エジプトでは、民衆による100万人規模に及ぶ大規模な民主化要求の抗議行動により約30年に及ぶムバラク前大統領の独裁政権がついに崩壊し軍に権限委譲がされました。


ムバラク氏ら一族は、同国東部の紅海に面する保養地に脱出したとみられている。


ムバラク独裁政権下では、汚職が横行し、言論の自由も選挙の自由もなく、ムバラク氏が大統領に就任した1981年の非常事態法がそのまま弾圧に用いられてきた状態。


経済成長に伴う貧富の格差は拡大し、物価も高騰するばかりとの厳しい情勢。


隣国チュニジアで1月起きた「ジャスミン革命」をきっかけにしてたまりに溜まったエジプト民衆の不満が爆発したもの。


8,000万人の国民の4割近くの民衆は、日収が2ドル以下の貧困層で国民の約2/3を占める30才以下の若者の失業率が20%を越える状況と言われている。


これから伸びる若い国。


ヨルダン、イエメン、クウェート、サウジアラビアなどアラブの親米国の政府は、いずれも独裁的な王政か終身的な大統領の長期政権でいずれも飛び火を懸念しています。


このような流れの飛び火を恐れたバーレーンでは、民衆の不満が溜まらないようにこの11日に国王が1世帯あたり約22万円の現金を支給することを決めたとのこと。


イスラエルは、イラン革命のような流れとなりイスラム原理主義の「ムスリム同胞団」による反米政権が誕生するリスクよりはムバラク政権が続く方がましとしてムバラク政権を維持すべく動いていたとされる。


1月25日に始まった反政府運動は、18日間均衡を保っていたが、これまでムバラク政権を支えてきた軍が一転してアメリカ政府の意向を汲んで反政府の民衆に同調したため関ヶ原の戦いでの小早川秀秋の寝返りのように決定的な流れとなって独裁政権が崩壊することとなった。


「ムスリム同胞団」は、ムバラク政権下では、保身からか穏健野党となっていたが、民主的選挙が実施されるとなると圧倒的多数を占めると予想されるのでいざ政権に関わりを持った途端にどのように変貌していくかは分からない。


CIA、モサド、MI6らが入り乱れで諜報合戦を繰り広げていたことと想像される。


案外イスラエルが掴んでいた情報が正解だったということになるのだろうか。


今回の政変を先導したのは、フェイスブックやツイッターなど新しいメディアを通じたインテリ中間層のネットワークと言われる。


エジプトの反政府デモの最中に行方不明になり、秘密警察に11日間拘束されていたと話題となったGoogleの中東・北アフリカの地域幹部のワエル・ゴニム氏が絡んでいたことなど考えると今回の一連の民主化の流れは、中東・北アフリカ地域の安定化に向けてアメリカが仕掛けた流れなのかも知れない。


ワエル・ゴニム氏がどのような役割を担っていたのかは良く分からないが。


エジプトが民主化されたときに親米政権が誕生するのか反米に転じて行くのかは分からない。


エジプトの今後を含めこれからの中東・北アフリカ地域がどのように動いていくかが注目される。


国内に目を向けるとどうしても非観的になってしまう。


外交でも内政でも国益を損ねる稚拙で場当たり的な対応を重ねている管内閣の消費税増税への動きもひどいものである。


消費税増税に関して、麻生政権の末期に成立した09年度税制改正法附則104条で、「消費税を含む税制の抜本的な改革をおこなうため、2011年度までに必要な法制上の措置を講じる」としていたことをそのまま継承するとのこと。


与謝野氏の入閣から予想されたことだが、菅内閣は、自民党政権だったかと錯覚するほど。


なり振りかまわず公明党にすり寄ったかと思えば、駄目だとわかると社民党へアプローチなどと無節操なこと。


政府の主体性は全く見えず、財務省のやりたい放題になっています。


消費税を社会保障目的の特別会計とする方向が打ち出され、社会保障の財源は消費税だけとするかのような論法が横行しています。


これは1種の脅しの論理でそれなら仕方がないかという空気が生まれていくと問題です。


  消費税の使い道についての論議の前に消費税の徴収に関わる問題点の論議が置き去りにされているように思います。


社会保障目的とは口先だけで無策のままの消費税増税が招く結果として有名無実化している下請法を尻目に大企業が力関係で増税分を利益として取込む一方で中小企業が軒並み潰れてしまうような弱肉強食の流れを引き起こし確実に失業率が増え自殺者が急増するような悲惨な格差社会を生み出してしまうことが懸念されます。


消費税増税論議の前に、政府と官僚のリストラ大改革が大前提。


また懸念される問題点には、十分な手が尽くされるべきで決して拙速にことを進める問題ではないと思われます。




さて本日は、製造業の開発技術者向けに実験やテストをどう設計していくかといった品質工学の基本的な考え方を分かり易く説いている入門書を紹介します。


開発現場で時間とお金がかかる信頼性の問題をどのように検討するか、なぜ品質工学ではそのように考えるのかといった切り口と視点から品質工学の基本思想について解説しています


実践的に現場ですぐに使えるように品質工学に基づく品質評価法、データ解析法のエッセンスを分かり易く解説しています。


<<ポイント>>


SN比パラメータ設計を重点として品質工学の中心的考え方となる二段階設計を中心に解説している品質工学の入門書


本書では、


信頼性の要となる評価テストの考察からはじまります。


  • 機能についての考え方
  • 品質機能展開(QFD)の考え方
  • データ解析の基礎
  • SN比と機能性評価
  • パラメータ設計と二段階設計の手順
  • 戦略ツールとしての品質工学の位置づけと損失関数
  • 品質管理の限界を超える(QCからTQMへの流れと今後の技術開発の動向)

といった各要素について重点となる考え方をクローズアップしながら品質工学の基本を説いています


本書:「開発現場で役立つ品質工学の考え方」です。


機能展開・データ解析・パラメータ設計のポイント」との副題が付いています。


本書は、著者:長谷部 光雄氏にて2010年11月に日本規格協会より発行されています。



<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には以下のように書かれています。


コレならわかる!実践できる!!

本書で、あなたのQE(品質工学)をステップアップ



本書は、日本規格協会の月刊誌「標準化と品質管理」に連載された『初心者のための品質工学』が書籍化されたものになります。


ルール栄え、モラール廃れる」と題した序章で、ものづくり現場での信頼性と寿命に関する問題提起と本書の全体構成の概観から始まりますが、下記の目次のように8つの章から構成されています。


品質工学のコンサルタントとして国内40か所以上での講演やセミナーまた数社での技術指導を続け、下記の品質工学の啓蒙書でも知られる筆者らしく読者が品質工学のどのような点で躓きやすいかといったツボを十分に心得て、シンプルで明快な言葉で要約しての解説が進められていきます。



数学的な解説部分でも図を多用した解説となっており、挿入された多数のグラフなどの図表も分かり易くシンプル化されており入門者に親切な解説となっています。


特に重要な考え方の箇所について下記の例のようなスタイルで枠囲みで強調しての分かり易い構成となっています。


『少ないデータで正しい判断を導く戦略』

  1. いじめれば、わかる(機能性評価)
  2. 試せば、わかる(パラメータ設計)

本書のざっとした構成を紹介します。


本書は、信頼性試験における評価テストについての考察を取り上げ品質工学とはどのようなものかといった解説からスタートしています。


品質工学」について以下のようにまとめています。


少ない情報で正しい判断を導く工夫。
品質工学とは、ものづくり技術の文法であり、
技術者の基本的リテラシーだ。


そして機能性評価機能展開について各1章を割いて「品質とは何か」との問いかけから「機能を考えることは本質に迫ること」とし機能性評価の考え方を説き、機能展開をどのように進めるかの実施上のポイントを解説しています。


次いで技術情報を引き出す方法に関する実践的データ解析の基礎として統計数学の基本を解説した上でノイズ因子の重要性に焦点を当てデータマイニングの方法論と実践的データ解析とを比較しながら「事前に情報を仕込むこと」「直交表を使った因子の組合せ」などを解説しています。


また(ノイズ因子を活用しながら機能を測定する)機能性評価の手順、ノイズの意味とSN比の考え方を解説した上で


  • 静特性のSN比を使った機能性評価
  • 動特性のSN比を使った機能性評価
  • 極端ノイズを使った動的SN比

の解説をしています。


そして直交表を活用したパラメータ設計の手順の解説に入ります。


選択肢が限られている場合の最適化設計の解説に次いで選択肢が多い場合の最適化設計のための9つのステップについて詳解しています。


さらに終わりの2章で品質工学について技術体質の改革のための戦略ツールとしての観点からの解説と損失関数の
考え方、今後の技術開発の展望など説いています


<<本書で何が学べるか>>


本書では、開発現場で品質確立と効率化の切り口から品質工学を活用するとの観点から、その場合、信頼性をどのように検討するのかなぜそのように考えるのかといった点に焦点を当てて品質工学の二段階設計を中心に解説しています


