プロセス・コンサルテーションの手法というのは、『支援』について、あくまで対象の相手の自律を目的とし、相手が真に何を必要としているかを質問によって導き出し、一緒に答えを考えていくという筆者:エドガー・H・シャイン(MIT工科大学スローン経営大学院 名誉教授で、米国および海外の多くの組織に対して、組織文化や組織開発、プロセス・コンサルテーション、キャリア・ダイナミクスに関するコンサルティングを行っている。)が生み出した方法論。


人を助けるとはどういうことか、ヘルピング(Helping)『支援という行為』の基盤にある「協力関係」の原理原則(プロセス・コンサルテーション等)を組織行動論の観点から身近な事例を通して分かり易く説いています


またこのような支援のモデルの実践を通して、チームワークリーダーシップ組織の変革マネジメントの重要なポイントの理解にも容易に役立てられると説いています。


本書では、支援とは、人間関係の基本ながら、世の中には相手の役に立っていない独りよがりの支援が余りにも多いが、具体的な支援の内容に入る前に、先ずクライアントが何を求めているかを知ること


さらには、共に考えるためのプロセスプロセスコンサルテーション」の方が重要になるという考え方やどこからヘルピングをスタートさせるべきかといった原理原則を説いています。


とくに支援を行う人と受ける人との人間関係を築くダイナミクスを分析し理解することで効果的な信頼関係が築けると強調しています。

<<ポイント>>

どうすれば支援で人の役に立てるかの原理原則を組織行動論の観点から身近な事例を通して分かり易く説いている本

本書では、

人を助けることの基本の意味の考察にはじまり、

人間関係、信頼関係構築の社会的な位置づけ、

成功する支援関係はどうしたら築けるかを考察し、

「問いかけ」の活用の意義、チームワーク、リーダシップの本質、

支援関係における7つの原則とコツ

といった解説を通して、

相手のイニシアティブや自律性を尊重しつつ、相手がうまく問題解決するプロセスを支える協力関係の原則・原則を説いています

本書:「人を助けるとはどういうことか」です。

本当の「協力関係」をつくる7つの原則」との副題が付いています。


本書は、著者:Edgar Schein(エドガー・H・シャイン)の原著:「HELPING-How to Offer,Give,and Receive Help」の金井壽宏 氏の監修ならびに金井真弓氏の翻訳にて、2009年8月に英治出版 より発行されています。



<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には、以下のように書かれています。


どうしたらあの人の役に立てるだろう?

あたりまえすぎて見過ごされていた「協力関係」の原理・原則を読み解く

「この最高傑作を読んだ者は誰でも必ず得るものがある」

ウォレン・ベニス


本書は、9章から構成されています。


筆者によると本書は、学問的ではなくエッセイ風のスタイルとのことだが学者らしく体系的な展開で整理されていて章の終わりに「まとめ」を配するなど分かり易く構成されています。


本書は、『人を助けるとはどういうことか』といった人に対する支援で「役に立つ支援とそうでない支援とを隔てるものは何か」といった考察にはじまり、さまざまな種類の支援があること人間関係において最初の接触から支援を生み出す関係へとどう発展させるかが大切と説いていきます。


また経済と演劇における言葉やイメージを通じて人間関係のルールとはどのようなものかを社会経済と日々の生活に関わる社会という劇場を意識することと対比して支援の状況で生じる社会的ダイナミックスについて考察しています。


日々の生活において、支援自体が社会的通貨で適切な対応がないと不均衡が生じるとの心得が大切としています。


またクライアントと支援者との関わりにおいて、人間関係のバランスが悪いため支援者、クライアントが陥りがちな罠について考察し、とくに支援関係を築くにはこのような罠を認識して避け、修復することで支援関係が築けるとしています。


そして、支援を求められた人は、専門家、医師、プロセス・コンサルタントの3つの役割から選択できる。

またどんな支援の状況もプロセス・コンサルタントの役割を果たす支援者によって始められること。

また以下のことが実行される必要があると説いています。


  • 内在する支援者の無知を取り除く
  • 初期段階における立場上の格差を縮める
  • 認識された問題にどんな役割が最適であるかを見極める

そのためには、プロセス・コンサルタントの役割の本質は、「控え目な問いかけ」をすることとし、以下のような問いかけの形の選択など方法について具体例を挙げて説いています。


