地球温暖化」という言葉をご存じでしょうか?

当然、ご存じでしょうが、それでは、「排出権」はどうでしょうか?

たいていの人は、ご存知でしょうが


といった問いかけから本書の「はじめに」が始まっています。


そして、本書の「はじめに」では、本書の背景とその意図する点について以下のように述べています。


「京都議定書で定められた考え方が時間を経て着々と実務レベルに落とし込まれているなか、議定書採択の舞台であった日本としては、このまま立ち後れるわけにはいきません。

政府と東京都など自治体は、いま続々と具体策を打ち出しています。

例えば、経済産業省を中心とする「国内クレジット制度」や環境省の「オフセット・クレジット制度など国内の排出権取引に関するしくみ、「カーボンオフセット認証制度」や「カーボンフットプリント制度」など商品に関わる認証制度、さらに東京都による初の義務的排出規制である「環境確保条例」など、排出規制としてはもちろん、オフセット商品・サービスなどとしてあらゆるビジネスに直接影響してくる制度が、続々と発表されています

もはやビジネスとして「知らない」ではすまされない状況になりつつあり、早急な取り組みが不可欠となっています。

(略)

 本書は、今後ビジネスの重要な要素となるにもかかわらず理解が困難な「排出権ビジネスのしくみ」について、基礎から最新ノウハウまで、過去の経緯も含めできるかぎり分かり易く解説したものです

 弊社は2007年12月、信託の機能を活用し、日本ではじめて排出権を小口化して販売しました。以来、国内の先鞭をつける意気込みで実務経験を培ってきましたが、本書はそれらのノウハウを結集し、まとめたものです。」


<<ポイント>>


基礎となるキーワードや動向情報から実務ノウハウまで、過去の経緯も含め図解を交えての「排出権ビジネスのしくみ」の分かり易い解説書


温室効果ガス」とはなにかといったところからはじまり、


排出権取引」の基礎と実務について


世界の「取引制度」とその市場の動き、「排出権取引」のしくみはどのようなものか?


「投資家」は、どうこれに絡むか?


「日本政府」と「国内産業」置かれた状況とは?


国内取引制度」はどうなるか?


今後、「排出権取引」はどのよう展開されるか?


といった内容をイラスト図解を交えて解説しています。


本書:「絵でみる 排出権ビジネスのしくみ」です。


本書は、著者:三菱UFJ信託銀行 、 相 幸子 氏、 平 康一 氏、 吉田 宏克 氏による共著にて、2009年5月に日本能率協会マネジメントセンター より発行されています。


絵でみる 排出権ビジネスのしくみ (絵でみるシリーズ)
日本能率協会マネジメントセンター
発売日:2009-05-30
発送時期:在庫あり。
ランキング:113316
おすすめ度:5.0
おすすめ度5 類書にない見通しのよさ

<<本書のエッセンスの一部>>


本書の表紙カバーの下部ならびに折り返し部には、以下のように書かれています。


企業(ビジネス)が挑む温室効果ガス削減

必要知識と実務のウハウがよくわかる!

そもそも「温室効果ガス」ってどんなガス?/「排出権」とは何者だ?/「京都議定書」で何が決まったのか?/「排出権取引」とは何をどうすることなのか?/世界の「取引制度」はどこまで進んでいる?/「投資家」がどう絡んでくるのか?/「日本政府」と「国内産業」の取り組みは?/「国内取引制度」がスタートする?/「カーボン・オフセット」とはどんなしくみ?/東京都がついに義務化した?/「排出規制条例」とは?

日本で初めて排出権を小口化して販売した著者が、
排出権メカニズムビジネスへの応用を完全イラスト図解!


本書は、10章から構成されています。


各章のタイトルのもと、その章に関連するキーワードや項の解説タイトルについて、原則、見開きの2ページを用いて、右側のページに解説文が左側のページは、イラストを主体に、項目によっては一番下の段にも解説文が配されるという基本的な構成になっています。


また各章の終わりには、「動物のゲップも温室効果ガス」といったColumn欄が設けられ、関連するトピックスが取り上げられています。


章を追って簡単に概要を紹介します。


第1章では、「そもそも温室効果ガスって何?
と題して、「地球温暖化」の進行の話題にはじまり、そのメカニズム、その及ぼす影響、温室効果ガスの種類(6)、温室効果ガスの増加理由、さらに温暖化が進んだ場合の問題、世界の温室効果ガスの排出量の現状と、その排出量の算出方法といった内容が解説されています。


第2章では、「排出権取引とは何か?」(1 基礎知識)
と題して、ここではどの基礎知識部分についての基本的なキーワードや概念等を解説しています。


排出権取引(ET:Emissions Trading)が生まれた背景、京都メカニズムとは、CDM(CDM:Clean Development Mechanism:クリーン開発メカニズム)とは、またCDMの進め方、CDMプロジェクトが持つリスク、CDMの国連登録状況、JI(Joint Implementation:共同実施)とは何か?、GIS(Green investment scheme:グリーン投資スキーム)とは何か?、京都クレジット以外の排出権といった排出権取引の基礎知識に関する事項を解説しています。


第3章では、「排出権取引とは何か?」(2 実務知識)
と題して、排出権取引に関わる考え方、価格決定のメカニズム、排出権の会計税務処置等の実務知識部分について解説しています。


排出権取引の取得には口座が必要といったことからはじまり、一次(プライマリー)取引、二次(セカンダリー)取引の概要、一次、二次取引とオフセットプロバイダーといったプレーヤーの状況、現物取引と先物取引、排出権価格の決まり方、取引の一般的な流れ、「国別登録簿口座」、「国際取引ログITL: International Transaction Log)」、「排出権の主要な会計処理」といった事項を解説しています。


第4章では、「世界の排出権取引市場はどうなっている?
と題して、世界銀行発行の「State of the Carbon Market 2008」のレポートなど紹介しその推移状況、CDMJIの買い手国と売り手国、CDMプロジェクトのタイプ、排出権市場の需給見通し、世界の排出権取引制度の動き、といった事項を解説しています。


第5章では、「世界の排出権取引制度はどんなしくみ?
と題して、EUのEU-ETS(EU Emissions Tarading Scheme)排出権取引制度のしくみと変遷、EUのEUX、Blue Next、EEXといった主要な排出権取引所、アメリカの制度、ICAP(International Carbon Auction Partnershipといったフォーラムと海外市場の相互ネットワークといった事項を解説しています。


第6章では、「投資家は何をしているのか?
と題して、民間取引の主要なプレーヤーの関わり、排出権取引に伴う種々のリスク、炭素基金(「カーボンファンド」)のしくみ、ヘッジファンドによる「コモディティ」(市場商品」)としての排出権取引、地球温暖化をテーマにした投資、「カーボン・ディスクロジャー・プロジェクトCDP)の活動と投資家による企業の温暖化対策の情報開示要求といった事項が解説されています。


第7章では、「日本の置かれた状況とは?
と題して、日本の温室効果ガス排出量の現状とチームマイナス6%活動、京都議定書「目標達成計画」、経団連「環境自主行動計画」目標などと産業部門の排出量対策、業務・家庭・運輸部門の排出量推移、国内企業の排出権取得、NEDO(新・エネルギー・産業技術総合開発機構)が行っている日本政府の排出権取得、京都議定書の約束を守れなかった場合の我が国の影響は?、「地球温暖化対策推進法」(温対法)ほかの我が国の温暖化対策に関する法律といった事項が解説されています・


第8章では、「日本の「低炭素社会づくり」に向けた活動とは?
と題して、2008年の洞爺湖サミットと連動しての「低酸素社会づくり行動計画」の骨子の解説にはじまり、2008年2月の「我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について」の指針に基づく「カーボン・オフセット」というのはどのような概念なのか、またカーボン・オフセットのための算定法ガイドラインによる排出量把握とカーボン・オフセット認証制度の概要、2009年3月の「カーボンフットプリント制度の在り方(指針)」に基づく、いわば、商品・食品・サーボスのために発生した「温室効果ガス排出量」を表示する「見える化」策の「カーボンフットプリント」制度の概要、カーボンフットプリントをめぐる最近の動向といった事項が解説されています。


