失敗学の権威としてよく知られ、知能化加工学、ナノ・マイクロ加工学などを専門とする畑村 洋太郎 先生が、失敗に遭遇したときに失敗した当事者はどのようにして失敗と向き合ったらよいかなど苦境に潰されないコツを伝授している本を紹介します。


最初から失敗することを望んで行動している人はいないはずで、ほとんどの人は、自分にできることはしっかりとやっている。


それでも起こってしまうのが失敗。


失敗とは、どんなに優秀な人でも決して避けることができない宿命のようなもの。


失敗とは、「人の行動や選択の結果、その人や周囲の人の意図しない、そして望まない結果になること」だが、


失敗は、避けようとしても起こってしまうものなので、


起こってしまった失敗に対してその失敗につきあって、それでも何とか生きていくしかない


そうなのだが、人は必ずしも大きな失敗から立ち直れるほど強くはないもの


その一方で人には必ず「回復力」が備わっているはずで、その「回復力」を信じることができれば、時間を経てまた前進することができるということを失敗学の関わりのなかで見てきたこと。


失敗学を通じて色々な失敗を目の当たりにしてきた畑村 先生 が、失敗した当事者がどのように失敗と付き合っていけばよいのか、またどうすれば復活することができるのかというコツを伝授しています


<<ポイント>>


失敗学の畑村先生が失敗から陥る苦境に押しつぶされずに立ち直るコツを説いている本


人は、誰でも失敗する可能性をもっている。


しかし小さな失敗はすぐに立ち直れたとしても、大きな失敗をしてしまうと、すぐには立ち直れず、誰でも落ち込んでしまうもの。


しかし本当に大切なのは、そこからの対処の仕方にある。


失敗との付き合い方のコツがあるが、自分の「回復力」を信じ、待つことができれば、必ず壁は乗り越えられる


と説いています。


本書:「回復力 失敗からの復活」です。


本書は、著者:畑村 洋太郎 先生にて、2009年1月に講談社より「講談社現代新書」の一冊として発行されています。


回復力~失敗からの復活 (講談社現代新書)
講談社
発売日:2009-01-16
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:3170
おすすめ度:5.0
おすすめ度5 誰もが備えている「失敗からの回復力」を上手に使うための本

<<本書のエッセンスの一部>>


本書の帯には、以下のように書かれています。


『しまった』という気持ちが人を成長させる

苦境に潰されないちょっとしたコツを失敗学の権威が伝授!


本書は、8つの章から構成されています。


第1章の「人は誰でもうつになる」ではじまり、以降では、以下のようなテーマが2から8の各章で取り上げられています。


  • 失敗で自分が潰れないためにはどう対処するか
  • 失敗したときの当事者の心の動きはどのようなものか
  • 失敗を認めることなどの失敗後の対処
  • 失敗にまけないための対処法
  • 失敗に対する事前の準備・備え
  • 時代の変化と失敗の関係
  • 自分の部下の失敗の後始末といった周りが失敗した時の対処方法

以上の大まかな構成ですが、いろいろのエピソードを交えて説かれています。


以下にその一部を紹介します。


うつ病態に至る代表的なパターンは、以下の三つあった。

  • 目標喪失」:大きな目標を達成した直後に無気力状態のひどいうつになるパターン。『五月病』もこの例。
  • 超えられない高い壁」:なかなか実現できそうになり大きな壁が自分の前に立ちふさがり、その前で意気消沈し、うつになっていくパターン。
  • 先が見えない」:将来の不安を感じながらうつになっていくパターン。

先生自身も一番目と三番目のうつ状態に陥った経験があるとのこと。前者のケースでは、人の持つ回復力で抜け出せた。また後者のケースでは、共同研究の医学部の先生が相談に乗ってくれた。

失敗した人や失敗のリスクを負う人を必要以上に追い込まないようにするには根本的には、失敗に対する社会の認識を変えるしかない。(略)
失敗をした人に対しては、精神的なケアを含む周囲のサポートが必要。


程度に差はあるが、失敗したときには誰でもショックを受けるし傷つく。本人は気づかないかもしれないが、直後はエネルギーが漏れてガス欠状態になっています。こういうときに失敗とちゃんと向き合い、きちんとした対応をしようとしても、よい結果は得られません。大切なのは、「人(自分)は弱い」ということを認めることです自分が、いまはまだ失敗に立ち向かえない状態にあることを潔く受け入れて、そのうえでエネルギーが自然に回復するのを待つしかないのです

失敗した人に向かって、よく「もっと頑張れ」と声をかけたりする人がいるが、これは相手には決して励ましにはならず苦痛になっている。

失敗に立ち向かえないときに、失敗に潰されないためには、「逃げる」、「他人のせいにする」、「おいしいものを食べる」、「お酒を飲む」、「眠る」、「気晴らしをする」、「愚痴を言う」などの自分に合ったやり方でエネルギーの回復を促すこと

失敗を評価するために絶対基準を持つことは、失敗を正しく評価するための有効な手段。とくに「物理的視点」、「経済的視点」、「社会的視点」、「倫理的視点」の4つの視点が重要。


