サッカーAFCアジアカップ2011でベスト4が日本、ウズペキスタン、オーストラリア、韓国に決まりました。
「ザックジャパン」が頑張っている。
開催国カタールとの準々決勝を退場で1人欠きながらも、劇的な逆転勝利(日本 3 - 2 カタール)で飾った。
これまでの国際試合では、日本代表の得点パターンは、だいたいセットプレーが中心。
また先攻逃げ切り型を得意としていたが、今回は、得点パターンが多様化しており、明らかにメンタルでも成長しているように感じられる。
アウェーで審判の判定も著しく不利な環境下で、一人退場の上、先行されるようなことがあるとこれまでの試合では、選手は「下を向いて」明らかに意気消沈したり焦ったりしてミスを重ねかえって墓穴を掘るような展開になってしまっていた。
この大会では、一人少なくなったことで使えるスペースを逆に強みとして冷静に高い技術を発揮し、相手の弱点を突きひっくり返すという強さが備わってきているように思う。
このように日本代表のサッカーが成長できているといことは、
一つには、ザッケローニ監督の指導力による部分が大きいように思われる。
トップが変わればチームも変わるということだが、
ヨーロッパなど海外に移籍しての試合経験のなかで、技術でもメンタルでも自信をつけている選手が増えていることも大きな要因だろう。
サッカー選手に限らず、これからの時代は、どんどんアグレッシブに世界に向けて出ていくべきだ。
この大会の試合放映の時間が深夜となるので寝不足が気になるが次の準決勝(1/25)の宿命のライバルの韓国戦ではどのような試合を見せてくれるかが楽しみ。
さて、
世界経済の新たな潮流をテーマとした本書の「おわりに」で大前氏は、
「日本人の特徴である「内向き、下向き、うしろ向き」の三拍子をかなぐり捨てて。「外向き、上向き、前向き」に進んでいかなければならない」
といつもの大前節を炸裂している。
今回アジアカップ2011の日本代表は、日本人の殻を打ち破って「外向き、上向き、前向き」な姿を見せてくれているように思う。
本日は、大前研一氏が世界経済の潮流を分析し、これからの時代に我が国が再成長していける戦略までをいつもの切れ味で説いている本を紹介します。
本書では、
多極化(後退した日本とアメリカ、そして浮上する新興国群)へと進む世界経済の潮流と浮上する新興国群を生み出す原動力となっている4,000兆円のお金(ホームレス・マネー)の流れの現状を俯瞰し、
『日本人は、企業も個人も今の世界観をチェンジしなければならない。』
とし、
どのようにして新興国市場とホームレス・マネーを活用するかとの戦略までを分かり易くかみ砕き説いています。
<<ポイント>>
大前研一氏が世界を動かすお金の動きと世界経済の展望を分かり易く説いている本。
本書では、
- アメリカの衰退と中国のバブル崩壊リスク
- 「ホームレス・マネー」が世界(EU、新興国)にもたらしているインパクト
- 従来のマクロ経済政策が有効でなくなっていること
- 我が国の状況と政治の致命的懸念
- 新興国市場とホームレス・マネー活用戦略
といった切り口について新たな時代の経済動向からそれを巧みに活用していくための発想法と日本経済再成長の処方箋までを明快に歯切れ良く説いています。
本書:「お金の流れが変わった!」です。
「新興国が動かす世界経済の新ルール」との副題が付いています。
本書は、著者:大前研一氏にて、2010年12月にPHP研究所より「PHP新書」の一冊として発行されています。
<<本書のエッセンスの一部>>
本書の表紙カバーの折り返し部には、以下のように書かれています。
『アメリカだ、中国だと右往左往しているあいだに、世界経済のルールは一変していた。
世界をさまよう4,000兆円の「ホームレス・マネー」がいま、大挙して新興国へと向かい繁栄の種子を蒔いている。
ところが相も変わらずバラマキや借金を続ける無策な政府に、おとなしく従う日本人……。
なぜ金融緩和も財政出動も効果が出ないのか?
ウワサ一発で国が吹っ飛ぶ今日的バブルの正体とは?