第9章では、「日本の排出権取引制度はどうなる?
と題して、2008年10月からの排出権取引の国内統合市場の試行的実施などの国内排出権取引制度をめぐる状況、「排出量取引の試行実施」の検討課題や懸念、環境省の「自主参加型国内排出量取引制度」、「国内クレジット」及び「オフセット・クレジット」の2つの国内排出権、東京都の環境確保条例(「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」)などの地方自治体の取り組み、日本の排出権取引はどのように動くかに関して「取引所と金融機関の排出権ビジネス」といった事項が解説されています。


第10章では、「これから排出権取引はどうなっていくのか?
と題して、今後の排出権取引をめぐる展望を語っています。


「ポスト京都」に向けた議論、米国の動き、日本の取引インフラと法改正動向新しいCDM(森林CDM、コベネCDM、プログラムCDM)の概要CCS(Carbon Dioxide Capture and Storage:二酸化炭素回収・貯留)技術の動向といった事項が解説されています。


<<本書で何が学べるか?>>


本書では、地球温暖化とはといったところからはじまり、イラストなどの図解を交えて世界と国内の排出権取引制度のほか、商品製造過程で発生したガスを相殺する「カーボン・オフセット」、排出量で商品の差別化を図る「カーボンフットプリント」、さらに東京都の排出削減義務条例などの排出権ビジネスに関わる基本的事項について解説しています


本書では、温室効果ガス削減の取り組みと特に「排出権ビジネス」に関わる基本的な知識と実務のポイントが要領よく解説されています


<<まとめ>>


企業の温室効果ガス排出削減活動に関心を持つ人にとって、本書は、読んでおきたい一冊です。


なお本書の主要目次は、以下の内容です。
第1章 そもそも温室効果ガスって何?
第2章 排出権取引とは何か?(1 基礎知識)
第3章 排出権取引とは何か?(2 実務知識)
第4章 世界の排出権取引市場はどうなっている?
第5章 世界の排出権取引制度はどんなしくみ?
第6章 投資家は何をしているのか?
第7章 日本の置かれた状況とは?
第8章 日本の「低炭素社会づくり」に向けた活動とは?
第9章 日本の排出権取引制度はどうなる?
第10章 これから排出権取引はどうなっていくのか?





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本書は、同じシリーズ:「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」の3作目となります。


本書は、先の2作の総集編のような位置づけになっています。


環境問題の歪みがそのテーマになっています。


本書で、そのシリーズを簡潔するつもりと述べています。


<<ポイント>>


環境問題についてなぜウソがまかり通るのか」の本質に斬り込む


として筆者の論理を展開しています。


環境問題となるとどういうわけか両極端。


例えば地球温暖化についても、


一方は、今にも地球が壊れそうと危機を煽るもの。


他方は、地球温暖化などどこにも起こっておらずウソだとするもの


筆者の武田氏の論点は、一貫して後者に立脚しています。


本書では、地球温暖化循環型社会などにまつわる問題や矛盾を取り上げ、なぜウソがまかり通りつづけているのかという点などについてマスメディアがつくりあげている虚構、誤報との視点から論じています


本書:「環境問題はなぜウソがまかり通るのか3 」です。


本書は、著者:武田 邦彦 氏にて、2008年10月に洋泉社より発行されています。


環境問題はなぜウソがまかり通るのか3 (YosenshaPaperbacks(035)) (Yosensha Paperbacks 35)
洋泉社
発売日:2008-10-02
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:317
おすすめ度:5.0
おすすめ度5 いいかげん、メディアは謝罪せよ
おすすめ度5 環境問題全般への疑問を投げかける良書

<<本書のエッセンスの一部>>


本書の表紙の下部および裏面および帯には、以下のように書かれています。


本書を象徴していてその内容がよく分かるように思います。


「古紙偽装」事件は、起こるべくして起こった。

「家電」リサイクルは、崩壊寸前だ。

ゆがんだエコロジーが地球環境をかえって悪化させている!!

温暖化はそれ程申告な危機ではない!

NHKをはじめマスメディアがつくりあげている挙行、誤報に真っ向から反論!

環境問題の歪みはどうして生まれたか?

手段であるべきリサイクルが目的化した構造から
CO2を主犯とみなす性急な温暖化対策の愚まで
まぜウソがまかり通りつづけているのか、その本質に迫る。
崩落する氷山、海に沈むツバル、ホッキョクグマの受難――
繰り返し放送されるこれらの温暖化トリック画像を
真に受けてはいけない。
被害を過大に見積もった科学者の一部とNHKをはじめとする
マスメディアが行った誇張された報道や誤報こそが
環境問題への誤った認識を植えつけた実行犯である!


本書は、「「なぜウソがまかり通るのか」の本質に斬り込む」としたIntroductionに続く、3つの章から構成されています。


第1章では、「地球温暖化が怪しい根拠はこれだけある」と題して地球温暖化を題材にその問題を論じ、第2章では、「矛盾だらけの循環型社会をいつまで取りつくろうのか」と題して、食の偽装問題も絡めて「古紙偽装」事件、「家電リサイクル」、いつも話題としているペットボトルのリサイクルの問題など論じています。


第3章では、「ウソがまかり通る本質とは何か 」と題して、これまでの環境問題の歴史を振り返り、被害を過大にも見積もった科学者の一部とマスメディアに関わる問題として、筆者の意見を述べています。


一般に、問題を解く方法として、演繹的手法と帰納的な手法があります。


数学を代表とする演繹的な理論の世界では、理論が間違っていることを証明するのに一つの反論があれば理論の間違いが証明できます。


しかし、環境問題のような多数のデータを総合して帰納的に結論を導いている世界では、仮にその一つのデータに仮説的な内容を含み若干の論理的な不十分を含んでいたとしてもそれはその論理的な帰結が誤っていることにはならないと思われます。


IPCCなどによる地球温暖化に関わる認識は、一部の科学者ではなく、多数の科学者の膨大なデータの検討から導かれた判断であると思います。


筆者の本は、素人でもわかりやすく、明快な論理で書かれています。


また確かに課題である問題点も取り上げられていると思います。


この筆者の前著は、累計50万部突破のベストセラーになりましたが、筆者自身がテレビに登場し、マスメディアで注目されたことがそのセールスにも影響していると思います。


今回、そのマスメディアに対して、『崩落する氷山、海に沈むツバル、ホッキョクグマの受難――繰り返し放送されるこれらの温暖化トリック画像』とメディアが国民を錯覚へと導き、環境問題の歪みを生じさせている元凶でかのように批判しています。


過去にマスメディアにもやらせ、誤報があったのは事実です。


しかし環境問題に危機意識を持って問題が致命的にならない前に予防していく観点からこのような報道は、適切で重要なことでは、ないかと判断しています。


<<本書で何が学べるか?>>


本書により、環境問題に対する認識がより深められることは確実です。


筆者の論点をどのように判断するかは、読者の見識によります。


本書では、なぜ環境問題の歪みが生まれたかに焦点を当てたとのことですが、先のシリーズを総括的にまとめた印象で格別に目新しい論点が加えられてはいないように思います。


<<まとめ>>


「環境問題についてなぜウソがまかり通るのか」の本質に斬り込むとして、温暖化はそれ程深刻な危機ではなく、マスメディアがつくりあげている虚構、誤報に惑わされるなとのスタンスで地球温暖化、循環型社会に関わる課題を論じています。


なお本書の概要目次は、以下です。
Introduction「なぜウソがまかり通るのか」の本質に斬り込む
第1章  地球温暖化が怪しい根拠はこれだけある
第2章 矛盾だらけの循環型社会をいつまで取りつくろうのか
第3章 ウソがまかり通る本質とは何か




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排出権」とは、簡単には、「地球温暖化ガスの二酸化炭素を排出できる権利」。


1997年の地球温暖化防止会議で採択された京都議定書では、COをはじめとした6種の温室効果ガスについて、 2008~12年の間に、先進国全体で1990年比5.2パーセントの削減を定めています。