など一端を紹介しましたが、失敗に遭遇してしまったら苦境に潰されないそこからどう立ち直るかとの具体的なコツが多くのエピソードと共に分かり易く説かれています


<<失敗学に関する書籍>>


「ISOの本棚」のブログですでに紹介した以下のような『失敗学』に関する本がありますのでご参照下さい。



<<本書で何が学べるか>>


本書では、失敗学の権威の畑村先生が自身の経験や失敗にまつわるエピソードを交えて以下のように説いています。


人は誰でも失敗することがある…。


しかし大きな失敗で窮地に陥った場合にも決して「失敗などで死んだりしては、いけない」。


エネルギーが低下してしまっている時は、「人は弱い」ことを認め、失敗に立ち向かえない状態を受け入れ、ひたすらエネルギーが回復するのを待つこと。


苦境に潰されない失敗と向き合い失敗からどう回復したらよいかといったちょっとしたコツなど交えて失敗からどのようにして復活していくかの回復力を説いています。


<<まとめ>>


第三者的な視点ではなく、失敗に遭遇した当事者の視点から失敗からの復活のための対処法を具体的に説いています


人だから誰にでも起こる可能性がある失敗について、失敗を起こした当事者はそのときにどうするか、また自分の周囲に失敗した人がいたら周囲はどのように対処するのがよいかなど先生が自ら経験され体得されたノウハウを分かり易く解説しています


失敗に対しての人への暖かさの視点が滲み出た良書です。


なお本書の目次は以下の内容です。
第1章 人は誰でもうつになる
第2章 失敗で自分が潰れないために大切なこと
第3章 失敗したら誰の身にも起こること
第4章 失敗後の対処
第5章 失敗に負けない人になる
第6章 失敗の準備をしよう
第7章 失敗も時代とともに変わる
第8章 周りが失敗したとき






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リコール学』とは、「失敗学の進化形」として、「スルメを見て、干される前のイカ、つまり泳いでいたときのイカを想像することはできますか?」という問いから本書の「はじめに」が始まってます。


さらに続けて、『リコール学』について、「本書が皆さんにとって有用な理由は、まさに「スルメから泳いでいるイカを想像できるようになる」点にあります」と説いています。


また、(リコールなどの情報が伝えられる際に途中で)『“客観的事実”から抜け落ちたものを自分で付け加えて、時間軸を元に戻し洞察する。 そういう知的方法論によって初めてリコール事例から、生産現場での生産方法、その一段上流の設計方法、さらにはもう一段上流の組織運営までも学ぶことができるのです。』として、自動車のリコール事例を中心に『ある事故はたまたま偶然が重なってそれが起きたわけではない。「起こるべくして起きた必然的な要因」がそこにはあるのです。』と述べています。


リコール学」について『仕事法から危機管理術まで、他の事例や他産業でももちろん、働くすべての人たちに実践的に役立つ思考方法であり知恵』としてその必要性を解説している本を紹介します。


本書:「リコール学の法則」です。


本書は、内崎 巌 氏と畑村 洋太郎先生の共著にて、2008年1月に文藝春秋より発行されています。


本書の帯には、以下のように書かれています。


「あの致命的な事故は?


なぜ起こったのか?


わが社では


「想定外」のトラブルが多いと感じる人へ-----


ポカミスは


根性では


解決しない


三菱ふそうトラック、パロマ湯沸かし器………


現代社会特有のリコール問題には、


失敗の構造と成長の本質が全て集約されている。


仕事法から危機管理術まで、


(失敗学の進化形)リコール学が


あなたの現場を変える!



本書は、5つの章と「リコール学を真に活かすために」リコールに関する可能性ある全ての人が持っている暗黙知を表出し、共有することの重要性を説いて「リコール学」を総括している終章から構成されています。本文中には、多数の図表やイラストが用いられ、分かり易く構成されています。


第1章では、「リコール学とは何か
として、三菱ふそう社のリコール事例の経緯を整理し、製品に不具合が生じたときには絶対に隠さないことが大切、ハインリッヒの法則を引いてリコールになった欠陥は、氷山の一角、多くの事故は隙間で起こる、あり得ることは起こりうるなどの教訓、製品に何らかのトラブルがおきた時に、背景要因を探るのがリコール学で、「逆演算」→「仮想演習」などのリコール学の中核の考え方が解説されています。「リコール学は、品質管理の基本形で、重大な事故を減らすのみならず、普段の生産現場の様々な問題を効率よく解決し、重大な問題にならないよう未然に防ぐ助けになる」と述べています。リコール問題は「失敗と成長」の本質をつかむ学びの宝庫としています。


第2章では、「見えないリコールの原因
として、筆者の「リコール原因調査・分析検討委員会」の活動の概要が紹介され、見えないリコールの原因について、見えないつながりに着目しての、キーワードによる「ブラブラもの」、「ボルトナット」などの出現頻度分析などを通して失敗原因の階層性を考慮した分析などの内容が解説されています。


第3章では、「リコール調査でわかったこと
として、リコール原因についての見えないリンクがどのように繋がってきたのかに関して、電気配線やワイアーなどの線材、空気ホースや油圧ホースなどのホース類、さらに油圧配管や排気管などの管材を総称して呼ばれている「ブラブラもの」がリコールの種で自動車に使われる数量が多い「ボルトナット」が要注意であることなどのリコール調査から明らかになってきた最上流にある11の背景要因(「大量生産製造工程において毎日繰り返し行われる手作業など」)について解説されています。


第4章では、「リコール学の法則
として、失敗の本質やフィードバック・プロセスの要諦を「法則」にまで引き上げ、自動車産業のみならず他産業でも役立つ15の法則を提示しています。(「法則1:「見えないリンク」を発見する」、「法則4:高いレベルのデザインレビュー」)、などから「法則15:素人でも作れる設計をしよう」まで)。最初にその法則についての事例なども含めた解説に続き、畑村先生が更にそれに解説を加えるという構成となっています。