  1. 純粋な問いかけ
  2. 診断的な問いかけ
  3. 対決的な問いかけ
  4. プロセス指向型の問いかけ

どの支援関係でも社会経済や適切な役割を管理する質問を投げかけると言う役割の理解が重要と説き、慢性的な支援が必要な場合には自問することと必要に応じて役割を変えることを学ぶことが大切としています。


さらに成果をあげるためのチームワークとリーダシップ、組織の変革のマネジメントにおける支援のプロセス・コンサルタントの「控えめなリーダシップ」といった考え方の適用がそれらの根幹をなすとしています。


リーダーシップの見方として、目標設定のプロセスとその目標を達成するために他人(部下)を支援することの両方だとしています。


本書の副題にもなっている支援関係における7つの原則と18のコツというのをまとめとしています。


本書での人を助けること:支援の原則は、当たり前というか、基本的なことだが、支援の色々の場面でそれができているかとなるとなかなかできていないなあと痛感させられる内容となっています。


原著がそうなのかも知れませんが多少、言い回し等が回りくどく、すいすいとは読みにくく感じる箇所がありますが、なかなかの名著だと思います。


いろいろと考えさせられる構成になっています。


<<本書で何が学べるか?>>


本書では、組織心理学の権威のエドガー・シャインがどうすれば、本当の意味で人の役に立てるのかとの『支援』における「協力関係」の原理原則を身近な日常の事例を交えて説いています。


<<まとめ>>


本書では、チームワーク、リーダシップ、変革のマネジメント、良き人生といった幅広い人間関係に関わる基本原則を説いているので、コンサルタント、医者、教師といった直接、支援を生業にする人は勿論、幅広いビジネスパースンに読んで頂きたい一冊です


なお本書の目次は、以下の内容です。
1 人を助けるとはどういうことか
2 経済と演劇―人間関係における究極のルール
3 成功する支援関係とは?
4 支援の種類
5 控えめな問いかけ―支援関係を築き、維持するための鍵
6 「問いかけ」を活用する
7 チームワークの本質とは?
8 支援するリーダーと組織というクライアント
9 支援関係における7つの原則とコツ


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筆者が専門とする『人間の持つ利他性の側面についての社会心理学的な見方を現代の日本社会が直面している種々の問題に当てはめたときに何が見えるか』というのが本書のテーマになっています。


本書の「まえがき」において『見えてきたもの』について筆者は、以下のように述べています。


現代の日本社会が直面している倫理の喪失とは、実は、倫理の底にある「情けは人のためならず」のしくみの喪失の問題だということです

倫理的な行動、あるいは利他的な行動は、それを支える社会的なしくみがなくなってしまえば、維持することは困難です。たとえ他人に親切にしても、それが自分の利益につながらないのであれば、誰も利他的に行動しなくなってしまうというわけです


また「情けは人のためならず」は、無私の心を称揚する武士道的な倫理観とは相容れないとし、以下のように述べています。


「モラルに従った行動をすれば、結局は自分の利益になるのだよ」という利益の相互性を強調する商人道こそが、人間の利他性を支える社会のしくみを作ることができると私は考えています。


社会的ジレンマ、信頼、社会的知性など心と社会の関係について、認知科学、心理学、社会学、経済学など多くの側面から、実験、調査、コンピュータなどを通じて総合的に研究を進めている社会心理学者の著者:山岸 俊男 先生が「偽装国家・日本」といった現代の日本社会の問題を鋭く分析・考察している本を紹介します。


