文部科学省から4月19日に「福島県内の学校等の校舎、校庭等の利用判断における暫定的考え方」が発表されています。


児童生徒等が学校等に通える地域で20ミリシーベルト/年という放射線量の値を学校等での児童生徒の暫定的な目安とするというもの。


これによると16時間の屋内(木造)、8時間の屋外活動の生活パターンを想定して20ミリシーベルト/年に到達する空間線量率は、屋外3.8マイクロシーベルト/時間、屋内(木造)1.52マイクロシーベルト/時間というもの。


これまでの一般的な屋外での放射線量は、0.05マイクロシーベルト/時間のレベルなので屋外の1時間当たりでは、約80倍、年間では、1ミリシーベルトに対して20倍の我慢を子供達に求めようというもの。


根拠としては、国際放射線防護委員会(ICRP)の事故後の復旧段階の被ばくの参考値の1-20ミリシーベルト/年の上限側の値を採用したもの。


原子力安全委員会は、この値を校舎内では、放射線量が相当減少することなどから、実際の被ばく線量は、20ミリシーベルトを大幅に下回るだろうとのことから妥当としている。


この年間20ミリシーベルトとの値は、現状の放射線量の積算の測定値に合わせてリスクを妥協的に許容してしまった値のように思える。


事故からの緊急時の被曝防御といっても従来のX線取扱者などの放射線業務従事者に適用される労働安全衛生法の電離則(「電離放射線障害防止規則」)レベルに近づくような放射線量値を児童生徒等に適用するというのは大変心配なこと。


  • 「次代の社会を担う子ども1人ひとりの育ちを社会全体で応援する」
  • 「子育ての経済的負担を軽減し、安心して出産し、子どもが育てられる社会をつくる」

とした民主党の子供手当の概念などとも相容れない考え方になる。


子供は、国の宝であり、地域における将来の希望でもあるので、両親等と離れるという問題が生じることになるが、このような高い放射線量のリスクを子供達に負わせるよりは、放射線影響の少ない地域へ疎開させるとかの手がとれなかったものだろうか。


このような将来に禍根を残すような誤った対応は、撤回させるすべはないものだろうか。


また重大な決定にも関わらず政府、文部科学省、原子力安全委員会などどこも第三者的な印象で誰がどのように責任を持つというのかが見えない。


また政府は、22日午前0時から福島第1原発から20キロ圏内を、立ち入ると罰則がある災害対策基本法の「警戒区域」とした。


この法律の目的は、


『国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、防災に関し、国、地方公共団体及びその他の公共機関を通じて必要な体制を確立し、責任の所在を明確にするとともに、防災計画の作成、災害予防、災害応急対策、災害復旧及び防災に関する財政金融措置その他必要な災害対策の基本を定めることにより、総合的かつ計画的な防災行政の整備及び推進を図り、もつて社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資する』


ということだが。


なぜ今、性急に「警戒区域」なのかが全く分からない。


また災害対策基本法の第六十三条では、「警戒区域」の設定権は、もともと市町村長の職権と定められている。


ただ第三条では、国の責務の中で「組織及び機能のすべてをあげて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する」とされている。


「防災のための万全の措置」との位置づけにおいて被害が広域に及ぶ原子力災害であるということから国が「警戒区域」を決定したと思われるが、「警戒区域」の設定について事前に関係の市町村長との十分な話し合いが行われたようには思えない。


「警戒区域」の設定は、政府側からの一方的で有無を言わせない唐突な通知だったように見える。


また住民が渇望している一時帰宅についても「1世帯1人2時間」と管理する側の事情が優先され住民の気持ちとはずれたものとなっている。


いつから国民目線から離れるこのような独裁国家のようになってしまったのか。


リスクマネジメントのALARP原則からすると「リスクは、合理的に実行可能な限り出来るだけ低くしなければならない」ということだが。


このレベルは、絶対的なものではなく、あくまで相対的なもの。


例えば、避難所生活の方がむしろ屋内被曝よりもリスクが高いという高齢者も多くおられるわけで、その場合に私は被爆のリスクを受容できるという人に対して絶対的な安全を押し付けるのには無理がある。


また「警戒区域」の20キロ圏内でも実測されている放射線量の積算値等にもかなり幅がある。


地域住民に納得して貰える十分な説明と手厚い支援が必要。


とくに「警戒区域」を強制するのであれば、住民の不安・心配に対して補償とかお金の問題を先だって明確にしておくべき。


原発のリスク上でこのタイミングで突如、「警戒区域」としてグレードアップしなければならない理由があったようには思えない。


「計画的避難区域」と「緊急時避難準備区域」の設定も含めて住民の不安・心配に対して十分な説明が果たせていないように思える。




さて、本日は、ISO 9004:2009 「Managing for the sustained success of an organization-A quality management approach」(JIS Q 9004:2010 「組織の持続的成功のための運営管理-品質マネジメントアプローチ」)の規格の中味の詳細からその活用法までを規格開発に参画した専門家(品質マネジメントシステム規格国内委員会)が解説している一冊を紹介します


ISO 9004:2009 規格は、ISO9001に基づくQMSをすでに構築した組織が「品質マネジメントアプローチ」により『持続的成功』を達成することに焦点を当てこれを支援するためのガイドラインを「~が望ましい(should)」等の文言で示している規格。


組織の『持続的成功』は、顧客及びその他の利害関係者のニーズ及び期待を満たす組織の能力によって長期にわたりバランスのとれた方法で達成される。


としています。


ISO 9004:2009 規格の主要な特徴は、以下の2点。


  1. 顧客情報提供に関わる激変する環境変化への対応を十分に考慮。
  2. とくに『持続的成功』のための戦略性を重点化。

<<ポイント>>


規格開発に参画した専門家がISO 9004:2009の内容とその活用法を解説している本。


本書では、


ISO 9004:2009規格の概要について


改正の経緯、どこがそのように変わったのか、関連規格類といったISO 9004:2009 規格の概要の解説にはじまり、


次いでISO 9004:2009 規格の基本となる以下の重要概念を詳解しています。


持続的成功
品質マネジメントアプローチ


さらにISO 9004:2009 規格の本体の構造等を概説した上で


「4.組織の持続的成功のための運営管理」から


「9.改善、革新及び学習」まで


を逐条的に解説、さらに


さらにISO/TC 176/SCによるISO 9004の3点の関連支援文書を掲載しています。


本書:「ISO 9004:2009(JIS Q 9004:2010)解説と活用ガイド


持続的成功のための品質アプローチ


です。


本書は、品質マネジメントシステム規格国内委員会 監修、飯塚 悦功氏、國分 恵夏氏、福丸 典芳氏、平林 良人氏、安藤 之裕氏、住本 守氏の共著にて、2011年3月に日本規格協会より発行されています。



<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には、以下のように書かれています。


  • ISO 9004の「大幅改正」で何がどう変わったのか?
  • どのように活用すればよいのか?

規格開発に参画した専門家が徹底解説

  • なかなかISO 9001の効果があがらない、物足りない…
  • 自社のQMS(品質マネジメントシステム)の強化を図りたい…
  • いかなる状況においても持続的成功を実現したい…

ISO 9004はそれらをかなえる一策


本書は、下記の目次のように4章から構成されています。


ISO 9004:2009 規格が意図しているポイント、2009改正の経緯、またISO 9001、JIS Q 9005/9006などの関連規格類との関係などの解説に続き、「持続的成功」や「品質マネジメントアプローチ」といった重要なコンセプトの解説があります


そして、本書の中核となる第3章では、「4.組織の持続的成功のための運営管理」から「9.改善,革新及び学習」までの各箇条について概ね以下の順序に沿って逐条的に解説するという構成になっています。


【1.目的】では、対応する箇条の意図や狙いを解説。


【2.規定事項の要約】では、その箇条の要約・要点を枠囲みでまとめ。


【3.規定事項の解釈】では、箇条の重要な概念や分かり難い事項を解説。


【4.実施事項】では、何をどのように実施することをその箇条が意図しているのかを解説。さらに推奨される実施法や留意事項等も解説。


序文にもあるが、ISO9004は、『複雑で、過酷な、刻々と変化する環境の中で、組織が品質マネジメントアプローチによって持続的成功を達成するための支援の手引』としての規格。


本書では、「持続的成功」、「品質マネジメントアプローチ」、「自己評価」といった規格の根幹をなす概念等の丁寧な解説も含め全般的に明快な解説となっています。


また4章では、ISO 9004の規格開発を担当したISO/TC 176/SC 2で作成されている(一部は現在も作成中とのことだが)以下の3つの支援文書の日本語訳が掲載されています。


  1. “持続的成功”を求めて
  2. ISO9004:2009実施の手引
  3. ISO9004:2009のよくある質問集(FAQs)

<<本書で何が学べるか>>


本書では、組織の品質マネジメントアプローチによる持続的成功を支援するガイドライン規格のISO9004 について規格開発に参画した専門家が規格の中味がどのように変わったのかどのように活用すれば持続的成功が見込めるかなど分かり易く解説しています。


すでにこのISO9004:2009 規格の基本文書となったJIS Q 9005:2005「質マネジメントシステム-持続可能な成長の指針」やJIS Q 9006:2005「質マネジメントシステム-自己評価の指針」はあるが、本書は、ISO 9001を超えて、ISO9004に基づきQMSを改善したい組織の関係者にとっては必読の一冊


<<まとめ>>


QMSの強化やISO 9004 の活用に関心がある関係者は、是非本書を読んで下さい。


なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 規格の概要
1.1 ISO9004:2009とは
1.2 規格改正の経緯
1.3 ISO9004:2009の概要
1.4 関連規格類との関係
第2章 ISO9004にかかわる重要概念
2.1 ISO9004の適用範囲と重要概念
2.2 持続的成功
2.3 品質マネジメントアプローチ
第3章 ISO9004の解説
4. 組織の持続的成功のための運営管理
5. 戦略及び方針
6. 資源の運用管理
7. プロセスの運営管理
8. 監視、測定、分析及びレビュー
9. 改善、革新及び学習)
第4章 ISO9004関連支援文書
4.1“持続的成功”を求めて
4.2 ISO9004:2009実施の手引
4.3 ISO9004:2009のよくある質問集(FAQs)