第5章では、「リコール学を活かす---仮想演習・実践編
として、第4章のリコール学の法則について他の事例や現場においてどのように使うかについて仮想演習の流れ、ロケットの開発プロジェクトのメンバーを想定しての実践例、高いデザインレビューが実現可能な組織作りの重要性などが解説されています。


本書は、自動車のリコール事例の研究から導き出された“客観的事実”から抜け落ちたものを自分で付け加えて、時間軸を元に戻し洞察するといった技術をスパイラル成長させるために真に必要な知的方法としての「リコール学の法則」を15の法則としてまとめ解説しています


設計者・技術者のみならず、自社の品質トラブルについて、「再発クレームが多い」、「いつも対応型で後手にまわっている」、「またも想定外のトラブルに見舞われた」などと感じておられるビジネスパースンは、本書からその解決手法のヒントが得られるのではと思います。仕事法から危機管理術まで参考になる話題が満載です。是非、読んでおきたい一冊です



リコール学の法則
文藝春秋
内崎 巌(著)畑村 洋太郎(著)
発売日:2008-01
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:32263


なお本書の目次は、以下の概要です。
はじめに
第1章 リコール学とは何か
第2章 見えないリコールの原因
第3章 リコール調査でわかったこと
第4章 リコール学の法則
第5章 リコール学を活かす---仮想演習・実践編
終章  リコール学を共有する
おわりに






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  2007年10月31日(水)のNHK総合TVの「クローズアップ現代」 は、2007年10月16日に起こった平塚のエスカレータ事故について、エスカレータには、どのような危険が潜むのかを題材に畑村洋太郎 先生が解説をされていました。


 本日、紹介するのは同じ畑村先生の最新の著作になりますが、NHK教育テレビで2006年8月7日から8回シリーズで放映された番組の「知るを楽しむ この人この世界−だから失敗は起こる−」のテキストをもとに図や写真が修正されたり、新たな内容を付加され構成されている「失敗学」の入門書を紹介します。

本書には、上記の番組を収録したDVDが添付されています。


さすがにDVDによる映像の効果は大きく、これまでに起こった幾つかの事故の現場でのロケが取り上げられています。

 どうしたら良い設計ができるかの裏返しで「どうしたら不必要な失敗を防ぐことができるか」を考えると共に、様々な実際の失敗事例(六本木ヒルズ回転ドア死亡事故、JR羽越本線脱線転覆事故羽越線の事故、上越新幹線脱線事故、JR福知山線脱線事故、みずほ銀行システム障害など多数)が解説されています


失敗体験から学び創造に生かしていくことの大切さも説かれています。


本書:「だから失敗は起こる」です。


本書は、著者:畑村 洋太郎先生にて、2007年10月にNHK出版より発行されています。


本書の帯には、以下のように書かれています。


失敗は想像力を高める!


人間は、なぜ失敗をするのか?


その失敗をどう受け止め、どう生かせばよいのか?


NHK知るを楽しむ「だから失敗は起こる」で話題を呼んだ”失敗学のパイオニア”が、8回の番組をまるごとDVDにまとめて再登場



本書は、DVDの構成と対応して8章から構成されています。


1.では、「失敗学へようこそ
として、失敗を通じてのみ真の科学的理解が得られる!との視点から六本木ヒルズでの大型自動回転ドアの痛ましい事故を契機に生まれた「ドアプロジェクト」の概要が紹介されています。ダミー人形での実験などを通して評価した結果などが紹介され、回転ドアの技術がヨーロッパから日本に伝えられた際に、安全に必須な知見の大事な点が忘れられ、見栄えの良さといった余計なものが追加されたことに重大な原因があったとしています。この事故から学ぶことは、制御安全にのみ頼り、本質安全を見失っていたために、潜在危険を含んでいたとして、本質安全を優先し、さらに制御安全を付加するという安全の「本質」の考え方が解説され、さらに本質安全のための提案などが紹介されています。


2.では、「予測できない失敗
として、JR羽越本線の脱線転覆事故の事例が紹介され、「三現」(現地・現物・現人:すなわち現地に赴き、実際に事故や失敗を起こした物を見て、現場の人に会って話をするとの本田宗一郎さん流)のすすめが述べられ、羽越線の事故は、(過去の経験の範囲を超える)「予測できない失敗」とし、失敗のほとんどは予測でき、典型的な失敗のパターンを整理するとだいたい100個くらいで、それらを原因により分類・整理すると10のカテゴリーに分けられることなどを紹介した上で、しかし「予測できない失敗」もあるとして解説しています。


3.では、「予測できるはずの失敗
として、よくTVでも紹介されていた韓国の地下鉄でベビーカーがドアに挟まった状態で動き出した事故の事例が紹介され、ベビーカーの前輪の軸の外形が細いと、挟まれても発車禁止のランプが消えるようになっていたのでおきたものとし、予測できるはずの失敗についての事例を解説しています。上越新幹線の脱線事故は、橋脚に補強工事がなされた橋脚上で起きたので大事故に至らなかった予測できるはずの失敗への予防処置から生まれたものと紹介されています。


4.では、「失敗は伝わらない
として、三陸海岸のある地域に建てられた「ここより下に家を建てるな」との教訓を記した碑が紹介され、失敗とは、風化しやすい面があり「伝わらない」という性格を持っているとし、過去のせり上がり脱線事故の教訓が生かされなかった日比谷線脱線衝突事故の事例。ハインリッヒの1:29:300の法則。「樹木構造」が大失敗を促すなどとして人間心理の問題なども背景にあることが解説されています。


