元国語教師で、現在は、全国の中小企業にアイデアを出しながら、PR支援の仕事や、元塾講師のスキルを生かした『ネタだし1000本ノック』といったセミナー・研修の講師として、全国各地で「授業」を続けている筆者:山口照美さんが、1日1キーワードの発想トレーニングによる「アイデア脳のつくり方」について説いている本を紹介します。
本書の「頭のカギの外し方」と題した『まえがき』でアイデアの種は、はじめから自分の脳の中にあるとし、もともと知っていたはずだが、「先入観」や「思い込み」のカギがかかった引き出しから、引っ張り出すことができなかったということだとし、本書について以下のように述べています。
「1つのキーワードを起点に、発想を広げる。自分の仕事に結びつける。
あらゆる業種、あらゆる立場で役立つ「発想力」と「言葉の力」を、本書のドリルを使って身につけてください。
ネタ出し千本ノックをこなしてきたセミナー講師による、30のキーワードと質問をご用意しました。
一つひとつの問題に答えることによって、皆さんの頭のカギが外れて、脳の引き出しからアイデアがあふれてきます。
そして、カギを外す快感を繰り返すうちに、「発想力」と「言葉の力」が自然と身につきます。
豊かな発想は、仕事と人生を楽しくします。」
本書では全部で30個のキーワード取り上げ紹介しています。
またドリルのトレーニングを通じ具体的なアイデアの出し方に加えてユニークなビジネス事例も紹介しています。
<<ポイント>>
アイデア脳をつくり発想力を高めるためのキーワード発想法を説く本。
これは、本書のあとがきの言葉になりますが、以下のように説いています。
「まず、悩みを言語化しましょう。
解決策に落とし込みましょう。
人や環境のせいにせず、行動しましょう。
でも、一人で全部を背負い込まないで。
プロと組みましょう。
スタッフやまわりの人とつながりましょう。
アイデアの種はそこらじゅうに落ちています。
困ったら、この本にある30のキーワードを見直してください。
必ず、解決の糸口は見つかります」
本書では、どんな切り口から企画のネタを発想するかというヒントを提示しています。
本書:「企画のネタ帳」です。
「30キーワードで楽々ネタ出し! 」との副題が付いています。
本書は、著者:山口 照美さんで、2009年9月に阪急コミュニケーションズより発行されています。
<<本書のエッセンスの一部>>
本書の表紙カバーの下部ならびに折り返し部には、以下のように書かれています。
即効性抜群!
1日1キーワードの発想トレーニングで、
アタマの使い方が変わります!
「ネタ出し1000本ノック」のプロ講師による
「アイデア脳のつくり方」
悩みを言語化しましょう。解決策に落とし込みましょう。アイデアの種はそこらじゅうに落ちています。困ったら、この本にある30のキーワードを見直して下さい。必ず解決の糸口は見つかります。
本書は、6章から構成されています。
1~5章で30のキーワードを取り上げています。
また6章は、本書の総括的な観点から、言葉の力をもとに発想力を育てるためのワークや考え方を説くという構成になっています。
以下のような構成の流れになっています。
最初に「1.「色」を変える」といった発想キーワードが提示されています。
次いで、ドリルが提示されています。
例えば、ドリル1では、以下のような内容となっています。
『あなたのまわりにある「白色」を探して下さい。見つけたものは「白」でなければなりませんか?別の色に変えたら、売れる商品になりませんか?』
以降、目の前で筆者のレクチャーを受けているかの如くの臨場感で発想の連鎖の話題がざっとボリューム感を持ってふくらんでいくといった展開になっています。
その昔、ゴードン法というアイデア発想法を学んだことを思い出しました。
ゴードン法というのは、アーサー・リトル社のウィリアム・ゴードン氏によって開発されたアイデア発想法で、抽象化したキーワードでブレーンストーミングを進めて行く方法です。
そのような雰囲気でキーワードを巡っての発想の切り口が解説されています。
また章の終わりには、『企画の種の咲かせ方』をテーマにしたコラム欄があり、その章とも関係した「1.人に話す」といった話題などが取り上げられています。
章を追って簡単な概要を紹介します。
1.では、「発想キーワード・初級編 新商品の種」
と題して、『「色」を変える』から『「反対語」から考える』までの7つのキーワードを取り上げ、それに関連付けたユニークな新商品を発想するといったエクササイズになっています。
2.では、「発想キーワード・中級編 新サービスの種」
と題して、『「面倒くさい」の解消』から『「人」を変える』までの6つのキーワードをもとに関係する新サービス、商品、ビジネスを発想してみるというエクササイズになっています。
3.では、「発想キーワード・上級編 「魅せ方」の種」
と題して、『「場所」を見つける』から『「情報」で売る』までの6つのキーワードをもとに魅力溢れた宣伝やキャッチコピーに結びつけ考えてみるというエクササイズになっています。
4. では、「発想キーワード・当てはめ編 「売り方」の種」
と題して、『「○○セット」』から『「カスタム○○」』までの4つのキーワードをもとに売り方、新商品、新サービスに結びつけ考えてみるというエクササイズになっています。
5.では、「発想キーワード・言葉の力編 「言い回し」の種」
と題して、『「語呂合わせ」』から『「否定語」』までの5つのキーワードをもとに商品名、サービス、お酒の名前、キャッチコピー、パソコン関連グッズ、ビジネスアイデアなどを考えてみるエクササイズになっています。
6.では、「「言葉の力」で育てる発想力」
と題して、以下のような観点からの発想力を育てるという構成になっています。
- 思考を止めるな!自問自答ワーク
- 小説文に学ぶ・複眼視点なりきりワーク
- 「枕草子」流・1キーワード情報収集ワーク
- 「三題噺」風・ランダムキーワード発想ワーク
- カギを外そう!言葉遊び発想ワーク
<<本書で何が学べるか?>>
本書では、発想キーワードとドリルによるトレーニングを通して「発想力」と「言葉の力」によるアイデア脳を養う方法を説いています。
発明のための発想法のアルトシューラーが着想し、 50年掛けて体系化し、現在では、マネジメント・創造性開発などの能力開発分野、IT 分野等への問題解決手法としての応用も含め大発展している手法のTRIZがあります。
TRIZでは、分割の原理、分離 (摘出) の原理、局所的性質の原理、などから複合材料の原理など含む「40の発明原理」というのがありますが、視点が技術的で問題の設定、問題の分析、解決策の生成など、きちんと段階を踏んで問題解決をするという特徴をもっています。
また言葉の連鎖を利用した発想法にKJ法、NM法、ゴードン法などありますが、本書の方法は、アイデアのビジネスへの活用が明確なターゲットとなっています。
上記のものとはまた違った視点から本書では、30キーワードをもとに頭を柔軟にして企画のネタなどをひねり出すビジネスに有効な「複眼視点」「創意工夫」の視点を説いています。
<<まとめ>>
本書は、企画のネタ出しに関心があるビジネスパースンには、役立ちの一冊です。
なお本書の目次は、以下の内容です。
1.発想キーワード・初級編 新商品の種
2.発想キーワード・中級編 新サービスの種
3.発想キーワード・上級編 「魅せ方」の種
4. 発想キーワード・当てはめ編 「売り方」の種
5.発想キーワード・言葉の力編 「言い回し」の種
6.「言葉の力」で育てる発想力
(広告)