今年は、インフルエンザの流行の兆しがあるようです。
さらには、新型インフルエンザの脅威がひたひたと迫ってきています。
新型インフルエンザについて、動物、特に鳥類のインフルエンザウイルスが変異し、人から人へと感染して起きると言われています。
人間は免疫を持っていないことから、急速な世界的大流行(パンデミック)を引き起こす可能性があると危惧されており、日本で発生した場合には、数十万人が死亡するとの推定もあります。
この数字は、1918~19年のスペインかぜの死亡率をもとに推測されているようで、スペインかぜ感染者の死亡率は、2%とのことでしたが、鳥インフルエンザの場合には、感染者の60%が死亡する強毒型になります。
このスペインかぜは人類が遭遇した最初のインフルエンザの大流行(パンデミック)でした。
WHOによると現在は、新型インフルエンザの警戒レベル(フェーズ)区分は、流行危険期のフェーズ3にあり、フェーズ4になると封じ込めがうまくいかなければ、1週間程度で世界中に拡大し、パンデミック発生のフェーズ6まで進んでしまうとの状況にあります。
個人としても企業としても新型インフルエンザに対する適切な理解と予防策の備えが必要です。
さて、BCM(事業継続マネジメント)というのは、Business Continuity Managementの頭文字で、地震や津波、台風、火災、パンデミック、テロ、不祥事、取引先の倒産、大規模なシステム障害といった「組織を脅かす潜在的なインパクトを認識し、利害関係者の利益、名声、ブランドおよび価値創造活動を守るため、復旧力(レジリエンシー)及び対応力を構築するための有効な対応を行うフレームワーク、包括的なマネジメントプロセスを指す」と本書の冒頭では、2005年3月の経済産業省の「事業継続計画策定ガイドライン」との定義を引用して解説しています。
さらにBCMの特徴について、以下のようなマネジメントと述べています。
BCMは、事前対策と事後対策を講じることにより、
- インシデントの発生時にも事業活動レベルの低下を抑え(インパクトを低減し);
- 回復時間を短縮させる;
ことの両方を達成する包括的なマネジメント。
本日は、BCM(事業継続マネジメント)の分かり易い入門書を紹介します。
<<ポイント>>
BCM(事業継続マネジメント)についての意義から最新動向までを概観し、さらにそのポイントをQ&Aで解説している入門書。
BCM(事業継続マネジメント)について、
- リスクマネジメントや防災と何が違うのか?
- どうやってBCMを構築すればいいのか?
- BCMに関する規格やガイドラインは?
といったBCMの基本について、英国事業継続協会(BCI)の『BCMガイドライン(BCM Good Practice Guidline』の内容を核にして、「事業の理解」/「BCM戦略」/「個別のBCPの作成」/「訓練及びメンテナンス」/「BCM文化の醸成」などの30問のQ&Aを通じて分かり易く解説しています。
本書:「BCM(事業継続マネジメント)入門」です。
本書は、著者:小林 誠 先生と 渡辺 研司 先生の共著にて、2008年12月に日本規格協会より発行されています。
同社の「やさしいシリーズ21」になります。
<<本書のエッセンスの一部>>
本書の帯には、以下のように書かれています
Q&Aで理解するBCMの入門書!
- 地震、台風?津波、不祥事、火災?
- どうやってBCMを構築すればいいのか?
- BCMに対する規格やガイドラインは?
- 新しいリスク(新型インフルエンザなど)に対する備えは…
- リスクマネジメントや防災と何が違うの?
本書は、2章から構成されています。
第1章では、「BCM総論」
と題して、BCMについてその全体像を概観しています。BCMの意味、意義、防災との違い、さらにBCMの位置づけといった解説にはじまり、今日、なぜBCMが必要とされるか、BCMについて取引先から要求された際にはどのような留意が必要かなど解説しています。また BCMとBCPとの違い、事業インパクト分析(BIA)、目標復旧時間(RTO)などの基本用語についてその進め方などの基本を解説し、さらにBCMの歴史から最新動向として、国内の規格、ガイドライン、および国際規格を含む海外の規格、ガイドラインの内容について解説しています。(経済産業省、中小企業庁の指針、ガイド、BS25999-1:2006、BS25999-2:2007規格を含め幅広く取り上げ解説しています。)
第2章では、「Q&Aで知るBCMの実際」
と題して、最初に「BCMサイクル(BCMの構築と維持・更新の手順)」/「事業の理解とは」/「基本方針の大切さ」/「専任者や専門部署の設置」といった共通事項を解説した上で、30問のQ&Aにより、BCMについて、PDCAサイクルの順に、例えば、以下のような問いが取り上げられ、分かり易く解説されBCMの実務の理解が進むという流れになっています。
-
「事業の理解」
(Q1 事業インパクト分析(BIA)はなぜやらなければならないのですか?~Q5 リスクアセスメントと事業インパクト分析(BIA)は何が違うのですか?)、 -
「BCM戦略」
(Q6 BCMの費用対効果はどのように考えればよいですか?~Q9 代替拠点(事業所)の手配が難しい場合,どのように考えればよいですか?)、 -
「個別のBCPの策定」
(Q10 BCMとリスクマネジメント,危機管理との関係は?~Q19 部門計画で決めなければならない対応項目は何ですか?)、 -
「訓練及びメンテナンス」
(Q20 訓練にはどのような種類があるのですか?~Q23 監査はどのように行うのですか?)、 -
「BCM文化の醸成」「その他」
(Q24 社内のBCMに関する意識レベルはどのように測ればよいですか?~Q30 BCMに取り組んでいる企業の市場からの評価はどのような状況ですか?)
上記のQ&Aは、見開きの2ページで多数のイラストや図表を交えて解説され、また重要な用語やポイントに関してわく囲みで【One Point】の解説があります。
また巻末には、資料1として、「自治体がまとめたガイドライン」および資料2として、「主なカタカナ用語の定義(50音順)」(「インシデント」 「インパクト・ベース」といった8つのカタカナのキーワードが解説されています。)
<<本書で何が学べるか?>>
本書は、BCMに関して最初に読むべき本といった趣の本で、 BCMの内容や各種ガイド ライン・規格制定の動き・BCM構築の仕方まで分かり易いQ&A形式で解説しています。
本書からBCMの基本的内容・構築手順(BCIガイドライン)・官庁や自治体発行のBCMガイドラインの概要・導入事例などがBCMの基礎から実務の概要を学ぶことができます。
<<まとめ>>
BCMには関心があるがやさしい入門書でまず勉強をといったビジネスパースンには、本書は、お奨めです。
なお本書の概要目次は、以下の内容です。
第1章 BCM総論
1.1 BCMの意味,意義
1.2 BCMの必要性
1.3 用語の整理
1.4 BCMの歴史
1.5 BCMの最新動向
第2章 Q&Aで知るBCMの実際
2.1 共通事項
2.2 事業の理解
2.3 BCM戦略
2.4 個別のBCPの策定
2.5 訓練及びメンテナンス
2.6 BCM文化の醸成
2.7 その他
資料1 自治体がまとめたガイドライン
資料2 主なカタカナ用語の定義(50音順)
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