5.では、「組織が失敗を呼ぶ
として、JR福知山線脱線事故、JCOの臨界事故の事例が取り上げられています。いずれも成熟した組織が持つ隙間から生まれる弱点が依存体質を生み、JR福知山線事故でも、実は二重・三重事故が間一髪で免れたことが解説されています。組織が呼ぶ重大な失敗は、利便性を追求する社会にも責任があると述べています。


6.では、「偽のベテラン、真のベテラン
として、みずほ銀行システム障害の事例などが取り上げられています。組織のリーダーの条件として、「仮想演習」を行うことの重要性と「逆演算」の考え方を取り入れることも必要と解説しています。「真のベテラン」とは、「科学的理解」を有していることとし、マニュアル化が進みすぎると「偽のベテラン」を生むという弊害を生じるとしています。「個」で考え、「組織」で共有することが失敗をなくすとし、「畑村塾」の概要を紹介しています。


7.では、「トラブル発生、さあどうする?
として、『カミオカンデ』の事故直後に行われた戸塚教授による研究続行の声明の事例が紹介されています。新しい考えを構築する手法として、思考平面図→括り図→思考関連図→思考展開図が紹介され、畑村先生の実践されている思いつきノートが「失敗学」から「創造学」への流れとして解説されています。


8.では、「失敗を残せ
として、御巣鷹山の航空機事故の事例等が取り上げられています。圧力隔壁接合部の修理の方法の概念図など解説され、失敗を今後に生かすためには、失敗の記憶をなるべく鮮明に残すことが何より必要としています。失敗の事例を残す際に大切なのは、どのようにして失敗が生まれたかの脈絡を書いておくこととし、そこから何を考えて何をしたら失敗したかという脈絡こそ失敗に学べる情報としています。


だから失敗は起こるのjpg像
日本放送出版協会
畑村 洋太郎(著)
発売日:2007-10
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:2014

なお本書の目次は、以下の内容です。
1.「失敗学へようこそ」
2.「予測できない失敗」
3.「予測できるはずの失敗」
4.「失敗は伝わらない」
5. 「組織が失敗を呼ぶ」
6. 「偽のベテラン、真のベテラン」
7. 「トラブル発生、さあどうする?」
8. 「失敗を残せ」




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 「失敗百選」、「失敗は予測できる」(「ISOの本棚」ブログでも紹介)などで知られる「失敗の予防学」の著者:中尾 政之 先生が、今回は、ターゲットを技術的な分野からビジネス分野として、致命的な失敗は、事前の対応次第で予防できるとしてそのマネジメントについて説いている本を紹介します。


なぜ「信じられないミス」が起こるのか?


 そして、ビジネスマン、サラリーマン、経営者の失敗事例や、彼らが失敗を逆転して成功した事例を”ナレッジ・マネジメント”に基づく「科学の目」で徹底的に解剖し、その予防法則についてどうすれば予防できるかを分かり易く伝授しています


本書:「失敗の予防学」です。


人は、なぜ“同じ間違い”を繰り返すのか 」との副題が付いています。


本書は、著者:中尾 政之 先生にて、2007年10月に三笠書房より発行されています。


本書の帯には、以下のように書かれています。


「”致命的”失敗の9割は、


この「ルール無視」から


生まれている!


---あらゆるケースに対応できる


万能の失敗予防”ナレッジ・マネジメント



本書では、失敗学で蓄積された失敗の事例のデータベースに基づく分析から、パターン化された失敗の予防のための22のルールを取り上げ逐次解説し、その22のルールを実践していけば、失敗は予防できるとして解説しています。またこの22のルールは、従来の失敗の予防学の技術的分野(設計上の問題など)とは異なったよりよいビジネスのためのオリジナルな内容となっています。


本書の「はじめに」で、「人間は必ず失敗する動物。また同じ失敗を繰り返すので、失敗は互いに類似してくるもの」とし、さらにハインリッヒの1:29:300の法則を例示して、「賢者であれば、いわゆる「ヒヤリハット」が2件(自分の1件と他人の1件)もあれば、そこから1件の重大災害を予測できる」と述べている。


さらにどんな失敗や事故も共通ルールに従って発生しているので、その共通ルールを頭に留めておけば将来の失敗や事故が未然に防げると本書での失敗の予防の考え方について述べています。


また「人のふり見て我がふりなおせ」が失敗学の真髄としています。さらに「愚者は体験(自分)の失敗に学び、賢者は歴史(他人の失敗)に学ぶ」とも述べています。


また共感を覚えた言葉としては、「失敗した際に重要なことは、失敗を反省することではなく。また失敗した人を責めることでもなく。失敗を引き起こした仕組みやシステム、構造に着目して改革することにある。すなわち解決策のルール化が重要。さらに失敗は、良い仕事をするための貴重なデータという意識を持つべき。」と述べています。


このことは、まさにISO9001規格における是正処置のマインド部分の本質的な考え方でもあると思います。


本書では、失敗予防のための「転ばぬ先の知恵」の22のルールについて、逐次、5つの章により解説しています。


1章では、「失敗を防ぐ“黄金”の「基本ルール」
--「科学の目」で失敗を分析する--
として、?他山の石の法則:すなわち、類似の失敗シナリオ群から「共通点」を見つけることがポイントになる。すなわち、失敗の「模範例」を頭に入れておけば7割の失敗は防げるとする法則をはじめ、3つの法則が解説されています。