周知の通り、日本の場合には、90年比で6パーセントの削減目標。


現実的には、批准国のすべてが、その国内だけでこの削減目標値を達成するのは非常に困難との背景から国内の削減対策を補完する「柔軟性措置」として、市場原理を活用した排出権取引の制度が、京都議定書に盛り込まれています。これが「京都メカニズム」と呼ばれるもの。


京都メカニズムでは、以下の3つが柱になります。


  • 「排出量取引」(Emission Trading: ET、第17条)
  • 「クリーン開発メカニズム」(Clean Development Mechanism: CDM、第12条)
  • 「共同実施」(Joint Implementation: JI、第6条)

さらに「吸収源活動」という森林の吸収量の増大も排出量の削減に算入して評価することも認めています。


我が国の場合には、京都議定書で約束している1990年比6%温室効果ガス削減の目標達成は困難な状況にあることからこれらの京都メカニズムの対応に頼らざると得ない環境下にあります。


<<ポイント>>


排出権市場の仕組みと状況を解説


本日は、これらの排出権」の種類や取引の仕組みから、排出権を取り巻く日本と世界の現状までやさしく「排出権取引」について解説している本を紹介します。


本書:「排出権取引とは何か」です。


知っておきたい二酸化炭素市場の仕組み」との副題が付いています。


本書は、著者:北村 慶氏にて、2008年6月にPHP研究所より発行されています。PHPビジネス新書の一冊になります。


排出権取引とは何か (PHPビジネス新書 60)
PHP研究所
発売日:2008-06-19
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:26888
おすすめ度:4.5
おすすめ度5 二酸化炭素を吐き出して、あの国が排出権を売ってるよ
おすすめ度4 コンパクトです。
おすすめ度4 最低2回は読んでね
おすすめ度5 排出権取引は進めてよいものです。

<<本書のエッセンスの一部>>


本書の表紙カバーの裏面で以下のように本書の内容が紹介されています。


鉄鋼、電力、メーカー、コンビニチェーン、果てはJリーグの球団まで……多くの企業・団体が先を争って購入している「排出権」。
地球温暖化の危機が叫ばれるなか、温室効果ガスを"排出できる権利”とも言えるこの「排出権」をめぐって世界的な取引市場が生まれ、日本でも企業のCSR担当者も注目している。本書では、「環境保護」が企業にとって避けて通れない今、知っておきたい排出権市場の仕組みと状況をプロがわかりやすく解説する書である。


排出権(CER:Certificated Emission Reduction:認定された排出量削減量)には様々な種類がありますが、重要性の観点から本書では、以下の3つに分類しています。その中でも本書では、特に下記の1.2を主に取り上げています。


  1. 「京都議定書排出権」(CER等)
  2. 「EU域内排出権」(EUA)
  3. 「その他、州政府連合体等による制度」および「民間制度に基づく排出権」(VER)

本書は、7章から構成されています。全体的に多数の図表が挿入されていて分かり易い解説となっています。


第1章では、「「排出権」ブームがやってきた」と題して、2007年2月の環境に並んだ「排出権取引口座番号」を巡る出来事の紹介(「排出権」をビジネスに生かそうとする動きによる)から始まっています。地球温暖化とその各種対策を概観し、「排出権」取得によるカーボン・オフセットに関する企業の動きなどを紹介しています。また排出量の会計処理について「排出権」は無形固定資産として資産計上することなど「排出権」の概況を解説しています。


第2章では、「だまされないで!その「排出権」はホンモノですか?」と題して、一部に購入された「排出権」が実は、民間機関が発行したVER(ボランタリー=自主的な排出権)であるようなケースもあるとの注意を喚起し、クリーン開発メカニズム(CDM)から排出権(CER)が生まれるプロセスについて解説しています。さらに京都議定書排出権(CER)を購入する際に考慮すべき5つのポイントを解説し、信託方式による「排出権(CER)」の実質的取引の事例についてまとめています。とくに現状では、環境省にすでに口座を開設していて、国連が認証・発行済みの「排出権(CER)」を譲り受けることが最も合理的な取得方法としています。


第3章では、「米国・オーストラリアの政権交代で劇的に拡大する「排出権取引」」と題して、京都議定書に基づく「排出権」について、その背景から「共通だが、差異のある責任」といった原則の考え方、さらに京都議定書の合議内容についてとくに京都メカニズムに焦点を当て詳解しています。また米国・オーストラリアが京都議定書あるいはそれに続く枠組みに復帰することが与える「排出権取引」に及ぼすインパクト・影響について論じ、洞爺湖サミットをはじめとした、温暖化防止に向けた国際的な次期枠組みに関わる我が国のリーダシップの重要性を強調しています。


第4章では、「空気がカネになる---発展途上国で加熱する「排出権取引」」と題して、クリーン開発メカニズム(CDM)に関わるプロジェクトから生み出される排出権について解説しています。CDMのプロジェクトの中核になる中国、インド、ブラジルでのプロジェクトの実態から課題までを解説しています。


第5章では、「世界中にリンケージを拡げる「EU排出権取引制度」」と題して、京都議定書の問題点や欠陥に触れた上で、現在、世界標準となった「EU排出権取引制度(EU−ETS)」について、その市場、京都議定書に基づく排出権(CER)との違いを解説しています。とくに国家が背負った削減目標を、個々の企業や施設に割り振る「キャップ&トレード」に対する我が国の経済界のスタンスについて解説しています。さらにこの排出枠の配分に関する「グランドファザリング方式」、「ベンチマーキング」、「オークション方式」の各方式を概観しています。


第6章では、「世界の孤児になりつつある日本の状況」と題して、我が国の京都議定書のCO2削減の展望と排出権購入、温室効果ガス排出量の分野別の増減状況、大口排出量企業、原発の高稼働率維持、「ヘッジファンド」に狙われる日本の「排出権」購入予算といった関連について解説しています。


第7章では、「「排出権」で儲ける2つの方法」と題して、CSRに取り組む企業に対するSRI投資、さらには、排出権に絡むリスクなどについて解説しています。また「排出権」取引市場の展望を述べています。


<<本書で何が学べるか?>>


排出権」とは何かから始まり、「排出権」の種類や取引の仕組みから、排出権を取り巻く日本と世界の現状までやさしく「排出権取引」について解説しています。


とくに排出権取引の影の部分として不確実な部分やリスクについてもしっかりと言及しています。


<<まとめ>>


本書は、「排出権」の種類や取引の仕組みから、排出権を取り巻く日本と世界の現状までやさしく「排出権取引」について解説しています。


企業としても個人としても地球温暖化問題への対応は、避けて通れない問題。


本書は、地球温暖化に関心があるビジネスパースンには読んで頂きたい一冊です。


なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 「排出権」ブームがやってきた
第2章 だまされないで!その「排出権」はホンモノですか?
第3章 米国・オーストラリアの政権交代で劇的に拡大する「排出権取引」
第4章 空気がカネになる---発展途上国で加熱する「排出権取引」
第5章 世界中にリンケージを拡げる「EU排出権取引制度」
第6章 世界の孤児になりつつある日本の状況
第7章 「排出権」で儲ける2つの方法






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地球温暖化に関するマスコミ報道や多く、これをテーマにした本も多数、出版されています。


しかしどういうわけかこの分野の本となると地球温暖化など起こっておらず、ウソ偽りであるとする論から逆に明日にもこの地球が壊れるといったやたらに危機を煽る論までの両極端に分かれています。


残念ながらこれまでのところ、科学的かつ良識的なものは少ないように思われます。


環境、資源、エネルギーの諸問題を解決し、豊かで持続可能な社会を構築することは、人類にとっての最大の課題であるが、冷静かつ科学的に現実を理解し、それに基づいて真の持続可能な社会の健全な対策を立てる必要がある」(「まえがき」より)との観点から環境、資源、エネルギーの諸問題の本質を論じ、問題解決のための有用なコンセプトとツールを解説し、現実的な解決のための方向性を冷静に模索すべきであると論じている本を紹介します。


