個人情報の保護に関する法律の「個人情報保護法」が施行されてから3年以上が経過しました。
この法律の施行を通じて、確かに企業などでの個人情報の取扱は、改善されていますが、この法律に対する粋すぎた過剰な反応が社会生活面等で不便を生じてきていることが懸念されています。
本日は、この個人情報に関する以下のような過剰反応といった問題に関して適切に対応するにはどうすればよいか、個人や企業における対策や匿名社会になった場合の問題点などを指摘し、企業や個人としての対処すべき個人情報保護法対策を豊富なイラスト図解を交えて、分かり易く説いている本を紹介します。
- 同窓会の名簿が作れない。
- 子どもの学校の連絡網が作れない。
- 事故で重篤の親族に病院が会わせてくれない。
- 懸賞当選者の名簿の公表は。
- 貰った名刺を会社で共有していいの。
- 同窓会名簿で会社のDMはとか。
本書:「誤解だらけの個人情報保護法」です。
本書は、著者:藤田 悟氏、イラスト:ふなびき かずこ氏にて、2008年4月に現代書館より発行されています。同社の「FOR BEGINNERSシリーズ102」の一冊になります。
本書の表紙カバーのトップ部にイラスト画と併せて以下のように書かれてあります。
「個人情報保護法によって不便になった日常生活、
行き過ぎた「法」の問題点を克明に指南し、
企業や個人での「法」対策を伝授。
個人情報保護法の過剰反応を乗り切る。
本書は、8章から構成されています。各章で取り上げられている個別の項目について、原則、見開きの2ページで解説されるという構成で、その項目についての要点部分は、枠囲みで強調されています。またその項目に関係したイラストが掲載されていて、見て楽しい内容になっています。
本書の「はじめに」に続いて、「個人情報保護法関心度チェックリスト」があり、14問のチェックを通して、現状での管理者の個人情報保護法に関する関心度が4段階で評価できるようになっています。またここで分からない設問があってもチェックリストの項目の説明も付いています。
各章の概要は、以下です。
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第1章では、「個人情報保護法を理解する」
として、個人情報保護法の理解についての確認のための「1.個人情報保護法の個人情報と適応事業者とは」にはじまり、「8. 個人情報保護基本法制に関するこれまでの経緯」まで8項目の個人情報保護法での主要な用語の定義から、OECDガイドラインから個人情報保護法の施行までの経緯がまとめられ、個人情報保護法について概観するという内容になっています。
第2章では、「身近に起きている過剰反応」
として、「1. JR宝塚線脱線事故でも過剰反応」から[9.名簿業者やDM発送業者の法律回避方法」まで9項目の過剰な対応と判断される問題点が取り上げられています。ここでは、対処にはとくに触れず、問題の事例がどのようなものであったかという解説になります。
第3章では、「個人情報保護法による企業問題」
として、「1.個人情報保護法施行により会社員のうつ病患者激増」から「8.個人情報を流出させた企業の今後や処分について」までの企業で起こっている8項目の問題点を取り上げ解説しています。必ずしも個人情報保護法が主たる原因かという判断の部分には、難しい問題も含まれているように思います。
第4章では、「官にはやさしく民にはきびしい個人情報保護法の実態」
として、「1. 国や行政での過剰反応」から、「12. 行政機関が個人情報を流出させた際の罰則について」まで個人情報保護法の運用において、官にはやさしく民にはきびしいとする12項目を取り上げ解説しています。
第5章では、「個人情報保護法によって想定できる被害」
として、「1. 警察捜査にも支障が起き犯罪者国家に」から「9. 自衛隊による国民監視と個人情報保護法」まで9項目の筆者が懸念している個人情報保護法が及ぼすかもしれない懸念を取り上げ解説しています。
第6章では、「個人情報保護法の課題」
として、「1. 世論調査が成り立たなくなる」から「7. ネット自殺と個人情報保護法と通信の秘密との曖昧な関係」までの7項目の社会現象としての問題と個人情報保護法との関わりについて解説しています。
第7章では、「法律は守ってくれないので自分で守る」
として、「1. 個人情報保護法施行後も名簿業者に顧客データが売られている」から「7. 開示請求して自分の個人情報を知っておく」までの7項目の個人情報保護法の時代において個人としてガードを固める方法など解説しています。
第8章では、「企業の存続に必要な個人情報保護知識」
として、「1. 企業は社員の個人情報を守る必要がある」から「11. どうなっているの最近でもこんなにある個人情報流出事件」まで11項目の企業における個人情報保護の活動の問題点や留意ポイントなどを取り上げ解説しています。
また巻末には、付録で「Q1. メールアドレスも個人情報ですか」といった20項目の個人情報保護法にまつわるQ&Aが掲載されています。さらに参考資料として『個人情報の保護に関する法律」が掲載されています。
本書では、個人情報保護法によって不便になった日常生活、行き過ぎた「法」の問題点を豊富なイラストと分かり易い文章で指摘し、企業や個人での「法」対策の考え方を解説しています。
本書は、個人情報保護法について、概要を知りたいと思われるビジネスパースンには、分かり易い入門書と思います。
本書の目次概要は、以下です。
第1章 個人情報保護法を理解する
第2章 身近に起きている過剰反応
第3章 個人情報保護法による企業問題
第4章 官にはやさしく民にはきびしい個人情報保護法の実態
第5章 個人情報保護法によって想定できる被害
第6章 個人情報保護法の課題
第7章 法律は守ってくれないので自分で守る
第8章 企業の存続に必要な個人情報保護知識
[付録]個人情報保護法Q&A
[参考資料]個人情報保護に関する法律
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