2章では、「将来の“致命傷”を芽のうちに摘む「ハインリッヒの法則」
--「小さな予兆」を見逃さない--
として、?予兆の法則:すなわち、最初の兆しなるものを感知し、「まさか!」を芽のうちに摘み取るという法則はじめ、6つの法則が解説されています。


3章では、「悪条件を「チャンス」に転換する法
--失敗も処理しだいで逆に「信頼感」を強化--
として、?ブランド最優先の法則:いざというときの経営者の舵取りが失敗が活きるか死ぬかにつながり、目先の“取り繕い”はあとで必ず高くつくという法則はじめ6つの法則が解説されています。


4章では、「失敗からイノベーション(革新)を生む力
--失敗を「資産」として活用できる人--
として、?トライ&エラーの法則:結果が期待通りでなかったのは、結果ではなくプロセスのどこかに誤りがあったとし、“常識の2割”は間違い、ここに気づけるかの法則をはじめ3つの法則が解説されています。


5章では、「失敗を防ぐだけに終わらせない最高の「“創造的”危機管理」
--これが「失敗学の伝道師」としての使命--
として?性悪説の法則:人の問題を性善説に立っていては解決できず、「構造の問題」に置き換えてみるべしとし、“マニュアル”はいつも破られるためにあるとする法則など4つの法則が解説されています。


筆者は、そのキャリアからもビジネス現場にも精通し、事例も具体的で分かり易く丁寧に解説されています。なお取り上げられている失敗予防のための22の法則ですが、「おわりに」でこれは、8個の法則が基本で残りはそこから派生したものとし、「失敗名人」のコンピテンシー(すなわち成果を生む行動特性)としては、『おごるな、隠すな、わが身を正せ』とし、失敗学の目的は、成功することにあり、その目的を達成するための手段が失敗学の「失敗を予防して損失を小さくすること」と結んでいます。


失敗の予防学の書籍のjpg
三笠書房
中尾 政之(著)
発売日:2007-10
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:2684
おすすめ度:5.0
おすすめ度5 「失敗百選」の著者による待望のビジネスバージョン!

なお本書の目次は、以下の内容です。
1章: 失敗を防ぐ“黄金”の「基本ルール」
--「科学の目」で失敗を分析する
他山の石の法則―失敗の「模範例」を頭に入れておけば7割の失敗は防げる/慢心の法則―古典的失敗例“不沈船・タイタニック号”の悲劇を生んだ最大原因 ほか
2章: 将来の“致命傷”を芽のうちに摘む「ハインリッヒの法則」
--「小さな予兆」を見逃さない
予兆の法則―「まさか!」を芽のうちに摘み取る/自己過信の法則―自分勝手な“カイゼン”は命取りになる ほか
3章: 悪条件を「チャンス」に転換する法
--失敗も処理しだいで逆に「信頼感」を強化
ブランド最優先の法則―目先の“取り繕い”はあとで必ず高くつく/大本気の法則―“逃げも隠れも嘘もない”姿勢を示す ほか
4章: 失敗からイノベーション(革新)を生む力
--失敗を「資産」として活用できる人
トライ&エラーの法則―“常識の2割”は間違い、ここに気づけるか/一極集中の法則―“オール・オア・ナッシングのリスク”を排除する ほか
5章: 失敗を防ぐだけに終わらせない最高の「“創造的”危機管理」
--これが「失敗学の伝道師」としての使命
性悪説の法則―“マニュアル”はいつも破られるためにある/過剰適応の法則―“超ダーウィニズム”に足をすくわれないために ほか





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  こちらのブログでも少し前に紹介した『組織行動の「まずい!!」学―どうして失敗が繰り返されるのか』の続編が発行されていますので紹介します。

 前作では、ほんの些細なミスの見逃し、ベテランならではの慣れに伴う慢心から起こすミス、コスト至上主義に孕む安全の手抜き、危険な成果主義オンリー、集団が招くエラーなどを取り上げてマネジメントに着目し、人を何故ミスを犯すかを探り、リスク管理の教訓を学び取るという内容のものでした。

 今回は、前作の発行から1年経過する間に発生したパロマ湯沸かし器事故、ふじみ野市プール事故、あるある大事典2、社会保険庁不正処理、みずほ銀行システム障害などの事故・事件を取り上げています。前著に続いて、リスクマネジメントの観点から、こういった事故・事件が、なぜ起きて、どうしたら防げるのかを徹底的に追求しています

本書:「「まずい!!」学―組織はこうしてウソをつく」です。

本書は、著者:樋口 晴彦氏にて、2007年7月に祥伝社より、祥伝社新書の一冊として発行されています。

本書の帯には、以下のように書かれてあります。

「社会保険庁、パロマ、あるある大事典?……

性懲りもなく、おそまつな

事件、事故が頻発するのは

なぜなんだ!