<<ポイント>>


社会心理学的視点からの日本人・日本社会を解き明かした本。


本書の帯にも書かれていますが、本書では、一見、逆説的ながら「武士道」「品格」が日本をダメにすると以下のように論弁しています。


  • 構造改革が「安心社会」を崩壊させた
  • 日本人とは「人を見たら泥棒と思え」と考える人々だった
  • 「渡る世間に鬼はない」と楽天的に考えるアメリカ人たち
  • 実は日本人は集団行動よりも一匹狼のほうがずっと好き
  • 「心の教育」をやればやるほど、利己主義者の天国ができる
  • いじめを深刻化させる本当の原因は「傍観者」にあり
  • なぜ日本の若者たちは空気を読みたがるのか
  • どうして日本の企業は消費者に嘘をついてしまうのか
  • 武士道精神こそが信頼関係を破壊する

本書:「日本の「安心」はなぜ、消えたのか」です。


社会心理学から見た現代日本の問題点」との副題が付いています。


本書は、著者:山岸 俊男 先生にて、2008年2月 に集英社インターナショナルより発行されています。


なお糸井 重里氏の「ほぼ日刊イトイ新聞」の「やっぱり正直者でいこう!」でも山岸先生の講義が取り上げられています。


日本の「安心」はなぜ、消えたのか―社会心理学から見た現代日本の問題点
集英社インターナショナル
発売日:2008-02
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:138
おすすめ度:5.0
おすすめ度5 日本社会の問題点を明確に指摘
おすすめ度5 安心≠信頼
おすすめ度5 歩けますか?
おすすめ度5 「常識」を心地よく覆してくれる
おすすめ度5 納得できる理論をわかりやすく

<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には、以下のように書かれています。


糸井重里氏、「ほぼ日」で大推薦!

いま読んでいる『日本の「安心」はなぜ、消えたのか』は

ぼくの気持ちに「ぴたっ!」ときまして、

ひざを打ちすぎて痛くなっちゃうぐらい納得の本です。

「武士道」だの「品格」だのが、どうしてダメなのか、

説得力のある論を提出してくれています。

(「ほぼ日刊イトイ新聞」より)


本書は、10章から構成されています。


所々にユーモラスなイラストをはじめ、図表が挿入されています。


こんな風なことが一般に言われているがそれは本当かといった舌鋒鋭く明快な論旨がデータの裏付けのもとに展開されており大いに共感を覚えます。


「いじめ」や「企業不祥事」の問題について、「お説教」や「こころがけを改めよう」といったスローガンでは、世の中は変わらないはず


人間の心の働きを知り、私たちの心の中にある「人間性」の本質がどのようなものかをきちんと理解していくことが今日の社会で起きている様々な問題を解決する糸口になるとという考え方が本書のロジックの根底になっています。


私たち人間の心は、自分達がおかれた環境によってその働き方を変えるもの」(正に唯物論的な)という考え方が本書の論理の基調になっています。


「日本人らしさ」とは何か?について、


「どうしていいかわからないとき」に「とりあえず」選択される「無難なやり方」をデフォルト戦略とすれば、日本人の場合、自己卑下をすることがデフォルト戦略に相当する。


「日本人らしい」と思われていた謙虚さとは、日本人が本来的に持っている心の性質ではなく、日本の社会にうまく適応するための「戦略」として生まれてきた態度ではなかったか


幾つかの実証実験の結果、自分が置かれている状況が明確であるときには、日本人もアメリカ人と同じような選択をする。


日本の社会では、なぜ「多数派を選ぶ」ことが無難な選択だとされ、それが続けられているのかの原因は、「自分はどうでもいいとは思っているのだが、世間の人はやはり多数派を選ぶ人を好むのだろう」とみんなが思っているから


