エジプトでは、民衆による100万人規模に及ぶ大規模な民主化要求の抗議行動により約30年に及ぶムバラク前大統領の独裁政権がついに崩壊し軍に権限委譲がされました。
ムバラク氏ら一族は、同国東部の紅海に面する保養地に脱出したとみられている。
ムバラク独裁政権下では、汚職が横行し、言論の自由も選挙の自由もなく、ムバラク氏が大統領に就任した1981年の非常事態法がそのまま弾圧に用いられてきた状態。
経済成長に伴う貧富の格差は拡大し、物価も高騰するばかりとの厳しい情勢。
隣国チュニジアで1月起きた「ジャスミン革命」をきっかけにしてたまりに溜まったエジプト民衆の不満が爆発したもの。
8,000万人の国民の4割近くの民衆は、日収が2ドル以下の貧困層で国民の約2/3を占める30才以下の若者の失業率が20%を越える状況と言われている。
これから伸びる若い国。
ヨルダン、イエメン、クウェート、サウジアラビアなどアラブの親米国の政府は、いずれも独裁的な王政か終身的な大統領の長期政権でいずれも飛び火を懸念しています。
このような流れの飛び火を恐れたバーレーンでは、民衆の不満が溜まらないようにこの11日に国王が1世帯あたり約22万円の現金を支給することを決めたとのこと。
イスラエルは、イラン革命のような流れとなりイスラム原理主義の「ムスリム同胞団」による反米政権が誕生するリスクよりはムバラク政権が続く方がましとしてムバラク政権を維持すべく動いていたとされる。
1月25日に始まった反政府運動は、18日間均衡を保っていたが、これまでムバラク政権を支えてきた軍が一転してアメリカ政府の意向を汲んで反政府の民衆に同調したため関ヶ原の戦いでの小早川秀秋の寝返りのように決定的な流れとなって独裁政権が崩壊することとなった。
「ムスリム同胞団」は、ムバラク政権下では、保身からか穏健野党となっていたが、民主的選挙が実施されるとなると圧倒的多数を占めると予想されるのでいざ政権に関わりを持った途端にどのように変貌していくかは分からない。
CIA、モサド、MI6らが入り乱れで諜報合戦を繰り広げていたことと想像される。
案外イスラエルが掴んでいた情報が正解だったということになるのだろうか。
今回の政変を先導したのは、フェイスブックやツイッターなど新しいメディアを通じたインテリ中間層のネットワークと言われる。
エジプトの反政府デモの最中に行方不明になり、秘密警察に11日間拘束されていたと話題となったGoogleの中東・北アフリカの地域幹部のワエル・ゴニム氏が絡んでいたことなど考えると今回の一連の民主化の流れは、中東・北アフリカ地域の安定化に向けてアメリカが仕掛けた流れなのかも知れない。
ワエル・ゴニム氏がどのような役割を担っていたのかは良く分からないが。
エジプトが民主化されたときに親米政権が誕生するのか反米に転じて行くのかは分からない。
エジプトの今後を含めこれからの中東・北アフリカ地域がどのように動いていくかが注目される。
国内に目を向けるとどうしても非観的になってしまう。
外交でも内政でも国益を損ねる稚拙で場当たり的な対応を重ねている管内閣の消費税増税への動きもひどいものである。
消費税増税に関して、麻生政権の末期に成立した09年度税制改正法附則104条で、「消費税を含む税制の抜本的な改革をおこなうため、2011年度までに必要な法制上の措置を講じる」としていたことをそのまま継承するとのこと。
与謝野氏の入閣から予想されたことだが、菅内閣は、自民党政権だったかと錯覚するほど。
なり振りかまわず公明党にすり寄ったかと思えば、駄目だとわかると社民党へアプローチなどと無節操なこと。
政府の主体性は全く見えず、財務省のやりたい放題になっています。
消費税を社会保障目的の特別会計とする方向が打ち出され、社会保障の財源は消費税だけとするかのような論法が横行しています。
これは1種の脅しの論理でそれなら仕方がないかという空気が生まれていくと問題です。
消費税の使い道についての論議の前に消費税の徴収に関わる問題点の論議が置き去りにされているように思います。