------その原因を徹底的に検証する

 

本書の「まえがき」で前作後、パロマ、不二家などの様々な不祥事が相次いで発生したことについて失敗学を論ずるものとして淋しい限りとした上で、問題が発覚した後の対応も形式的として、本書のタイトルにも触れて以下のように述べています。同じことは、私も感じており、多くの人が最近の事件、事故の事例について同様の印象を抱いているように思います。


「記者会見を開いて、コンサルタントの指示通りに60度の角度に頭を下げ、ゆっくり5秒数えてから頭を上げているだけだ。

そこには、失敗を真摯に受けとめているという教訓を学び取ろうという姿勢はなく、世間が不祥事を忘れてくれるまで逃げのびたいという保身がぎらぎらしている。

 特に懸念されるのは、重要な情報を隠蔽したり、意図的にミスリードしたりすることで、事件を殊更に矮小化し、自らの責任を回避しようとする悪質なケースが目立つことだ

本書では、この風潮に対して警鐘を鳴らすために、そのような事例をなるべく選んで取り上げ、タイトルにも「組織はこうしてウソをつく」という挑発的な文言を用いることとした。」


本書は、第1章「リスクから目を背(そむ)ける人々」(パロマ湯沸かし器事故、ふじみ野プール事故、あるある?番組捏造事件を取り上げています)、第2章「虚構の輪舞曲(ロンド)」(沖縄集団自決事件、ES細胞捏造事件、災害医療の実態を取り上げています。)、第3章「ジョーカーはそこにある」(社会保険庁不正処理事件、統帥権干犯問題、留学生の不法滞在を引き起こした入国管理政策を取り上げています。)、第4章「リスクと共生するために」(本願寺教団を作り上げた蓮如の「武器」、みずほ銀行のシステム障害、失敗する担当者の典型例、リスク管理と「やかまし屋」の復活を取り上げています。)とする4章から成り、各章で3~5節で具体的な事件・事故の事例を取り上げているという構成になっています。


印象深いと感じた箇所を紹介します。

「人ひとりの生命がいかに重いかを関係者が知らなかったわけではあるまい。しかし、どんなに悩ましいことであっても、それが日常的に発生していると、いつしか感受性が麻痺し不感症になってしまうものだ。この「慣れ」というものは、どんな過酷な環境にも適応できるように、天が人間に与えた贈り物である。しかし現にそこに存在している災厄を見えなくするという点では、まさにリスク管理の大敵なのである。}(「リスクから目を背ける人々」より)


「このように外注先に過度に依存するあまり、事業者自身の責任感が希薄になる現象は、決して公的機関に限られる問題ではない。前著で紹介した美浜原発事故でも、電力会社が配管の管理を外注先に任せきりにしたことが事故原因の一つとなっている。ある意味でアウトソーシングを行った場合に生ずる典型的なリスクと言ってよいだろう。(「リスクから目を背ける人々」より)


「孫子に「彼を知り己を知れば百戦あやうからず」とある。巷に出回っている危機管理の指南書では、この言葉を引用して、「彼(敵)」の情報の重要性を強調しているものが多い。しかし孫子は、「彼」と同じウエイトで、「己」を知ることを重視している。これを逆に言えば、「己」を知らない無謀な企てがいかに多いかと言うことだ。危機管理に従事する者は、自らの組織がどの程度の「実力」をもっているかを冷静に計算する視点を決して忘れてはならない。」(「虚構の輪舞曲」より)


「そこで私としては、企業理念を社内的に説明する手法として、トップ自らが授業員向けに「メモ」を書くことをお勧めしている。その手本となるのが、本願寺の中興の祖と仰がれる蓮如上人の「御文(御文章)」である。」(「リスクと共生するために」より)


「私はこれまでかなりの数の企業不祥事を研究したが、内部統制システムが全くなかったという事例は見あたらない。
(略)
それでは、内部統制システムが存在するのにどうして不祥事が起きたのだろうか。その答えは、システムが何らかの理由で機能していなかったからだ。監督者が内容を確認せずに判を押したり、作業手順を現場で勝手に改変したり、そういった些細なことの積み重ねで内部統制システムがガタガタになってしまったのである。
(略)
ここで必要とされる対策は、バケツの穴を一つひとつ塞いでいくこと。つまり内部統制システムが正常に機能するように細かな点をチェックすると言うことだ。」(「リスクと共生するために」より)


 多数の失敗・事件の事例から他所のことではなく自分の組織の問題として学び活かす姿勢を持つことがリスク管理の極めて重要な視点であることを本書は、教えてくれます。

「まずい!!」学―組織はこうしてウソをつく (祥伝社新書 79)
祥伝社
樋口 晴彦(著)
発売日:2007-07
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:2659
おすすめ度:4.5
おすすめ度5 今必要なのは「監督責任」の再認識か。
おすすめ度5 企業の論理って怖いですね
おすすめ度4 リスク管理に携わる人もそうでない人にも!
おすすめ度4 前作に比べると物足りない

なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 リスクから目を背ける人々
責任者は何処に―パロマ湯沸器事故・その一/同族企業が直面する「三代目の危機」―パロマ湯沸器事故・その二/無責任の連鎖―ふじみ野市プール事故/取引関係を左右する交渉力―「あるある2」番組捏造自己・その一/階層意識が生んだ、無関心というカーテン―「あるある2」番組捏造事件・その二)
第2章 虚構の輪舞曲
嘘を生み出す構図・その一―沖縄集団自決事件/嘘を生み出す構図・その二―ES細胞捏造事件/現場から乖離した危機管理―災害医療の実態
第3章 ジョーカーはそこにある
民間化の誤算―社会保険庁不正処理事件/日本を滅ぼした“禁じ手”―統帥権干犯問題/「帳尻合わせ」は失敗のもと―留学生の不法滞在を引き起こした入国管理政策)
第4章 リスクと共生するために
どうやって社員に理念を伝えるか―本願寺教団を作り上げた蓮如の「武器」/迷走するシステム開発・その一―みずほ銀行のシステム障害/迷走するシステム開発・その二―失敗する担当者の典型例/嫌われ者になる覚悟はありますか―リスク管理と「やかまし屋」の復活