SN比機能展開データ解析パラメータ設計などの原理・原則をなす考え方を重点化し解説しています。


開発現場に精通した筆者らしくかゆいところに手が届く丁寧な解説となっています。


<<まとめ>>

本書は、品質工学の基本的な考え方を学びたい技術者、マネジャーにはお奨めの一冊です。

なお本書の目次は以下の内容です。
序章 ルール栄え, モラール廃れる
ものづくり現場の実情
品質工学のねらいは経営課題の解決
本書の全体構成
第1章 技術者よ, 自由になれ!―デバッグ体質からの脱却―
評価テストは信頼性の要
評価テストのコストが肥大化している
時間と数量の壁
時間短縮は可能か
評価テストの意味
シミュレーションの目的
少ないデータで正しい判断をする
自由になれ, そして, 大志を抱け
第2章 機能のやさしい考え方
品質とは何か
品質の検出力を高めることがねらい
機能の重要性は, 様々なツールでも共通
対象を一般化して考える
具体的な例
機能を考えることは本質に迫ること
機能を考えるコツ(1)
機能を考えるコツ(2)
機能を考えるコツ(3)
機能はアイデアを生み出す
機能分離で複雑化に適応
第3章 機能展開の考え方
品質機能展開(QFD)とサブ機能
機能展開のメリット
サブ機能に展開する際の注意点
機能展開の失敗例
機能展開のコツ
よい機能展開は優れたアイデアにつながる
機能展開のまとめ
機能展開の注意点
第4章 実践的データ解析の基礎(技術情報を引き出す方法)
ばらつきは宝の山
データから情報を取り出す方法
変動と自由度の関係
ばらつきの変動を分解する方法
分解された変動の意味
繰返しデータの分解
三元配置のデータ解析と直交表
データマイニングとの違い
第5章 検出力を高める方法(機能性評価,SN比)
理想的なデータの条件
少数精鋭データのコツ(1)
少数精鋭データのコツ(2)
いじめればわかる機能性評価
ノイズの意味とSN比
静特性のSN比を使った機能性評価
動特性のSN比を使った機能性評価
極端ノイズを使った動的SN比
第6章 改善策を効率的に見つける方法(最適化設計)
選択肢が限られている場合の最適化設計
選択肢が多い場合の最適化設計(パラメータ設計)
第1ステップ:課題の確認
第2ステップ:機能の定義
第3ステップ:その1 ノイズ因子の決定
          :その2 ノイズ因子のコツ
第4ステップ:その1 制御因子の決定
           :その2 制御因子のコツ
第5ステップ:その1 実験計画(制御因子の割付け)
           :その2 実験計画(ノイズ因子の割付け)
第6ステップ:実験と計測
第7ステップ:その1 データの解析, 要因効果図のつくり方
           :その2 要因効果図の見方 二段階設計
第8ステップ:再現性の確認
第9ステップ:考察、 まとめ
パラメータ設計の本当のねらい
第7章 戦略ツールとしての品質工学
マネジャーのためのツール
開発期間の短縮
市場不具合はソフトウェア関連がトップ
直交表の性質を活用する
バグ検出の効率化
絶対安全は存在しない
第8章 品質管理の限界を超える
QCからTQMへの流れ
QCの限界とTQMのねらい
基本はパラダイムシフト
新パラダイムとは技術的考え方のこと
現実的な判断には, 損失関数が必要



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品質は、人質との言葉があります。

すなわち、モノづくりの基本は、究極のところヒトづくりに帰すると言われます。

現下の職場に多数の課題が山積している環境下で、より高いモノづくり品質を目指すとなるとそれに携わる技術者が適切な力量と顧客視点のセンスをしっかりと磨くことが重要になります。

本日は、開発・設計における“Qの確保”をテーマとした書籍を紹介します。

日本品質管理学会中部支部産学連携研究会の編集による本書において、厳しい環境の中、モノづくり品質をつくり込むためにエンジニアがどのように仕事を進めたらよいかといった一つの指針を説いています

モノづくりの成果は、製開販に関わる実務担当者の思いと努力と粘りの結晶がもたらすものということになりますが、とりわけ原流側の立場にある開発・設計のエンジニアは、大きな位置づけを占めています。

とくに「お客様に安心して、いつまでも安全に使っていただける“良いモノづくり”を可能にするのは、モノづくりに携わる一人ひとりの技術者」次第とも言えます。

本書の「まえがき」で日本品質管理学会中部支部 支部長の木下潔氏は、本書について、


『モノづくりに携わる一人ひとりの技術者が、愚直に、地道に、徹底して品質にこだわりをもち続けることができるよう、研究会で検討を続けた”Qの確保”のための道筋をまとめました。

自らの仕事のプロセスを常に見える化し、潜在する問題にもスポットがあるようにして問題解決・未然防止につなげられる実践的な内容です。

この中で述べられている内容をモノづくりに携わる一人ひとりが実践できるかどうかが、次の時代への飛躍につなげるための鍵を握っているといっても過言ではありません』

と述べています。

<<ポイント>>

品質(Q)の確保”をテーマに、現在、モノづくりの現場が抱えている問題を現地・現物の視点から抽出し、具体的に解決していくための方法論・考え方・手順等を中心に“品質(Q)の確保のための指針として多数の事例解説を交えて説いている本

本書は、社団法人 日本品質管理学会中部支部 産学連携研究会(早稲田大学 永田靖教授を代表とした12名の執・編著者)で“品質(Q)の確保”をテーマに検討を重ねてきた内容で、

トヨタグループの取組みを基に、品質工学を効果的に活用するためのコツと社内に展開する上でのポイント等を分かり易く解説しています。

また設計の変更点やお客様の使用条件・環境条件の変化点に潜んでいる問題にいかに気づくか、一人ひとりの技術者が、これまで以上に感度を上げていくために、モノづくり品質をつくり込むためにエンジニアがどのように仕事を進めていけばよいのかの道標となる内容にまとめられています。

本書:「開発・設計における“Qの確保”」です。

より高いモノづくり品質をめざして」との副題が付いています。

本書は、日本品質管理学会中部支部 産学連携研究会の編集にて、2010年5月に日本規格協会より発行されています。

<<本書のエッセンスの一部>>

本書の帯には、以下のように書かれています。

高い品質で新たな時代を切り開く!

品質確保のための新しい実践的手法の提案


本書は、10章から構成されています。

トヨタ自動車(株)の豊田章一郎名誉会長の自動車技術会60周年講演での日本の自動車産業の今日までの発展要因について「現場現物」、「品質は工程でつくり込む」、「価格はお客様が決める」、「モノづくりはヒトつくり」という4つの努力があった結果とのお話から、トヨタのモノづくり基盤を築いて来た人たちの品質に対する考え方を上記4つの言葉にまつわるエピソード等を交えて紹介するところから始まります。

また最近のモノづくりに関して技術分野の「信頼の崩壊」とも言える重大事故、失敗、問題による信頼の崩壊といった事象を取り上げ、それらの「開発・設計問題」の真因は何かを考察し、開発・設計の早い段階で、変更点、変化点に潜む問題を発見して未然に対処する「未然防止」を徹底するマネジメントの必要性を強調しています。

そして、本書の「Qの確保」というテーマに関して、『現在の厳しい経済状況のもと、逆風を追い風に変えていくためのキーワードは、仕事のプロセスを見える化する「プロセスマネジメント」と、問題発見に着目した「未然防止」』と述べています。

また「Qの確保」の重要性を再確認し、中部地方のモノづくりの現場が抱えている問題の調査の結果、「仕事のプロセスが見えていない」「見えていない問題を解決する能力の低下」の問題に集約されたとし、「Qの確保」のルーツとなる『トヨタ生産方式TPS)』(”ジャストインタイム”と”自働化”)を概観し、自工程完結に繋がる仕事のプロセスが「Qの確保」のキーになるとしています。

そして、「Qの確保”のための問題発見と問題解決(未然防止)」をテーマに顕在化した問題の再発防止と対比して起こりそうな問題を予測してそれに未然に対処する未然防止に焦点を当てて論じています。

FMEAやFTAなどリスク評価の手法に触れ、未然防止の観点からリスク評価の結果、切り捨てられそうになった部分に問題が潜んでいる可能性があることなど留意した上で、

  • 「変更点」や「変化点」に潜む問題を発見すること
  • 比較による思考の連鎖から問題の芽に気づくといったこと
  • 既存の問題解決手法

について考察し、実践的問題解決手法をその手順と共に提示しています。

またなぜなぜ5回で真の原因に到達できるかを考察し、真の原因を特定するのにStress-Strengthモデルを考えることの意義を説いています。

そして「Qの確保」をモノづくりの開発・設計現場で実践していくために必要なマネジメント力の発揮に焦点をあて、プロセスマネジメント問題解決の側面から何が必要かを説いています。

自工程完結の基本思想の「One Process,One Decision)を果たすための手法として、品質工学SQCデザインレビューについてプロセスマネジメントの視点からどのように取組むべきかを説いています。

また「マネジメントの基本は“プロセスの見える化”」と「プロセスマネジメントの実践手法と事例」について、方針使命の理解、ビジョン策定、お客様の声(VOC)から要求項目の整理、方針管理と日常管理、プロセスリンクマネジメント、TLSC(Total Link System Chart)の実践事例、QCMS(Quality Chain Management System)の実践事例など詳解されています。

そして、品質工学とSQC との融合などを含む「開発・設計における技術力アップのための問題解決の実践方法」について、機能展開の手順、品質工学の効果的活用のポイント、適合設計の進め方、有限要素法(FEM)シミュレーション実験の合わせ込みの品質工学の活用、品質工学とシャイニンメソッドの活用、設計・製造におけるばらつきの低減、品質工学とSQC の推進体制等のポイント、パラメータ設計の留意点などを解説しています。

次いで「問題の見える化」から「問題解決」につなぐプロセスとしての視点からのデザインレビューと情報抽出、問題発見のためのデータベースの活用をどのように進めたらよいかについて事例を交えて詳解しています。

また“Qの確保”の源泉となる「現場力と職場力」についてその重要性、「現場力と職場力」に基づくエンジン開発、ハイブリッド車開発の事例を交えて問題解決に現場力と職場力がどのように発揮されたかを解説しています。

最後に、“Qの確保”に関わる産学連携研究会、テーママップなどをまとめ整理した上で、今後の課題について展望しています。

<<本書で何が学べるか>>

本書では、商品の質と価値を守り、安心・安全を保証する“Qの確保”には何が必要かとの観点から日本品質管理学会中部支部 産学連携研究会で重ねてきた検討がベースになっています

特に「仕事のプロセスが見えていない」「見えていない問題を解決する能力の低下」が課題であるとしてこれを解決すべく、トヨタグループでの取組みを基に、SQC品質工学デザインレビューを核としてこれらを融合的に効果的に活用するためのコツと社内に展開する上でのポイント等を事例を交えて分かり易く解説しています

