とISO/TR 14062
第1部 環境適合設計のためのコアツールの解説
第2章 環境側面の影響把握ツール:LCA
第3章 環境適合設計での問題定義ツール:QFDE
第4章 設計現場での問題解決ツール:TRIZ
第2部 環境適合設計ツールの連携活用方法
第5章 コアツールの特徴と連携
第6章 LCAとQFDEの連携方法と事例
第7章 QFDEとTRIZの連携方法と事例