アメリカ人よりも日本人の方がずっと「他人に足を引っ張られるのがイヤでしょうがない」と考える傾向が強い。


日本人一人一人の心の特性は集団主義でなく、むしろ個人主義的傾向が強いように見える。


「人をみたら泥棒と思え」という日本人に対して、アメリカ人は「渡る世間に鬼はなし」ということわざに近い行動をしている


集団主義社会とは「信頼」を必要としない社会である。



農村でカギをかけずに暮らしていけるのは「環境」による。


集団主義社会で人々が互いに協力し合うのも、裏切りや犯罪が起きないのも「心がきれいだから」という理由ではなく、「そう生きることがトクだから」であろう。


農村のような集団主義社会とは本質的に「信頼」を必要としない社会であるのに対して、都会のような個人主義的社会とは、本質的に「信頼」を必要とする社会である。


安心社会が崩壊したことによって、日本人の多くが「他の人たち(企業)は『旅の恥はかき捨て』をやるのではないか」と心の中で疑い出している。


国民や消費者が企業を信用しなくなればなるほど、企業も国民や消費者を信用できなくなり、それが国民や消費者の不信の念を強めていくという「不信の連鎖」が生まれる。


信頼社会でうまく適応して生きていくためには、多少の失敗は気にせずに、前向きに他人と協力関係を結んでいく努力をしていくことが大事。


大事なのは、正直者であることが損にならない社会制度を作っていくことで、そのような社会制度をきちんと整備できれば、あとは「正直に行動し、他人を信頼することが結局は自分のためになるのだよ」という世の中の現実を教えさえすれば、商人道は、自ずから普及していく。


以上、本書のさわりの一端を紹介しましたが、確かにそうだと共感するロジックが展開されています。


<<本書で何が学べるか>>


本書では、人間の心の働きを知り、私たちの心の中にある「人間性」の本質がどのようなものかをきちんと理解していくことが今日の社会で起きている様々な問題を解決する糸口になるとという考え方に立って社会心理学的視点からの日本人・日本社会について論じています。


武士道」「品格」を声高に唱えても今日の社会問題は解決できるのか?


人間性」の本質から見ていくと「武士道」ではなく、「モラルに従った行動をすれば、結局は自分の利益になるのだよ」という利益の相互性を強調する「商人道こそが、人間の利他性を支える社会のしくみを作ることができると論じています


なぜなら、「武士道」とは「人間性」によらず、理性による倫理行動を追求するモラルの体系であり、そうしたモラルを強制することで社会を維持していくのは、たとえ不可能ではないにしても、極めて大きなコストが必要なためとしています。


<<まとめ>>


本書は、社会心理学の視点から日本社会と日本人の本質について分析し「安心」と「信頼」はどのようなものか等を論じています。


これからの社会について関心がある人には、本書は読んで頂きたい一冊です。


なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 「心がけ」では何も変わらない!
第2章 「日本人らしさ」という幻想
第3章 日本人の正体は「個人主義者」だった!?
第4章 日本人は正直者か?
第5章 なぜ、日本の企業は嘘をつくのか
第6章 信じる者はトクをする?
第7章 なぜ若者たちは空気を読むのか
第8章 「臨界質量」が、いじめを解決する
第9章 信頼社会の作り方
第10章 武士道精神が日本のモラルを破壊する






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『人間とはなんとすばらしい傑作か!その崇高なる理性!限りのない能力!形と動きのなんと的確でみごとなことか!その行動は天使のごとく、理解力は神のごとく!この世の楽しさそのもの。まさに生き物の鑑(かがみ)』(ー『ハムレット』第2章第2場−)


人間の心を高く評価し、人は合理的に行動するものと考えているのは、このシェ−クスピアも経済学も同じだが、『本当にそうだろうか』と筆者は言う。


  • ダイエットを心に誓ったはずなのに、デザートを載せたカートが近づくと決意が消えてしまっていたり、
  • 薬は、安価なものよりも高価だと信じていた方が効いてしまったり、
  • また2択に加えられたおとりの選択肢により判断が変わってしまったり、

このように、しばしば私たちの日常の行動は、不合理なものとなってしまっている。


また、不合理な上、私たちの行動はデタラメでも無分別でもなく、規則性があって、何回も繰り返してしまうため予想もできるという


すなわち、『予想通りに不合理』なのだと。


人間がどのように決断するか、特になぜ『予想通りに不合理な決断をしてしまうかなど行動経済学研究の第一人者が多年にわたるユニークな実験研究に基づいて解き明かしている本を紹介します。


<<ポイント>>


わたしたちを動かすものの正体をおもしろく解説する行動経済学の入門書


予想通りに不合理』な決断が食事、買い物、恋愛、お金、物事の先延ばし、正直さなどの色々の局面でどのように行われるかを解き明かし、さらにそれが一般的な原則として、我々の生活や仕事や政策といったものとどう関わるかを解説しています