社会保障目的とは口先だけで無策のままの消費税増税が招く結果として有名無実化している下請法を尻目に大企業が力関係で増税分を利益として取込む一方で中小企業が軒並み潰れてしまうような弱肉強食の流れを引き起こし確実に失業率が増え自殺者が急増するような悲惨な格差社会を生み出してしまうことが懸念されます。
消費税増税論議の前に、政府と官僚のリストラ大改革が大前提。
また懸念される問題点には、十分な手が尽くされるべきで決して拙速にことを進める問題ではないと思われます。
さて本日は、製造業の開発技術者向けに実験やテストをどう設計していくかといった品質工学の基本的な考え方を分かり易く説いている入門書を紹介します。
開発現場で時間とお金がかかる信頼性の問題をどのように検討するか、なぜ品質工学ではそのように考えるのかといった切り口と視点から品質工学の基本思想について解説しています。
実践的に現場ですぐに使えるように品質工学に基づく品質評価法、データ解析法のエッセンスを分かり易く解説しています。
<<ポイント>>
SN比とパラメータ設計を重点として品質工学の中心的考え方となる二段階設計を中心に解説している品質工学の入門書。
本書では、
信頼性の要となる評価テストの考察からはじまります。
- 機能についての考え方
- 品質機能展開(QFD)の考え方
- データ解析の基礎
- SN比と機能性評価
- パラメータ設計と二段階設計の手順
- 戦略ツールとしての品質工学の位置づけと損失関数
- 品質管理の限界を超える(QCからTQMへの流れと今後の技術開発の動向)
といった各要素について重点となる考え方をクローズアップしながら品質工学の基本を説いています。
本書:「開発現場で役立つ品質工学の考え方」です。
「機能展開・データ解析・パラメータ設計のポイント」との副題が付いています。
本書は、著者:長谷部 光雄氏にて2010年11月に日本規格協会より発行されています。
<<本書のエッセンスの一部>>
本書の帯には以下のように書かれています。
コレならわかる!実践できる!!
本書で、あなたのQE(品質工学)をステップアップ。
本書は、日本規格協会の月刊誌「標準化と品質管理」に連載された『初心者のための品質工学』が書籍化されたものになります。
「ルール栄え、モラール廃れる」と題した序章で、ものづくり現場での信頼性と寿命に関する問題提起と本書の全体構成の概観から始まりますが、下記の目次のように8つの章から構成されています。
品質工学のコンサルタントとして国内40か所以上での講演やセミナーまた数社での技術指導を続け、下記の品質工学の啓蒙書でも知られる筆者らしく読者が品質工学のどのような点で躓きやすいかといったツボを十分に心得て、シンプルで明快な言葉で要約しての解説が進められていきます。
数学的な解説部分でも図を多用した解説となっており、挿入された多数のグラフなどの図表も分かり易くシンプル化されており入門者に親切な解説となっています。
特に重要な考え方の箇所について下記の例のようなスタイルで枠囲みで強調しての分かり易い構成となっています。
『少ないデータで正しい判断を導く戦略』
- いじめれば、わかる(機能性評価)
- 試せば、わかる(パラメータ設計)
本書のざっとした構成を紹介します。
本書は、信頼性試験における評価テストについての考察を取り上げ品質工学とはどのようなものかといった解説からスタートしています。
「品質工学」について以下のようにまとめています。
『少ない情報で正しい判断を導く工夫。
品質工学とは、ものづくり技術の文法であり、
技術者の基本的リテラシーだ。』
そして機能性評価と機能展開について各1章を割いて「品質とは何か」との問いかけから「機能を考えることは本質に迫ること」とし機能性評価の考え方を説き、機能展開をどのように進めるかの実施上のポイントを解説しています。
次いで技術情報を引き出す方法に関する実践的データ解析の基礎として統計数学の基本を解説した上でノイズ因子の重要性に焦点を当てデータマイニングの方法論と実践的データ解析とを比較しながら「事前に情報を仕込むこと」「直交表を使った因子の組合せ」などを解説しています。