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    失敗学とくにマネジメントの分野に着目して、組織の中で人はなぜミスを犯すのかの視点から、組織行動に関係する失敗事例を分析してリスク管理の教訓を分かり易く提示している本を紹介します。

本書:「組織行動の「まずい!!」学」です。

どうして失敗が繰り返されるのか」との副題が付いています。 

本書は、著者:樋口晴彦先生にて、2006年6月に祥伝社より祥伝社新書の一冊として発行されています。

 つい最近でも、以下のような2件の事故が発生しています。

「JR川崎駅構内の上りエスカレーターで、同市中原区の女性会社員が、ステップの立て板部分が破損してできた穴に、左足親指のつま先を挟まれて切断し、全治約2週間のけがを負ったと言う事故。 」

「韓国釜山市影島区の移動式遊園地で観覧車のゴンドラ一基が空中で横倒し状態となり、乗っていた韓国人の家族七人のうち、六歳の男児や母親、祖母ら五人がゴンドラの窓から約二十メートル下の地面に落下して死亡し、残る二人は、事故後に救助されるという事故。」

 これらの事故では、現時点では、その原因が明らかにはなっておりません。ハインリッヒの法則(「1:29:300」)ではありませんが、もしかしたら見逃したほんの些細なミスやヒヤリハットの兆候が潜んでいたかと思われます。

本書の表紙の折り返し部には、以下のように書かれています。

これは、ちょっとまずい!」ことから重大な危機が

JR西日本脱線事故、過去の教訓を忘れた雪印や日本航空……。

大きな事故や大事件の陰には、ほんのささいなミスが潜(ひそ)んでいる

小さなミスの見逃し、先送り、ベテランならではの慣れからくる慢心、コスト削減一本槍で安全の手抜き、成果主義のみに陥った組織の崩壊。

いま、あらゆる分野で綻(ほころ)びが生じている。近年、「失敗学」という言葉が普及しつつある。

これまでの失敗学は、技術工学の分野で研究が進められてきたが、いまは文科系の世界にもその必要性が問われている。

本書は、マネジメントの分野に着目して、組織の中で人はなぜミスを犯すのかを分析し、リスク管理の教訓を探ろうとするものである。「これは、ちょっとまずい!」豊富な実例集である。」

本書では、その一端を紹介すると、以下のような事故事例について取り上げられています。

●チェルノブイリ原発事故
●JR西日本脱線事故の原因
●「ほんのちょっとしたこと」が積み重なると
●過去の教訓を忘れた日航と雪印
●アウトソーシングが引き起こした美浜原発事故
●「コンコルドの誤り」とは
●対応のタイミング―松下電器と参天製薬の差
●相次ぐ不正経理事件は、なぜ起きる
●有能な社員ほどチェックせよ
●和歌山カレー事件と女子中学生のレポート
●大和銀行巨額損失事件の顛末
●東京女子医大病院手術ミス隠蔽事件

本書は、5つの章から構成されています。

第1章では、「人はなぜ、ミスを犯すのか
として、ヒューマンエラーの定義から説き起こし、ヒューマンエラーの背後に在るものとしてその要因と特に職場環境、熟練者の落とし穴、小さなヒューマンエラーの連鎖が大きな事故を起こす、強すぎるリーダーは裸の王様として「リーダーシップの負の側面」が引き起こす事故などについて分析事例を挙げて解説してします。


第2章では、「危機意識の不在
として、「今そこにある危機」が見えないという「危機感の麻痺」の問題から、些細な違反も積もれば山となるとする「安全対策の磨耗」といった課題、更には、「責任無ければ無責任」との「安易なアウトソシングに伴う陥穽」による事故など事例を挙げて解説しています。


第3章では、「行き過ぎた効率化
として、いつも犠牲にされるのは安全性とのコスト削減のしわ寄せがもたらす事故、性急な成果主義の導入が組織を蝕むとした「成果主義の病理」に関わる事故、そして、主導権をもつのは誰かとした「人間とコンピュータとの争い」に関係した事故事例などを分析し解説しています。


第4章では、「緊急時への備え
として、何のためのシミュレーションかとしたセレモニー化している「非現実的なシミュレーション」の問題、対応の遅れが破局を招くとした「初動措置の重要性」(松下電器と参天製薬の事例比較)、青い鳥は身近なところにとした「情報は何処」との情報の取り扱いなどに関わる問題、専門家の眼鏡は牛乳瓶の底とした、時としてはじめに結論ありきとなってしまう「専門家の限界」にまつわる問題などの事例を解説しています。


第5章では、「リスク管理の要諦
として、リスク管理に「もったいない」は禁物とした「撤退判断の難しさ」に関わる事例、お目付役は大丈夫?とした「監視機構の実効性」に関わる事例、些細な問題がシステム全体を停止させるとした「悪魔は内部に宿る」にまつわる事例、組織文化は形状記憶合金」とした「組織改革の本質」に関する事例について解説しています。

組織行動の「まずい!!」学―どうして失敗が繰り返されるのか (祥伝社新書)
祥伝社
樋口 晴彦(著)
発売日:2006-06
ランキング:16671
おすすめ度:4.5
おすすめ度4 面白かった
おすすめ度5 良書
おすすめ度4 「ごつん」と前に進めなくなるところまで
おすすめ度4 乖離
おすすめ度5 安全は皆で作る


なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 人はなぜ、ミスを犯すのか
第2章 危機意識の不在
第3章 行き過ぎた効率化
第4章 緊急時への備え
第5章 リスク管理の要諦

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ISO9000:2005(JISQ9000:2006)では、『是正処置』(corrective action)について以下のように定義しています。

検出された不適合又はその他の検出された望ましくない状況の原因を除去するための処置。」

すなわち、是正処置は、再発を防止するためにとると規定されています。

不適合の原因が無くなれば、不適合の再発は、起こらないはずとの考え方に基づいています。

これに対して、

「世の中では、ふつう、失敗を『原因』と『結果』の二つに分けて考えています。

これは、「原因があり、その結果として失敗が起こる」と言う考え方をしているという意味です。

この考え方は単純で理解しやすいのですが、じつは大きな欠点があります。

それは失敗の構図を単純化するあまり、解決策のほうも「原因さえ取り除けば、結果が起こらない」と短絡的に考えてしまう原因になっているということです。

 実際には、原因があっても必ずしも結果は起こりません。

逆に言うと、原因を取り除くことが失敗防止につながらないこともあるのです。

原因と結果との間には、必ず人間の行動があります。

 すべての失敗は、ヒューマンエラー(人的原因が主因となる失敗)から起こるといっても過言ではないのです

 このような考え方から、失敗の脈絡を構造化するに当たって、「原因」があり、次に人間の「行動」があり、それによって「結果」が現れるという見方をしています。

これが失敗の出来に至るシナリオで、「原因」、「行動」、「結果」の三つを検討していくと、ある失敗がどのような形で起こり、どのような結果をもたらしているかが良くわかるというわけです。」


いきなり本日紹介する書籍の「はじめに」の箇所から印象的なところを抜粋して紹介しました。本日紹介するのは、以下の書籍です。

本書:「 失敗学 実践講義 」です。
だから失敗は繰り返される」との副題が付いています。

本書は、『失敗学』で有名な著者:畑村 洋太郎先生で、2006年10月に講談社より発行されています。

本書の表紙の帯には、以下のことが書かれてあります。

脱線事故、回転ドア、エレベーター、リコール、墜落、原子力、システム障害、火災事故……

安全な社会に潜む

生命の危険!」


また本書の表紙の折り返し部には、以下の内容が書かれてあります。

「失敗学を使うと組織・社会は強くなる!

失敗が起こってから対応するのでは遅い。

「起こる前から起こった後のことを考える」、これを実践すれば、事故や失敗も減るし、起こっても損害の広がりを防ぐことができる。

ナマの情報をもとに失敗を徹底的に解明した注目の書。」

本書では、「六本木ヒルズの大型回転ドア事故をはじめ」とした9つの事例が取り上げられていますが、すべて筆者の提唱する「失敗まんだら」が付いています。失敗について、「現地」、「現物」、「現人」の「三現」に基づいて、筆者が分析した一種の鳥瞰図になります。

失敗まんだらには、「原因」、「行動」、「結果」の3種類があります。

失敗まんだらがどのようなものかについて以下に「原因まんだら」(過去の事故や失敗を生かすため畑村先生の提唱により作成された科学技術振興機構(JST)が無料で提供している失敗知識データベースのサイトがあります。図は、そこからの引用となります。)の例を示します。

mandara.gif

失敗まんだらの中心のすぐ外側の第一レベルは、必ず、10個のキーフレーズ(原因まんだらでは、「未知」「無知」「不注意」「手順の不遵守」「調査・検討の不足」「環境変化への対応不良」「企画不良」「価値観不良」「組織運営不良」だそうです。)

本書での印象的な言葉は多数ありますが、「おわりに」の項で記載されている以下のような一節です。

新しいこと、新しいものを企画したり創造するときには、先ず「危険地図」のようなものを考えるべきです。危険地図というのは、どこにどのような危険が存在し、それを防ぐにはどうすればいいかといった危険についてのさまざまな知見が記述されているものです。」

「今後はつくる側、運用する側が危険学の考え方でより安全なものづくり、安全な社会を目指すのと同時に、利用する側もまた、どんなに安全な社会になっても危険は存在することをきっちり認識する必要があるのではないでしょうか」

「子供を事故から守れということで安心社会が叫ばれる現代ですが、実は、1歳から9歳までの子供の死因の第一位が不慮の事故であるという事実は、もっと強調されてもいいのではないかと考えます。そしてその多くが避けることのできる事故なのです。」

失敗学実践講義 だから失敗は繰り返される
講談社
畑村 洋太郎(著)
発売日:2006-09-29
発送時期:通常24時間以内に発送
ランキング:1497

なお本書の目次は、以下の内容です。
第1講 想定され得ることは必ず起こる(六本木ヒルズの大型回転ドア事故)
第2講 人の注意力には限界がある(日本航空の連続トラブル)
第3講 追いつかなかった企業改革のスピード(JR福知山線脱線事故)
第4講 ゼロからつくり直すことの大切さ(金融システムの失敗)
第5講 見たくないものは見えない(リコール隠し)
第6講 起こる前に起こった後のことを考える(火災に学ぶ)
第7講 それぞれの立場から見える風景(JCO臨界事故)
第8講 トップの孤独(ロケットの打ち上げ失敗)
第9講 「現地・現物・現人」が理解の基本(JR羽越線脱線事故)


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