<<ポイント>>


「環境、資源、エネルギー、安全の諸問題について、冷静かつ科学的に現実を理解し、それに基づいて技術面を中心に真の持続可能な社会の健全な対策を立てる」


との論を良識的に語っています。


本書では、2050年に温室効果ガスの排出を50%削減するなどの実現困難な野心的な目標を立て拙速で対策を講じ、取り返しのつかない誤りを犯そうとしている現状を真摯に憂慮して、現実に立脚した準・低炭素社会へソフトランディングするための道筋について良識的に述べています。


本書:「持続可能性へ向けた 温暖化と資源問題の現実的解法」です。


本書は、著者:御園生 誠 先生にて、2008年8月に丸善 より発行されています。


持続可能性へ向けた 温暖化と資源問題の現実的解法
丸善
発売日:2008-08-27
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:88011

<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には、以下のように書かれています。


  • 世界の温室効果ガスを今世紀前半に半減するのは非現実的
  • この前提で持続可能社会への軟着陸を考えるのが賢明

これに関係して、「まえがき」で実現しそうもない野心的な目標を立てて、無理に実現しようとすると、問題の規模が大きいだけに甚大な被害を引き起こす可能性があるため」とし、無理なダイエットで体をこわすこともあると述べています。


また環境問題の現状について、「エネルギーや資源の供給限界と環境破壊の許容限界がすでに見えはじめ、それらの確保が危うくなってきた。このことが、いま持続性が問題になっている理由である。」との認識に立脚するスタンスを述べています。


本書のざっとした内容ですが、本書は、5章から構成されています。また途中に挿入されている「コラム」では、「コラム エセ科学(疑似科学)」といった興味深い話題が取り上げられています。


全体的に多数のデータや図表が挿入されていて読みやすく、理解がし易い工夫がされています。


第1章では、「持続性について正しい考え方をするための12か条」と題して、地球環境、資源・エネルギーなど地球と人類の持続性に関わる基本的な考え方について概観しています。ここでは、12か条として、「1.持続と循環−持続可能性とは」から「12.誤解しやすい環境問題に注意しよう」まで本書の前提となる基本のキーワードを取り上げ、明快に解説しています。


第2章では、「われわれを取り巻く状況」と題して、現代の環境問題のかっての公害問題とを隔てる特徴的な違いについての解説にはじまり、自然環境に関する基礎的知識、資源、エネルギーの現状について事実とデータに基づき解説しています。


第3章では、「問題解決のためのツール」として、持続可能性とその実現のための対策を考える上で重要なコンセプトとツールについて解説されています。ここでは、「持続可能な社会とは」、「リスク評価 安全確保のためのツール」、「ライフサイクルアセスメント(LCA) 有用性と問題点」、「対策技術の健全性と判断基準」との軸で中心となる概念と方法について、ツールを活用する上での留意事項も含めて解説しています。


第4章では、「主要な課題を見直す」として、持続性にとって主要な課題を取り上げ、その本質について考察すると共に、解決に向けての報告性について実例を挙げて詳論しています。この章が本書の最大の論点となっており、「エネルギー」、「地球温暖化の真実」、「資源」、「食糧の安全保障と環境負荷」、「グリーンケミストリーと化学物質の管理」の各課題について論じています。ご専門の触媒化学、化学環境学のご見識を交えての冷静かつ科学的に現実的なレビューが展開されていて勉強になります。


第5章では、「健全な対策を考える」として、地球温暖化対策を中心に持続可能な社会の実現に向けて必要な対策について、これまでに提案されている対策の中から取捨選択のもと時間軸を考慮した優先順序付けされ、まとめられています。また日本の農業、地域環境、生活スタイル、価値観の転換といった論点から低炭素社会へ向けて緩やかにソフトランディングする道筋が提示されています。


<<本書で何が学べるか?>>


本書では、温室効果ガスの半減など、非現実的な数値目標をいたずらに競うのではなく、現実を正しく理解したうえで持続社会実現に向けた合理的解決策を冷静に模索すべきであるとの冷静かつ科学的な正論が展開されています


環境、資源、エネルギー、安全の諸問題について、冷静かつ科学的に現実を理解し、それに基づいて技術面を中心に真の持続可能な社会の健全な対策の必要性と道筋を論じた良識の書であると思います。


<<まとめ>>


環境、資源、エネルギー、安全の諸問題について関心のあるビジネスパースンに是非とも読んで頂きたい良識の書です


なお本書の概要目次は、以下の内容です。
第1章 持続性について正しい考え方をするための12か条
第2章 われわれを取り巻く状況
第3章 問題解決のためのツール
第4章 主要な課題を見直す
第5章 健全な対策を考える





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京都メカニズムとは、京都議定書に定められた柔軟な対応処置の一つで、海外で実施した温室効果ガスの排出削減量等を、自国の排出削減約束の達成に換算することができるとしたものになります。


この中味としては、以下の3つが柱になります。


  1. 排出量取引」(Emission Trading: ET、第17条)
  2. クリーン開発メカニズム」(Clean Development Mechanism: CDM、第12条)
  3. 共同実施」(Joint Implementation: JI、第6条)

またさらに森林の吸収量の増大も排出量の削減に算入して評価することも認めています。


排出量取引は、すでにEUで市場が形成されているように、「排出枠」に財産的な価値があるため新たな環境関連ビジネスとして注目を集めています。


またクリーン開発メカニズム(先進国の政府や企業が省エネルギープロジェクトなどを途上国で実施すること)については、省エネルギー対策で世界トップレベルの技術を持つ日本が、今後強みが発揮できる分野といわれています


我が国の場合には、京都議定書で約束している1990年比6%温室効果ガス削減の目標達成は困難な状況にあることからこれらの京都メカニズムの対応に頼らざると得ない環境下にあります。


この排出量取引(ET)やクリーン開発メカニズム(CDM)について、我が国の産業界および世界の各国の現状について客観的に、「排出量取引」とは何かからはじまり。EUが展開している「排出量取引ビジネス」は、どのような枠組みで行なわれているのか、京都議定書の第1約束期間(2008年~2012年)に日本企業は何をしなければならないのか、対象業界・対象企業はどこまでかなど、排出量取引の仕組みを中心に知っておかなければならないことのすべてを多くの図解をもとにわかりやすく解説している本を紹介します


<<ポイント>>

本書では、排出量取引に参入する際の手続きや、その会計処理、クリーン開発メカニズム事業への参入方法や現在進行中の具体的な案件も含めて排出量取引クリーン開発メカニズムについての概況を解説しています


本書:「図解 排出量取引とCDMがわかる本」です。


CO2換算の方法から取引市場での売買、会計処理の取扱いまで」との副題が付いています。


本書は、著者:エコビジネスネットワーク (1988年、環境ビジネスの普及を目的として、「環境への取り組みの視野を広げたい」というさまざまな分野の有志が立場的利害を越えて集まり、国内最初の環境ビジネス専門シンクタンクとして発足。現在は、産・官・学など各界に向けて環境ビジネスの開発について実践的な提案および支援に従事している。)にて、2008年8月に日本実業出版社より発行されています。


図解 排出量取引とCDMがわかる本
日本実業出版社
発売日:2008-08-12
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:81536


<<本書のエッセンスの一部>>


排出量取引」を中心に以下のような内容について最新の動向からこれからの展望までを概観できる内容になっています。


  • 京都議定書とは?
  • 日本の温暖化対策の進捗状況
  • 排出量取引の仕組み
  • 排出量取引により何がどう変わるか
  • CO2削減を達成すれば企業にはどんなメリットがあるか
  • 排出量取引に参入する手順
  • 世界各国の温暖化対策の取組の現状
  • 日本の技術はどのように活用される
  • クリーン開発メカニズム(CDM)の日本の導入事例は?
  • 日本の温暖化対策技術の現状
  • ポスト京都議定書の動向は?

