大相撲が八百長問題で揺れている。
福祉相撲、トーナメントの中止が発表され、春場所が中止されることとなってしまいました。
今年の地方巡業もすべて中止とのこと。
今回の問題は深刻で調査の長期化が避けられず夏場所にまで影響しかねないとのこと。
警視庁が野球賭博事件で押収した力士たちの携帯電話に残っていたメールから疑惑が発覚。
なぜこの時期に八百長問題が沸騰するのかというのも気になる。
相対的に国民の関心はそちらに引きずられることになる。
八百長論議は、これまでにもよく取り上げられできた。
これまでと違うのは、通例ではやったやらないという水掛け論になってしまう八百長という事象について、抜き差しならない客観的な証拠が出たということ。
公表された携帯のやりとりを見ると「こんな風な流れで」など一応らしく見せないそれなりの工夫がされていたようで、何とも劇画的で思わず笑えてしまう。
しかし携帯に登場したとされる14人の力士のうち、八百長を認めたのは3人のみ。
どのくらいの範囲の力士にまで今回の問題が波及するのか分からないが、八百長とは関係なく『がちんこ』で真面目にやってきた力士にはとんだとばっちりである。
これについて大臣等の政治家がやたらと厳しいコメントをし、大相撲への愛情のかけらも感じられないように聞こえるのは残念である。
そんな風にマスコミも編集しているのかも知れないが。
マスコミといえば、先日、小沢氏が強制起訴となった翌日の各新聞社の社説は、「小沢氏は民意に従うべし」といった論調だった。
これはとても変な気がする。
この民意というのはそんなに大きいものだろうか。
国会議員の選出について「1票の格差」が問題にされている。
国政選挙などで有権者が投じる票の有する価値の選挙区による差のこと。
最高裁の判例では、衆議院の場合で約3倍以上、参議院の場合では約6倍以上の差が生じた場合には、違憲ないしは違憲状態との判決が出されている。
小沢氏を国政におくったのは、岩手4区の仮に10万票(?)程度の民意だったとすれば、11人の有権者からなる検察審査会は、満場一致でも2回の審査でわずか22人だ。
まして満場一致ではなく多数決。
検察審査会が民意の名のもとに薄弱な根拠でも一人の政治家を引きずりおろせることになる。
法の下の平等をうたう憲法14条からすれば、司法の世界といえど5,000倍もの民意の格差を認めるようなことになる。
検察審査会は、素人の有権者が選ばれその力量の面でも5,000倍の格差を逆転できる重みを備えた民意を持つものとはとても思えない。
「政治とカネ」とワンパターン化して語られるが、対象の起訴容疑は、政治資金規正法の違反。
要するに陸山会の土地取得の帳簿への記載時期が土地の陸山会名義での登記が行われた2005年度でなく、発生主義的な意味で前年度の土地取得の売買が発生したとする2004年度に記載してなかったことの問題。
2005年度との記載でも間違っていないようにも思えるが。
2005年1月と2004年の10月との3ヶ月だけずれているという点だけで虚偽。
この帳簿への記載のズレの問題に小沢氏自身の関与があったことが証明できないとの東京地検特捜部の2回の繰り返しの判断。
この3ヶ月ずれたとされることと登記の手続きに関連した表記の複雑さが大きく喧伝される「政治とカネ」の問題の実態?
これまでも多数の政治家について金額の多少はあっても帳簿の記載漏れなどを指摘され修正で済んできた種類の問題。
悪質性ということだが、そのお金の出所に水谷建設からの不正な献金等があるのではないかといった点は、当の水谷建設の元会長も否定し、いわゆるガセであったことが明確になっている問題。
不正といえば八百長をやったとする力士でも相撲の取り口でそのように見えないように工作をしているほどでやましいこととの自覚があれば、常識的には、迂回献金とかもっと巧妙に隠してそもそも帳簿などに絶対に取り上げないのが普通。
どう考えても几帳面に万人の目に晒される収支報告書の帳簿に記載するという間抜けな自爆行為をするはずも無いように思える。
与野党もマスコミも「政治とカネ」として大きく取り上げるが、この問題は、なにより国民には損失を与えている要素は少ないように思える。
これから裁判で明らかにされる問題。
ところで、大相撲の話題に戻すと、今回の問題は、
これまで不適合とも言うべき不祥事が相次いでも問題の原因にまで踏み込んで再発防止策(いわゆる是正処置)が行われず、当面の処置とか修正の処置でやり過ごしてきたツケのように見える。
今回、特別調査委員会(座長・伊藤滋早稲田大特命教授)を設置して事実関係の徹底究明を図るとのことだが、警察のように捜査権があるというわけでもなく踏み込んだ抜本的改革へのハードルは高い。
国の財政赤字でも抜本的に踏み込んで手を打つことなく、先送りの当面の処置のみで溜め込んできたツケは将来の時限爆弾のようなものになる。
千兆円にも迫るような莫大な赤字国債を垂れ流し国民を窮地に陥れるところまでにしてしまったこれまでの自民党政権の責任は大きい。
企業組織であればこんなことをすれば、トップは、会社法の特別背任罪で処罰されるのだが。
「政治とカネ」のからみでこれぞ国民への背任行為として追及されるべき巨悪ではと思える。
民主党がこれに歯止めをかけてくれるかと期待したが更に拡大していく流れ。
今後の国民に与える損失の大きさから言えば、証人喚問して追求すべきは、国家財政を今日のような危機状態に陥れた歴代の総理大臣などなのかも知れない。