企業も個人も、日本人が「チェンジ」すべきはその世界観。お金の動きをいち早く読み、日本がふたたび大発展するための戦略を語ろう。』
本書は、下の目次のように4章から構成されています。
「超大国「G2」(アメリカと中国)の黄昏」と題して、アメリカと中国との経済状況の分析からスタートしています。
今や黄昏の大国となってしまったアメリカについては、これまでの反イスラム政策の誤りと世界経済の枠組みがパラダイムシフトしているにもかかわらず、読み誤り、かって日本がたどってきて陥った溝をなぞって混迷の道を歩んでいるのではとの懸念を示しています。
中国についてその目覚ましい経済発展がどうして遂げられたかを分析すると共に内在する課題やバブル崩壊の可能性について警鐘しています。
投資先を求め世界をさまよっている過剰流動性をもった約4,000兆円の「ホームス・マネー」という神出鬼没の巨大なカネに翻弄される世界経済の潮流についてEU、新興諸国の最新の動向などを交え「お金の流れは変わった!」と論じていきます。
振興国について「{BRICs」だけでなく「VITAMIN」の時代へ」とし、それらの国々へと莫大な投資資金が流れている。
ちなみに、「VITAMIN」とは、ヴェトナム、インドネシア、タイとトルコ、アルゼンチンと南アフリカ、メキシコ、イラン、イラク、そしてナイジェリアとし大前氏が推奨しているというネーミング。
「いまこそ日本は過去の悪弊から脱し、様変わりする海外の現実に目を向け、新しい戦略を構築すべき時期にある。そのためには、さまざまな改革が必要だろう。
…
時代は、これまでとはまったく違う局面に入った。そこで問われているのは、わが日本人のもつ世界観の「チェンジ」なのだ。」
としています。
このように経済がボーダレス化した状況下では、従来型の金融緩和や財政出動といったマクロ経済政策は通用せず、むしろ逆効果をもたらすこと、
そして、「ボーダレス」、「サイバー」、「マルチプル」といったキーワードに象徴される時代のパラダイムシフトや我が国が抱えている種々の問題を読み解いていきます。
また現在の管政権については、歯に衣着せず以下のように総括しています。
『日本の政治を司る政権にたいへんなものを抱え込んでしまった。最優秀な政府をもってしても困難な状況にある日本が、想像を超える無能で幼稚な政府にハイジャックされている---このような認識をいま私たちはもつ必要がある。』
さらに新興国で成功する発想の切り口、日本経済再成長させるための施策など「新興国市場とホームレス・マネー活用戦略」を説いています。
第二次菅内閣では「社会保障と税の一体改革」を目指すとのことですが、国民の支持が無いなかで改革などできるはずはないと思われます。
またこの内閣は、どうみても対米隷属かつ財務省シフトといったカラーが強く、内向きで世界の流れからますます取り残され失われた時代へと逆戻りしている印象があります。
本書でもイギリスのキャメロン首相とクレッグ副首相(共に44歳)のコンビの以下の取組を取り上げています。
- 4年間で10兆円、公務員だけでも50万人を削減する猛烈な(4人に一人の警官をクビにするといった)リストラ計画。
- 一定のあいだ入出金のない民間銀行の「休眠口座」の残金を集めて、これを元手に社会政策を担う新しい銀行の創設の提言。
これに対して国民も受け入れて、みずからが選んだ新リーダーに従おうというムードにあるとしています。
我が国では確かにどこを見ても「内向き、下向き、うしろ向き」な話題が多いように思います。
多極化した世界との認識に立って国も企業も個人としても新たなビジョンや戦略を考えていくことが必要な時期になってきていると本書を読んで痛感させられます。
<<本書で何が学べるか>>
本書では、世界をさまよう4,000兆円の「ホームレス・マネー」がいま、大挙して新興国へと向かい急激な繁栄の種子を蒔いていると新たなお金の流れがもたらすインパクトについて論じています。
そして企業も個人もその世界観を「チェンジ」することが必要と説いています。
さらにお金の動きをいち早く読み、日本がふたたび大発展するための戦略はどのようなものかなど大前節を炸裂させ説いています。
<<まとめ>>
2011年以降の自分の立ち位置の再構築、再確認のために是非、本書を読んでみて下さい。
なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 超大国「G2」の黄昏
1.アメリカ―「唯一の大国」はいかにして崩壊したのか
2.中国―バブル崩壊はいつやってくるか
第2章 お金の流れが変わった!
1.「ホームレス・マネー」に翻弄される世界
2.EU―帝国拡大から防衛へのシナリオ
3.新興国―二十一世紀の世界経済の寵児
第3章 二十一世紀の新パラダイムと日本
1.マクロ経済政策はもう効かない
2.市場が日本を見限る日
第4章 新興国市場とホームレス・マネー活用戦略
1.新興国で成功するための発想
2.日本経済再成長の処方箋