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 ISO 9000:2005(JIS Q 9000:2006 「品質マネジメントシステム−基本及び用語」)による『マネジメント』の用語の定義(3.2.6)は、『組織を指揮し、管理するための調整された活動』ですが、「ザ・マネジメント」との強調したタイトルを含む「日常業務」から「事業計画」等のマネジメントをテーマにした本書の「まえがき」で筆者:福丸 典芳氏は、本書の意図する点について以下のような論旨で述べています。

組織内外の環境(グローバル化、新製品・新技術の開発競争、円高、環境問題などへの対応等)が刻々と変化している状況にある。

この事業環境に対応するためには、変化に耐え得る頑強な日常業務及び事業計画のマネジメントを効率的に行うことが必要だが、中小規模の組織では、マネジメント力の開発・維持が困難である。

このような事態を打破するためには、事業活動に明確なプロセスをどのような方法で設計しマネジメントすれば、目標とする成果を上げることができるのか、組織が持続的に成功するために必要な事業計画をどのようにマネジメントすれば、経営戦略を達成することができるのかについてのアプローチの方法を確立しなければならない。

事業計画のマネジメントに関する方法論は、すでに書籍、ISO規格、JIS規格、マネジメントについても書籍で【日常管理】、【方針管理】として基本的な考え方等は、確立されている。

しかし本書では、管理という用語にアレルギーを感じている人々がいることも考慮し、これらの用語は使用しないで、組織で日常的に使われているマネジメントという用語を使用して、経営戦略を達成することができるのかについてのアプローチの方法に関わる『日常業務から事業計画等のマネジメント』を解説したとのこと。

<<ポイント>>

事業成果を上げるための効果的で効率的な日常業務および事業計画のマネジメントについての考え方や、設計・策定方法、プロセス改善のツール、マネジメントシステムのモデルなどを含むマネジメントの解説書

本書では、

日常業務のマネジメントおよび事業計画のマネジメントの考え方や、設計・策定方法の解説にはじまり、

是正・予防処置、プロセス機能展開、QC七つ道具などの統計的手法、QCストーリー、ISOマネジメントシステム規格の内部監査といったプロセス改善のための各手法の解説、

またISO 9001、ISO 9004、JIS Q 9005、デミング賞のモデルなどのマネジメントシステムのモデルの解説、

さらには、要員の力量、マネジメント能力の開発プログラムといったマネジメントに関する知識の学習までを

自習書、教育用テキストとしての活用の観点の観点も含め、多数の図表を交えて分かり易く解説しています。

本書:「職場を活性化するザ・マネジメント」です。

本書は、著者:福丸 典芳氏にて、2010年8月に日科技連出版社より発行されています。



<<本書のエッセンスの一部>>

本書は、5章から構成されています。

本書では、全般的にISO 9000、ISO 9001、ISO 9004、JSQC、JIS Q 9005などの引用をはじめ、概念図など多数の図表を交えてマネジメントの基礎をしっかりと学べる展開となっています。

また手順の解説なども、ステップを追っての具体的で実務的な分かり易い解説となっています。

以下で本書の内容を外観してみます。

日常業務のマネジメント」に関して

日々の業務活動を一般的に【日常管理】というが、ここでは【日常業務のマネジメント】とするとの確認、またJSQC((社)日本品質管理学会)による【日常管理】の定義の解説からはじまり、

  • 仕事の品質/質
  • SDCAのサイクルと仕事の標準化
  • プロセスの考え方とマネジメントを効果的なものとするためのプロセスの設計
  • 実施例を交えてのプロセスの機能展開の手順
  • プロセスの有効な評価と改善に関わる方法

といった事項を解説し、最後に「日常業務のマネジメントのポイント」を箇条書きでまとめています。

事業計画のマネジメント」に関して、

PDCAサイクルに基づく事業計画のマネジメントプロセスの基本の考え方の全体像を概観した上で、以下の各ステップについて、JSQC、JIS Q 9005、JIS Q 9006、JIS Q 9023の定義など交えて、考慮すべき事項、具体的な方法・手順等を詳解しています。

  • 経営戦略の策定
  • 事業戦略(事業環境分析、市場及び顧客分析、製品・サービス分析、組織能力像の作成と自己評価、経営資源の配分、リスク分析など)の策定
  • 中長期計画の策定
  • 年度事業方針の策定
  • 年度計画の目標(利益、売上、原価、品質などのKPIの設定など)および方策(手段)の策定
  • 事業計画の実施
  • 事業計画のレビュー

ここでも最後に「事業計画のマネジメントのポイント」を箇条書きでまとめています。

プロセス改善のツール」に関して、

日常業務のマネジメント」と「事業計画のマネジメント」のための以下の各ツールの手法について考え方と手順を解説しています。

  • 是正処置
  • 予防処置
  • プロセス機能展開
  • 統計的手法(QC七つ道具、QC七つ道具の活用によるプロセスの監視・測定、新QC七つ道具、実験計画法)
  • 問題解決型QCストーリー
  • 課題達成型QCストーリー
  • ISOマネジメントシステム規格による内部監査
  • マネジメントシステムの成熟度調査

マネジメントシステムのモデル」について、

ISO9000によるシステム、マネジメントシステム、品質マネジメントシステムの定義、JSQCによるTQMの定義などを確認した上で以下の「マネジメントシステムのモデル」のついての原則の考え方、各要素等を解説しています。

  • ISO 9001
  • ISO 9004
  • JIS Q 9005
  • デミング賞

また「マネジメントに関する知識の学習」に関して、プロセス分析力を向上させる「有効性に着目した内部監査」などの5つの管理層のための「マネジメント能力の開発プログラム」について解説しています。


<<本書で何が学べるか>>

本書では、職場を活性化し事業成果を上げるための効果的で効率的な日常業務および事業計画のマネジメントについての考え方や、設計・策定方法、プロセス改善のツール、マネジメントシステムのモデルなどマネジメントの基本となる考え方、手法、手順を学ぶことができます。

本書は、マネジメント研修の自習書として、社内研修テキストとしても格好の一冊です。


<<まとめ>>

本書は、企業のマネジャーなどの立場の管理層の方には、是非、読んで頂きたい一冊です


なお本書の目次は、以下の内容です。
1章 日常業務のマネジメント
1.1 仕事の質
1.2 仕事の標準化
1.3 プロセスの設計
1.4 プロセスの評価および改善
1.5 日常業務のマネジメントのポイント
2章 事業計画のマネジメント
2.1 事業計画のマネジメントアプローチ
2.2 経営戦略の策定
2.3 事業戦略の策定
2.4 中長期計画の策定
2.5 年度事業方針の策定
2.6 目標および方策の策定
2.7 事業計画の実施
2.8 事業計画のレビュー
2.9 事業計画のマネジメントのポイント
3章 プロセス改善のツール
3.1 是正処置
3.2 予防処置
3.3 プロセス機能展開
3.4 統計的手法
3.5 問題解決型QCストーリー
3.6 課題達成型QCストーリー
3.7 ISOマネジメントシステム規格による内部監査
3.8 マネジメントシステムの成熟度調査
4章 マネジメントシステムのモデル
4.1 組織のマネジメントシステム
4.2 ISOで定義する品質マネジメントシステム
4.3 JIS Q 9005のモデル
4.4 デミング賞のモデル
5章 マネジメントに関する知識の学習
5.1 要員の力量
5.2 マネジメント能力の開発プログラム
参考・引用文献


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品質管理及び品質保証に関わる活動の全体像について、【品質管理技術の「見える化」】の観点から図を用いて分かり易く解説している本を紹介します。


本書の「まえがき」で筆者の福丸 典芳 氏は、昨今のリコール件数の増加や製品・サービスの品質不良に伴う事故が多発していることについて、1990年代のバブル崩壊後に企業は生き残りのため品質からコスト中心の経営に移行したため、それまでのTQCを採用しなくなり、社員に対する品質教育も行われなくなったことがボデーブローのように効いてきていると分析した上で、本書について以下のように述べています。


私たちは、顧客の製品・サービスに対するニーズ・期待を満たすために品質保証活動を行っている。

その基本となるのが、品質をどのような考え方、どのような方法で効果的、かつ効率的に作り込むのかに関するプロセスを構築し、維持し、改善することである。

このために、企業環境をしっかり分析し、この結果を企業のマネジメントシステムにインプットし、これを改善および革新することで、企業の目標を達成することが可能となる。

このためには、供給者・パートナーを含む企業内のすべての人々が、品質に関する知識を正しく理解し、これを実践することが必要となる。

(略)

今からでも遅くはないので、品質管理や品質保証の活動の全体像を理解するために本書の活用を図ってほしい。

この本の特徴は、品質管理技術の見える化を図るため、図による解説を行うことで、理解を深めることができるよう工夫している

また、企業内での教育・訓練でもわかりやすく使用できるようにしている。


<<ポイント>>


品質管理品質保証に関わる品質管理技術について図で見える化を図った総合的な解説書。


本書では、


品質の基本概念から、品質管理の実践のための原則、プロセス管理、


企画・設計・開発プロセス、生産プロセス、販売・顧客サポートプロセス、


管理改善のための管理技術、品質マネジメントシステムと組織、


標準化、人材開発、品質マネジメントシステム、TQMなど全社的品質管理活動、


さらに他のマネジメントシステムといった事項について


体系的に見える化解説をしています。


本書:「品質管理技術の見える化―トレーニングツール」です。


本書は、筆者:福丸 典芳氏にて、2009年9月に日科技連出版社より発行されています。



<<本書のエッセンスの一部>>


本書は、13章から構成されています。


全体的に見える化のタイトルの意図とも合致して、沢山のイラスト、概念図、各種グラフなどの図表が挿入され、見てわかるという入門者にもやさしい解説となっています。


全体を通して、ISOやJISとの連動について配慮され、途中に【ISOでは】【JISでは】等が区切り線を交えて挿入され、ISO 9000ISO 9001JIS Q 9005などに基づくキーワード・用語等が解説されています。


また項目毎にポイントとして枠囲みでその項目の要点が箇条書きでまとめてあります。


本書を自習書として活用する時にも後からポイントでレビューするなどに活用でき、理解に役立つ構成となっています。


それでは、ざっとした概要を章を追って紹介します。


第1章では、「品質の基本概念
と題して、品質の用語についてISOの関連用語の定義など交えての考察からはじまります。


当たり前品質と魅力的品質、品質管理の意義について解説しています。


第2章では、「品質管理を実践するための原則
と題して、品質第1、顧客志向、プロセス重視などの概念から重点志向、事実に基づく管理、管理のPDCAサイクルの考え方、ばらつきの管理、変化点管理、見える化などの基礎概念を解説しています。