<<まとめ>>

本書は、開発・設計に関わるエンジニアの方々をはじめ“品質(Q)の確保”に関心がある技術者には読んで頂きたい一冊です。

なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 先人たちの品質へのこだわり
1.1 現地現物
1.2 品質は工程でつくり込む
1.3 価格はお客様が決める
1.4 モノづくりはヒトづくり
第2章 最近のモノづくりで何が起こっているか
2.1 最近多発している重大事故,失敗,問題による信頼の崩壊
2.2 日本のモノづくり品質における優位性の低下
2.3 開発・設計現場で発生している問題の真因は何か
2.4 経済危機の中で“Qの確保”の解を見いだせるか
第3章 モノづくりにおける“Qの確保”
3.1 “Qの確保”の重要性
3.2 “Qの確保”のルーツ―トヨタ生産方式(TPS)
3.3 “Qの確保”はそれぞれの工程で品質をつくり込む自工程完結
第4章 “Qの確保”のための問題発見と問題解決(未然防止)
4.1 見えていない問題を発見して解決する未然防止
4.2 これまでの問題解決手法で見えていない問題に手を打てるか
4.3 問題発見に着目した実践的問題解決手法の提案
第5章 “Qの確保”へのアプローチ―プロセスマネジメントと問題解決
5.1 プロセスマネジメントからのアプローチ
5.2 問題解決からのアプローチ
第6章 プロセスを見える化するプロセスマネジメントの実践方法
6.1 マネジメントの基本は“プロセスの見える化”
6.2 プロセスマネジメントの実践手法と事例
第7章 開発・設計における技術力アップのための問題解決の実践方法
7.1 品質工学とSQC との融合に向けて
7.2 基本機能を導くための機能展開
7.3 品質工学の効果的活用のポイント
7.4 適合設計の方法論
7.5 シミュレーション実験における品質工学とシャイニンメソッドの活用
7.6 設計・製造におけるばらつきとは
7.7 品質工学とSQC の推進体制
7.8 パラメータ設計における留意点
第8章 “Qの確保”を支えるデザインレビューとデータベース
8.1 デザインレビューのシステム
8.2 データベースと情報抽出,問題発見について
第9章 “Qの確保”の源泉―現場力と職場力
9.1 現場力と職場力の重要性
9.2 現場力と職場力の発揮による問題解決事例
第10章 まとめと今後の課題
10.1 “Qの確保”のための産学連携研究会
10.2 “Qの確保”のためのテーママップ
10.3 “Qの確保”のための今後の課題

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技術者の意地」というタイトルは、本書の物語の中心となる技術者・矢吹真一郎(架空の人物)が「なぜ品質工学(物語のなかでは十文字メソッドと呼ばれている)を始めるに至ったかという動機」を問われた際に思わず直感的につぶやいた言葉になります。

技術にも品質がある』(「ISOの本棚」でも紹介)の著者:長谷部 光雄氏が、“品質工学”の考え方と方法論を架空の中堅企業を舞台に小説仕立てで説いている本を紹介します。

品質工学(タグチメソッド)の誤差因子に強い技術や製品を開発するための最適化手法で、SN比と感度を指標にしてシステムの設計定数を決める方法の『パラメータ設計(ロバスト設計)』の手法等を中心に未然防止を中心にした品質の作り込みのための手法として説いています。

先の技術者・矢吹真一郎(架空)は、湿度センサなどの装置を開発し製造・販売している会社で湿度センサ技術の社内の第一人者の人物。

湿度センサをめぐるこの主人公の矢吹真一郎の悩みと行動を軸に十文字メソッド(十文字博士がこの手法のアドバイザーとして登場しています)と名付けた方法を活用して課題解決するストーリーを通じて品質工学の考え方を解説しています。

小説を読み進める中で品質工学の考え方が学べるという構成になっています。

また本書の途中には、筆者による例えば、「SN比」、「二段階設計」などの基礎概念の解説文も挿入されており本書のストーリーを補完・レビューするという構成になっています。

<<ポイント>>

技術者の悩みと行動を軸にしたストーリー仕立てで品質工学タグチメソッドの考え方と方法論を説く本。

本書では、

架空の中堅企業を舞台にして

技術者たちが湿度センサをめぐる

品質問題を解決するため十文字メソッド

品質工学:タグチメソッド

に取り組むとの展開を通して

品質工学の考え方・手法を解説しています。

また小説のなかの会話と解説を通して筆者の技術開発哲学

も語られています。

本書:「技術者の意地」です。

読むだけでわかる品質工学」との副題が付いています。

本書は、著者:長谷部 光雄氏にて、2010年3月に日本規格協会より発行されています。

本書は、日本規格協会の月刊誌『標準化と品質管理』に連載され好評を博した『読むだけでわかる品質工学』が単行本化された一冊です。

<<本書のエッセンスの一部>>

本書の帯には、以下のように書かれています。

好評既刊『技術にも品質がある』の著者が、

技術者・矢吹慎一郎(架空)の悩みと行動を軸にして、

品質工学”の考え方と方法論を

小説仕立てで解き明かす


本書の『リコールとは見えない不良』と題した「まえがき」で

筆者は、リコールについて論じ、

リコールの未然防止が良いのは自明のことだが、問題の中味が複雑化し高度化しており従来の品質管理の手法では制御できなくなっている。

検査では見つけ出せないが市場で使われるうちに発生してくる不具合点に関わる「見えない不良」などにも対応できる品質を管理できるとの観点から矢吹慎一郎と共に読者も考えて欲しいとしています。

本書のストーリーは、「八方ふさがり」との矢吹慎一郎が湿度センサの市場の不具合情報が掲載されたレポートを見ている場面から始まります。

矢吹達の開発陣が長年苦労して見つけ出した製造の最適条件と思える条件で生産が進められているはずだが、市場トラブルが相次いでおり、そこに手を付けたいが、日常的な初期不良の対策に手一杯の状況で根本的な対策にはなかなか手が回らないという悩ましい状況。

そのような状況のなか、『十文字メソッド』を活用して製造条件を見直すとの流れが。

最初は、『十文字メソッド』に最初は、複雑な思いを持った矢吹だが、専門家の話を聞いたり勉強してみて自分が思考の惰性に陥っていたとのことに気付く。

十文字教授に指導を受けるなかでロバスト性SN比機能性評価手法などを学んでそれを湿度センサの評価手法に取り込んでとの展開。

36節の「エピローグ」まで

「二段階設計」について、

  1. パラメータ実験での制御因子(パラメータ)とその水準の選び方
  2. 製造工程の改善方法
  3. 基本は安定性(二段階設計の思想)

といった解説などを含めて、ストーリーの展開とレビューとなる解説を交えて設計・製造に関わる品質工学の考え方と方法論が分かり易く説かれていきます。

会話のやりとりのなかで品質工学に関わる筆者の開発哲学も説かれています。

以下に一端を紹介します。

「要するに設計の役割は、SN比を使って製品のロバスト性を高めることなんだ」

「そうです。現在の我が社の課題は、開発部門で技術のロバスト性を高めることと製造部門で品質管理の技術を確立することの二つなんです。」

「張は、不良が発生した際の損失金額と、不良を防止するために必要な経費を計算し、その二つの金額が一致するように管理するのが最良の工程条件であると説明した。」

「うーん、最近の経営方針は、効率化だけを追求している例が多いからな。我が社もそうだが、どの会社も判で押したようにスピード経営を謳っている。表面的な効率は改善されたかもしれないが、一人一人の心が貧しくなっているのかもしれないね。そして知らないうちに技術力も低下しているのだろうな」

「最適条件の決定よりももっと重要なことがあります。技術者にとって重要なのは、何が起きているかを理解することです。起きている現象を把握しコントロールできるならば、最適条件は容易に導き出せますから

「汎用技術とは、個別問題に対して汎用的な観点で機能を導き出して、その機能をシステムとして解析するやり方のように見える。

いままで自分たちは、あまりにも個別の技術だけに目を奪われていたようだ。矢吹は、個別問題を一度突き放して、技術の考え方や開発のやり方について考えてみることも必要だなと感じだした。」

「勝ち負けにこだわるのは、本当の技術者の意地じゃないですよ。本当に良いもの、世の中にないものを創り出すことにこだわるのが、技術者の意地ですよ。勝ち負けは外面的なこと、一時的なことですが、内面的なこと、自分で納得できるかどうかの方がはるかに重要です。」

などほんの一端を紹介しましたが、本書には、このような内容が満載されています。

本書の最後に「田口玄一博士の本当の言葉」についてエピソードなど交えて解説しています。

以下のように述べて結んでいます。

技術立国日本の将来を考えたとき、モノづくり技術を極めたその先に、創造性を基盤にした技術開発力の構築が重要と思える。

その構築のためには、タグチメソッドと呼ばれる品質工学の考え方が、非常に重要であると筆者は信じている。』


<<本書で何が学べるか?>>

本書では、物語の展開と重点内容をレビューしている解説を通して、“品質工学”の考え方と方法論についてどのようなものかを学ぶことができます。

<<まとめ>>

本書では、『パラメータ設計ロバスト設計)』等を中心とした品質工学タグチメソッド)の考え方や手法について架空の中堅企業を舞台に技術者たちが湿度センサにまつわる品質問題を解決していくとの物語仕立てのストーリーを通して分かり易く解説しています

品質工学についての知識の如何に関係なく、リコールの未然防止の考え方等に関心がある経営者・マネジャー・ビジネスパースンには、本書は、是非、読んで頂きたい一冊です

なお本書の目次は以下の内容です。
まえがき―リコールとは「見えない不良」
1. 八方ふさがり
2. 論争
3. 可能性
4. 動き出し
5. 見せかけの矛盾
6. 因数分解
7. 思いもよらない収穫
8. ロバスト性
9. SN比
10. 極端条件
11. 懸念項目
12. いじめられる子ども
13. 製造工程の改善
14. 改善のパラメータ
15. 基本は安定性
16. 要因実験
17. 設計の責任
18. 実験の意味
19. レビュー
20. 見えない不良
21. マネジャーの責任
22. 常識のウソ
23. 実験結果
24. 報 告
25. 製造技術の問題
26. 現場の観察
27. 結果の解釈
28. 偶然の必然
29. なぜなぜ分析
30. 免疫に学ぶ汎用技術
31. 生産の開始
32. Q研での発表
33. 目標管理
34. プロセス改善プログラム
35. 成果報告
36. エピローグ
[ 解 説 ]
現状把握
心理的惰性からの脱却
SN比
二段階設計
設計の責任
損失関数とマネジャーの役割
実験結果の見方
ばらつきの意味
フロントローディング
目標の達成と体質の改善
田口玄一博士の本当の言葉

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タグチメソッド品質工学)の考え方の基本を説く入門書の本書の「はじめに」で日本の製造業の現場で品質向上のために努力しているにもかかわらず、リコール等の品質問題が発生している状況について、従来の品質管理の手法では対応できないようになっているとした上で、以下のように述べています。


