品質管理についての基本的で重要なキーワードを図表を用いて分かり易く解説している定番書の「品質管理の基本」(「ISOの本棚」で第3版については紹介)が改訂され、第4版が発行されていますので紹介します。
初版の制定が1995年ということで15年間にわたりよく売れてきた人気の高いロングセラー書になります。
基本の「基」という漢字は、穀物を保管する倉庫の壁の土台、特別に倉庫に限らず建造物の土台を示す漢字に由来するようです。
基本と応用といいますが、何ごとも基本の土台がしっかりしないとその上の建造物は不安定なものなってしまいます。
本書は、品質管理に関わる『品質とは何か』といった考え方から、ISO、QC七つ道具、各種統計的手法などオールラウンド的に77の品質管理に関わるキーワードをビジュアルに図解を交えて解説しています。
今回の第4版の改訂では、品質管理検定(QC検定)試験の参考書(3級相当に対応)としての活用の観点から、統計や検査に関する項目が追加されたり修正されたりしています。
また本文とは別に5つの章の終わりに設けられている『Coffee Break』が全面的に変更され、検定試験の4級レベルで要求される用語の一部を解説しているほか、検定試験それ自体についての情報も記載されています。
<<ポイント>>
品質管理に関わる77の重要で基本的なキーワードの図解を交えた定番の解説書の第4版改訂版。
本書では、「品質管理」の意味するところなどの「品質管理の基本」から、「品質保証」の考え方、
「QCストーリー」などを含む問題解決の進め方
「QC七つ道具と新QC七つ道具」を対象とした品質管理の手法、
さらに「統計的品質管理」から「官能評価と官能検査」を含む統計的方法、
といった広い範囲での77の重要キーワードについて図解を交えて、分かり易く解説しています。
本書:「ビジュアル 品質管理の基本[第4版]」です。
本書は、著者:内田 治先生にて、2010年7月に日本経済新聞出版社から「日経文庫」の一冊として発行されています。
<<本書のエッセンスの一部>>
本書の帯、並びに表紙カバーの折り返し部には、以下のように書かれています。
QC検定対策にも役立つ
見やすい!使いやすい!
キーワード解説
QCの基本用語からISO、QC七つ道具、統計的手法まで実務に活かせる知識を網羅。
Point
- 製造業、サービス業など業種を問わず、品質管理はビジネスに不可欠な知識です。
- 品質とは何かといった基礎知識から、QC七つ道具など品質管理特有の手法、主要な統計的方法まで一冊で網羅しています。
- 品質管理検定(QC検定)対策にも役立ちます。
- 文科系の管理職、新入社員など、品質管理をはじめて学ぼうとする方に最適な内容です。
本書は、77のキーワードを5つの章に分けて解説しています。
キーワードの解説は、見開きの2頁を用いて、左側のページに解説文、そして右側のページには、図解解説が掲載されるという構成になっています。
右側のページの図解部分は、そのキーワードの概念図、グラフ、フローチャートなどの図表を用いてビジュアルにそのキーワードを活用事例なども含めて分かり易く可視化し、解説した図解が配される構成になっています。
また左側の解説文については、キーワードの番号およびタイトルが左側ページの上部に示され、簡単にキーワードがどのような目的で使われるかといった副題と共に、ハッチングの枠囲みでそのキーワードがどのようなものかという4行程度の要約文があり、その下に解説文がつづくという構成になっています。
また5章の各章の終わりには、『Coffee Break』が掲載されています。
この『Coffee Break』では、「5S・ほうれんそう」、…、「QCDPSMEの管理」、…、「品質管理検定-3級と4級」といったトピックスが取り上げられ、コメントされています。
「品質管理の基本」をテーマとした章では、品質管理の全体像を概観できるような「1.品質管理」から「13.QC診断」までの13のキーワードが解説されています。(ここでは、例えば、「5.PDCAのサイクル」、「9.方針管理」、「10.日常管理」なども取り上げられています。)
「品質保証の考え方」の章では、「14.品質保証」から「27.シックスシグマ活動」までの14のキーワードが解説されています。(他にも「23.顧客満足度」、「25.ISO9001」、「27.品質工学」といった事項が取り上げられています。)
「問題解決の進め方」とした章では、「28.問題解決」から「40.課題達成型QCストーリー」までの13のキーワードが解説されています。(他にも、「32.QCストーリー」、「35.目標の設定」、「39.標準化」といった用語が取り上げられています。)
「品質管理の手法」については、「41.QC七つ道具と新QC七つ道具」から「55.マトリックスデータ解析法」までの15のキーワードが解説されています。(ここでは、「パレート図」、「チェックシート」、「ヒストグラム」、「散布図」、「管理図」、「グラフ」、「特性要因図」、「連関図」、「系統図」、「マトリックス図」、「PDPC」、「アロー・ダイアグラム」、「親和図」、「マトリックス・データ解析法」の14のツールが個別に解説されています。)
「統計的方法」では、「56.統計的品質管理」から「77.官能評価と官能検査」までの22のキーワードが解説されています。(ほかにも「68.回帰分析」、「70.抜取検査」、「72工程能力」、「76.MTS法」などが解説されています。)
10年一昔といいますが、本書は、15年にわたり支持されてきた理由はどこかというと、私は、一目で分かる分かり易さに徹しているところが大きいように思います。
基本の解説をやさしく行うというのは、なかなか難しいことですが、本書では、型を決めてビジュアルに簡潔に分かり易く「品質管理」の重要なキーワードを明快に解説しています。
しかし頭では理解できたとしても実際に使いこなせるかとなるとまた別で、これは、現場で実践して泥臭く積み上げていくことが必要なように思われます。
品質管理検定(QC検定)試験を目標にされている人にも、本書は、基本の考え方などの自分の理解度をレビューしてみるのにお薦めの一冊です。
文系の方で品質管理にはじめて触れる方でも抵抗感なくスムースに読破できる内容と思います。
<<本書で何が学べるか>>
本書では、品質管理の基本としての「品質とは何か」といった基礎的な概念をはじめ、QC七つ道具及び新QC七つ道具を中心とした品質管理手法、さらには、主要な統計的方法まで77の重要キーワードをビジュアルに図解解説しています。
<<まとめ>>
本書は、学生、実務者を問わず、品質管理をこれから学ぼうとされる方の入門書として、また品質管理検定試験を考えておられる方、管理者から担当者までの品質管理に関心がある方には、お薦めの一冊です。
なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 品質管理の基本
第2章 品質保証の考え方
第3章 問題解決の進め方
第4章 品質管理の手法
第5章 統計的方法