注目の愛知・名古屋の選挙では、大村氏、河村氏が当選し、既成政党にノーが付きつけられ、地方から首長が主導する改革のうねりが起こっている。
本日は、韓国のベストセラーの翻訳書で、筆者の未来学者のチェ・ユンシク氏と経営者のベ・ドンチョル氏が未来学の観点から富の未来図を展望し、お金持ちになるための「生き方」「働き方」「資産運用」等について具体的に解説している本を紹介します。
『未来学』というのは、現在の選択が将来にどう影響するか研究する学問。
「借金による成長という「お金の誤った使い方」を根本的に直さない限り、金融危機がいつまでも繰り返されるということは,歴史の教訓から明かである」
とし、個人、そして企業はどのように備えるかを未来学の予測に基づき解き明かしています。
<<ポイント>>
未来学の手法に基づき、富の未来図の世界を展望し、お金持ちになるための「生き方」「働き方」「資産運用」等を説いている本。
本書では、
富の歴史を辿り不動産と株式市場の好況により資産価値が上昇するにつれて消費が増大するという「富の効果」の時代が終わったとし、所有の消費からアクセスの消費の時代へと移行しつつあるといった見方の解説からはじまります。
- そしてこれから起こる新産業バブルについて金融・世界の未来図として分析。
- 富を手に入れるための投資先と投資方法を指南。
- 未来の富を手に入れるため富、労働、産業、技術の世界がどのように変化するかを展望。
- 2030年の未来での富の未来図と勝者になるために必要な能力を分析。
- 未来で勝者となるため必要とされると思われる人材及び能力と働き方がどのようなものか。
- それらのためにどのような能力を磨くべきか。
などお金持ちになるための「生き方」「働き方」「資産運用」を説いています。
本書:「富の未来図」です。
本書は、ベ・ドンチョル氏とチェ・ユンシク氏の共著にて金泰旭氏の翻訳にて2011年1月にフォレスト出版より発行されています。
<<本書のエッセンスの一部>>
本書の表紙カバーの折り返し部には、以下のように書かれています。
今後20年以内に最低でも5回、
全世界的な経済の混乱が
起こると予測している。そして社会、文化、環境、制度など、
すべての領域が、新たに訪れる変化によって、
まるで痙攣が起こるように揺れ動く時代が来るのである。私はこのような時代のことを、
「ワールド・スペズム」の時代と呼んでいる。
(World-Spasm:世界的痙攣現象)それではこのワールド・スペズムの時代の到来に対し、
私たち個人、そして企業は、
どのように備えなければならないだろうか。
本書は、下記の目次のようにプロローグとエピローグ及び7つの章から構成されています。
各章の終わりには、その章のポイントが箇条書きでシンプルにまとめてあります。
最初に富の歴史を展望し、世界の経済システムは後戻りできないほどの信用中毒(「借金過食症」)に陥ってしまっているなどと現代を分析し金融システムの慢性化した病弊を革新的に改めない限り、今後20年以内に全世界的な金融危機が5回は訪れるだろうと予測している。
そして第二次IT革新、バイオ産業、ロボット産業、ナノ産業、新エネルギー産業、宇宙産業などに関わる新技術と新産業により3回~4回のバブルが起こるとし、ジェットコースターのような上下を繰り返すとし、富の獲得のためには、未来への準備が必須と説いています。
これからの時代の投資戦略として「資産を失わず、ローリスクの不確実性を減らす」戦略が必要とし、富が集まるバブとなる知識、時間、空間、霊性の大きな変化を先取りし活用することなど富を増やす資産管理戦略を説いています。
また未来のパラダイムは
- 「後期情報化社会」
- 「幻想社会」
- 「霊性社会」
だとし、富と成功の条件を予測しています。
未来で必要とされる「生き方」「働き方」そして、人材の方向性に関して仮想ビジネスネットワークに属していることの重要性など含め論じています。
突出した新規さはなく少し類型的で抽象的過ぎる印象もありますが、なかなか説得力のある議論が展開されているように思います。
<<本書で何が学べるか>>
本書は、「富の未来図」とのタイトルとなっています。
タイトルはお金儲けという印象が強いものとなっていますが、それだけでなく、むしろ未来学を基軸とした自己啓発書としてのカラーが強い本ではないかと感じました。
世界経済を中心に2030年の未来までを展望した上でその時代のなかで個人や企業がいかに成功できるように道を切り開くべきかを論じています。
<<まとめ>>
本書には、予測しにくい未来に対処するためのヒントが詰まっており学生からビジネスパースンまで読んで頂きたい一冊です。
なお本書の目次は、以下の内容です。
プロローグ 今後20年で金融危機が5回起こる理由
第1章 富の歴史と富の未来―「富の効果」の時代が終わり「所得効果」の時代へ
第2章 金融の未来図、世界の未来図―これから起こる新産業バブル
第3章 新しい「富の管理システム」の作り方―富を手に入れるための投資先と投資方法
第4章 未来の富を手に入れる方法―富、労働、産業、技術。これから起こる世界の変化
第5章 2030年の宝の地図―未来で勝者になるために必要な能力
第6章 未来で必要とされる人材―未来で勝者になるための働き方
第7章 富の能力を準備せよ―勝者が昔からやり続けていること
エピローグ 生きた魂を持つ金持ちになりなさい