・本書は、7つの章から構成されています。各章の項目毎に2色刷のイラストなどの図表による図解を含めた分かり易い解説が項目により異なりますが、2~5,6ページに及ぶという構成になっています。また各章の終わりには、カラム欄があり、「商品選択の目安となる「カーボンフットプリント」などの関連テーマが取り上げられ解説されています。


・第1章では、地球温暖化とその対策の概要が6項目取り上げられ解説されています。以降、第2章では、京都メカニズムの概要について4項目。第3章では、温室効果ガス排出量の算定方法などの排出量取引の実際について、8項目。第4章では、EU、北米、豪州、ニュージランド、アジア・中近東における海外の排出量取引の現状と展望について6項目。第5章では、日本の排出量取引の検討状況など現状と展望について7項目。第6章では、クリーン開発メカニズム(CDM)について導入事例を含めて13項目。第7章では、我が国の温暖化対策技術について、13項目が解説されています。


・また巻末付録として、目的別URL(排出量取引の相談窓口など)、関係法規制一覧、略語・用語集などが添付されています。


<<本書で何が学べるか?>>


・地球温暖化をざっと概観し、京都議定書と京都メカニズムを含む温暖化対策の概要と温室効果ガス排出量の算定方法などの排出量取引の実際。さらに排出量取引の世界の現状と我が国の現状と展望。クリーン開発メカニズムの導入事例から、主要なわが国の温暖化対策技術の現状と展望といった全体像が概観できます。


・とくに排出量取引に参入する際の手続きや、その会計処理、CDM事業への参入方法や現在進行中の具体的な案件も含めて排出量取引の仕組みとCDMの概況について解説しています。


排出量取引に関わるビジネスパースンが知っておかなければならないことの現況における最新の動向から今後の展望までを取り上げています。


<<まとめ>>


すでに京都議定書の第1約束期間(2008-2012)がスタートしていますが、本書では、その履行に関わってくる京都メカニズム排出量取引(ED)を中心として、京都メカニズムなどの温暖化対策の概要についてビジュアルな図解により分かり易く解説しています。


とくに「排出量取引」の仕組みについて排出量取引に参入する際の手続きや、その会計処理など詳細に解説しています。


本書は、地球温暖化対策など環境問題に関心があるビジネスパースンから、とくに環境対策を推進されている立場の企業の担当者や排出量取引でのビジネスを考える人たちには読んで頂きたい一冊です。


なお本書の概要目次は、以下の内容です。
第1章 地球温暖化がもたらす影響
第2章 経済的インセンティブの伴う京都メカニズム
第3章 排出量取引の実際
第4章 海外の排出量取引の現状と展望
第5章 日本の排出量取引の現状と展望
第6章 日本が存在感を発揮するクリーン開発メカニズム(CDM)
第7章 世界に冠たる日本の温暖化対策技術






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先般の洞爺湖サミットでも環境技術に関係して『グリーンIT』が話題として取り上げられていましたが、経済産業省をはじめとする政府機関やITベンダーによる『グリーンIT』の取組が活発化しています。


米国でもすでに2007年度から業界団体レベルで、電力コスト削減だけでなくIT活用によって事業活動の環境負荷を低減するエネルギーマネジメント技術など『グリーンIT』の活動が活発に進められています。


また2008年におけるITビジネスの最重要トレンドとして、ガートナーやフォレスター、IDCといった米国の主要調査会社がこぞってこの『グリーンIT』を掲げています。


我が国のグリーンITに関する動きとして政府は、2008年度の予算要求で、新しい政策「グリーンITプロジェクト」を盛り込んで、IT機器の省エネ技術開発に本腰を入れて取り組む姿勢を打ち出しています。((1)サーバーやストレージ向け省エネ技術、(2)ネットワーク分野の省エネ技術,(3)半導体やデバイス分野の省エネ技術のそれぞれの分野において20~30%の消費電力削減を目指すとしています。)


またグリーンITの推進を目的として、IT関連業界団体が発起人となって、ITベンダーやユーザー企業業界団体も巻き込んで、グリーンIT協議会という組織が2008年2月に発足しています。


この背景には、地球温暖化対策の観点からITなどをフル活用しているオフィス分野のCO2排出量の伸びが際だって大きいことと折からの原油高もあってITのコスト削減という大きなニーズを抱えていることがあります。


グリーンITとは、環境に配慮した情報通信技術の活用を進める考え方になります


本日は、この「グリーンIT」についてさまざまな取り組み方について、「ITを活用した環境対応」と「ITの利用における環境対応」の両面から全体像を解説している本を紹介します


本書では、「グリーンIT」の全貌を網羅的に概観すると共に、IT担当者が直面することになるIT機器の電力消費削減のためのノウハウについて、具体的な行動計画も提案しています。


本書:「グリーンIT 」です。


コスト削減と温暖化対策を両立するIT効率化の戦略」との副題が付いています。


本書は、著者:栗原 潔 氏にて、2008年6月にソフトバンククリエイティブより発行されています。


グリーンIT コスト削減と温暖化対策を両立するIT効率化の戦略
ソフトバンククリエイティブ
発売日:2008-06-28
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:55553
おすすめ度:4.0
おすすめ度4 グリーンITって要するに何?

本書の帯には以下のように書かれています。


IT業界2008年度

最大のキーワード

グリーンIT」とは?

ハードウェア・コストに匹敵する

IT機器の電力コスト削減に

どう取り組むか?

<<本書の概要>>

本書の概要は、「グリーンIT」の厳密な定義から、最重要課題は消費電力と発熱の削減やコスト(設備と機器)や製品ライフサイクルをターゲットとしているなどの議論からスタートしています。


次いでグリーンITの現状(動向、重要な概念など)、ITによるグリーン化としての環境貢献の評価、ITにおけるグリーン化としての1.データセンター、2.サーバ、3.ストレージ、4.デスクトップ環境、のそれぞれの消費電力・発熱の削減技術の現状と課題を詳解しています。


また製品ライフサイクルの観点から、IT機器の製造段階並びに廃棄段階のグリーン化を取り上げその概要を解説しています。


さらに一般企業のIT部門がグリーンITに対してどのような戦略と戦術のもと取組むべきかについてグリーンIT推進の行動計画について解説しています。


<<まとめ>>

IT機器の消費電力と発熱の削減を含めたグリーンITの取組は、社会的(温暖化対策)にも経済的(コスト削減)にもその必要性がますます増大してきています。


本書は、「グリーンIT」の全貌を網羅的に概観していて、「グリーンIT」の現状と動向について俯瞰することができます。


IT担当者だけでなく、「グリーンIT」に関心があるビジネスパースンには、読んで頂きたい一冊です。


なお本書の概要目次は、以下です。
はじめに
第1章 グリーンITが目指すもの
第2章 グリーンITをめぐる現状
第3章 ITがもたらすグリーン化
第4章 グリーンITに貢献するIT効率化 ?データセンター設備
第5章 グリーンITに貢献するIT効率化 ?サーバ
第6章 グリーンITに貢献するIT効率化 ?ストレージ
第7章 グリーンIT
第8章 IT機器の製造・廃棄段階におけるグリーン化
第9章 グリーンIT推進の行動計画
あとがき
参考資料
Index






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やっぱりまとめ買いがおトクでしょ。


08ボトルドリンクショップ(大)


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地球温暖化に代表される環境問題は、エネルギーの生産・利用と密接に関わっています。


本日は、エネルギーと環境の双方に関する身近で関心の高い問題について50のテーマを選び、基本データ(図表)を示しながら平易に解説している本を紹介します。


本書:「エネルギーと環境の疑問 Q&A50」です。


数字でなっとく本質がわかる!」と頭に付いています。


本書は、著者:笠原 三紀夫 先生にて、2008年7月に丸善より発行されています。


数字でなっとく本質がわかる! エネルギーと環境の疑問Q&A50
丸善
発売日:2008-07-17
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:70171

本書の表紙の下部には、以下のように書かれています。


美しい地球を将来世代に……

重要テーマの基本数字の背景がよくわかる


昨今、環境問題をテーマにして、枝葉末節かと思われる一部を誇張して○○はウソだとする口調の本もありますが、問題のすり替えがあったり、怪しい論理の展開をしていたり、余り科学的なスタンスで書かれているとは思えないものが意外によく売れていたりするので驚きます。


