プロジェクトとは、
「通常の業務にはおさまらない(ユニークな)ビジネスの目標を達成するために、期間を限定して(テンポラリーに)行う一連の作業」で
『時間』、『資源(ヒト・モノ・カネ)』、『スコープ(開発の目的とその範囲)・品質』の3要素をバランスをとりながら行う。
そして、「プロジェクト・マネジメント」について、一言で「仕事の段取り術」のこととして「プロジェクト・マネジメント」(PM)の基本について網羅的にわかりやすく解説している本を紹介します。
本書では、プロジェクト・マネジメントについて『立上げ』→『計画』→『実行』→『監視コントロール』→『終結』の5つのプロセスを(1)目標を明確にする→(2)作業を分解する→(3)役割を分担し所要時間を見積もる→(4)作業の依存関係を調べクリティカル・パスを見つける→(5)スケジュールをつくるなどの10のステップにわけ分析し、その基本的な進め方から、各ステップの勘所、またプロジェクト・マネジメントを成功に導くためのポイント等についてわかりやすく解説しています。
本書:「[改訂版] 実践! プロジェクト・マネジメント」です。
「目標を最短時間で達成する最強のスキル」との副題が付いています。
本書は、中嶋 秀隆 氏並びに津曲 公二氏の共著にて、2008年5月にPHP研究所より発行されています。
2002年6月発行の前著の改訂版になります。
本書は、アメリカのプロジェクトマネジメント協会(PMI)によるプロジェクトマネジメント知識体系のPMBOK (the project management body of knowledge:米国PMIの登録商標でもある)の2004年に発行されている「PMBOKガイド第3版」(ただし日本語版は2005年)や特定非営利活動法人日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)の発行の日本発のプログラム&プロジェクトマネジメント標準ガイドブックの「P2M」の新版(2007年)などの内容を踏まえ、著者の現場ならびにコンサル経験を加味して加筆ならびに更新されたもの。
なおPMBOKは、プロジェクトを実施する際の基本的な考え方、手順を体系的にまとめたものでプロジェクト・マネジメントの世界のデファクト・スタンダードになっています。
本書の表紙カバーの下部には、以下のように書かれています。
ゼロからわかる!
「仕事の段取り」「即戦力のルール」を
教える定番書
本書の「改訂版への序文」で筆者は、プロジェクト・マネジメントの活用に関係して以下のように述べています。
「プロジェクト・マネジメントとは、「仕事の段取り術」であることを改めて強く感じる。我が国の仕事の達人達は段取りの良さでは世界トップクラスであり、どこにもひけをとらない。ただ、組織の知恵やノウハウを後輩や他の人に伝えることは苦手のようである。プロジェクト・マネジメントは、組織の知恵やノウハウを後輩や他の人に伝承する局面でも大きな役割を果たすことができる。
現実にプロジェクトをかかえている方は、申すまでもなく、プロジェクトとは無縁と感じておられるビジネスパースンにもご活用頂き、実りあるビジネスライフを追求するツールとされることを願っている。」
本書は、第1章から第5章までの5つの章と終章から構成されています。イラストをはじめ多数の図表が挿入されていて分かり易い構成となっています。
内容についてざっと紹介します。
第1章では、「なぜ、プロジェクトマネジメントが必要なのか」
として、プロジェクトとは何かといった定義の確認にはじまり、我が国でプロジェクトの運営が上手くいっていない理由など分析し総括した上で、プロジェクト・マネジメントの仕組みとその主要な『立上げ』→『計画』→『実行』→『監視コントロール』→『終結』の5つのプロセスと10のステップの概要と、特にプロジェクトの正否に関わる計画段階の重要性などについて解説しています。またなぜいま、プロジェクト・マネジメントなのかを今日の我が国の置かれている状況も交えて解説しています。
第2章では、「プロジェクト・マネジメント「標準10のステップ」」
として、『ステップ1:目標を明確にする』から『ステップ10:事後の振り返りをする』までの10のステップについて、各ステップにおいて実施すべき項目から、その重要なポイント、どのように推進していくかなどを解説しています。プロジェクトの正否に関わる計画段階が1から8のステップで標準10のステップの中核になりますが、各ステップにおける基本的な手順とエッセンスが明確に整理されて解説されています。
第3章として、「「標準10」のステップの勘所」
として、ステップ1に対する『あいまいなものはあらかじめ排除する』からステップ10の『「振り返り」をしてはじめてプロジェクトは完了する』まで各ステップにおけて特に押さえておくべき課題を取り上げ、その解決策の考え方から、起こり得る課題についての解決の方向付けなど含めて重要な勘どころについて解説しています。
第4章では、「プロジェクト・マネジメント成功のための10のポイント」
として、プロジェクト推進において発生し易い問題点への事前の予防処置的観点からの成功ポイントについて、『ポイント1:スケジュール案には四つが必要である』から『ポイント16:異文化のノイズ---思考パターン』までの16ポイントを取り上げ解説しています。
第5章では、「プロジェクト・マネジャーになろう?」
として、アメリカのプロジェクトマネジメント協会(PMI)が認定しているPMP(Project Management Professional)の資格取得、及び特定非営利活動法人日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)の発行の日本発のプログラム&プロジェクトマネジメント標準ガイドブックの「P2M」の資格試験(PMC、PMS、PMR、PMA)の概要について解説しています。
終章では、「プロジェクト・マネジメントの新潮流」
として、TOC(制約条件の理論)によるプロジェクト・マネジメント(クリティカル・チェーン法)の概要について解説しています。
本書は、現在、プロジェクトに関わっている方は、勿論、「仕事の段取り術」について関心があるビジネスパースンから新たなビジネスモデルの仕組みづくりといったビジネスのイノベーションに関心のあるビジネスパースンにも、読んで頂きたい一冊です。
なお本書の目次は、以下の概要です。
第1章 なぜ、プロジェクトマネジメントが必要なのか
第2章 プロジェクト・マネジメント「標準10のステップ」
第3章 「標準10」のステップの勘所
第4章 プロジェクト・マネジメント成功のための10のポイント
第5章 プロジェクト・マネジャーになろう?
終章 プロジェクト・マネジメントの新潮流
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