また品質マネジメントの8原則、JIS Q 9005:「質マネジメントシステム-持続可能な成長の指針」の12原則のぞれぞれについてそのようなものかを解説しています。


第3章では、「プロセス管理
と題して、ISO9001の4.1項:「一般要求事項」及びJISQ9005の6.6.1項「一般」のプロセス等のの運営管理の解説にはじまり、次いでプロセスの設計方法について品質機能展開、JISQ 9025:「マネジメントシステムにパフォーマンス改善-品質機能展開の指針」の業務品質展開に沿って購買プロセスの事例表を交えプロセス設計の手順(13ステップ)とその利点などを解説しています。


またプロセスアプローチの概念について解説しています。


第4章では、「品質保証と製品・サービスの規格
と題して、品質保証についてのISO9000の定義などからJISQ9025での品質保証体系図の定義とそれをどのように活用するかを解説しています。


また「マーケティング」について日本マーケティング協会による定義を確認し、マーケティングのプロセスにおいて確立すべき要素とそれに関するステップなどを解説しています。


次いで研究開発プロセスについてJISQ9005の技術戦略の規定など交えてどのようなプロセスを含むか等を解説し、製品・サービス企画、製品・サービスの設計開発のプロセスにおいて設計・開発計画の策定、設計の実施、設計・開発のレビュー、設計・開発の検証、設計・開発の妥当性確認、設計・開発の変更管理、更には、コンカレントエンジニアリング、信頼性設計、故障率、FTA・FMEAの手法などについていずれも事例など交えながら解説しています。


そして、生産工程設計プロセスについて、生産の工程設計で行うべきこと、さらに標準仕様の確立について、その目的を確認し、とくに「QC工程表」と「作業標準書」について記載すべき事項、帳票例を交えて、作成時に配慮すべき事項、その詳細な作成方法・手順を解説しています。


第5章では、「製品・サービスの生産のプロセス
と題して、購買、製造・サービス提供、検査・試験、保存・輸送といった製品・サービスの生産に関わるプロセスを取り上げ解説しています。


購買プロセスについては、供給者との互恵関係の概念にはじまり、供給者の能力評価・選定(アウトソースするプロセスの管理、二者監査)、供給者の力量の改善、供給者の提案・報償制度、購買要求事項の設定、購買製品・サービスの検証といったプロセスの要領とポイントを解説しています。


また製造・サービス提供プロセスでは、新製品・サービスの製造に関する特別な管理体制で対処する初期流動管理、継続的な製品・サービスの製造に関する工程管理(管理図、グラフ、工程能力管理指数、IE手法(方法研究、作業測定)の解説)、製造設備の保全に関する設備管理(インフラストラクチャーの計画・運営管理、予防保全の重視の解説)、製造や検査のための測定機の計測器管理(ISO 9001の7.6項に関わる解説)、業者の安全管理(ハインリッヒの法則とヒヤリハットなど)、さらに作業環境管理(ISO9000の定義と作業環境の考慮事項など解説)を取り上げ解説しています。


製品の検査・試験では、「検査方式の設定」(中間検査、最終検査、出荷検査などの検査、検査のISO9000の定義、製造段階の検査の分類(全数検査、抜取検査、抜取数を決めた検査)と検査の種類(計数値、計量値)に関わる標準型抜取検査の概要(OC曲線など)、調整形抜取検査(ゆるい検査、なみ検査、きつい検査、検査停止)と検査標準の作成、サンプリングの考え方など)、さらに「測定方法の設定」、及び「検査員の力量」といった事項を取り上げ解説しています。


さらに製品の保存に関わる取り扱い、梱包・包装、保管、在庫管理、輸送といった事項を解説しています。


第6章では、「製品・サービスの販売・顧客サポートのプロセス
と題して、販売・顧客サポートのプロセスを取り上げそれに関わる品質管理技術の見える化技術を解説しています。


販売プロセスについては、顧客との良好な関係を築くための顧客開拓、売上高管理、受注処理、資金回収、顧客情報管理といった販売部門の機能との関係の全体像を解説しています。


次いで、顧客サポートに関しては、顧客サポートの仕組み、苦情・クレーム処置、(LCAなど製品のライフサイクル、環境影響評価法)といった製品の環境影響、PL(製造物責任、PLP(PL予防)とPLD(PL防御)の取り組み)、製品安全に関わる法令・規制要求事項(PSマーク、PSCマーク、SGマーク、ISO9001の7.3.3項d)の要求事項)などを解説しています。


第7章では、「管理・改善のための管理技術
と題して、PDCAとSDCAサイクル、是正処置(再発防止)、予防処置(未然防止)、問題解決形QCストーリー、課題達成形QCストーリー、方針管理、日常管理といった管理・改善に関わる管理技術を取り上げ解説しています。


方針管理の継続的改善に関わるPDCA及び日常管理の考え方としてのSDCAについて解説し、ISO9000での是正処置の定義から8.5.2項の要求事項の解説、是正処置の効果的な実施手順を解説し、次いで予防処置についてISO9000の定義及び8.5.3項の要求事項の解説、予防処置の効果的な実施手順をリスク分析及び見える化の観点から解説しています。


また問題解決形QCストーリーについて原因追求のための手順と各ステップの着目点、そして課題達成形QCストーリーについての進め方の手順と各ステップの着目点について解説しています。


そして方針管理についてJISQ9023の「方針によるマネジメント」の方針管理のステップ(方針の展開と実施計画の策定の要素、方針の実施状況の確認と処置、方針の実施状況のレビュー及び次期への反映)を解説し、さらに方針管理の推進方法についても詳解しています。


また日常管理については、日常管理の基本のSDCAのサイクルにはじまり、結果系としての管理項目、原因系としての点検項目についての定義と設定の方法、方針管理と日常管理の関係などを解説しています


第8章では、「品質マネジメントシステムの評価方法と改善活動の組織体制
と題して、内部監査、自己評価、トップ診断、改善・革新体制といったQMSに関わる評価方法及び改善活動と組織体制について解説しています。


内部監査について、ISO9000の定義からはじまり、組織の内部監査に対する定期がISO9001の要求事項に限らず品質を中心とした経営活動も定義していると経営にインパクトある内部監査に結びつくとし、内部監査の効果的なステップについて解説しています。


そしてISO9004,JISQ9006に基づく自己評価の仕組みを解説し、自己評価の体系と各種の活用の方法と自己評価のステップについて自己診断シートの事例を交え解説しています。

またトップマネジメント自身が現場で行うトップ診断についてトップ診断の意義とその手順を解説し、さらに方針管理、日常管理、内部監査、自己評価、トップ診断を通じてマネジメントシステムの改善・革新すべき能力が明らかになった場合の革新・改善体制についてプロジェクト活動、小集団活動、5S活動、提案活動についての進め方と留意すべき点などを交えて解説しています。


第9章では、「標準化
と題して、ISO、JISなどに関わる標準の仕組みと文書管理などの管理方法について解説しています。


ISO/IEC Guide2(JISZ8002)の標準の定義からはじまり、ISO規格、JIS規格についての仕組み、規格の種類、文書化の価値、標準化計画の策定のステップなど解説しています。


また文書管理についてISO9001の4.2.3項の要求事項の意図している点など中心に解説しています。


第10章では、「人材開発
と題して、企業にとって最も重要な経営資源である人的資源について解説しています。


ISO9000の力量の定義の解説にはじまり、6.2.2項の要求事項にまつわる解説に続き、人材開発プロセスについて解説しています。


第11章では、「品質マネジメントシステム
と題して、ISO9001による第三者認証制度とISO9000ファミリー規格の概要について解説しています。


ISO9001による第三者認証制度については、その仕組みと他のGMP、HACCP、ISO22000、ISO/TS16949、TL9000、要員認証制度、製品認証制度、JISマーク認証制度について解説しています。


ISO9000ファミリー規格に関して、全体を概観し、ISO9000:2005(JISQ9000:2006)、ISO9001:2008(JISQ9001:2008)、ISO9004:2009(JISQ9004:2009)、ISO19011:2002(JISQ19011:2003)の概要について解説しています。


またJISQ9005およびJISQ9006の基本的事項についてISO9001、9004との関係を含めて解説しています。


第12章では、「全社的品質管理活動
と題して、品質管理、TQC、TQMとの経緯を概観するとともにTQMの考え方について解説しています。


全社的品質管理について、品質管理活動の推移を考察し、TQMについてのデミング賞での定義と解説を紹介し、TQMの考え方(フィロソフィー、コア・マネジメントシステム、手法、運用技術)について詳解しています。


また品質管理に関する表彰制度について、デミング賞、日本品質奨励賞、MB賞、EQ賞、日本経営品質賞の概要を解説しています。


第13章では、「他のマネジメントシステム
と題して、品質以外の環境などのマネジメントシステムの概要について解説しています。


ISO14001、ISO13485、ISO22000、ISO/TS16949、ISO/IEC27001、JISQ9100、JISQ2001、JISQ15001、その他OHSAS18001(18002)、TL9000、ISO26000に関わる動向などを取り上げ解説しています


<<本書で何が学べるか?>>


本書では、品質管理品質保証に関係する活動の全体像について品質管理技術見える化の観点から図による解説で分かり易く解説しています。


<<まとめ>>


本書は、これから品質管理を勉強される方にとっても、また現在の品質管理技術を更に深めたいニーズを持っておられる関係者にもおすすめの一冊です。


なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 品質の基本概念
第2章 品質管理を実践するための原則
第3章 プロセス管理
第4章 品質保証と製品・サービスの規格
第5章 製品・サービスの生産のプロセス
第6章 製品・サービスの販売・顧客サポートのプロセス
第7章 管理・改善のための管理技術
第8章 品質マネジメントシステムの評価方法と改善活動の組織体制
第9章 標準化
第10章 人材開発
第11章 品質マネジメントシステム
第12章 全社的品質管理活動
第13章 他のマネジメントシステム


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新型インフルエンザの感染拡大の影響で、ドラッグストアや薬局・薬店、コンビニの店頭からマスクが消えています。