エネルギーと環境となると直接イメージがわきやすい部分と風が吹けば桶やが儲かるのように現象が複雑なものが混在していてなかなか理解が困難になります。


個別に掘り下げた論理にこだわると全体が見えなくなってしまいます。


地面をどんどん掘っていくと穴の中で自分がどこにいるかわからなくなります。、


その意味で自分の中でエネルギーと環境を理解するとなると鳥のように全体像を俯瞰することと基幹となるポイントを詳細に理解することのバランスが必要だと感じています。


本書は、その意味からタイプを分けると、エネルギーと環境の全体像を俯瞰するタイプに属する本かと思います。


本書で採用しているQ&Aという手法は、それに向いていると思います。


本書では、目次の項で紹介している6つの章に分けて50問を取り上げています。


見開きの2ページで1テーマを取り上げ、図表で基本データを掲載し、理解しておきたい【要点】を枠囲みでまとめ、解説してあります。


ところでQ&Aで思い出すのが、「全国こども電話相談室」、「夏休み子ども科学電話相談」といった子供向けのラジオの番組です。


相談者の先生は、タレントも含めて、色々な発想の子供の率直な疑問に専門的用語もかみ砕いてたとえ話も巧みに解説していますが、いつも感心します。


本書もターゲットが中学生から大人までとのことで、分かり易くポイントにメリハリを付けて丁寧な解説となっています。


50問が多いか少ないかですが、恐らく取捨選択の中で環境とエネルギーに関わる最新の状況と問題点が選定されているのでより観点が明確化されているように思います。


なお本書のカバーと各章末の「ティータイム:地球を考えるための版画鑑賞」で村上房子氏の版画が掲載されています。


なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 エネルギー・環境を考えるために
1 SI単位とはどんな単位でしょうか?
2 TOE、ppm はどんな単位でしょうか?
3 地球とエネルギー・環境のかかわりは?
4 世界の人口、日本の人口はどうなるのでしょう?
5 20世紀の科学技術の進展が環境危機の原因か?
6 世界はどこまで近くになることができるのでしょうか?
7 世界の裏側の人も隣人となる情報社会とは?
第2章 エネルギーの現状と利用
8 エネルギーはどのように利用できるか?
9 エネルギー資源の現状と将来は?
10 世界のエネルギーの需給状況は?
11 日本のエネルギーの需給状況は?
12 化石燃料の特徴は?
13 石油はどのように利用されているのでしょうか?
14 ガソリンはなぜこんなに安いのでしょうか?
15 電気はどのように作られ、使われているのでしょうか?
16 便利な電気、どこまで伸びるのでしょうか?
17 日本ではなぜ東と西で周波数がちがうのでしょうか?
18 原子力発電では何が問題でしょうか?
19 新エネルギーとは何をいうのでしょうか?
第3章 エネルギー利用と大気汚染
20 大気はどのような構造をしているのでしょうか?
21 大気の安定・不安定とはどういうことでしょうか?
22 煙の形が違うのはなぜでしょうか?
23 公害を低減化する大気環境基準とは何でしょうか?
24 SO2による大気汚染はどのような状況でしょうか?
25 NOxによる大気汚染はどのような状況でしょうか?
26 浮遊粒子状物質による大気汚染はどのような状況でしょうか?
27 光化学スモッグはどのような状況でしょうか?
28 アセスメントとはどういう制度でしょうか?
29 中国の環境問題は今はどのような状況にあるのでしょうか?
第4章 エネルギー利用と地球環境問題
30 地球環境問題とは? その特色は?
31 地球温暖化はどうして起きるの?
32 温室効果ガスとはなんでしょう?
33 COP3の内容は?またその後の状況は?
34 地球温暖化:二酸化炭素の重さを実感できますか?
35 二酸化炭素の重さと体積を計算してみませんか?
36 世界各地で異常気象が、その原因は何か?
37 地球温暖化:数々の異常気象が
38 日本の酸性雨はどの程度でしょうか?
39 成層圏オゾン層の破壊は進んでいるのでしょうか?
第5章 地球の保全・改善を進めるための技術
40 減エネルギー意識、いかがでしょうか?
41 省エネルギー技術はなぜ重要なのでしょうか?
42 旬の野菜、エネルギーとどんな関係があるの?
43 これでも自動車の魅力は捨て切れませんか?
44 省エネのためのトップランナー方式とは何でしょう?
45 太陽光発電の導入はどのような状況でしょうか?
46 風力発電の導入はどのような状況でしょうか?
47 バイオマスの利用はどのような状況でしょうか?
48 ライフサイクルアセスメントによる環境評価
第6章 美しい環境、平和を築くために---戦争は最大の環境破壊
49 戦争は最大の環境破壊
50 戦争は最大の無駄なエネルギーの消費





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環境問題はなぜウソがまかり通るのか」「環境問題はなぜウソがまかり通るのか2」のシリーズがヒットし、マスコミにもしばしば登場されるようになった武田 邦彦 教授の著作を紹介します。


基本的な論調は、「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」と同様で、以下のような論を展開しています。


  • いわゆる「地球に優しい生活」というのは、じつは、消費者にとって無駄でしかない。
  • 例えば、「エコバッグにすると、かえって石油の消費が増える」といった論旨で、「環境生活」は、逆に環境を悪化させ、国や自治体の利権の温床となっている。

本書:「偽善エコロジー」です。


「環境生活」が地球を破壊する」との副題が付いています。


本書は、著者:武田 邦彦 教授にて、2008年5月に幻冬舎 より発行されています。同社の「幻冬舎新書 」(た-5-1)の一冊になります。


本書の帯には、以下のように書かれています。


「企業の金儲けと環境省の省益にまみれた

エコ事業・商品にダマされるな!」

家電リサイクル、エコバッグ、ペットボトル回収……庶民だけがバカをみる。」

これがエコ生活の現実だ!

  • 割り箸追放→端材の使い道が消え、森林荒廃
  • 食品トレイのリサイクル→技術的にできず、ほぼ焼却
  • 古紙のリサイクル→漂白や廃液処理で石油を使い、環境悪化
  • 生ゴミを堆肥に→土が有害物質だらけに
  • 自動車燃料をバイオエタノールに→作るのに同程度の石油を使う

じゃあ、本当のエコとは?


本書は、4つの章から構成されています。


第1章から第3章までは、『検証』に対して、筆者の『判定』が記載され、その『判定』に対する筆者の理由や根拠についての解説が展開されているという構成です。
第4章は、『本当に「環境にいい生活」とは何か』との筆者の論を展開するという構成になっています。


第1章では、「エコな暮らしは本当にエコか?
として、『検証1. レジ袋を使わない』→『判定:ただのエゴ』から『検証8.温暖化で世界は水浸しになる』→『判定:ならない』までエコな暮らしに関する8つの問題を取り上げ、判定するとの展開になっています。


第2章では、「こんな環境は危険?安全?
として、『検証1. ダイオキシンは有害だ』→『判定:危なくない』から『検証6. 無毒、無菌が安全』→『判定:危ない』まで安全に関係するような6つの問題を取り上げて判定するとの展開になっています。


第3章では、「このリサイクルは地球に優しい?
として、『検証1. 古紙のリサイクル』→『判定:よくない』から、『検証7. ゴミの分別』→『判定:意味無し』までゴミ・リサイクル等に関係する7つの問題を取り上げて判定するとの展開になっています。


第4章では、「本当に「環境にいい生活」とは何か
として、もの作りの心、自然を大切にする心などが失われていると論じ、北風より太陽、物より心としての筆者のエコロジー論を展開しています。


筆者のエコロジーに対するあるべき論は、よく伝わってきます。


また一部に情報不足が散見されますが著者が知り得た情報から論旨を展開され、誠実に書いておられると思われます。


確かに環境問題の本質となるとなかなか複雑で、そこには政治、経済、人々の価値観、流行などが相互に関わるため、混乱し、誤った理解や対策が行われたりといった懸念を抱えています。


リスクマネジメントの視点で論じるならば、リスクのレベルを明らかにすることが大切でそのリスクを許容できるレベルまで減少させることが必要だとすれば、費用対効果などを明確にし、国としての、あるいは、国際的なコンセンサスを創りあげていくことが大切と考えられます。


筆者は、リスクの問題に対して判定を下していますが、ゼロリスクというのはあり得ないので、リスクについてイエス、ノーといったデジタルな判定は、およそ意味がないのではないかと感じます。