「本書で取り上げたいのは、日本の製造業の底流で静かに進行している「ある傾向」についてです。

 冒頭で示した現象は、底流に流れているこの傾向が根本原因となって表面化してきたと考えられるからです。

 このように静かに進行している傾向は、内側から日本のモノづくり技術の弱体化を加速します。

技術力の低下を引き起こし、リコールを増加させている根本原因です。

 幸いなことに、これに対する処方箋はすでに提案されています。

田口玄一氏が40数年前から提唱しているタグチメソッドです。

最近多くの企業から注目されており、採用する会社も増えています。

その背景には、現在問題となっている品質問題を解決するには、技術の本質に切り込む必要がある、という気付きがあります

それを可能にする手段がタグチメソッドです。

 本書は、タグチメソッドをわかりやすく解説します

とはいっても手法の解説書ではないので、統計解析計算の面倒な説明はいっさいありません。

技術や製品を効率よく開発するにはどうすればいいか、という基本的な考え方を解説しました。」


<<ポイント>>


タグチメソッドの基本的な考え方を解説している入門書


本書では、日本のモノづくりの再構築が必要となっているという現状の課題の把握にはじまり、


その背景にあるものを抽出・分析した上で、


  • タグチメソッドの全体像
  • 見える化(考え方1)
  • 二段階設計(考え方2)

の3つの視点からタグチメソッドとはどのようなものかを解説し、


さらに戦略的な活用の観点から


タグチメソッドの根本思想を知るための7つのキーワードの解説と関連手法(実験計画法、……HALT / HASS試験)等も解説しています


本書:「タグチメソッドがよ~くわかる本」です。


本書は、著者:長谷部 光雄氏にて、2009年8月に秀和システム より「ポケット図解」シリーズの一冊として発行されています。



<<本書のエッセンスの一部>>


本書の表紙カバーには、以下のように書かれています。


技術の本質に切り込む

モノづくり復活の処方箋!

  • 技術の効率的な開発がよくわかる!
  • 製品開発の改善シナリオがわかる!
  • 技術力の高い企業の特徴がわかる!
  • 製品品質改善のヒントが得られる!
  • リコール増加の根本的な原因とは!
  • 市場の品質問題を予測する鍵とは!

本書は、7章から構成されています。


章の各節のテーマについて原則見開きの2ページで左側のページには、タイトルに続き、そのテーマの要約があり、解説文が掲載され、右側のページには、図解で一目でそのテーマの概要がわかる図解が掲載されているという構成になっています。


また右側のページの上部には、【one point】として、『検査と評価は違う』といった関連するキーワード等が取り上げられ豆知識といった要領で解説されています。


さらに各章の終わりには、「コラム」欄が設けられ、「シックスシグマのトリック」といった筆者に考察事項等が掲載されています。


それでは、章を追って概要を簡単に紹介します。


第1章では、「日本のモノづくりは再構築が必要
と題して、日本のモノづくりの現場で工場出荷時の検査では発見できない「見えない不良」が企業を困らせているとの現状の課題を取り上げ、考察し、設計に起因する見えない不良に対処するためには、従来型の方法論では限界があり、タグチメソッドを紹介しながら、生産中心のモノづくり視点から設計中心の視点への思い切った発想の転換が必要になっていると論じています。


第2章では、「見えない不良の背景
と題して、「見えない不良」が増加してきている背景について考察しています。


その背景には、モノづくり技術の軽視の風潮:すなわち、技術を育てるための泥臭い研究などを捨て去って、寄せ集め部品を組み立ててソフトで厚化粧して簡単にお金儲けができそうなコモディティ製品への傾斜やグローバルスタンダードなどの形式的な手法に頼ることなどがあるとしています。


収益のみが企業の目的ではないはずで持続して社会に貢献できるための高収益、高品質のための技術開発やソリューションの提供の重要性を説いています。


この意見には、強く共感を覚えます。


以降の第3章から第5章で「タグチメソッドとは何か?」といった基本的な考え方を説いています。


第3章では、「タグチメソッドの全体像
と題して、この章でタグチメソッドの全体像について解説しています。


タグチメソッドは、企業の成果に結びつく実践的方法論であり、統計学などの学術的なアプローチや机上の建前論ではなく、技術の現場で使える実用性を重視した考え方であると説いています。


製品開発に意味を考察し、その流れについて「製品開発は設計思想の移植作業」との考え方を提示し、タグチメソッドによる『機能』を重視する考え方、「見えない不良」に対処する観点から量から質への発想の転換の必要性を説いています。


また未然防止の方法論としては発生のメカニズムも予測できない未知の現象も予測できる必要があるとし、タグチメソッドによる『フロントローディング型の2段階設計』の考え方を解説しています。


第4章では、「見える化(考え方の基本1)
と題して、タグチメソッドによる見えないバラツキを検出するための方法について解説しています。


以下の3つの「見える化のシナリオ」を説いています。


またSN比についても「使用条件の変動から影響を受ける度合い」として解説しています。


「見えないバラツキ」(SN比で表現)を漏れなく「見える化」するキーワードについて「いじめればわかる」とし、極端条件で変化量を大きくし「見える化」を図るその考え方を解説しています


とくに設計段階でいじめの結果を評価する考え方を解説しています。


また「見えないバラツキ」を漏れなく「見える化」する際に抜け漏れを少なくするために組み合わせを直交表を使って行う考え方を解説しています


さらに「見えないバラツキ」を漏れなく「見える化」する工夫として基本的な機能を評価する視点が大切と基本的な機能、転写性、エネルギー変換といった機能について例をあげて解説しています

第5章では、「二段階設計(考え方の基本2)
と題して、タグチメソッドの考え方の基本2として二段階設計について解説しています。


その方法は、「試せば、わかる」(パラメータ設計)であるとして、多くのアイデアを効率的に試せば、どのくらい改善するかがわかる。ポイントは早く失敗することと解説しています。


常に根本的課題に手を打つべし、本質を掴むことを強調した上で、技術の効果的な改善シナリオについて、前章の「いじめればわかる」(SN比の活用)と「試せばわかる」(パラメータ設計)が効率的な二つの改善シナリオと説いています。


そして、「試せばわかる」を手順化した直交表を活用したパラメータ設計について、アイデアのリストアップ→条件表に基づくデータの採取→実験結果の要因効果図での整理といった要領を解説し、二段階設計の方法をまとめています。


第6章では、「タグチメソッドを知る七つのキーワード
と題して、タグチメソッドの思想の全体的な枠組みについて、品質を確保した上で開発期間を短縮するシナリオの沿って以下の7つのキーワードを取り上げて解説しています。


  • フロントローディング
  • 二段階設計
  • 品質を改善したかったら、品質を測るな
  • 制御因子・誤差因子
  • LD50(Lenthal Dose)と機能性評価
  • チューニング(編集設計)
  • 試作レス、試験レス、検査レス

第7章では、「関連手法の紹介
と題して、表面上は異なるように見える手法同士でも、基本的考え方には近似したところがあるとし、タグチメソッドの理解を深める観点から以下の各関連手法とその本質の考え方について解説しています。


  • 実験計画法
  • SQC(統計的品質管理)
  • 実践的品質管理手法
  • データマイニング
  • 信頼性工学
  • 安全工学
  • TRIZ
  • QFD(品質機能展開)
  • シックスシグマとDFSS(Design For Six Sigma)
  • HALT (Highly Accelerated Life  Test)/ HASS(Highly Accelerated Stress Screening)試験

<<タグチメソッドの関連書籍>>


「ISOの本棚」のブログですでに紹介した以下のような『タグチメソッド品質工学』に関する本がありますのでご参照下さい。



<<本書で何が学べるか?>>


本書では、製造現場では、生産中心のモノづくり視点からタグチメソッドを活用しての設計中心の視点への思い切った発想の転換が必要な状況となっているとの考察から始まり、タグチメソッド品質工学)のやさしい入門書として、タグチメソッドの基本的な考え方をそのポイントをイラストや図表を交えて解説しています。


特にタグチメソッドの基本的な考え方について『タグチメソッドの全体像』、『見える化(考え方1)』、『二段階設計(考え方2)』といった3つの視点から解説しています。


タグチメソッドの基本思想に関わる7つのキーワードを解説し、さらに関連手法の考え方も含めてタグチメソッドの活用の思想を解説しています。


本書は、タグチメソッドの基本的な考え方を学ぶ入門書として最適です。


<<まとめ>>


本書は、技術者だけでなく、品質、技術、モノづくり、製品開発等の本質論に関心を持つビジネスパースンには、読んで頂きたい一冊です。


なお本書の目次は以下の内容です。
第1章 日本のモノづくりは再構築が必要
第2章 見えない不良の背景
第3章 タグチメソッドの全体像
第4章 見える化(考え方の基本1)
第5章 二段階設計(考え方の基本2)
第6章 タグチメソッドを知る七つのキーワード
第7章 関連手法の紹介






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学校教育において品質工学タグチメソッド)を採用するところが増加しているとのことです。


にもかかわらずそのような目的に教科書として使える本は、これまでになかったとのことから、現在、品質工学会の会長で、品質工学の創始者である田口 玄一 氏に並ぶ品質工学の第一人者の矢野 宏 氏が、学校教育用の品質工学の本として一般の技術者の利用にも配慮して企画された品質工学を学ぶための格好のテキストを紹介します


品質工学について体系的に学ぶための講義・教材用として、これまでに筆者が幾つかの大学で行ってきた指導ノウハウと講義のエッセンスを詰め込んだ一冊とのことです


本書では、品質工学の歴史的背景や成立の事情から、SN比の発明、実験による設計技術の開発、パターン認識の方法、技術開発の課題まで、品質工学について体系的に解説しています


<<ポイント>>


これ一冊で品質工学を実践的・体系的に学ぶための教科書本


本書の「はじめに」で本書への思いに関して以下のようにその一端を述べています。


「知識の総量というのは、時代と共に増えているから、これを教えようとすれば膨大な時間を要する。

品質工学にしても個々の知識は図書館で学べばよいことで、重要なのはその知識の生まれた背景である。

なぜそのように考えるのかを中心に教えれば、それに伴う個別知識は具体例を通して学べるはずである。

場合によっては、参考文献にあたって欲しいが、これは演習問題の中で果たしたい。

演習問題については、本文の補足になるように図っているので、実際に解かなくても、目は通してほしい。

さらに実学である以上、教える側の教師自体が自分の研究において活用しない限り、具体化するのは難しいと思っている。

個別に体験して理解すると、品質工学の面白さと奥深さが見えてくる。」


本書では、品質工学に関する個別の知識の背景と,考え方の基礎を説いており、基本的内容を網羅した構成となっています。


また演習問題および品質工学導入事例など盛り込まれ実践的な構成となっています


本書:「品質工学概論」です。


本書は。著者:矢野 宏 氏にて、2009年4月に日本規格協会より発行されています。


品質工学概論
日本規格協会
発売日:2009-04
発送時期:在庫あり。
ランキング:225080

<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には、以下のように書かれています。


学生・技術者 諸君!