Yahoo!オークションで、マスクが定価の10倍の金額とか100枚入りマスクを705,000円で落札したことなどが話題になっています。


マスクは、海外から取り寄せて購入することも可能ですが、今すぐ欲しいとの希望からすると3週間程度の納期が掛かってしまうようです。


確かに関西圏では、行き交う人が並みマスク着用といったマスク着用率が極めて高い状況になっています。


アメリカなどでは、マスク着用者自体を見かけることは、少ないという状況のようで、日本人独自の潔癖さを象徴しているようにも思われます。


アメリカなどの場合、マスクは、感染者が、自身のくしゃみなどによる他の人への飛沫感染を防止するために着用するという考えに対し、日本の場合には、それに加えて感染者からの感染を予防したいという思いからの着用になっています。


この現象は、広い意味の日本文化を象徴しているように思われます。


品質を磨き、危機に強い、日本固有の不確実性回避文化をテーマに新たな質を創造するあり方、我が国が将来、目指すべき方向性などを論じている本を紹介します


本書の「まえがき」で、「生活者の安全や安心を脅かす質問題、事故や事件の頻発の問題」、「我が国市場だけでしか通用しない高機能競争による製品進化を促すガラパゴス化、故障しない製品に慣れ、長期間メンテナンスなしで製品を使用し思わぬ事故を起こす質ホメオスタシスと呼ぶような現象」、「特にサービス産業で起きている高コスト体質」といった問題や現象の背景について以下のように述べています。


モノや時間に対する”あいまいさ”やリスクを嫌う高不確実性回避文化であり、一方で宗教やイデオロギーに縛られない相対主義の文化である

競争力の観点からの文化が強みに働くか、弱みに陥るかは、モデレータとしての質を取り巻く環境条件との組み合わせで決まる。

これを解明することで現代的文脈のもとでの競争力に直結した質のあり方や今後が見えてくる。」


<<ポイント>>


質マネジメントの視点から日本固有の不確実性回避文化について考察し、新たな質を創造するあり方を提言する本


  • 旬の時事を通じて「質(品質)」の基本概念・方法論を理解できるテーマ
  • 読み進めるうちに質マネジメントや品質学の高度な知識も身につく構成
  • 専門を問わず幅広い層の知識人にも深遠な品質論で応える教養書
  • 品質管理の実務で活躍する各界の専門家が最新情報を交えて執筆

といった観点から競争優位を保つ基盤となる質マネジメントの進化を意図して品質管理学会による企画発行されている「JSQC選書」の一冊になります。


本書では、国際比較研究を通じて明らかになった我が国の独特の文化特性について考察し、日本の強みと弱みのの源泉について解き明かしていく中から『高不確実性回避』という文化特性に注目し、クローズアップしています


また高不確実性回避』という文化特性がTOC(制約理論)、CS:顧客満足、生活満足度、SCM:サプライチェーンマネジメントといった品質管理に関わる特質にどのように関わってくるかを検証したのち“日本の時代”に向けての方向性や新たな質を創造するあり方について提言しています


本書:「我が国文化と品質」です。


精緻さにこだわる不確実性回避文化の功罪」との副題が付いています。


本書は、著者:圓川 隆夫 先生ならびに(社)日本品質管理学会の監修にて、2009年4月に日本規格協会より「JSQC選書」の一冊として発行されています。


我が国文化と品質―精緻さにこだわる不確実性回避文化の功罪 (JSQC選書)
日本規格協会
発売日:2009-04
発送時期:在庫あり。
ランキング:87247

<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には、以下のように書かれています。


質にかかわる現在の問題点とこれからのあり方を、

日本文化に遡って考える-----

品質を磨き、危機に強い我が国固有の

不確実性回避文化とは?


本書は、8章から構成されています。


本書には、各種データのグラフ、概念図などを含むイラスト等の多数の図表が挿入され、本書の論旨の裏付けとしてわかりやすい展開となっています。


ざっと各章の概要を紹介します。


第1章では、「我が国で生まれた質哲学とイノベーション概念
と題して、我が国で誕生し、今やオペレーションズマネジメント上の競争優位を維持するためのグローバルスタンダードともなっている日本的文脈が生みだした質哲学、更には、イノベーションの概念について考察しています。


F.W.テイラーにより生み出された標準にはじまり、改善継続的改善デミングのPDCAサイクルSQC手法TQMなどの概念について概観しています。


また質に関わるイノベーションの概念では、「顧客志向」、「質をよくすればコストも下がる」、「源流管理」といった管理を取り上げ関連する手法も含めて解説しています。


さらに「見える化」と「ジャストインタイム」の概念についても詳解しています。


第2章では、「我が国の国際競争力から見た現在の問題
と題して、1980年代までのQCDの組織的改善努力などを含むオペレーションズマネジメントがうまく機能していた時代とは異なり、バブル崩壊から現在まで、変化した競争環境の中で、何が起こり、さらにそのことが我が国の質や生産性にどのような問題を引き起こしているかについて考察しています。


スイス国際経営研究所(IMD)の国際競争ランキングの推移から我が国のビジネス効率性の低下に着目し、「個人でリスクをとる経済文化」、「グローバリティあるいはオープンさ」という評価基準が世界の流れと齟齬(そご)をきたしていると分析しています。


さらにビジネス効率性の強みと弱み、生産性の国際比較を行いサービス産業の生産性の低さといった面について考察しています。


第3章では、「“モノ”への高不確実性回避文化、日本
と題して、改善努力を生み出した根源的な我が国の文化の特質は何かといった点について考察しています。


G.ホフステードの以下の国の文化を特徴づける「文化の4次元」(1.権力格差、2.個人主義と集団主義、3.男らしさと女らしさ、4.不確実性回避)による調査対象53カ国の比較調査の結果から我が国文化の特徴は、「権力格差」、「個人主義」が中位で、「男らしさ」、「不確実性回避」が強い社会とし、「不確実性回避」についての特徴を分析し、相対主義で技術にはしるといった:反論の紹介、米国から我が国導入された成果主義の功罪といった話題も交えて考察しています。


またこの章の最後に「経営理論と国の文化」と題した付録が添付されています。


ここでは、「テーラーシステム」、「マグレガーのX理論・Y理論と目標管理」、「オオウチのZ理論」、「マズロ−の欲求5段階説」などを解説しています。


第4章では、「改善努力の源泉とその強み、弱み
と題して、「不確実性回避」の高さが、「不良ゼロ、故障ゼロを目指した改善努力の源泉」であるとし、そのメカニズムと前提条件について解説しています。


また日本的改善モデルをベンチマークすることで生まれたE・ゴールドラットのTOC(制約理論)の概要を紹介し、さらにゴールドラットによる日本モデル批判について論ずると共に我が国文化の強み・弱みを考察しています。


第5章では、「CSの国際比較、厳しい顧客が我が国の質を鍛えた
と題して、「不確実性回避」傾向が強いという我が国の文化が消費者や顧客にはどのように働いたかをCS顧客満足度の生成メカニズムとの関係から考察しています。


CSについての国際比較、国の文化のCSへの影響、さらには個人レベルでの文化とCSの関係といった観点から考察しています。


第6章では、「幸福感、IMDランキングも文化の影響を受ける
と題して、「不確実性回避」傾向が強いという我が国の文化が前章のCSだけでなく、生活満足度幸福感といった点にも負の影響を及ぼしているという側面について考察しています。


またこのような文化の影響は、IMD国際競争力ランキングにも影響を与えているとし、我が国はIMD国際競争力ランキング上位を目指すべきか?について世界金融危機の問題を取り上げ論じています。


第7章では、「オペレーションマネジメント性能と経営成果、そして文化
と題して、SCM:サプライチェーンマネジメントの事例を取り上げ、現場力に支えられたオペレーションマネジメントとその経営成果との関係について解明し、SCM性能について、東京工業大学と(社)日本ロジェスティック協会で共同開発されたSCMロジェスティックスコアカード(LSC)に基づく評価を交え、他国との比較からマネジメント上の弱点を明らかにしています。


またこのことに我が国の文化が関わったかを実証データと共に考察しています。


さらに組織成熟度と認識ギャップに関するデータ等に基づいて、他国がマネできない組織的改善を経営成果に直結させ、うまく活かすためには、マネジメント力が必要不可欠と説いています。


第8章では、「コストから機能・質、そしてデザインの時代へ
と題して、これからのコストから機能・質、そしてデザインの時代とし、このような時代にマネジメント力の強化に加え、我が国文化の特徴を引き出すために新たな質の創造に関わるどのようなものづくりのアイデンティティを再確立し、これからの時代にあった経済文化を創出すべきかを論じています


<<本書で何が学べるか?>>


本書では、質にかかわる現在の問題点とこれからのあり方を、日本文化の特質に遡って考察しています。


本書では、国際比較研究を通じて明らかになった我が国の独特の文化特性について考察し、日本の強みと弱みのの源泉について解き明かしていく中から『高不確実性回避』という文化特性に注目し、クローズアップしています。


さらにこの『高不確実性回避』という文化特性がTOC(制約理論)、CS:顧客満足、生活満足度、SCM:サプライチェーンマネジメントといった質マネジメントに関わる特質にどのように関わってくるか等を検証したのち“日本の時代”に向けての方向性や新たな質を創造するあり方について提言しています


<<まとめ>>


本書は、職種等を問わず、質マネジメントに関心があるビジネスパースンには、読んで頂きたい一冊です


なお本書の主要目次は、以下の内容です。
第1章 我が国で生まれた質哲学とイノベーション概念
第2章 我が国の国際競争力から見た現在の問題
第3章 “モノ”への高不確実性回避文化、日本
第4章 改善努力の源泉とその強み、弱み
第5章 CSの国際比較、厳しい顧客が我が国の質を鍛えた
第6章 幸福感、IMDランキングも文化の影響を受ける
第7章 オペレーションマネジメント性能と経営成果、そして文化
第8章 コストから機能・質、そしてデザインの時代へ






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日本品質管理学会(JSQC)が競争優位を保つ基盤としての”質”の意義を再認識し、実践に活かしていくとの観点から”質”に関わる基本的な概念や方法を取り上げて解説するシリーズの【JSQC選書】で【アフェクティブ・クォリティ】をテーマ取り上げている最新の一冊について紹介します。

本書の「まえがき」で筆者が本書の目標とするポイントについて以下のように述べています。


人に良い感情を起こす」、「良い感情を経験してもらう」という考えを一つの大切な「質」として企業経営の中で、あるいは社会の中で認識していただくことを目標にしています

私たちは感情を意味する英単語affectから、この「」をアフェクティブ・クオリティと読んでいます

(略)