判断を下すには、判断基準が必要ですが、筆者のリスクレベルに対する判断基準というのは、よく分かりません。


複雑な環境問題について客観的に総合的に評価するという冷静な視点からずれ、あたかも筆者が善のエコロジールールブックの如く、企業や環境省は、金儲けの亡者であるがごとき特定の一側面からの見方に偏っているように感じられます。


偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する (幻冬舎新書 (た-5-1))
幻冬舎
発売日:2008-05
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:17
おすすめ度:4.0
おすすめ度4 半信半疑
おすすめ度4 政治の前に科学は無力
おすすめ度4 科学主義と精神主義のはざま
おすすめ度3 人間は何もわかってはいないということ
おすすめ度1 科学的な誤りが多いです

なお本書の概要目次は、以下です。
第1章 エコな暮らしは本当にエコか?
第2章 こんな環境は危険?安全?
第3章 このリサイクルは地球に優しい?
第4章 本当に「環境にいい生活」とは何か
第1節 もの作りの心を失った日本人
第2節 幸之助精神を失う
第3節 自然を大切にする心を失う
第4節 北風より太陽、物より心





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北海道洞爺湖サミットも終わりました。


その評価についてもまちまちながら、概ねのところ、『2050年までに温室効果ガスを50%削減するという長期目標を世界で共有していくこと』との方向付けは、あったとしても中国、インドや産油国など発言力を増す新興国の動きを無視できず、温暖化対策のみならず、世界的なインフレ懸念の元凶である原油・食料の高騰という緊急課題についても具体策は示せなかったとの辛口の評価が多いように思われます。


今回のサミットを契機に地球温暖化を中心とした環境問題に対する国民の関心が更に高まったことは間違いないように思われます。


環境問題についての関心は高まってはいますが、しかし環境問題の本質となるとなかなか複雑で、そこには政治、経済、人々の価値観、流行などが相互に関わるため、混乱し、誤った理解や対策が行われたりといった懸念を抱えています。


本日は、地球温暖化、エネルギー問題、水資源の枯渇、人口爆発など、複雑な環境問題について図表を用いてわかりやすく解説している本を紹介します。


本書では、環境問題についての歴史、ゴミとリサイクル、ローカルリスク、グローバルリスク、持続可能な開発などニュースで取り上げられているような身近な話題を取り上げながら国際政治やマスコミの問題点も指摘し、具体的なデータを示すことで、より世界的・長期的な視野で自ら考える視点について提案しています。


本書:「環境問題 (図解雑学)」です。


本書は、著者:安井 至 先生にて、2008年7月にナツメ社より発行されています。


同社の絵と文章で分かり易くテーマを解説する『図解雑学』シリーズの一冊になります。


本書の帯には、以下のように書かれてあります。


「本当にモッタイナイものとは?

温暖化、エネルギー問題、水資源の枯渇、人口爆発 etc.

地球規模・長期的視野による理解だけが解決の糸口だ!」


本書の「はじめに」で環境問題は、○×や、0か100かといった選択では誤る。環境問題に最適な解を得ようとすると歴史的な推移を見たり、世界全体といった視点が重要であるといった視点やバイオエタノールの問題の複雑な背景を言及した上で、以下のように述べています。


「日本という国は、島国であるためか、地球全体の状況をしっかりと把握してから戦略をたてるという習慣に乏しい。それどころか、地球レベルでの状況をうまく把握することも苦手としている。地球温暖化対策は、経済問題、国際問題として積極的に取り組まないと国家的な損失になるだろう。」


本書は、項目別に区分された9章から構成されています。また原則として、項目についての解説は、見開きの2ページを用いて、左側のページでテーマと副題に続いてそのテーマの解説があり、右側のページに図表や写真などの関連情報が掲載されるという構成になっています。また3章以降の章の終わりには、コラムがあり、「ゴミ問題は、発生源から」などの関連するトピックスが取り上げてあります。1,2章の終わりには、テーマに関係する用語と注による解説があります。


1章では、「環境問題とは何か
として、環境問題の歴史(推移)等を振り返り、環境問題を解く本質は、リスクの削減とし、リスクに関係して、亜鉛を例としたローカルリスクへの対応の問題、人の健康リスク、グローバルリスクの増大の動向などを解説し、本書において取り上げている環境問題の地図として使う図としてまとめ、『環境問題の解がもつべき本質はリスクの削減』とする考え方をまとめて解説しています。この章は、本書の流れを概観するといった内容になっています。


2章では、「ローカルリスクの削減
として、所得格差を示すGini(ジニ)係数と公害発生との関連の解説に始まり、我が国の水質汚濁や大気汚染などに見るローカルリスクの推移、ダイオキシン問題、自動車排ガス規制、ディーゼル規制、RoHSとリスク管理、鉛に注目しての健康被害との関係、市民はなぜローカルリスクの大小を理解できないかといった点について、「リスクの大小に対するイメージがない」といった七つの理由を取り上げ、ローカルリスクについて適正に評価する考え方を解説しています。


3章では、「ゴミとリサイクル
として、 ゴミと経済活動のつながりについて各国の一人あたりのGDPと一般廃棄物の発生量などの相関を確認した上で、リサイクル、循環型社会と3R(Reduce、Reuse、Recycle)、国内の循環型社会に関わる関連法の概要、容器包装リサイクル法とその改正に関わる改善点と問題点、LCA(Life Cycle Assessment:ライフサイクルアセスメント)からの容器に対する視点、リサイクルに対する我が国とヨーロッパの方向性、ゴミ処理の理想型と問題点などの切り口でゴミとリサイクルの課題を解説しています。


4章では、「グローバルリスク
として、最初にここ20年の世界の出来事から以下の5つの地球環境メガトレンドとして分類し、これに対する予測→対策・取組みが必要と述べています。
(1.気候変動/地球温暖化、2.降水の変化による食糧供給限界、3.化石燃料の限界とエネルギー戦略、4.貧困の克服と人口抑制、5.持続可能な生産と消費)
さらに気候変動、地球温暖化問題に関して現象、なぜ温暖化するか、温室効果ガス、コンピュータによる気候モデルシミュレーション、IPCCのシナリオ、NIES(国立環境研究所)のシナリオ、温暖化の影響、極端な温暖化に伴う海洋大循環の崩壊といった事項を取り上げ解説しています。


5章では、「地球の限界
として、資源とエネルギー関連の問題について、再生可能エネルギーとしての太陽エネルギーの利用、水資源の枯渇・不足に関する問題、日本の水資源とバーチャル水、世界の食糧事情、魚介類の消費拡大、世界の食糧問題、バイオ燃料に見る食糧とエネルギーとの関係等の事項について解説しています。


6章では、「人間活動の大きさと資源枯渇
として、地球環境に与える負荷は人間活動によって影響するとし、「1.貧困と飢餓の克服」をはじめとした8つの国連ミレニアム開発目標(MDGs)を解説し、世界の人口予測、ウガンダを例としたアフリカの急激な人口増と出生率と乳児死亡率、MDGsの人口抑制効果、世界的なエネルギー消費量の動向、自動車の増加問題、化石燃料の限界と長期ビジョンなどの事項を取り上げて解説しています。


7章では、「技術による解決
として、我が国の省エネ技術の進捗状況、水素エネルギー利用の問題点と展望、未来交通手段の方向性を示す『More by Less』の考え方、エコプレミアム商品の考え方、プリウスのエコミレニアム商品としての評価、筆者が個人的にエコプレミアム商品と認定する6製品、エコプレミアムニッケル水素充電池といった事項について解説しています。


8章では、「解決法の模索
として、最初に持続可能な生産と消費に関わるヨハネスブルグWSSD(World Summit for Sustainable Development)の内容をMDGsと対比して解説しています。また所得格差と環境負荷の関係についての『環境クズネッツカーブ』、交通部門のCO2排出量対策、環境負荷に関しての発展段階とデカップリングの関係、地球共生型シナリオ、アフリカの問題と対策、ODA(政府開発援助)の増額の必要性、日本の人口減少と英語の必要性、未来社会を決めるのは各個人の選択にかかっているといった事項について解説しています。