いま企業から求められている

田口玄一博士発信の”品質工学”を

本書で学ぼう。


本書は、12の章から構成されています。


また巻末には、品質工学会規格 QES S 1001:2007 の品質工学用語(基本)、QES S 1002:2007 品質工学用語(MTシステム)についての番号、用語、定義、対応英語といった品質工学用語をまとめた表が掲載されています。


さらに田口玄一博士の著書一覧が添付されています。


本書の本文中には、グラフなどの多数の図表が挿入された解説となっており教科書らしい分かり易い解説構成となっています。


また各章の終わりには、充実した参考文献の紹介とその章の理解のための関連する演習問題が掲載されています。


各章の概要を以下で紹介します。


第1章では、「品質工学の構成
と題して、品質工学の発祥、その構成要素(損失関数SN比直交表)などにはじまり、システムとしての働きに対してのシステム選択、パラメータ設計許容差設計許容差決定生産工程の最適化等の概要、さらに設計に対する考え方MTシステムオンライン品質工学ユーザビリティといった品質工学の基本的な考え方と全体像について解説しています。


第2章では、「品質工学成立の背景
と題して、近代における我が国の技術開発の歴史を概観した上で、田口先生の実験計画法から品質工学への発展がどのような考え方のもとに進められていったかという背景について考察し解説しています。


第3章では、「SN比の発明―評価方法の設計
と題して、SN比の考え方とその手法がどのように生まれ成立していったかの過程を振り返ると共に、SN比の計算方法と、SN比の持つ技術的な意味について解説し、技術の働きの基本機能の表現について品質工学の研究成果として整理された事例を交えてその考え方と評価方法を解説しています。


第4章では、「SN比の正しさの確認―直交表
と題して、SN比を用いて品質工学の研究を進めた際に、それが妥当なものであるかどうかを検討するための直交表について、交互作用の現象、意味について、さらに18直交表の活用について工作機械での切削条件の最適化の事例を交えて解説しています。


第5章では、「社会損失の評価―損失関数
と題して、「社会的自由の総和の拡大」といった品質工学の本質的な考え方に関わる社会損失の考え方と「望小特性の損失関数」、「望目特性の損失関数」、「望大特性の損失関数」のそれぞれの特性値をどのように評価するかといった損失関数による損失の定量化の方法、またそれを利用した規格値の決定法について事例を交えて解説しています。


第6章では、「計測技術におけるSN比の役割
と題して、計測器の校正、計測器の誤差の評価、食品の菌の培養といった信号の水準で作るSN比、標準値の推定方法としてのプラスチックの寸法測定のSN比、といったテーマを取り上げ計測技術をいわば可視化するといった観点から用いられる計測のSN比の考え方について解説しています。


第7章では、「実験による設計技術の開発
と題して、設計・開発において活用される品質工学の手法と考え方について、事例を交えて解説しています。ここでは、設計システムの考え方、実験におけるパラメータ設計の考え方、実験におけるパラメータ設計の考え方、電圧と電流の関係、荷重と変形量の関係、電気量の利用、回転する働きの評価、化学反応の評価方法、転写性などの事例の解説、官能検査、率のデータについてのSN比の考え方と表し方などを取り上げ解説しています。


第8章では、「設計技術への応用
と題して、標準SN比の概念、電子回路の事例によるシミュレーションによるパラメータ設計の方法、経済的に有利であるかを評価する許容差設計の方法、取引きにおける機能性の評価の21世紀に展開されたテーマを取り上げ、品質工学の設計技術への応用事例として解説しています。


第9章では、「パターン認識の方法
と題して、パターンで表される特性を定量化するための手法であるMTシステムとくにTシステムを中心に解説しています。


ここでは、パターン認識の定義に始まりMTシステムの考え方、病気の診断におけるMTシステム、火災報知機のMTシステム、足浴用漢方入浴剤の開発といった事例をもとに解説しています。


またMTシステムSN比について、T法(1)と(2)、RT法について解説しています。


第10章では、「製造工程条件の設計―オンライン品質工学
と題して、製造工程の管理条件を設計するための方法のオンライン品質工学についての基本的な方法について解説しています。


製造工程条件の設計の課題、フィードバック制御による調整、工程の診断、検査の課題、不可抗力な事柄への対応といった事項について事例を交えて解説しています。


第11章では、「データの不完全さへの対応
と題して、ソフトウェアのバグチェックと実験の際に何らかの理由でデータが得られなかったといったシステムやデータが不完全さを持っている場合に発生する問題への対応の方法を解説しています。


設計における使いやすさの評価(バグチェック)、不完全データが少ない場合と多い場合の二つのデータが十分に求められないケースと判定能力の評価を取り上げ解説しています。


第12章では、「技術開発の課題
と題して、品質工学がなぜ必要になるかとくにそのもとになる技術の考え方は何かを考察しています。科学と技術の関わり、技術者の位置付け、技術開発、またシステム開発における品質工学との関わり等を論じています。


<<品質工学(タグチメソッド)の関係書籍>>


「ISOの本棚」のブログですでに紹介した以下のような『品質工学(タグチメソッド)』に関する本がありますのでご参照下さい。



<<本書で何が学べるか?>>


本書は、品質工学が誕生した歴史的背景や成立の事情から、SN比の発明、実験による設計技術の開発、パターン認識の方法、技術開発の課題といった品質工学を体系的に解説する品質工学の教科書です


個別のテクニックの前に考え方を詳解するというスタイルで品質工学の基本の理解の観点から体系的にまとめられた分かり易い解説書となっています。


<<まとめ>>


本書は、品質工学をこれから学ぶ学生および技術者にお薦めの一冊です。


なお本書の主要目次は、以下の内容です。
第1章 品質工学の構成
第2章 品質工学成立の背景
第3章 SN比の発明―評価方法の設計
第4章 SN比の正しさの確認―直交表
第5章 社会損失の評価―損失関数
第6章 計測技術におけるSN比の役割
第7章 実験による設計技術の開発
第8章 設計技術への応用
第9章 パターン認識の方法
第10章 製造工程条件の設計―オンライン品質工学
第11章 データの不完全さへの対応
第12章 技術開発の課題





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タグチメソッド(品質工学)を学びたいとのニーズをもっている人は、多いとのことですが、最初に当たる壁が言葉(用語)の壁とのこと。


本書の「まえがき」にも紹介されていますが、タグチメソッドのメミナーで初心者の人が決まって、アンケート用紙に記すのは、「言葉の意味がわからない」との項目がトップだそうです。


そこで急速に興味を失ってしまい、タグチメソッドの面白さや有用性を理解するところまで至らないまま挫折し、勉強をやめてしまうことのようです。


埼玉の品質工学研究会のワーキンググループのメンバーの方々が原稿を起こし、最終的には、タグチメソッドのエキスパートの金本 良重 氏、丸山 洋一郎氏、渡部 義晴 氏が編集したタグチメソッドの用語の解説書を紹介します。


本書の「まえがき」によると執筆にあたって特に分かりやすさに主眼を置き、以下のような点に留意したとのことです。


  1. 用語の意味は、タグチメソッドの用語を極力用いないようにして、簡潔な表現を心がけた。
  2. 用語集として位置づけられるが、タグチメソッドのテキストとしての活用も配慮した解説としている。冒頭から読み進めることで、タグチメソッドの概要が分かるように構成されているので、入門者用セミナー用のテキストとして、又は中級者向けの補助教材としても活用できる。
  3. ところどころにタグチメソッドの考え方(タグチフィロソフィーともいうべきもの)が記述されている。このタグチメソッドの考え方を理解しやすくするために、図やイラストを用いたり、難しい数式による解説を極力しないといった工夫を行った。

<<ポイント>>


タグチメソッドを学ぶうえで入門者がつまずきやすい用語の意味を解説した用語集


各用語(キーワード)の意味について、図やイラストが多数、挿入されていて、直感的にも理解できるように工夫されています。


タグチメソッドの基本から始まり、SN比パラメータ設計MTシステムオンライン品質工学の章区分のもと、43のキーワードを取り上げ解説しています。


品質」「機能」といったタグチメソッド独特の使われ方をする用語の意味や、用語の使い分けも含めて解説しています。


本書:「早わかりタグチメソッド用語集」です。


入門者がつまずきやすい43のキーワードを再確認!」との副題が付いています。


本書は、著者:品質工学フォーラム埼玉ワーキンググループ 、ならびに 金本 良重 氏、丸山 洋一郎 氏、渡部 義晴 氏 の編著にて、2009年4月に日科技連出版社より発行されています。


早わかり タグチメソッド用語集―入門者がつまずきやすい43のキーワードを再確認!
日科技連出版社
発売日:2009-04
発送時期:在庫あり。
ランキング:124249

<<本書のエッセンスの一部>>


本書の表紙カバーの折り返し部には、以下のように書かれています。


本書は、入門者がタグチメソッドを学ぶうえでつまずきやすい用語の意味を解説した用語集です。

 各用語の意味は、図やイラストを活用しながら、直感的に理解できるように解説しています。また、タグチメソッド独特の使われ方をする「品質」や「機能」といった用語が、品質管理などにおける用語の意味とどのように違うのか、様々な種類があるSN比や機能などは、どのように使い分けるのかを、解説しています。

 はじめてタグチメソッドを学ぶ方の最初のテキストとしてはもちろん、すでに勉強をされている方のタグチメソッド用語の辞書としてもお使いいただけます。


本書は、5つの章から構成されています。


最初にタイトルとしてキーワードが「1.3 品質-quality」といったように取り上げられています。


タイトルの右下には、(「品質工学便覧」定義No1001)というように品質工学便覧の巻末の用語の定義で定義されている用語については、その番号が参照されています。


全体で43のキーワードについて、【用語の意味】、【解説】といったスタイルで2ページから4ページ程度で解説されるという展開になっています。


また一部のキーワードについては、【ワンポイント】として関連事項が解説されているものもあります。


キーワードの説明には、イラスト、概念図、グラフなどの図表が多数用いられており、親しみやすく分かり易い解説となっています。


また各章の終わりには、その章に関係する参考文献が掲載されています。


ざっとした内容は、以下の通りです。


第1章では、「タグチメソッドの基本用語
と題して、「1.1 タグチメソッド-taguchi method」からはじまり、「1.11 制御因子-
cotrol factor/controlable factor」まで基本的な11キーワードが取り上げられ解説されています。