しかし、前世紀から今世紀にかけての合理性重視、コスト削減優先の風潮の中で忘れられかけたこの価値をもう一度取り上げ、その大切さをもう一度議論することで、むやみやたらに削減してしまってよいものでない、それどころかこれからの製品・サービスづくりの中で重要な競争力になり得るものだといいうことを、皆さんに今一度考えていただきたい。

そう思ってこの本を書きました。

(略)

この本を通じて皆さんに問いかけたいのは、お金をかけたデザインの必要性でも、高級な素材を使うことの重要性でもなく、ただ一つ「人間の感情に思いを及ぼす」という考え方の持つ価値です

お客さんにどんな感情をもってもらおうかと考えることができたら、それを実現する方法は必ずしもお金をかけることばかりではありません。

茶道ではお客さんをもてなすのにお金をかけて贅沢なことをしろとは教えていないはずです。お客さんに接する言葉一つ、表情一つでお客さんの感情経験を劇的に変えることもできるのです。


<<ポイント>>


これからの製品・サービスづくりの中で、重要な競争力になり得る概念である「アフェクティブ・クォリティ」の解説書。


ユーザーがその製品を手に取ったときの感じてもらえる感動や興奮。


そのような感情を引き起こしたり、顧客の感情を考えるという価値観を、「アフェクティブ・クォリティ」と呼び、


本書では、「アフェクティブ・クォリティ」の考え方を製品・サービス・経営に生かす手法やアフェクティブな製品づくりを実現した企業の実例を解説しています。


また「アフェクティブ・クォリティを創造するための考え方とツールやそのために必要な組織戦略などを説いています。


本書:「アフェクティブ・クォリティ」です。


感情経験を提供する商品・サービス」との副題が付いています。


本書は、(社)日本品質管理学会の監修、ならびに著者:梅室 博行先生にて、2009年4月に日本規格協会 より、「JSQC選書」のシリーズの6として発行されています。


アフェクティブ・クォリティ―感情経験を提供する商品・サービス (JSQC選書)
日本規格協会
発売日:2009-04
おすすめ度:4.0
おすすめ度4 新しい「品質」の定義を考える機会に
おすすめ度4 学術書というよりは新しい考え方の枠組みを提唱する本
おすすめ度4 製品やサービスに携わる全ての人に読んでもらいたいです。

<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には、以下のように書かれています。


その製品を手に取ったときの感動、

その車を運転するときの興奮---

あなたの製品・サービスはどんな

感情経験をくれますか?


本書は、6章から構成されています。


本書では、写真や概念図などの図表を交えて、アフェクティブ・クォリティの本質、考え方から先進企業の取り組み事例、さらには、それを組織のマネジメントまで展開したアフェクティブ・マネジメントに基づく未来ビジョンまでを解説しています。


また2、3、4、5章の終わりには、「コラム」欄が挿入され、ここでは、例えば、『「日本品質」の捉えられ方』といった関連のエピソード等が取り上げられています。


ざっと内容を紹介します。


第1章では、「 序論―競争力としての「アフェクティブ」
と題して、感情が呼び起こされる小さな瞬間についての身近なキッチンでの日常的な例や、iPhoneの例など取り上げながら、「感情への配慮」が新たな「」としての競争力になる価値観となり得ることを説いていきます。


 これは、本来は、日本流の「おもてなし」といった伝統的な競争力であったにもかかわらず、近年、コスト重視の潮流のなかで振り返られなかったので、これを復権させることが新たな競争力になるとの観点が説かれ、またこの章では、本書の全体構成についても概観するという内容にもなっています。


第2章では、「安全・信頼・ユーザビリティ・その次に来るもの
と題して、これまでの製品づくりやサービス提供について、とくに従来の品質管理が目指した安全・信頼、そして人間工学的ユーザビリティといった概念を振り返り、その貢献と限界といった点等を整理しています。


 またそこで欠けていたものは何かを分析し、「楽しさ」、「喜び」、「美しさ」といった方向性ととくに本書で重視する「感情経験」のキーワードが着目されてきていると紹介しています。


第3章では、「感情と愛着―affectからaffectionへ
と題して、大脳辺縁系などのモデルを交えて人間にとっての感情の意味から感情研究に基づくその歴史的な位置づけを総括し、感情研究が活発化してきている背景を解説しています。


 また「アフェクティブ」のコンセプトがどういうものかを提唱し、なぜいま感情が重要なのか、さらに感情を喚起する質である「アフェクティブ・クォリティ」の考え方について解説しています。


第4章では、「アフェクティブ・クォリティを読み解く考え方とツール
と題して、「アフェクティブさ」をどうやって評価するかといったアフェクティブ・クォリティを取り扱う上で必要な認知心理学的な考え方やそこで用いるツールについて解説しています。


 ここでは、「アフェクティブさ」の評価のための製品・サービスの原因系の評価感情反応の結果系の評価のモデルと考え方、指標、また本能的感情と内省的感情といった感情の階層のレベル、感情の持つ合理性、ユーザ・エクスペリエンスの中の感情をとらえる4つのスレッドと6つのフェーズなどを詳解しています。


第5章では、「アフェクティブ・クォリティをつくり出す―デザインからブランド戦略まで
と題して、アフェクティブ・クォリティを実際につくりだすために、どのように実践すればよいかとの観点から「感性品質」に取り組む自動車会社(マツダ、日産、レクサス)、家電製品メーカ(東芝、プラマイゼロ)の事例を横断的に取り上げそこからどのようなことを学ぶべきかを論じています。


 またアフェクティブ・クォリティがもたらす感情経験、アフェクティブ・クォリティを実現するための組織戦略の必要性、アフェクティブさインスティテューションアフェクティブ・クォリティの限界といった観点からアフェクティブ・クォリティについて論じています。


第6章では、「アフェクティブ・マネジメント
と題して、Apple社のiPodを例にアフェクティブという考え方・価値観が組織をマネジメントする上でも重要な価値観になるとして、そのような価値観を基軸としたアフェクティブ・マネジメントの考え方を提示しています。


また本書の「アフェクティブな社会に向けて」と題した「あとがき」で以下のような点を改めて強調してします。


アフェクティブとは、決して新しい考え方ではなく、日本人が伝統的に受け継いできた「もてなし」:「相手に良い感情をもってもらう」という価値観の復権であり、


市場原理主義」、「コスト削減第一」的な潮流に埋もれてしまい人々からほとんど省みられなかった問題の再考になる


とした上で、


そのような社会は、間違いなく、人に優しい、ストレスの少ない、住みやすい社会であり、本書での議論が目指すところはそんな社会である


としています。


<<本書で何が学べるか?>>


本書では、ユーザにとって望ましい感情を引き起こす、また顧客の感情を考えるという価値観について、「アフェクティブ・クォリティ」と呼び、これからの製品・サービスづくりに必要な新しい“質”として提示し、「アフェクティブ・クォリティ」の考え方を製品・サービス・経営に生かす手法やアフェクティブな製品づくりを実現した企業の実例を解説しています


<<まとめ>>


本書は、これからの製品・サービスづくりに必要な新しい“質”として、「もてなし」、「相手によい感情をもってもらう」といった人の感情の側面に十分に配慮した商品・サービスである「アフェクティブ・クォリティ」の概念について体系的に解説しています


本書は、新たな品質論としての切り口になりますが、これからの時代の商品-サービスのあり方を考える上で重要な方向性を論じており、経営トップからマネジャーといった立場の方々には是非読んで頂きたい一冊です


なお本書の主要目次は、以下の内容です。
第1章 序論―競争力としての「アフェクティブ」
第2章 安全・信頼・ユーザビリティ・その次に来るもの
第3章 感情と愛着―affectからaffectionへ
第4章 アフェクティブ・クォリティを読み解く考え方とツール
第5章 アフェクティブ・クォリティをつくり出す―デザインからブランド戦略まで
第6章 アフェクティブ・マネジメント






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日本品質管理学会が監修した質マネジメントの深化の観点から監修した新しい『JSQC選書』のシリーズが2008年9月に日本規格協会から発行されています。


本日、紹介するのは、この「JSQC選書 4」になります


SSM(Stress-Strength Model:ストレス −ストレングスモデル)とは、製品やシステムに発生する故障・不具合・不安全などの発生メカニズム(因果連鎖)の知識を、設計・計画時のトラブル予測・未然防止に活用するための構造的に表現するモデルのこと。


本来、ストレス −ストレングスモデルの言葉は、SS曲線(応力−ひずみ)といった材料強度学の材料の破損に関して表現されているが、本書で対象としているのは、設計・計画の要因とストレス要因に基づくトラブルの因果の連鎖を表現するモデルをして開発され、トラブル知識の構造化のために確立されたモデルになります、


<<ポイント>>


トラブル予測・未然防止には、以下の3要素が必要


  1. 使える知識の整理
  2. 知識を使っての未然防止の仕組みの整理
  3. それらを利用できる人の教育

質マネジメント信頼性工学に関係して、FMEA(Failure Mode and Effect Analysis:故障モード・影響解析)、FTA(Fault Tree Analysis:故障の木解析)、ワイブル解析などのリスク解析、統計手法があり、それらの手法を活用してトラブル予測・未然防止を実現するには、その固有技術に関するトラブルの経験、知識が必要となります。


上記のような観点から、製造業における製品やシステムの故障・不具合・不安全などを取り上げ、設計、生産技術、品質保証、購買、設備保全など製造業の様々なモノづくり業務の「設計・計画」において、トラブルを未然に防止するための知識を整理・活用するSSMによる知識マネジメントについて解説している本を紹介します。


設計者は、多忙な日程の中で、過去に発生した製品の失敗に関する記録などの情報の中から現在、設計・計画している仕様において、どのようなトラブルが起こり得るかをどのように判断したら有用かを知りたいとのニーズがあります。


その解決アプローチとしてSSM (Stress-Strength Model)の手法を解説し、モノづくり業務の設計・計画における未然防止のための知識を整理・活用する方法を説明しています。


本書:「トラブル未然防止のための知識の構造化」です。


SSMによる設計・計画の質を高める知識マネジメント」との副題が付いています。


本書は、著者:田村 泰彦 氏、ならびに(社)日本品質管理学会の監修にて、2008年9月に日本規格協会より発行されています。



<<本書のエッセンスの一部>>


本書は、7章から構成されています。さらに巻末にFMEAFTAの概要解説が補足として掲載されています。


本書の概要を紹介します。


第1章では、「設計・計画におけるトラブル予測・未然防止
として、設計・計画におけるトラブル未然防止の重要性の確認に始まり、様々な設計・計画業務や設計・計画プロセスなどを仕様の立案時の流れについて分析した上で設計の質を高める観点から、トラブル予測・未然防止のためには、トラブルに関する知識および対象に関する知識が整備され、設計者もそれを活用できる思考能力を備えていることの必要性を説いています。