予想通りに不合理な決断の規則性を把握できれば、それを克服するための対策も見えてくると日々の生活に活かせそうな対策も示しています


なお筆者のダン・アリエリー (Dan Ariely:デューク大学教授、MITのメディアラボの客員教授。)氏 は、本書の10章で紹介されている「同じ偽薬(Placebo:プラシーボ)でも値段が高いほうが効き目がある」という研究で、パロディ版のノーベル賞のイグ・ノーベル医学賞を受賞したとのこと。


行動経済学(筆者は「判断・意志決定科学」とも呼んでいます。)というのは、アメリカで発展した人間の経済行動を心理学的側面から分析する経済学


また2002年には、行動経済学の中心的な立役者とされるダニエル・カーネマンが、ノーベル経済学賞を受賞しています。本書の帯で本書についての賛辞が紹介されています。


本書:「予想どおりに不合理」です。


行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」」との副題が付いています。


本書は、ダン・アリエリー (Dan Ariely)氏による(2008年の「ビジネス・投資」部門で読者の選んだ本のNo.1に輝いたとの)原著:「PREDICTABLY IRRATIONAL The Hidden Forces That Shape Our Desision」について、熊谷 淳子 氏の翻訳にて、2008年11月に早川書房 より発行されています。


予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
早川書房
熊谷 淳子(翻訳)
発売日:2008-11-21
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:47
おすすめ度:4.5
おすすめ度3 著者のせいなのか翻訳者のせいか
おすすめ度5 合理的人間
おすすめ度5 行動経済学の秀作(影響力の武器を越えた?)
おすすめ度4 間違いない
おすすめ度5 「影響力の武器」なみの名著

<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には、以下のように書かれています。


ノーベル賞受賞者も揃って絶賛!

  • 本書は愉快なだけでなく、ためにある、私たちがどのように決断を下しているのかを知って、驚くこと間違いない!自分を変えることになるだろう。
    ……ダニエル・カーネマン(2002年度ノーベル経済学賞受賞者)
  • すばらしい本というだけではない。私たちをずっと賢くもしてくれる。
    ……ジョージ・アカロフ(2001年度ノーベル経済学賞受賞者)
  • 見事な洞察力、そしてなんといっても、このおもしろさ-----読み始めたら、途中でやめられなかった。
    ……ダニエル・マクファデン(2000年度ノーベル経済学賞受賞者)

本書は、なぜ筆者が行動経済学に興味を持ち始めたのかとの契機を語る「はじめに」に続く、「なぜあらゆるものは-そうであってはならないものまで-相対的なのか」と「おとり実験」や「人は持てば持つほどいっそう欲しくなる」といった私たちの行動に影響を及ぼす『相対性』を取り上げた第1章から「ビール注文にまつわる実験」、「無料のランチ」の考え方と絡めて行動経済学とは何かを再確認する13章までの私たちの行動に影響を及ぼす各要素について実験を交えて解説する13の章から構成されています。


2,3の興味深い箇所を紹介します。


一つの品物について出してもいい金額が決まると、それがアンカーになって同じカテゴリーの別の品物にいくら出すかも、最初の価格(アンカー)との比較で判断される。最初の価格はほとんど「恣意」的ででたらめな質問に対する答えにも影響される。いったんそのアンカーの価格が決まると、ある品物にいくら出すかだけでなく、関連のある品物にどれだけ出すかまで方向づけられる。(「一貫性」の法則


社会規範(一緒に何かをつくりあげる興奮など)の方が市場規範(昇進ごとにだんだん増えていく給料など)より強い企業(とくに新興企業)が人々から多くの働きを引き出している。
企業が社会規範で考えはじめれば、社会規範が忠誠心を育てることに気づくだろう。さらに社会規範は人々を奮起させる。柔軟で、意識が高く、進んで仕事に取りかかるという、企業が今日必要としている従業員になろうと努力する気にさせる


