VE(Value Engineering:価値工学)は、1947年に米国GEで、Milesが開発した手法。
必要な機能を最低の原価で得るために、その費用と原価のバランスを研究し、設計や材料の仕様の変更から供給先の変更といった活動を社内外の知識を集約して、継続的に組織的に行う活動のVA(Value Analysis:価値分析)と同じ意味で用いられたようです。
その後、米国国防省が、VAの考え方に基づいて、購買品の価値の改善の分野だけでなく、製品開発段階、製品設計段階までVAの適用対象を拡大して、1954年にVE(Value Engineering:価値工学)と命名したようです。
VEも実施する段階によって、ゼロルックVE、ファーストルックVE、セカンドルックVEなどの手法があります。
セカンドルックVEは、できあがった製品を対象にするので実施しやすく、活動の成果も具体的に評価しやすい面がありますが、VEは生産活動の早い段階で行う方が、効果が大きいことになります。
ファーストルックVEは、製品の企画,開発,設計の段階で行うVE、また、ゼロルックVEは、製品企画段階で適用するVEでになります。
ゼロルックVEにおいては、F(機能:Function)の創造とC(コスト:Cost)の設定を中心としたアプローチで進めていくVE手法になります。
このようなVE手法がIEやQCの技法のように広まらない理由が、その一部に勘と試行錯誤で行っている作業があるためで、そこを科学的に行えばさらにVEの技法が活用されるはずであるとの観点から科学的VEを標榜し、その基本的な技法を分かり易く解説している本を紹介します。
<<ポイント>>
科学的VEの理論と技法の分かり易い解説書
より大きな成果が得られるゼロルックVE視点を中心に取り上げ、発想法へと発展させて解説しています。
V(価値)=F/Cが基本理念。
Cがコスト、Fがファンクション(機能)になります。
従来のVE(価値工学)を超えた実践のための手法や、商品・サービス開発のための基本技法をわかりやすく解説しています。
本書:「理論的発想でVE改革」です。
「誰にでもできる科学的VE」との副題が付いています。
本書は、著者:豊田 陽一 氏にて、2006年11月に幻冬舎ルネッサンスより、「RENAISSANCE BOOKS」の一冊として発行されています。
<<本書のエッセンスの一部>>
本書の帯には、以下のように書かれてあります。
改善技法の決定版
売れる商品開発の基本メソッドを公開!!
VE理論+技法で学ぶヒット商品開発の極意!!
本書の特色
- 誰でもできる「科学的VE」による発想術を大公開
- 従来のVE(価値工学)を超えた実践のための手法を紹介
- 商品・サービス開発のための基本メソッドを分かり易く解説
- 企業内教育における社員教育用テキストとしても最適の内容
本書は、基本編、理論編、技法編に分かれています。
概念図などを中心に多数の図表が挿入され、分かり易い解説となっています。
また5つのCOLUMNが挿入され、「科学的VEを一言で表せば」といったテーマが取り上げられています。
ざっとした概要は、以下のような構成となっています。
基本編では、「VEの紹介」
とのタイトルのもと、3つの章(「VEと改善活動」/「VEとは?」/「科学的VEについて」)から成り、VEの歴史に始まり、改善活動としての位置づけ、VEの技法の基本的な考え方から活動の概要、筆者が提示している【科学的VE】について、その必要性、その概要、さらに活用方法などを解説しています。
理論編では、「基本となる考え方」
とのタイトルのもと3つの章(「VEの原点である価値と機能」/「VE活動から生まれた3つの基本」/「科学的VE活動の進め方」)から成り、V(価値)=F(機能)/C(コスト)の式をもとに価値向上の考え方、機能の役割などのかみ砕いた解説にはじまり、VE活動における「1.ユーザー思考の考え方」、「2.機能本位の考え方」、「3.困難の克服」との基本を解説しています。さらに科学的VEの活動の進め方について、事前の準備から、VE技法システムの目的と用途、VE技法システムの活用方法について、「ホチキスの改善」の実践講座の解説を交えて解説しています。
技法編では、「個別技法」
とのタイトルのもと、5つの章(「テーマの設定」/「目的思考の発想」/「機能の把握技法」/「アイデア発想」/「改善案の具体化」)から構成されています。改善テーマの発掘から、目的思考の発想、……、改善案の具体化に至るまで、その考え方、目的とねらい、適用場面、作業手順などを具体事例など交えて分かり易く個別の技法の適用について解説しています。
<<本書で何が学べるか?>>
本書を通じて科学的VEの理論と技法をどのように実践していけばよいかといったノウハウを実務的に学ぶことができます。
技法の解説が具体的な事例を交えて、また概念的な内容は図解で丁寧に解説されているのでしっかりとVEの基本から応用までを学習できる構成になっています。
<<まとめ>>
本書は、科学的VEの理論と技法の分かり易い解説書として、商品、サービスの開発に関係する立場(例えば、企画、購買、製造、品質管理、技術などの部門)のビジネスパースンにお奨めです。
なお本書の目次は、以下の内容です。
基本編 VEの紹介
第1章 VEと改善活動
第2章 VEとは?
第3章 科学的VEについて
理論編 基本となる考え方
第1章 VEの原点である価値と機能
第2章 VE活動から生まれた3つの基本
第3章 科学的VE活動の進め方
技法編 個別技法
第1章 テーマの設定
第2章 目的思考の発想
第3章 機能の把握技法
第4章 アイデア発想
第5章 改善案の具体化