第2章では、「トラブル予測・未然防止に必要な知識
として、「トラブルに関する知識」および「対象に関する知識」について具体的にどのような知識が必要かを説明し、これらの知識の差が予測の差につながるとした上で多数のトラブル情報の例を挙げ、トラブル情報データベースが用意されていたとしても使ってもらえないデータベースの問題点などあげて役立つためのトラブル情報データベースの作成の体系化が必要なことを強調しています。


第3章では、「知識の構造化の概要と意義
として、知識を構造化することの意義、メリットから、構造化知識の獲得と活用について、トラブルに関する知識運用モデルのフローで説明しています。トラブルに関する知識をうまく活用して設計・計画の質を高めるには、トラブルに関する知識の『抽象化』と『具体化』を繰り返すことが重要としています。


第4章では、「トラブルに関する知識の構造化
として、トラブルに関する知識をどのように構造化していけば良いかの方法を解説しています。とくに知識の再利用性を考慮するの重要性を説き、種々のトラブル情報からどのように知識の構造化を進めるかについて不具合事例、FT図、FMEA表からの知識の構造化を解説し、 特に本書のテーマでもあるSSM による知識構造化について具体例を交えて詳細に解説しています。


第5章では、「対象に関する知識の構造化
として、「対象に関する知識の構造化」とは、解析者が、解析ニーズに沿ってトラブルに関する特徴を漏れなく抽出できるように、設計・計画アイテムに関係するトラブルに関する特徴を収集、分類、階層化、相互関連づけし特徴概念の体系を整備することと確認した上で、アイテムの仕様に関する知識の構造化の方法ならびにSSMを利用した対象に関する知識の構造化の方法について解説しています。


第6章では、「構造化知識を活用したトラブル予測・未然防止
として、設計・開発立案時のトラブル予測・未然防止の進め方について解説しています。詳細には、再発防止チェックリスト支援ソフトウェアFMEAFTAへの活用方法について解説し、さらにその活用の全体像についてまとめています。


第7章では、「知識の構造化によるトラブル未然防止活動の実践」
として、SSMによる構造化知識を活用したトラブル未然防止活動の実践例が解説され、そのメリットについて、1.品質問題撲滅、2.設計プロセス改革、3.技術情報管理、4.技術者スキルアップ の各視点から取り上げ説明しています。


<<本書で何が学べるか?>>


本書は、製品やシステムの故障・不具合・不安全などを取り上げ、設計、生産技術、品質保証、購買、設備保全など製造業の様々なモノづくり業務の「設計・計画」において、トラブルを未然に防止するための知識を整理・活用するSSMによる知識マネジメントについて事例を交えて詳細に解説しています


<<まとめ>>


本書は、技術者、技術責任者からとくにトラブル未然防止に関心がある技術管理、システム開発などの関係者から質マネジメントに関心があるビジネスパースンには、おすすめの一冊です


なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 設計・計画におけるトラブル予測・未然防止
1.1 設計・計画におけるトラブル未然防止の重要性
1.2 様々な設計・計画業務
1.3 設計・計画プロセス
1.4 設計・計画時の未然防止の考え方
1.5 トラブル予測思考を構造化してみよう
第2章 トラブル予測・未然防止に必要な知識
2.1 トラブルに関する知識
2.2 対象に関する知識
2.3 知識の差は予測の差を生む
2.4 トラブル情報は宝の山か?
2.5 使ってもらえないトラブル情報データベース
第3章 知識の構造化の概要と意義
3.1 知識を構造化しよう
3.2 知識の構造化のメリット
3.3 構造化知識の獲得と活用のフロー
第4章 トラブルに関する知識の構造化
4.1 知識の再利用性を考えよう
4.2 知識の構造化の進め方
4.3 SSM による知識構造化
4.4 トラブルに関する構造化知識と情報基盤
第5章 対象に関する知識の構造化
5.1 対象に関する知識の構造化
5.2 アイテムの仕様に関する知識を構造化する
5.3 SSMを利用した対象に関する知識構造
第6章 構造化知識を活用したトラブル予測・未然防止
6.1 構造化知識を活用した再発防止チェックリスト
6.2 支援ソフトウェアを用いた構造化知識の活用
6.3 構造化知識を活用したFMEA
6.4 構造化知識を活用したFTA
6.5 構造化知識の活用システム
第7章 知識の構造化によるトラブル未然防止活動の実践
7.1 SSM によるトラブル未然防止活動の実践例
7.2 SSM を活用した様々な未然防止活動の例
7.3  SSM による知識の構造化のメリット
捕足−FMEAとFTA






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日本品質管理学会が監修した質マネジメントの深化の観点から監修した新しい『JSQC選書』のシリーズが2008年9月に日本規格協会から発行されています。


本日、紹介するのは、この「JSQC選書 3」になります。


の重要性に関して、本書の編著者は、「まえがき」で以下のように述べています。


は、生産者と消費者のお互いが共通の認識として理解し合える思想であり、共通語である。経営トップは、このことを十分に理解し、全組織、全従業員に徹底しなければあんらない。企業不祥事を発生させている企業の経営者の多くは、を軽視した結果といえる。を軽視することは、すなわち消費者を軽視していることである。

すべての経営者は、今一度、を第一とするマネジメントの重要性に気付こう


<<ポイント>>


を第一とした人材育成とは、一体どのようなものかを分かり易く説いています。


本書のタイトルを「を第一とする人材育成」とした理由について本書の編著者は、以下のように述べています。


人材開発、人材教育、キャリア形成、リーダーシップ、モチベーション、人事評価、人事異動、インセンティブといった人材開発の一般論に終わらず、質を基軸に置いた人の育成に焦点を当てたことによる。


不易流行と言いますが、世の経営環境は、変化したとしても、不易の部分、すなわち変わらないものは、の大切さとして、このことをお客様の視点で考えることができる人材の大切さと説いています。


とくに経営トップから現場の第一線までが、の向上を最優先にQCD(Quality・Cost・Delivery)のレベルアップを実践できる経営体質を確立するための、を第一とする人材育成のあり方を提言しています


本書:「質を第一とする人材育成」です。


人の質、どう保証する」との副題が付いています。


本書は、編著者:岩崎 日出男 先生にて、岩崎先生、澤田 潔 氏、武石 健嗣 氏の執筆にて、2008年9月に日本規格協会より、「JSQC選書」の3巻として発行されています。


質を第一とする人材育成―人の質、どう保証する (JSQC選書 3)
日本規格協会
岩崎 日出男(編さん)
発売日:2008-09
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:129729

<<本書のエッセンスの一部>>

本書は、11章から構成されています。全般的に概念図などの図表が挿入され、分かり易い解説となっています。

ざっとした概要を紹介します。


第1章では、「経営トップがまず質管理を学ぶべきである」
として、質管理の定義ならびに経営におけるの重要性を確認した上で、石川馨先生が挙げた質管理の8つの役割などを引いて経営者の位置づけが質管理において重要で、そのためトップ自らが現場から質管理を学び、必要性の十分な理解のもと強い信念を持って質管理を推進することの意義を説いています。


第2章では、「人材育成こそが質管理
として、人が育たなければ質管理はできず、市場において評価されるを提供するために質管理のための教育カリキュラムや時間に対する投資が必要とし、また昨今の不祥事とも関連づけて質管理技術者の育成がおろそかなためとし、質管理は教育で教育に始まり教育で終わると人材育成の重要性を確認しています。さらに質管理は人事部門とかに任せるべきものでなく、現場をよく知り事実を正しく把握させる教育がとくに大切と説いています。


第3章では、「学び教えなければならない質管理の技術
として、質技術を自然科学・工学の知識をもとに、顧客満足を質レベルで達成するための技術との定義に基づき、質管理のための技術とはどのようなものかを1.各種要素技術と量産化技術、2.量産化に向けての質確保の技術、(略)18.質を軸とした部門間調整の技術との18の技術要素を提示し、それらの技術による質管理推進のための能力について(1)全社TQM推進に関する能力、(2)質保証(QA)システムの運用能力、(3)質問題解決の技術能力の体系に18の質技術要素をまとめて整理して解説しています。


第4章では、「質管理技術者が育たない要因」
として、質管理技術者が育たない要因について列挙解説し、それらは、1.教育・OJTを含めた組織的な要因、2.対象となる質技術の可視化に関する要因、3.標準化や共有化などの仕組みに関する要因にわけて問題を分析しています。


第5章では、「質管理の知識をどのように教えるのか」
として、質管理技術者を育成するための教育プログラムについて解説しています。その社内外の代表的な品質管理教育コースと教育内容、階層別の教育のポイント、またデータ解析のために必要な統計的手法教育についてのポイントなど解説しています。


第6章では、「質技術の人材育成」
として、長期的技術戦略、質管理技術者育成の教育体系の整備、質技術の伝承に対する貢献度、さらには、質管理技術者に対する評価システムといった質技術の人材育成に関して整理し解説しています。


第7章として、「質を第一とする人材育成システムの要件」
として、これまでの日本品質学会、(財)日本科学技術連盟、日本規格協会などでの質管理教育を概観し、これからの人材育成を強化するために必要な教育システムの要件などについて提示しています。


第8章では、「QC サークルは人材育成」
として、QCサークル本部編による『QCサークルの基本』からQCサークル活動の定義を確認した上で、QCサークルが人材育成の重要な要素となっている6つの特徴を総括し、現場におけるQCサークル活動が人材育成に大きく貢献しているとQC的ものの見方・考え方の9項目がQCサークル活動を通して体得できることなど含めて解説しています。


第9章では、「問題解決の実践こそ人材育成の本質」
として、ここでは、問題をあるべき姿と現状との差と定義した上で問題・課題の解決に必要な能力の本質について分析し、8つの問題解決実践力の評価項目、QC手法の有効な活用がどのように問題解決の場面で寄与するかなどを考察しています。


第10章では、「人材育成の企業事例」
として、質を第一とする人材育成を実践している企業の事例として、株)ジーシーならびにコニカミノルタグループの人材育成に関わる活動や仕組みについて解説しています。


第11章では、「質を第一とする人材育成は社会に対する企業責任」
として、能力を支援する教育プログラムの開発を経営方針として、中長期的に取り組むべき姿勢が経営TOP層に望まれ、質管理技術者を育てることが社会に対する企業責任と述べています。