定年後のために貯蓄しようと誓いを立てるが、そのお金を旅行に使ってしまう。ダイエットをしようと心に誓うが、デザートの誘惑に身をゆだねてしまう。定期的にコレステロールをチェックしてもらおうと誓うが、検査の予約をキャンセルしてしまう。(略)
なぜ私たちは先延ばしとの戦いにこうもしょっちゅう敗れてしまうのだろう。
(略)
こういった問題については、事前の決意表明という仕組みを活用することで解決できる可能性がある。


所有意識は私たちの生活全体に浸透していて、奇妙な形で私たちがすることの多くを方向付けている。一つ目の奇癖は、自分がすでに持っているものにほれこんでしまうこと。二つ目の奇癖は、手に入るかも知れないものでなく、失うかも知れないものに注目してしまうこと。三つ目の奇癖は、他の人が取引を見る視点も自分と同じだろうと思いこんでしまうこと。ほかにも奇妙な所有意識がいろいろある。(何かに打ち込めば打ち込むほどそれに対する所有意識が強くなる。 実際に何かを所有する前に、それに対して所有意識を持ち始めることがある。このような「仮想の所有意識」は、広告業の推進力の一つになっている


<<本書に関係する書籍>>


「ISOの本棚」のブログですでに紹介した以下のような『社会行動心理学』に関する本がありますのでご参照下さい。



<<本書で何が学べるか>>


私自身も本書を読むまでは、行動経済学という学問分野があることは知りませんでした。


本書では、自分や周囲の人たちの行動や意志決定、大きくは社会を動かしているものはなにかを理解するための行動経済学による実験結果から帰納して人間の判断というのは、これまでの標準的な経済学が前提としているような合理的なものではなく、非合理的なことが多く、人間とは、そのように不合理なものと説いています。


米国のテレビを見ていると司会者などが発した何かのジョークが観客に受けて大笑いになったりする場面があったりする時に、あれ日本人の感性とは少し違っていてどこが面白いのかと感じることがあります。


本書の面白さの部分では、少しそのような違和感も感じないではないですが、筆者が行った実験の結果を紹介しながら鋭く分析し、人間の弱さというか予想通りに不合理な人間の姿を描いています。


ここで取り上げられている多様な不合理な側面は、興味深く確かにそうかなと共感します。


こんな不合理な人の行動も、実は系統的で予想可能な特質に基づくと筆者は看破しています。


ビジネスや投資、政治の世界でも、「おとり」の選択肢や、価格のプラシーボ効果、アンカリングなどの手法がすでに色々と活用されていたことにも感心します


<<まとめ>>


本書では、行動経済学の入門書として、わたしたちを動かすものの正体:「予想通りに不合理」な行動や意志決定の世界が興味深く描かれています。


本書が、Amazon.comのBest Book of 2008「ビジネス・投資」部門で読者の選んだ本のNo.1というのは、決して不合理ではなく、rational と思われます


なお本書の目次は、以下の内容です。
はじめに 
1章 相対性の真相(なぜあらゆるものは――そうであってはならないものまで――相対的なのか)
2章 需要と供給の誤謬(なぜ真珠の値段は――そしてあらゆるものの値段は――定まっていないのか)
3章 ゼロコストのコスト(なぜ何も払わないのに払いすぎになるのか)
4章 社会規範のコスト(なぜ楽しみでやっていたことが、報酬をもらったとたん楽しくなくなるのか)
5章 性的興奮の影響(なぜ情熱は私たちが思っている以上に熱いのか)
6章 先延ばしの問題と自制心(なぜ自分のしたいことを自分にさせることができないのか)
7章 高価な所有意識(なぜ自分の持っているものを過大評価するのか)
8章 扉をあけておく(なぜ選択の自由のせいで本来の目的からそれてしまうのか)
9章 予測の効果(なぜ心は予測したとおりのものを手に入れるのか)
10章 価格の力(なぜ1セントのアスピリンにできないことが50セントのアスピリンならできるのか)
11章 私たちの品性について その1(なぜわたしたちは不正直なのか、そして、それについてなにができるか)
12章 私たちの品性について その2(なぜ現金を扱うときのほうが正直になるのか)
13章 ビールと無料のランチ(行動経済学とは何か、そして、無料のランチはどこにあるのか)





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最近では、テレビでも仕事や住居を失った派遣労働者のニュースがよく取り上げられています。