第2章では、「SN比の基本用語
と題して、「2.1 2乗和の分解-decompositon of total variation」から、「2.9 機能窓-operationg window method」までの9キーワードが解説されています。


第3章では、「パラメータ設計の基本用語
と題して、「3.1 パラメータ設計-parameter design、robust design」から「3.7 確認実験-confirmation run」までの7キーワードが解説されています。


第4章では、「MTシステムの基本用語
と題して、「4.1 MTシステム-Mahalanobis-Taguchi system」から「4.9 項目診断-item diagnosis」までの9キーワードが解説されています。


第5章では、「オンライン品質工学の基本用語
と題して、「5.1 オンライン品質工学- on-line quality engineeering」から、「5.7 検査設計- inspection plannig」までの79キーワードが解説されています。


また付録として、「直交表の使い方と種類」として、3.2でもキーワードとして取り上げられている直交表について、ここでは、L18を例にした使い方の解説とその種類の簡単な解説が添付されています。



<<タグチメソッド(品質工学)の関係書籍>>


「ISOの本棚」のブログですでに紹介した以下のような『タグチメソッド品質工学』に関する本がありますのでご参照下さい。



<<本書で何が学べるか?>>


本書は、入門者がタグチメソッドを学ぶ際に、つまづきやすい43のキーワードを取り上げて、図やイラストを活用しながら分かり易く解説しているタグチメソッドの用語集です


本書は、厳密性を重視したよくある学術用語集などとは、異なり、はじめてタグチメソッドを学ぶ方もアレルギーとかにならないように十分な配慮のもとに初心者に優しく書かれています。


またこれまでにタグチメソッドを勉強をされてきた方が、改めて本書で基本用語を確認しながら活用していくためのハンドブック的な観点からも利用できると思います。


<<まとめ>>


本書は、これからタグチメソッド品質工学)を学びたい方から中級者の方まで、お薦めの利用価値の高いタグチメソッドの用語集です。


なお本書の主要目次は、以下の内容です。
第1章 タグチメソッドの基本用語
第2章 SN比の基本用語
第3章 パラメータ設計の基本用語
第4章 MTシステムの基本用語
第5章 オンライン品質工学の基本用語





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タグチメソッド品質工学)は、技術開発の段階や新製品開発の初期の段階で開発効率を向上させながら品質を作り込むことができる手法


というのは、本書の「はじめに」で筆者が読者にタグチメソッド(品質工学)について説明している箇所からの引用になります。


開発現場では、製品を開発するのに非常の多くの人手を要し、発売日の直前になっても品質問題の解決のために残業や休日出勤が相次いで、多くの試験を実施しているにも関わらずリコール問題が発生したり、開発費用がますます嵩むといった課題を抱えているような状況が蔓延しているという懸念があります。


これまでの技術開発、新製品開発のやり方を改革し、事前にトラブルの芽を摘む未然防止のロバストネスを組み込むといった手法がタグチメソッドの開発手法になります。


従来の製品開発では「作って直す」が基本でしたが、タグチメソッドの導入で品質問題を未然に防止し、時間とコストの両方の節約が見込めます


現状のタグチメソッドは、色々なサブシステムを持つ大きな体系としてまとまったものになっています。


本日は、タグチメソッドの手法の中からとくにロバスト設計許容差設計許容差の決定オンライン品質工学MTシステムに的を絞ってタグチメソッドの基礎をなるべく数式を使わず、やさしく解説している本を紹介します


文系出身者にも分かり易くとの配慮から、難しい数式は使わずに、豊富な事例を取り上げて分かり易く解説しながら理論の本質をつかむことができるようにタグチメソッドのポイントを説いています。


<<ポイント>>


タグチメソッド(品質工学)の基礎についての分かり易い解説書。


難しい数式は、避けて、豊富な事例解説を通じてタグチメソッドの開発手法等の本質・考え方が学べます


本書:「タグチメソッド入門」です。


本書は、著者:立林 和夫 氏にて、2009年3月に日本経済新聞出版社 から「日経文庫」の一冊として発行されています。


タグチメソッド入門 (日経文庫)
日本経済新聞出版社
発売日:2009-03
発送時期:在庫あり。
ランキング:4659

<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯ならびに表紙カバーの折り返し部には、以下のように書かれています。


難解な理論が直感でわかる

初心者のためのスタンダードテキスト

製品開発を効率化するための必須知識。

理論の本質を全体像を事例を通してやさしく解説。

[ポイント]

  • 品質管理の分野で高い関心を集めるタグチメソッド(品質工学)の基礎を、初心者にもわかるよう丁寧に解説しています。
  • 従来の製品開発では「作って直す」が基本でしたが、タグチメソッドの導入で品質問題を未然に防止し、時間とコストの両方が節約できるようになります。
  • 難しい数式はできるかぎり使わず、豊富な事例から、理論の本質がつかめます。
  • 巻末に「参考図書と学習のガイド」を収録。さらに深く学習したい読者に配慮しました。

ざっとした概要を紹介します。


本書は、6章から構成されています。


多数の図表が挿入され、タグチメソッドの基本的な考え方が直感的なイメージとしても理解できるように工夫された解説となっています。


1章では、「世界で脚光を浴びるタグチメソッド
と題して、最初に従来型の「作って直す」といった開発方式の問題点について論じています。


すなわち従来型の開発では、品質問題の発生をなかなか減らすことはできず、思いがけないリコール問題を発生したり、開発部門の試験工数等が増大して人・金・物の多大な投入が必要で、コストアップ要因にもなりひいては国際競争力が低下するといった多くの問題点があり限界にきていることを提起しています。


また品質問題について製品性能はノイズにより乱れること、品質問題のほとんどはばらつき問題に帰せられること、タグチメソッドによるノイズの取り扱いについて解説し、図面を作成する前にロバスト設計を実施し、予めノイズの影響を受けにくい設計値を把握し、図面に反映するという開発方式について解説しています。、


さらに、このタグチメソッドに基づく「二段階設計法」のもたらす開発効率の向上と開発期間の短縮といった効果等についても言及しています。


2章では、「タグチメソッドの基本的な考え方
と題して、品質問題の未然防止に関わるロバスト設計損失関数を中心にタグチメソッドの全体像も交えてタグチメソッドの手法の基本的な考え方はどのようなものかといった点について解説しています。


3章では、「ロバスト設計という未然防止法
と題して、紙ヘリコプターを設計する事例を取り上げて、「入力と出力、理想条件の検討」(システムの機能から入出力、理想機能を検討する)から「機能実験の実施」(SN比と感度の再現性を確認)に至るロバスト設計の手順を具体的に解説しています。


また動特性と静特性のシステムの違いを説明し、それぞれのロバスト設計の考え方について解説しています。


さらにロバスト設計の実施例として、「直流モーターの低騒音化」の事例、および「スキャナー・フレームのロバスト設計」の事例についてどのようにロバスト設計を進めたかを解説しています。


4章では、「許容差を設計する
と題して、部品のばらつきに対してロバストにする観点で実施されるどの程度まで部品特性のばらつきや変動を抑えるかを決める取り組みの許容差設計について解説しています。

最初に、実験計画法を利用した部品ばらつきの影響度を評価するための直交表L18を用いての方法を解説しています。


また総合コストの観点から市場での品質損失を見積もるための損失関数を利用した許容差の決定の方法について解説しています。


5章では、「品質損失を考えた工程管理
と題して、生産工程の管理の目的に適用するオンライン品質工学の手法について解説しています。


「全数検査か抜き取り検査か?」という議論に関わる臨界不良率の算出、またフィードバック制御へのオンライン品質工学の適用の考え方、さらに定期点検と保守といった予防保全のためのオンライン品質工学の適用などを取り上げ解説しています。


さらに「その他のオンライン品質工学」として、オンライン品質工学の関わる体系についてまとめ概説しています。


6章では、「パターン認識の新しい方法―MTシステム
と題して、先ず、「あわてものの誤り(第一種の誤り)」と「ぼんやりものの誤り(第二種の誤り)」について説明し、第二種の誤りを小さくするために必然的に第一種の誤りが増えてしまうといった問題を提示しています。


そして、あわてものの誤りを減らすことになる相関関係を考慮するマハラノビス距離の考え方がどのようなものかを解説しています。


またMT法について、古くからあったマハラノビス距離に田口氏が考えた単位空間の概念を結びつけたものとして、検知ミスや見逃しを改善する新たな異常判定法として解説しています。


MT法がどのようなものかを解説し、マハラノビス距離を算出する手順、距離の計算などの概要を解説しています。


またMT法の適用例について以下の2つの事例を取り上げ解説しています。


一つ目は、「部品製造工程での良品と不良品の判別に、MT法を適用した事例」でその考え方の概要を解説しています。


二つ目は、「自動車レースでの故障予知にMT法を適用した事例」を解説しています。


さらにMTシステムのパターン認識への適用、マハラノビス距離は、正常度を測る物差しとし、MTシステムの異常判定への適用などの考え方について解説しています。


最後に「その他のMTシステムの方法」について体系をまとめ、T法(1)による「サッカーJリーグの順位予想」への適用などを解説しています。


またさらなるタグチメソッド品質工学)の学習の手引きとして、巻末には、「参考図書と学習のガイド」が掲載されています。


<<タグチメソッド(品質工学)の関係書籍>>


「ISOの本棚」のブログですでに紹介した以下のような『タグチメソッド(品質工学)』に関する本がありますのでご参照下さい。



<<本書で何が学べるか?>>


本書では、タグチメソッド(品質工学)の中核となるロバスト設計許容差設計許容差の決定オンライン品質工学MTシステムを中心に入門者が理解しやすいように丁寧に解説しています


とくに数式は、ゼロということではありませんが、それは、計算自体は、ソフトウェアなどのツールを使っても良い部分で、本書では、とくにタグチメソッド(品質工学)の肝となる考え方を重点に解説しています。