また(ノイズ因子を活用しながら機能を測定する)機能性評価の手順、ノイズの意味とSN比の考え方を解説した上で
- 静特性のSN比を使った機能性評価
- 動特性のSN比を使った機能性評価
- 極端ノイズを使った動的SN比
の解説をしています。
そして直交表を活用したパラメータ設計の手順の解説に入ります。
選択肢が限られている場合の最適化設計の解説に次いで選択肢が多い場合の最適化設計のための9つのステップについて詳解しています。
さらに終わりの2章で品質工学について技術体質の改革のための戦略ツールとしての観点からの解説と損失関数の
考え方、今後の技術開発の展望など説いています。
<<本書で何が学べるか>>
本書では、開発現場で品質確立と効率化の切り口から品質工学を活用するとの観点から、その場合、信頼性をどのように検討するのかなぜそのように考えるのかといった点に焦点を当てて品質工学の二段階設計を中心に解説しています。
SN比、機能展開、データ解析、パラメータ設計などの原理・原則をなす考え方を重点化し解説しています。
開発現場に精通した筆者らしくかゆいところに手が届く丁寧な解説となっています。
<<まとめ>>
本書は、品質工学の基本的な考え方を学びたい技術者、マネジャーにはお奨めの一冊です。
なお本書の目次は以下の内容です。
序章 ルール栄え, モラール廃れる
ものづくり現場の実情
品質工学のねらいは経営課題の解決
本書の全体構成
第1章 技術者よ, 自由になれ!―デバッグ体質からの脱却―
評価テストは信頼性の要
評価テストのコストが肥大化している
時間と数量の壁
時間短縮は可能か
評価テストの意味
シミュレーションの目的
少ないデータで正しい判断をする
自由になれ, そして, 大志を抱け
第2章 機能のやさしい考え方
品質とは何か
品質の検出力を高めることがねらい
機能の重要性は, 様々なツールでも共通
対象を一般化して考える
具体的な例
機能を考えることは本質に迫ること
機能を考えるコツ(1)
機能を考えるコツ(2)
機能を考えるコツ(3)
機能はアイデアを生み出す
機能分離で複雑化に適応
第3章 機能展開の考え方
品質機能展開(QFD)とサブ機能
機能展開のメリット
サブ機能に展開する際の注意点
機能展開の失敗例
機能展開のコツ
よい機能展開は優れたアイデアにつながる
機能展開のまとめ
機能展開の注意点
第4章 実践的データ解析の基礎(技術情報を引き出す方法)
ばらつきは宝の山
データから情報を取り出す方法
変動と自由度の関係
ばらつきの変動を分解する方法
分解された変動の意味
繰返しデータの分解
三元配置のデータ解析と直交表
データマイニングとの違い
第5章 検出力を高める方法(機能性評価,SN比)
理想的なデータの条件
少数精鋭データのコツ(1)
少数精鋭データのコツ(2)
いじめればわかる機能性評価
ノイズの意味とSN比
静特性のSN比を使った機能性評価
動特性のSN比を使った機能性評価
極端ノイズを使った動的SN比
第6章 改善策を効率的に見つける方法(最適化設計)
選択肢が限られている場合の最適化設計
選択肢が多い場合の最適化設計(パラメータ設計)
第1ステップ:課題の確認
第2ステップ:機能の定義
第3ステップ:その1 ノイズ因子の決定
:その2 ノイズ因子のコツ
第4ステップ:その1 制御因子の決定
:その2 制御因子のコツ
第5ステップ:その1 実験計画(制御因子の割付け)
:その2 実験計画(ノイズ因子の割付け)
第6ステップ:実験と計測
第7ステップ:その1 データの解析, 要因効果図のつくり方
:その2 要因効果図の見方 二段階設計
第8ステップ:再現性の確認
第9ステップ:考察、 まとめ
パラメータ設計の本当のねらい
第7章 戦略ツールとしての品質工学
マネジャーのためのツール
開発期間の短縮
市場不具合はソフトウェア関連がトップ
直交表の性質を活用する
バグ検出の効率化
絶対安全は存在しない
第8章 品質管理の限界を超える
QCからTQMへの流れ
QCの限界とTQMのねらい
基本はパラダイムシフト
新パラダイムとは技術的考え方のこと
現実的な判断には, 損失関数が必要