年末年始を「年越し派遣村」で過ごした失業者に対し、坂本総務政務官が「本当にまじめに働こうとしている人たちなのか」と述べたとの発言が物議をかもしています。


本書でも論じていますが、こういった話題になると自己責任論がよく登場します。


  1. 派遣社員は、ちゃんとした正社員になるという選択枝があったはず。
  2. あえてそれを選択しなかった。
  3. 本人が弱くてだらしがなくて、きちんとした将来設計(自己管理)ができていなかったからだ。
  4. それは、本人の責任である。
  5. 給料が安いとか雇用が不安定とか不満を言うのは、お門違いで、社会が甘やかしているからそうなる。

といった理屈で貧困に関わる多くの問題が自己責任に帰せられている。


実は、貧困とは、選択肢が奪われていき、自由な選択ができない状態だと筆者は、述べています。


筆者は、貧困状態に陥る背景には、以下の「五重の排除」があるとしています。


  1. 教育課程からの排除。
  2. 企業福祉からの排除。
  3. 家族福祉からの排除。
  4. 公的福祉からの排除。
  5. 自分自身からの排除。

またこれは、お金、頼れる家族・親族・友人、自分に自信がある、何かをできると思える、自分を大切にできるといった”溜め”(この概念は、アマルティア・センの「潜在能力」に似た概念だと筆者は言っています。)が無くなっている状態に陥っているので、いつまでも選択肢がない状態から脱することができないのだと


多くの貧困者はこの「溜め」がなかったがために、病気などを契機にして一直線に最後まで滑り落ちていくと。


こういった”溜め”を見る努力が政治家や行政、広い意味の援助職に求められるがこれまでもなかなか政府はこの貧困を認めたがらずスタートラインにすら立っていないとしています。


うっかり足を滑らせたら、どこにも引っかかることなく、最後まで滑り落ちてしまう。


筆者は、このような社会を「すべり台社会」と呼び、日本社会はこの「すべり台社会」化している、社会のセーフティネットがほころんでいる。


正規雇用が難しい状況下で非正規であるがため、失業のリスクは高く、雇用保険に加入しておらず、失業給付が受けられず、さらにたとえ生活困窮になったとしても、生活保護を受けることもできない。


本来3段構えのはずのセーフティネットが一段目から外れるとたちまち貧困状態へと立ち至ってしまう社会。この三層のセーフティネットが機能不全になってしまい、刑務所が第四のセーフティネットといった事情。


そんな社会にはノーを言おうではないか。


反貧困」を合言葉として、貧困問題の現場で活動する著者:湯浅 誠 氏(1969年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学。1995年より野宿者(ホームレス)支援活動を行う。現在、反貧困ネットワーク事務局長、NPO法人自立生活サポートセンター・もやい事務局長ほか。) が、貧困を自己責任とする風潮を批判し、誰もが人間らしく生きることのできる「強い社会」へ向けて、課題と希望を語っている本を紹介します。


本書は、第8回の大佛次郎論壇賞と第14回平和・共同ジャーナリスト基金賞の受賞作品になります。


<<ポイント>>


「すべり台」社会から脱出し、誰もが人間らしく生きられる社会を作ろうと問いかける本


本書:「反貧困」です。


「すべり台社会」からの脱出」との副題が付いています。


本書は、著者:湯浅 誠 氏にて、2008年4月に岩波書店より「岩波新書」の一冊として発行されています。


反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)
岩波書店
発売日:2008-04
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:18
おすすめ度:5.0
おすすめ度5 歴史の評価を待つ
おすすめ度5 強い社会をつくるために
おすすめ度5 現代日本社会の負の象徴をあらわしている
おすすめ度5 大仏次郎論壇賞受賞作
おすすめ度5 不景気、不況と言われる中で

<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には、ダブル受賞のことと併せて以下のように書かれてあります。


誰もが人間らしく生きられる社会へ!