<<まとめ>>


本書は、製品開発に関わる人だけでなく、タグチメソッド(品質工学)に興味があるビジネスパースンが最初に読む格好の入門書と思います。


なお本書の主要目次は、以下の内容です。
1 章:世界で脚光を浴びるタグチメソッド
2 章:タグチメソッドの基本的な考え方
3 章:ロバスト設計という未然防止法
4 章: 許容差を設計する
5 章:品質損失を考えた工程管理
6 章:パターン認識の新しい方法―MTシステム






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品質工学(QE:Quality Engineering)とは、システムの機能のばらつきを効率的に評価し、システムの技術を最適化するといった田口玄一博士らによって提唱され体系化された技法


タグチメソッドとも呼ばれています。


品質工学とは、どのようなものかについては、例えば、こちらの品質工学会のホームページなどでも「Learn about QE:品質工学とは?」と題して、品質工学の概要を紹介しています。


本日、紹介するのは、品質工学について親しみやすく説いている啓蒙書です。


本書の「まえがき」で筆者は、品質工学は、難解であるとか、田口玄一博士の話は、難しいといわれる点に関して以下のように述べています。


「確かにSN比の計算やMTシステムの数理は高等な数学や統計学の世界なので難解だ。

しかし、それに惑わされてはならない。

品質工学は、かなりシンプルな理論であるし、その目的や成り立ちを考えるとさらに分かり易い。

(略)

品質工学は、技術者として当然やるべきこと(常識的なこと)を、正確に、合理的に達成するための手法、理論なのである。

(略)

これまでの自分の経験(特に成功体験)や、考え方をベースに理解しようとするから難解なのである。

素直な気持ちで話を聞き、頭の中をまっさらにして論文を読めば、案外簡単に理解できると思う。」


品質工学の重要ポイントについて、品質工学会、関西品質工学会の活動などで議論された多くの事例を交えて『品質工学ってなんやねん?』と親しみやすく解説しています


<<ポイント>>


品質工学へのとっつきにくさを取り払ってくれる品質工学の啓蒙書。


従来の品質工学の入門書とは、ひと味変わったアプローチよる品質工学の方法論の解説書です。


難しい数理や計算式に惑わされず、品質工学をシンプルに理解するきっかけになるような事例を中心に品質工学とはどのようなものかを説いています。


よし、自分の仕事で品質工学を使って見たいという気にさせてくれます。


品質工学的観点から、“本物の技術者”論を読者に投げかけ、本物の技術者になるための心構えなども説いています。


本書:「品質工学ってなんやねん?」です。


エピソードから学ぶ品質工学」との副題が付いています。


本書は、関西品質工学研究会の編集(執筆:原 和彦 氏、ならびに芝野 広志 氏)にて、2009年3月に日本規格協会から発行されています。


ハンディな新書版サイズで通勤途上などでも手軽に持ち運べ読むことができます。


品質工学ってなんやねん?―エピソードから学ぶ品質工学
日本規格協会
関西品質工学研究会(編集)
発売日:2009-03
発送時期:通常2~5週間以内に発送
ランキング:5825

<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には、以下のように書かれています。


顧客が満足する製品の技術開発を促進する最大の武器

品質工学の重要ポイントを親しみやすく記述

品質工学によって、技術者の仕事に多くの自由

  • -----自由な発想
  • -----自由な設計
  • -----自由な時間

を獲得できる


本書は、大きく、2編(第1編:「Episode 1-32」及び第2編:「これからの技術者と品質工学に期待すること」から構成されています。


また巻末の「おわりに」の後に、「関西品質工学研究会の歩み」として、本書が関西品質工学研究会の15周年記念出版とのことで、これまでの経緯が紹介されています。


全体的に数式は、最小限にして、イラストをはじめ事例等の適切な理解のための多数の図表が挿入され、必ずしも技術者でなくても分かり易い解説となっています。


第1編の「Episode 1-32」では、32の以下のようなエピソードを通じて品質工学の何たるかが解説されています。


1. 田口先生との出会い」に始まり、「2. 科学(者)と技術(者)」、「3. 品質と機能」、「4. 製品開発と技術開発」、「5. 品質工学と実験計画法」…(略)…「28. 品質工学と曼荼羅」、「29. 品質工学を定義すること」、「30. 品質工学で企業は儲かるのか?―経営者と品質工学―」、「31. 技術者は責任を取らない」、「32. 品質工学をいかに教えるか」といったタイトルが取り上げられています。


ここでは、著者の品質工学との出会いから始まり、著者が品質工学を理解するうえで大いに役立った考え方や研究結果などの事例を振り返りながら紹介するといった展開になっています。


それぞれのエピソードは、3~6ページ程度でまとまった内容になっています。


第2編の「これからの技術者と品質工学に期待すること」では、改めて第2編の冒頭に「はじめに」があるという展開になっています。


第2編では、社会的不祥事の頻発、企業における技術者のあり方、大学の技術者教育などに共通するマネジメント戦略といった様々な社会現象を題材にし、技術者、経営者、大学の教育者等への品質工学からの期待を述べるといった展開になっています。


ここでは、「品質工学への道」、「品質工学の普及を妨げているものは何か」、「リコールゼロに挑戦する品質工学」、「品質工学(タグチメソッド)が戦略といわれる理由」、「市場クレームの94%は設計責任である」…(略)…「消費者の欲しいのは“モノの品質”ではなく,“モノの働き”」、「“信頼性(ロバスト設計)”と“安全設計”は両立する」、…(略)…「学校教育への期待」、「経営者やマネージャーの品質工学」といったテーマを品質工学的観点から取り上げ解説しています。


この中で「“ほんまもんの技術者”とは何か」(-技術者はサラリーマンではない−)
として、以下の8項目からなる『”ほんまもん”の技術者の心構え』について考察しています。


  1. 技術者は科学者ではない
  2. “あるべき姿”を考える技術者であれ
  3. システム設計や“評価技術”に強い技術者であれ
  4. “ノイズに強い”技術者であれ
  5. “やり直しをせず”に成果を出す技術者であれ
  6. “試作レス・試験レス”の技術者であれ
  7. “コストに強い”技術者であれ
  8. “胆識”を持った技術者であれ

確かにとうなづき、強く共感を覚える品質工学的に合理的と感じる技術者像が論じされています。


本書を読み通すことでタグチイズムや品質工学への親しみは確実に増すことができると思います。


<<品質工学の関係書籍>>


「ISOの本棚」のブログですでに紹介した以下のような『品質工学』に関する本がありますのでご参照下さい。



<<本書で何が学べるか?>>


本書では、著者の品質工学との出会いから始まり、著者が品質工学を理解するうえで大いに役立った考え方や研究結果を、32のエピソードにまとめて説いています。


さらに品質工学の本質あるいは技術者のあるべき姿について、様々な社会現象を題材にして取り上げ解説しています


親しみ深く読み進めるなかで品質工学の基本的な考え方や手法の概要が学べるといった趣になっています


<<まとめ>>


本書は、技術者の皆さんには、是非とも読んで頂きたい一冊です。


なお本書の主要目次は、以下の内容です。
第1編 Episode 1-32
1. 田口先生との出会い
2. 科学(者)と技術(者)
3. 品質と機能
(略)
30. 品質工学で企業は儲かるのか?―経営者と品質工学―
31. 技術者は責任を取らない
32. 品質工学をいかに教えるか
第2編 これからの技術者と品質工学に期待すること
はじめに 今,なぜ品質工学か
品質工学への道
品質工学の普及を妨げているものは何か
(略)
学校教育への期待
経営者やマネージャーの品質工学






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「製造工程をきちんと管理し、万全の検査を行って出荷した。にもかかわらず、市場では不具合が発生する。リコールをしなければならない。

なぜなのか、現場は苦悩する。対策はないのか、企業は、追い詰められる。
日本中の企業が、新たに出現したそんな品質問題に悩んでいる。そういっても過言ではないだろう。」


というのが、本書の『「品質王国日本が」新たにやらなければならないこと』と題した「まえがき」での筆者の言葉。


このような品質問題のことを本書では、「見えない不良」と表現し、「見えない不良」に対処するためには、設計・開発の現場に立ち入り未然防止のための品質工学の考え方が有効と述べ、問題を未然に防止する設計のための品質工学(タグチメソッド)の考え方を説いています


技術にも品質がある」(「ISOの本棚ブログ」でも紹介)の筆者:長谷部 光雄 氏が学問としてではなく実践に役立つ品質工学をコンセプトに、分かりやすい品質工学の一端について説いている本を紹介します。


<<ポイント>>

見えない不良」に対処するための品質工学の考え方のやさしい解説書。


直交表を活用した複雑なテスト条件の確認:「いじめれば分かる」方法や直交表を活用して色々のアイデアを少ない実験量で評価できる「試せば分かる」方法など分かり易い言葉で品質工学ロバスト設計などの考え方を実務的に解説しています。


設計・開発段階で問題を未然防止する品質工学の考え方について、著者の実体験を豊富に盛り込み、専門家でない人にもわかりやすく解説しています


本書:「「品質力」の磨き方」です。


信頼される製品と、不信を生む製品との違いは何か?」との副題が付いています。


本書は、 著者:長谷部 光雄 氏にて、2008年10月にPHP研究所 より、「PHPビジネス新書」の一冊として発行されています。


「品質力」の磨き方 (PHPビジネス新書 73)
PHP研究所
発売日:2008-10-18
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:1156

<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯および表紙カバーの裏面には、以下のように書かれてあります。


多くの企業を悩ます「見えない不良」とは何か?

技術力世界一のはずの日本で、なぜトラブルがなくならないのか?

「品質のプロ」からの貴重な提言!