<<本書で何が学べるか?>>


昨今の企業不祥事などの背景に、多くの企業ではコストダウン、生産性向上、受注確保、売上げ増を追求し、質の保証が二の次になっていることがあると指摘した上で、『質を第一とする人材育成』について、経営トップから現場の第一線までが、質を第一とする考え方を実践するための、人材育成の重要性からそのための教育プログラムまでを企業の事例も交えて解説しています


<<まとめ>>


本書は、経営トップから管理者さらには、質マネジメントに関心があるビジネスパースンには読んで頂きたい一冊です。


なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 経営トップがまず質管理を学ぶべきである
1.1 経営における質の重要性
1.2 経営者の質に関する責任は重大である
1.3 経営者は現場から質管理を学べ
第2章 人材育成こそが質管理
2.1 人を育成していない企業に質管理はできない
2.2 質管理は教育である
2.3 教育に金を惜しんではならない
2.4 人事部に質教育を任せるな
2.5 質管理は現場で学べ
第3章 学び教えなければならない質管理の技術
3.1 質管理のための技術
3.2 質技術能力からの分類
第4章 質管理技術者が育たない要因
4.1 教育・OJTを含めた組織的な要因
4.2 質技術の可視化に関する要因
4.3 標準化や共有化などの仕組みに関する要因
第5章 質管理の知識をどのように教えるのか
5.1 質管理の教育内容
5.2 階層別教育
5.3 データ解析に必要な教育
第6章 質技術の人材育成
6.1 質技術の文化醸成
6.2 質技術伝承のための仕組みの確立
6.3 質技術教育の推進
6.4 質方針の明確化と育成戦略
6.5 教育研修による質技術者の人材育成
第7章 質を第一とする人材育成システムの要件
7.1 人材育成の体系化の整備
7.2 教育体系の整備
7.3 質技術の可視化
7.4 過去の経験活用から学ぶ仕組みの充実
7.5 モチベーションの高揚
7.6 人材育成こそ経営の最重要施策
第8章 QC サークルは人材育成
8.1 QC サークル活動がもつ六つの人材育成要素
8.2 QC サークルを実践するために必要な要件
第9章 問題解決の実践こそ人材育成の本質
9.1 問題の分類を認識する
9.2 問題解決の手順をマスターする
9.3 問題解決実践力の評価ポイント
9.4 問題解決の実践に必要な能力
9.5 QC手法のうまい使い方
第10章 人材育成の企業事例
事例1 (株)ジーシー
事例2 コニカミノルタグループ
第11章 質を第一とする人材育成は社会に対する企業責任
11.1 人材育成と企業の社会的責任
11.2 人材育成のフレームワーク






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日本品質管理学会が監修した質マネジメントの深化の観点から監修した新しい『JSQC選書』のシリーズが2008年9月に日本規格協会から発行されています。


本日、紹介するのは、この「JSQC選書 2」になります。


TQM(Total Quality Management)では、方針管理日常管理について、方針管理は、品質の向上を狙いとした活動、日常管理が品質の維持を狙いとした活動と分けています。


本書では、方針管理日常管理は、相互補完関係にあり、方針管理と日常管理のいずれか一方に偏重させることなく統合的に実施されるべきであるとの観点から、日常やるべきことをきっちりと実施するという:「日常的に実施される業務(職務)の維持管理・改善活動が日常管理である」との考え方に立脚して日常管理の基本と実践を説いています。


<<ポイント>>


日常的に実施される業務(職務)の維持管理・改善活動が日常管理である」との観点から日常管理の基本と実践を解説


本書の「まえがき」で著者も『最近の目に余る企業の偽装・不祥事から過失によるリコールや質問題も相次いで発生しているが、「やってはならないことをやってしまう」、「やらなければならないことがやられていない」が日常茶飯事になっているとし、「愚直なまでに、環境変化に対応して、やるべきことをきっちりとやる」という日常的活動の維持管理・改善活動が徹底していかなければ、イノベーションや自己変革はとても実現できない』と述べています。


業種・産業を問わず顧客の信頼と支持を獲得するためには、“やるべきことをきっちりやる”誠実さと継続性を日常管理において徹底することが、その第一歩と説いています。


計画は、なかなか計画通り達成できないものですが、この計画通り達成できるできるようにSDCA、PDCAのサイクルを回すための基本のマネジメントとしての日常管理について、本書では、日常的活動の維持管理・改善に積極的に取り組むことの重要性を説き、効果的・効率的な実践のあり方を幅広い層に向けて解説しています。


本書:「日常管理の基本と実践」です。


日常やるべきことをきっちり実施する」との副題が付いています。


本書は、本書は、著者:久保田 洋志 先生にて、日本品質学会の監修にて、2008年9月に日本規格協会より、「JSQC選書」の第2巻として発行されています。


日常管理の基本と実践―日常やるべきことをきっちり実施する (JSQC選書 2)
日本規格協会
発売日:2008-09
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:143574

<<本書のエッセンスの一部>>


本書の第1章の「はじめに」で日常管理の重要性についての言及を断片的ながら一端を紹介すると、例えば、以下のように述べています。


  • 各職場の第一線の人々が使命感と責任感をもって、日常管理の定常業務で”やるべきことをきっちり実施する能力”は、現場力であり、日常管理の課題である。
  • 製品の質に関わるほとんどの問題は、日常管理が不備であるために”日常業務でやるべきことがきっちり実施されていない”ことに起因している。
  • 偽装・隠蔽は情報公開の課題であると共に定常業務の日常管理の課題である。

本書の内容をざっと紹介します。


本書は、6章から構成されています。


第1章では、「はじめに」
として、今の時代における日常管理の重要性からシステムとしての特性と日常管理との関係について、プロセスアプローチとシステムアプローチの考え方、SDCA、PDCAの管理サイクルなどシステムの持つ相互関連性、環境順応性、環境適応性、階層性という特性との関わりについて組織的体系的活動と日常管理として解説しています。


第2章では、「日常管理の基本」
として、日常管理活動の業務機能展開と管理項目への展開にはじまり、事前調整手段としての標準化、処理プロセスのアウトプットコントロール、インプットの標準化、さらには変化への対応などの日常管理活動の基本について解説しています。


第3章では、「日常管理の基本条件と整備」
として、日常管理の重点化した基本条件の整備について、5S 、見える化、変化点管理、段取りと後始末、異常処理と例外管理を取り上げ、その概要、効果的な活動のポイント、留意点などを解説しています。 >

第4章では、「日常管理と改善」
として、業務の標準化とシステム化が形骸化せず、効果的・効率的な日常的活動を持続的に推進するとの観点から、改善のための問題の発見と解決に対するアプローチ、再発防止活動と未然防止活動、プロアクティブな改善活動、日常管理と小集団活動の関係、日常管理の基盤となる人材育成について変化への対応能力を向上させる要点を解説しています。


第5章では、「職能部門別の日常管理のポイント」
として、部門特有の専門性を活かしながら、部門横断的業務遂行とを両立させた観点からの職能部門別の日常管理のポイントを営業部門、製造部門、開発部門、調達部門、管理・間接部門について解説し、経営諸要素に対する日常管理のポイントについて、質管理、原価管理・利益管理、納期管理、労務管理、安全業務管理を取り上げ解説しています。


第6章では、「おわりに」
として、効果的・効率的日常管理を実践するための管理者、経営者の役割、効果的・効率的日常管理実践のための重要なポイントについて解説しています。


<<本書で何が学べるか?>>


本書では、最初に偽装・隠蔽、顧客の要求と企業間競争が厳しい状況といった今日の企業が置かれた社会的環境について概観した上で、企業における日常管理の重要性について改めて確認しています。


本書では、「日常的に実施される業務(職務)の維持管理・改善活動が日常管理である」との観点から日常管理の基本と実践を解説しています。


日常管理の基本から職能部門別の日常管理のポイント、および日常管理の改善までを分かりやすく解説しています。
 


<<まとめ>>


本書は、現場力を高めたいと考えておられる企業の経営者、管理者の方々から、質マネジメントに関心があるビジネスパースンには、是非、読んで頂きたい一冊です


なお本書の概要目次は、以下の内容です。
第1章 はじめに
1.1 日常管理の重要性
1.2 組織的体系的活動と日常管理
第2章 日常管理の基本
2.1 日常管理活動の展開
2.2 日常管理の事前調整手段としての標準化
2.3 処理プロセスの標準化(プログラム化)
2.4 アウトプット側面の標準化と統制(アウトプットコントロール)
2.5 インプットの標準化
2.6 変化への対応
第3章 日常管理の基本条件と整備
3.1 5S
3.2 見える化
3.3 変化点管理
3.4 段取りと後始末
3.5 異常処理と例外管理
第4章 日常管理と改善
4.1 改善のための問題の発見と解決に対するアプローチ
4.2 再発防止活動と未然防止活動
4.3 プロアクティブな改善活動
4.4 日常管理と小集団活動の関係
4.5 日常管理の基盤となる人材育成
第5章 職能部門別の日常管理のポイント
5.1 営業部門
5.2 製造部門
5.3 開発部門
5.4 調達部門
5.5 管理・間接部門
5.6 経営諸要素に対する日常管理のポイント
第6章 おわりに
6.1 効果的・効率的日常管理を実践するための管理者の役割
6.2 効果的・効率的日常管理実践のポイント
6.3 日常管理に対する経営者の関心と関与





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農薬やカビ毒に汚染された事故米を食用に不正転売していたという驚くべき事件が発覚し、問題の会社の社長による「お詫び及び釈明」とする文書が発表されています。


自分がその業界で業を営む上で、「これだけは、絶対にあってはならない」との倫理や顧客との信頼に関わる暗黙の了解となるモラルがいとも簡単に捨て去られ、「もうかることなら、またばれなければ、なんでも」というところまで突き進んでしまった病んだトップを生み出してしまった根は、今日の社会的な背景にあるのかと思われます。