貧困は、社会と政治に対する問いかけである。その問いを、正面から受け止め、逃げずに立ち向かう強さをもった社会を作りたい。過ちを正すのに、遅すぎるということは無い。私たちは、この社会に生きている。この社会を変えていく以外に、「すべり台」から脱出する方途はない。


筆者の貧困問題の提起は、ゲストハウスに住むある夫婦(夫40歳、妻26歳)との出会いの話題から始まっています。


ゲストハウスとは、ユースホステルのような簡易旅館のこと。(お金がない人たちがとりあえず駆け込む居場所。初期費用4万3000円で一ヶ月滞在できる。)


なぜこういった生活になっていったのかという二人のこれまでの生い立ちが克明に語られる。


小学生の時に両親を失い、貧しい家庭に育ち、精神的な疾患を抱えて、…20年間にわたり非正規労働を転々とし、病気で具合が悪くて仕事が続かない。


このような事例は、「レアケース」「極端な事例」と片付けられたり、「根性が足らない」、「計画性がない」といった非難や自己責任論が登場する。


この夫婦も生活状況を改善させようと何度も試みているが、それを可能にする職場はなく、お金もなく、住居もなく、生活の再建を助けてくれる人も、行政からの何らかのサポートも無く孤立無援で生きてきたのだと。


そして、自己責任論を声高に主張する人も、自分一人で生きてきたわけでは無いはずで、官・民にわたるサポートの不在は、肯定されるべきものでは無いはずと述べ、今日、余りにも多くの多様な人たちが、日々新たに貧困状態に陥っているということは、現代の日本社会に人々が貧困化する構造的な要因があり、何が問題か、私たちに何ができるかを真剣に考えるべきではないかと問いかけています。


反貧困」の筆者らの活動は、ぼろぼろの状態になっってしまったセーフティネットを修繕し、すべり台の途中に歯止めを打ち立て、貧困に陥りそうな人々を排除するのではなくて包摂し、”溜め”を増やすこと


そしてこれらは、最終的には、政治の仕事であるべき事柄だが、現在の貧困の広がりは、聖域なき構造改革といった流れとともに政治によって進められてきたので、選挙やその他の様々な回路を通じて政治に働きかけるという「社会」の仕事であるとし、大きな組織力を持たない一個人が何かを言ったりやったりしてもどうせムダとの閉塞感が広がっているけれども、一つ一つの活動が真に必要で意義があるものであれば、他者の共感を呼び社会的に伝播していくはずでそこが「反貧困」のスタートラインであると述べています


さらに、反貧困運動の現状分析に立って、「すべり台社会」に歯止めを打ち立てるための社会資源の充実と当事者のエンパワーメントを通して生活困窮者の”溜め”の拡大に関する活動の内容を概観し、その目的や社会的位置づけ等を詳論しています。


最終章で、帯にもありましたが、以下のように結んでいます。


貧困は自己責任ではない。貧困は、社会と政治に対する問いかけである。その問いを、正面から受け止め、逃げずに立ち向かう強さを持った社会を作りたい。
過ちを正すのに、遅すぎるということはない。私たちは、この社会に生きている。この社会を変えていく以外に「すべり台社会」から脱出できる方途はない。


<<本書で何が学べるか?>>


本書では、貧困問題について「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」との憲法25条のいわば『不適合』ではないかとの観点から、現場からの客観的証拠をもとに貧困の実態と原因を分析し、是正のため「すべり台社会」に歯止めを打ち立てるために生活困窮者の”溜め”の拡大に関する活動を提示し、この社会を変えていくべしと熱く説いています


本書の問題提起は他人事でなく現状を何とかしなければと強く共感を覚えます。


<<まとめ>>


本書では、貧困問題の現場で活動する著者が、貧困を自己責任とする風潮を批判し、誰もが人間らしく生きることのできる「強い社会」へ向けて、課題と希望を語っています。


本書は、多くの人に読んで頂きたい良書です。


なお本書の目次は以下の内容です。
第?部 貧困問題の現場から
第一章 ある夫婦の暮らし
第二章 すべり台社会・日本
第三章 貧困は自己責任なのか
第?部 「反貧困」の現場から
第四章 「すべり台社会」に歯止めを
第五章 つながり始めた「反貧困」
終章 強い社会を目指して−反貧困のネットワークを





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