9章では、「最終結論
として、環境問題の解決は、技術50で、人の心が50との問題提起にはじまり、環境教育、世界の持続可能型教育のUNDESD(国連持続可能な教育のための10年)、モッタイナイの考え方、3種のエコライフ、個人生活と温暖化、建物設計と環境、街づくりと交通システム、豊かさに関わる心の問題、家庭生活、企業の在り方などを解説しています。結びでは、「今の日本だけでなく、未来も見通して人間にとって何が問題か、幸せとは何か、を議論することが本来の環境問題の解決策だと思われる」と述べ、市民の役割として実現できそうな5つのステップの実践を提言しています。


今日、個人としても企業人としても避けて通れない環境問題について幅広い視点から環境問題の歴史にはじまり、ごみとリサイクル、ローカルリスク、グローバルリスク、持続可能な開発といった総括的な内容を体系的に、特に長期的視点から深く掘り下げ分かり易く解説されています。


ISO 14001:2004の4.4.2項に関わる一般教育資料についても本書から要所を抜粋して活用することができると思われます。


本書は、環境問題に関心を持つすべての人に是非とも読んで頂きたい一冊です。


環境問題 (図解雑学)
ナツメ社
発売日:2008-07-04
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:27863

なお本書の概要目次は、以下です。
1章 環境問題とは何か
2章 ローカルリスクの削減
3章 ゴミとリサイクル
4章 グローバルリスク
5章 地球の限界
6章 人間活動の大きさと資源枯渇
7章 技術による解決
8章 解決法の模索
9章 最終結論






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いよいよ来週(7日から9日まで)、北海道洞爺湖サミット(G8主要国首脳会議)が開催されます。


国際的に待ったなしの幾つかの課題が山積しています。


国際社会が早急に取り組まなければならない主要な課題としてこの会議に向けて準備されてきた課題の一つが、地球温暖化対策になります。


地球温暖化対策のための温室効果ガスのCO2削減に関して、CO2は、石油や天然ガスなどの化石燃料の燃焼に伴って発生するので、エネルギーの消費を抑制することが必要になりますが、エネルギーを使わないとモノづくりやサービス提供が困難になり経済活動を阻害し、経済成長と両立しなくなってしまいます。


勿論、クリーンエネルギーの開発や省エネルギー技術等の対策技術も開発されてきていますが、このようなジレンマ、トリレンマといった背景の中でなかなか抜本的で決定的な温室効果ガスの抑制策が打ち出せていない状況にあります。


このような状況下で、「排出量取引」が注目されています。


本日は、この「排出量取引」について、「排出量取引は、何か」から、導入に向けた課題まで幅広い情報を提供し、体系的に排出量取引について解説している本を紹介します。


本書では、「排出量取引」の基本を最新の情報を盛り込みわかりやすく解説しています。

取引の仕組みからそれにかかる費用まで、制度導入に必要な知識をすべて網羅的に解説しています。


日本でのセクター別の目標・取り組み、欧米の制度や先進事例についても詳解しています。


本書:「排出量取引入門」です。


本書は、三菱総合研究所の編集(執筆は、西村 邦幸 氏、伊藤 一道 氏、山口 健一郎 氏、 小林 伸之 氏、橋本 賢 氏、真野 秀太 氏、佐藤 景子 氏)にて、2008年7月に日本経済新聞出版社より発行されています。新書のシリーズの日経文庫(日経文庫 A 63)の一冊になります。


本書の帯には、以下のように書かれてあります。


地球温暖化対策の

切り札!

2008年秋より国内で試行

排出権取引の仕組みから導入へ向けた課題まで、
国内外の最新の情報を盛り込み体系的に解説。


本書は、6つの章から構成されています。


本文中に各種のデータ図表などが多数挿入されていて分かり易い解説になっています。


本書の概要を紹介します。(なお章の番号は、ギリシャ文字で記載されていますが、本書では、英数字で表現しています。)


第1章では、「地球温暖化規制と将来の見通し
として、以下のようなある国のCO2排出量の算出モデル式を基にCO2削減の考え方を解説し、京都議定書の位置づけを総括し、京都議定書の第1次約束期間の2012年の終了する後の2013年以降の世界の温室効果ガス対策の現状について解説しています。


CO2=(GDP)×(エネルギー/GDP)×(CO2/エネルギー)


第2章では、「排出量取引とは何か
として、排出量取引の歴史を紐解き紹介した上で、排出量取引の基本的な仕組みについて解説しています。とくに排出量取引制度の基本的な仕組みとなる「目標設定」と「取引」について詳解し、排出権の価値について解説し、続いて、排出権取引の制度設計の考え方、欧州排出量取引制度(EU-ETS)、米国の動向、国際炭素パートナーシップ(ICAP)などを解説しています。さらに我が国、排出量取引制度の検討状況にも言及しています。


第3章では、「排出量取引の実際
として、排出権の管理の仕組み、さらに排出量の取引と市場の仕組み、相対取引と取引所取引の概要を解説しています。そして、2005年に導入されたEU排出量取引制度の市場の構造、相対取引と取引所取引の具体的な進め方について解説しています。また京都議定書に基づく排出権で現在流通しているクリーン開発メカニズム(CDM)により発行される排出権のCER(Certified Emission Reductions)市場について、その市場構造と今後の展開について展望しています。さらに排出量取引について、相対取引を行う場合を想定して、購入・管理に必要な業務について概説しています。


第4章では、「国連が発行する排出権−CDM
として、2006年のワールドカップ・ドイツ大会で用いられた国連が発行した排出権を取得する仕組みの「クリーン開発メカニズム(CDM:Clean Development Mechanism)の実態について、どのようなものか、更には、我が国では、このCDMを頼りにしているとの現状などを解説しています。途上国で排出削減プロジェクトを提案して排出量を取得するCDMの手続きの流れから、プロジェクトの例、価格とリスク、さらに排出権を市場で購入・販売するといった活動に関する課題と展望を述べています。


第5章では、「わが国における温暖化規制
として、京都議定書の達成計画に関する我が国の温暖化対策の概要(京都議定書目標達成計画、暫定公表制度、省エネルギー制度、新エネルギー制度など)から排出量取引制度に関する現状と温暖化規制の今後の動向を解説しています。


第6章では、「日本企業に求められる対応
として、京都議定書の企業へのメッセージ(「エネルギーの使用を減らせ、なるべく使うな」)について確認した上で、日本企業の戦略と業種別目標の引き上げなどの現状を振り返り、排出量取引制度との関わり(すなわち、日本企業に与えるインパクト)を推測し、CO2削減ビジネスとその展望を述べています。また温暖化問題への対応について、単にCSRと考えている企業が多いとし、京都議定書がもたらす低炭素社会は社会全体に大きな変革をもたらすものでその影響は著しく多いと述べ、温暖化問題は、経営上の根幹としてビルトインし、戦略的な対応が求められるとし、以下のような観点の展望のもと低炭素社会で勝つためにどのように行動すべきかといった展望を述べています。

  1. CO2の排出は、コストであり、企業のコスト構造を変える。
  2. CO2の削減方法は、サプライチェーンで考える。
  3. 低炭素社会はマーケット拡大のチャンスである。

本書は、排出量取引を含む低炭素社会に向けた制度が及ぼす社会への広範な影響について分かり易く解説しています。


排出権制度が導入される場合への備えとして、制度の本質をしっかりと理解し、低炭素社会に向けて、個人としても企業としても何が必要かを考えるための基本的な情報がほぼ網羅されています。


特に地球温暖化対策、排出権ビジネスなどに関心があるビジネスパースンには、読んで頂きたい一冊です。


排出量取引入門 (日経文庫 A 63) (日経文庫 A 63)
日本経済新聞出版社
三菱総合研究所(編集)
発売日:2008-07-02
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:16791

なお本書の概要目次は、以下の内容です。
第1章 地球温暖化規制と将来の見通し
第2章 排出量取引とは何か
第3章 排出量取引の実際
第4章 国連が発行する排出権−CDM
第5章 わが国における温暖化規制
第6章 日本企業に求められる対応






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