事業者としての誇り、使命、顧客との信頼の絆といった基本的なモラルも変化してきているのかと危惧されます。


また権限を持っている行政の責任が曖昧なことや、登場する関係者も自分の保身が中心で、不正監視の役割が現実に機能していないことも大きな問題です。


食の安全の問題は、国民の生命に関わること、こうなると、性悪説に立脚しての再発防止策の仕組みがしっかりと構築されることに注目していく必要があります。


さて、日本品質管理学会が監修した質マネジメントの深化の観点から監修した新しい『JSQC選書』のシリーズが日本規格協会から発行されています。


本日、紹介するのは、この「JSQC選書 1」になります。


成熟経済社会のいまこそ魅せる日本のゆるぎない質力、質魂!』と題して、表紙の折返し部にこの『JSQC選書』の考え方について、1980年代に我が国が”品質立国"など評価された背景に競争優位要因として、『質重視』の考え方が企業内に浸透していたが、昨今、我が国の産業界の競争力低下を危惧し、成熟経済社会に求められる品質論を提示するとして、以下のように述べています。


この『JSQC選書』では、競争優位を保つ基盤としての”質”の意義を再認識し実践に活かしていただくために、”質”にかかわる基本的な概念・方法について時事を交えて解説します。」


<<ポイント>>


質マネジメント』の第一人者の飯塚 悦功先生が今日の時代に対応した品質立国日本の再現に向けての処方を説いています


高度成熟経済社会の今にふさわしい品質立国日本の再現に向けての処方のための質マネジメントの取組を“Q-Japan”(Quality Japan)と命名し、“Q-Japan”の実現を説いています


1980年代に高品質を基盤に我が国が経済成長を成し遂げた要因を考察し、成熟経済社会となった現在とのギャップを分析した上で、「質」を中心に成功し続ける重要なポイントを解説しています


本書:「Q-Japan」です。


よみがえれ、品質立国日本」との副題が付いています。


本書は、著者:飯塚 悦功先生にて、日本品質管理学会の監修にて、2008年9月に日本規格協会より、「JSQC選書」の第1巻として発行されています。


Q-Japan―よみがえれ、品質立国日本 (JSQC選書 1)
日本規格協会
発売日:2008-09
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:51931

<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には、以下のように書かれています。


新・質の時代

のいまこそ、

”質”をトコトン極める!

−新しい時代に放つ教養講座


本書の内容をざっと紹介します。


本書は、7章から構成されています。


第1章では、「品質立国日本はどこへ」と題して、”品質立国日本”の相対的地位低下について、かっての品質立国日本のTQCの活動などの意義を概観するとともに、事例を交えて、地位低下の原因を分析し、成熟経済社会における産業構造の変化に伴う産業競争力優位要因の変化、事業収益構造に追随できなかったためと述べています。


第2章では、「成熟経済社会への変化」と題して、成熟経済社会へのパラダイムシフトについて2つの切り口から考察しています。第1に競争優位要因の変化(すなわち、事業において競争優位に立つために必要な能力・側面の変化)、第2に経済構造の変化(すなわち、事業の構造、役割分担、競争構造の変化で、例えば、アジアへの生産シフト、コスト構造の変化、生産−消費地関係の変化、生産委託の変化など)です。とくにこれらの変化の時代(=「新・質の時代」)に対応すべき質マネジメントの課題を取り上げ解説しています。


第3章では、「品質立国日本再生への道」と題して、“Q-Japan”構想の骨子について解説しています。そのエッセンスは、以下の3点の基本施策からなる構想。


  1. 時代が求める”精神構造”の確立---第4章で詳細解説
  2. 産業競争力”という視点での質の考察---第5章で詳細解説
  3. 社会技術”のレベル向上---第6章で詳細解説

以降の第4章~第6章で上記の各要素が詳しく解説されるとの構成になっています。第4章から第6章が本書の中核でもあります。


冒頭に取り上げた話題とも関連して興味深いところでは、第4章で、「4.4 事故・不祥事を起こす組織の特徴」は、以下の共通の特徴があるのではないかとして取り上げられています。1.内向き企業、2.内部コニュニケーション劣悪企業、3.属人的意志決定組織、4.哲学レス企業。まさに共感を覚えます。


また第7章では、「持続的成功を支える行動原理」と題して、どのような経済・経営環境下にあっても事業として継続的に成功するための必要な行動原理について質アプローチの観点から1.質中心、2.人間尊重、3.自己変革などの軸について解説しています。


第8章では、「おわりに」として、改めて質マネジメントとは、「(顧客)価値創造・提供のマネジメント」を確認した上で、質マネジメントの5段階の成熟度レベルについて解説しています。最後に価値創造能力向上のための以下の4つの提言で結んでいます。


  1. 取り戻せ、品質立国日本の精神構造
  2. 自律せよ、先頭に立つ勇気をもて
  3. もつべき能力像(競争優位要因)を認識せよ
  4. 賢い組織になれ

<<本書で何が学べるか?>>


今日の我が国の現状に合致した競争優位を保つ基盤としての”質”を中心とした企業が成功し続ける重要な質マネジメントを基軸としたポイントについて解説しています


新・質の時代競争優位のための価値を創造し、提供するマネジメントとしての質マネジメントの中核の考え方が分かり易く説かれています。


日本、質マネジメントに対する筆者の強い思い入れが滲み出た本になっています。


<<まとめ>>


本書は、自社の”質”に関して、問題意識や危機感を感じておられるビジネスパースン、ISO 9001からの質の更なる深化のニーズを感じておられる関係者には、是非、読んで頂きたい一冊です


なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 品質立国日本はどこへ
1.1 日本はどうしたのですか?
1.2 日本の地位の低下
1.3 品質立国日本−TQCとは何だったのか
第2章 成熟経済社会への変化
2.1 パラダイムシフト
2.2 質マネジメントの課題
第3章 品質立国日本再生への道
3.1 時代は変わっても
3.2 Q-Japan 構想
第4章 時代が求める精神構造の確立
4.1 失われた精神構造の復活
4.2 新たな精神構造の獲得
4.3 成熟経済社会に必要な精神構造
4.4 事故・不祥事を起こす組織の特徴
4.5 求められる組織文化
第5章 競争力という視点での質の考察
5.1 競争力という視点
5.2 競争優位要因
5.3 日本人の競争優位要因
5.4 成熟経済社会の事業成功要因
5.5 JIS Q 9005
5.6 競争優位のためのQMS 構築
5.7 我が国が注力すべき産業分野
第6章 社会技術のレベル向上
6.1 社会技術
6.2 社会技術の確立・レベルアップに必要な要件
6.3 社会技術としての医療安全
6.4 社会技術の意義
6.5 社会技術の形成
第7章 持続的成功を支える行動原理
7.1 質アプローチの再認識
7.2 質中心
7.3 人間尊重
7.4 自己変革
第8章 おわりに





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ISO 9001を導入し、運用している組織において、組織のパフォーマンスを継続的に向上させるためには、ISO 9001の範囲のみに留まっていては、不十分との観点から、ISO 9001から成長した展開として超ISO企業のTQM総合質経営のモデルが提案されています。(「ISOからTQM総合質経営へ」:当ブログでも紹介しています


本日は、上記の書籍のレベル3モデル:TQM品質保証TQMへのセカンドステップ」の取り組みで示されている「自己診断」についてクローズアップして解説している本を紹介します。


 内部監査の限界を克服する仕組みとして提示され、JIS Q 9006の視点を取り込んでの「自己診断」は、プロセスに関わる部門責任者(プロセスオーナー)が自ら運営管理しているQMSを評価する仕組みで、自己診断を実施する診断者(プロセスオーナー)が自らのTQM品質保証の高い理解のもとに、実践することでパフォーマンスの更なる向上に繋がるというものです

本書において、自己診断についての考え方から、自己診断システムの構築方法、更には、自己診断シートの多数の事例を紹介し、自己診断システムについて分かり易く解説しています。


本書:「品質マネジメントシステムの自己診断システム」です。


組織の求める品質マネジメントシステムに向けた改善! 」


ISO beyond


との副題が付いています。


本書は、超ISO企業研究会の編ならびに著者:福丸 典芳 氏にて、2007年11月に日本規格協会から発行されています。


また本書で示されている自己診断は、2001年に発行された「品質マネジメントシステムの自己評価方法」(当ブログでも紹介しています)の改訂版にもなります。

本書は、4章から構成されています。


1章では、「内部監査の限界
として、ISO 9001:2000の8.2.2項で規定される内部監査について触れ、その目的、範囲などについて整理した上で、内部監査員の力量、サンプリング等に伴う問題などの幾つかの内部監査の問題点を挙げ、組織においてQMSが本当に機能しているかを評価する上で内部監査には限界があるとして、組織の特徴を生かしたQMSの評価のための自己診断の必要性を強調しています。


2章では、「自己評価の考え方
として、プロセスオーナーである部門責任者が、自ら描くQMSを追求できるように、現状のQMSが有効に機能しているのか、期待通りの結果が得られているかを自己評価する仕組みが「自己診断」とし、『アイソス』での調査書/ISO 9004:2000付属書Aの自己評価/TQM品質保証の自己診断システム/JIS Q 9006:2005の自己評価の各自己評価システムの概要や位置づけ、使用する上での留意点等について解説しています。


3章では、「自己診断システムの構築
として、本書で提示しているTQM品質保証(レベル3)の自己診断システムについて、目的及び実施にあたっての留意事項から始まり、その具体的なステップ、関係者の役割、自己診断計画の策定、さらに自己診断シートについてその構成と設計及び作成等の要領について解説しています。また自己診断の方法、ポイント、まとめ方、QMS改善計画に関わる自己診断の診断結果から再診断までのフロー、自己診断の応用とその際の診断者に必要な知識など解説しています。


4章では、「自己診断の事例
として、自己診断手順書の事例とA社の事例ということで自己診断の実施事例が一連の自己診断の手順をまとめた形で紹介されています。


なお附属書として、本書の残りの半分程度のスペースを割いて「自己診断シートの例」が提示されており、この内容を活用することで具体的に有効な自己診断が実施できるように考慮されています。


自己診断は、QMSのパフォーマンス改善の強力なツールです。本書は、QMSについて更にパフォーマンスの面でISO 9001を超えて改善の成果を挙げたいと考えている組織の方や、QMSを核に自社の競争力を向上させたい等考えておられる方々に是非ともお奨めしたい一冊です


品質マネジメントシステムの自己診断システム―組織の求める品質マネジメントシステムに向けた改善! (ISO beyond)
日本規格協会
福丸 典芳(著)
発売日:2007-11
発送時期:通常2~3日以内に発送
ランキング:82312

なお本書の主要目次は、以下の内容です。
1.内部監査の限界
2.自己評価の考え方
3.自己診断システムの構築
4.自己診断の事例
附属書 自己診断シートの例






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