世界一の品質レベルを誇るはずの日本で、なぜか製品トラブルやリコールが相次いでいる。だが、悲観する必要はない。今問題になっているのは従来とは違う「見えない不良」であり、これを解決することができれば、日本の製品はより高い信頼を勝ち得ることができるからだ。
本書はそのために必要な「品質工学」の考え方を、著者の実体験を豊富に盛り込み、専門家でない人にもわかりやすく解説していく。


本書は、「「品質王国日本」が新たにやらなければならないこと」と題した「まえがき」に続く、6つの章から構成されています。


ざっと概観します。


1章では、「品質疑惑がなぜ次々に起こるのか―見えない不良とは何か
として、品質問題には、『1.すでに発生している問題』、『2.発見されていないが発生している問題』、『3.将来発生が予測される問題』に分類されるとし、本書では、3.の製造段階では見つけられない性質の「見えない不良」を取り扱うとした上で、この「見えない不良」について設計・「開発者が責任を持つべきと説いています。


2章では、「信頼性にも「新旧交代」が当てはまる―従来型モノづくりの限界
として、製品の設計段階で決定される基本的性質(=製品のDNA)に原因する「見えない不良」が見過ごされてきた背景について、歴史的な背景を振り返りながら、ゼロ戦、JIS、QCサークル、未然防止の参考となるカラシニコフの銃の信頼性、ロバストネス(頑健性)などの話題に触れ、信頼性にも「新旧交代」が当てはまると説いています。


3章では、「「まさか!」をなくす技術はあるか―「いじめれば分かる」方法論
として、筆者の経験を振り返りながら戦後の工業製品の品質向上の取り組みについて概観し、現在の製品開発のやり方は、頭脳を使う技術者ではなく、身体を使う作業者を育てていると指摘し、製品開発の効率化に関する工夫のポイントは、以下の2点(『1.頑健性という基本性質をどうやって合理的に判断するか』、『2.多くの独創的アイデアの中から、どうやって実用的な技術を選び出すか』)とし、この章では、1.のための直交表を活用したミニュレーションも交えての複雑なテスト条件の確認=「いじめれば分かる」方法論について解説しています。


4章では、「高品質と低コストの新しい基準―「試せばわかる」方法論
として、3章の『2.多くの独創的アイデアの中から、どうやって実用的な技術を選び出すか』についての方法論について解説しています。ここでは、最初に生産方式と開発方式の変遷について、ベルトコンベアの進化、ソフトウェア開発工程、セル生産、ルーチンなどに触れて開発方式も進化すべしとし、直交表を用いての「いじめれば分かる」方法論を再び総括し、さらに本章のテーマの「試せばわかる」方法論について解説しています。


5章では、「「常識的な自分」から段階的に抜け出す―何が効率化を阻害しているのか
として、品質を磨くには、大量のデータが必要との常識を変えないと新しい視点は出てこないと述べ、少ないデータでも本質はつかめると説いています。「見えない不良」を予測し対処するためには、現状を分析する科学的方法には、限界があり、『いじめれば分かる』方法で積極的に必要なデータを作り出すやり方が有効と説いています。


6章では、「日本で売れ世界で成功する製品の条件―「本当のニーズ」に応えるために
として、技術と社会との関わりについて、アポロ計画、マスキー法などの話題から、感情の見える化といった話題まで幅広く取り上げ筆者の技術論を説いています。


<<本書で何が学べるか?>>


品質工学(タグチメソッド)による製品のロバストネス(頑健性)の評価や開発の効率化などへの活用についての考え方を中心に筆者の経験を交えて技術論、品質論を説いています。


「リコールは悪くない」、「データは多ければいいというわけはない」と一見逆説的な口調も交えて、常識の不合理的なものから抜け出し「見えない不良」を未然防止する「いじめれば分かる」方法論といった品質工学に基づく考え方を専門家でない人にも分かり易く筆者の経験や多くの事例を取り上げて実務的に説いています。


<<まとめ>>


本書は、品質工学の考え方をわかりやすく解説しています。技術者だけでなく、技術系以外の人にも興味深く読んで頂ける『品質力の磨き方』の本です。


なお本書の概要目次は、以下です。
まえがき「品質王国日本」が新たにやらなければならないこと
1章 品質疑惑がなぜ次々に起こるのか―見えない不良とは何か
2章 信頼性にも「新旧交代」が当てはまる―従来型モノづくりの限界
3章 「まさか!」をなくす技術はあるか―「いじめれば分かる」方法論
4章 高品質と低コストの新しい基準―「試せばわかる」方法論
5章 「常識的な自分」から段階的に抜け出す―何が効率化を阻害しているのか
6章 日本で売れ世界で成功する製品の条件―「本当のニーズ」に応えるために






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品質工学(タグチメソッド)は、広範な技術体系となっていますが、その中味は、概略のところ、以下の3つに分けられます。


  1. 直交表を使ったパラメータ設計(オフライン品質工学)

  2. 損失関数を用いるオンライン品質工学

  3. MT(マハラノビス・タグチ)システム


なお上記の1のオフラインという言葉は、ラインにのる前の設計段階を指しています。


パラメータ設計では、システムの設計値を決める際に、個々のパラメータ(条件)について、安定性(SN比)が高く、ロバストネス(頑健性:すなわちシステムがノイズの影響を受けにくいこと)な実験条件を得たい際に用いられる方法になります。


例えば、L18直交表を用いることで、4,374通りの組合せについて、18通りの実験で最適条件を効率的に得ることができるというように、パラメータ設計では、直交表を用いて数少ない組合せ実験で、バラツキが少ない最適条件を効率よく把握することができる方法ということになります。


本日は、こういったパラメータ設計、品質工学、タグチメソッド等について全く知らない読者を対象に、パラメータ設計を業務に適用するのに必要な「考え方」、「必要な知識」、「手順」を分かり易く教科書的なスタイルで解説している入門書を紹介します。


技術開発、製品開発、設計、生産技術、製造技術、製造、検査、品質管理、品質保証などの部署の技術者などがターゲットとのことです。


パラメータ設計の使いこなし力を習得できるように、実際にExcelのワークシートで提供された演習問題を読者自身がExcelを使って解きながら読み進めることで実務への応用力が身につくように工夫されています


本書:「入門パラメータ設計」です。


Excel演習で考え方と手順を体得できる」との副題が付いています。


本書は、井上 清和 氏、中野 惠司 氏、林 裕人 氏、芝野 広志 氏、大場 章司の共著にて、2008年2月に日科技連出版社 より発行されています。筆者の皆さんは、いずれも企業での設計開発等の豊富な経験を備えていて、現在、コンサルタントとして活躍中の方々です。


本書の表紙の折り返し部に以下のように書かれてあります。


  • 本書で解説するパラメータ設計は、メーカーの利益確保の手段として、タグチメソッドの各手法の中でも、必須になりつつあります。
  • 本書のバリエションに富んだ演習問題を解くことで、パラメータ設計を活用するための基本的な考え方や具体的な手順が身に付きます。
  • 演習問題の解答は、Excelのワークシートとして日科技連出版社のホームページに用意されています。このワークシートは、パラメータ設計で必要になる数値計算をすぐにできるなど、普段の業務にも活用できます。


本書は、8つの章から構成されています。全体的に多数の図表が用いられ、分かり易い解説となっています。

各章の要所に演習問題が掲載され、これを解くことで理解力が高まるように配慮されています。

また付録が添付され、パラメータ設計に関わる解説を補完しています。代表的な直交表も掲載されています。

筆者も、「本書のねらいと使い方」で本書は、教科書的構成となっているので、第1章から読み進めて欲しいと強調しています。


第1章では、「パラメータ設計とは
として、品質工学についての全体像について、歴史的な背景から品質工学とタグチメソッドの違い、タグチメソッドにおけるパラメータ設計の位置づけ、技術的アプローチと科学的アプローチの違い、実験計画法とタグチメソッドの違いなどを解説しています。


第2章では、「パラメータ設計の考え方
として、機能を考える理由から機能の定義方法、あるべき姿に近づける仕事の方向性、ロバスト設計、パラメータ設計の概要、技術の評価方法などパラメータ設計の考え方の基本の考え方について解説しています。


第3章では、「パラメータ設計に必要な知識
として、直交表とはからはじまり、直交表を用いた実験の仕方、パラメータ設計のための直交表の使い方、直交表の種類、どの直交表を用いるか、調合誤差因子、ゼロ点比例式のSN比と感度の求め方、式に登場する記号の意味などのパラメータ設計に使われる各ツールに関する知識をExcelの活用方法など交えて解説しています。


第4章では、「動特性のパラメータ設計の手順
として、動特性のパラメータ設計を進める手順の詳細と方法について解説しています。「システムの選択」に始まり「利得の再現性の確認」に至る全体の手順をフローにて解説し、とくに実験でのデータ測定とSN比と感度の計算が完了した以降の「補助表の作成」、「要因効果図の作成」など「利得の再現性の確認」に至る手順の詳細について、Excelの活用方法など交えて解説しています。


第5章では、「動特性のパラメータ設計[演習問題]」
として、動特性のパラメータ設計について、感度Sが無視できる場合、感度Sを目標値に合わせる場合、感度Sを小さくする場合の3つの具体的事例について解説しています。


第6章では、「静特性のパラメータ設計
として、技術開発を目的とした動特性のパラメータ設計の次のステップとなる商品開発を目的とした静特性のパラメータ設計の方法について解説しています。静特性の評価特性について、一般の望目特性、ゼロ目標の望目特性、望小特性、望大特性の各評価特性の内容と例について解説し、そして静特性のパラメータ設計の考え方から詳細な手順について解説しています。とくに一般の望目特性、望小特性、ゼロ目標の望目特性の各事例を取り上げ、それぞれのパラメータ設計の方法について詳しく解説しています。


第7章では、「開発におけるパラメータ設計
として、技術開発段階、商品企画・開発段階でシステム開発を進める際の有効なパラメータ設計の活用の方法について解説しています。2段階設計法の有効活用の考え方、標準SN比で評価する必要性、ロバスト設計、チューニング設計の進め方など開発におけるパラメータ設計について演習も交えて解説しています。


第8章では、「機能性評価
として、機能の安定性評価の関わる機能性評価について、考え方およびその手順について、事例も交えて解説しています。


品質は、人質と言われ、昨今の品質トラブルの背景に技術者の力量が低下していることなどが言われ、その意味でもタグチメソッドなど含めた工学的ツールの十分な使いこなしが強く求められています。


本書は、タグチメソッドの中のパラメータ設計について基本的な考え方から知識、手順について、実務的に書かれてあり、Excelを用いての演習問題など含めて、実務に応用できる基本を習得できる優れた入門書と思います


入門パラメータ設計―Excel演習でタグチメソッドの考え方と手順を体得できる
日科技連出版社
井上 清和(著)
発売日:2008-02
発送時期:通常4~5日以内に発送
ランキング:131589


なお本書の概要目次は、以下の内容です。
第1章 パラメータ設計とは
第2章 パラメータ設計の考え方
第3章 パラメータ設計に必要な知識
第4章 動特性のパラメータ設計の手順
第5章 動特性のパラメータ設計[演習問題]
第6章 静特性のパラメータ設計
第7章 開発におけるパラメータ設計
第8章 機能性評価
付録





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