日本版SOX法といわれる「金融商品取引法」に関する金融庁による『実施基準』の公開草案が(11/22日のこちらのブログでも紹介しました)が発表されています。
なおこの内容は、金融庁のWebサイトで参照することができます。
実施基準の内容は、以下の構成となっています。
- 内部統制の基本的枠組み
- 財務報告に係る内部統制の評価及び報告
- 財務報告に係る内部統制の監査
なお金融庁では、本件についてのパプリックコメントを募集中です。(平成18年12月20日(水)17:00(必着))
さて本日は、日本版SOX法について企業の不祥事はなぜ起きるのか、どうすれば防げるのかなど2006年6月に成立した日本版SOX法の概要を読みやすい解釈とシンプルな図解でわかりやすく解説している本を紹介します。
本書:「図解 よくわかる 日本版SOX法」です。
本書の著者は、ISOマネジメントシステムの関連解説書の著者でISOコンサルタントの萩原睦幸氏で、本書は、2006年8月に日本実業出版社より発行されています。
本書の帯には、以下のことが書かれてあります。
「いまなぜ必要なのか。どう取り組むべきか。
話題の「企業改革法」の概要とポイントを押さえる。」
また表紙の折り返し部には、「本書の特徴」として以下のことが書かれてあります。
- 「2006年6月に成立した日本版SOX法の概要を読みやすい解釈とシンプルな図解で分かりやすく解説。
- 企業改革のプロが、日本版SOX法の現場で取り組む際に重視すべきポイントを指摘。
- ライブドア事件など、実際に起きた事例を検証し日本版SOX法の視点で改善すべきポイントを学習。
- 上場企業と関連会社はもちろん、その取引先の経営者・担当者にもおすすめしたい日本版SOX法のはじめに読む一冊。」
本書の「はじめに」で著者は、以下のように述べています。
「我が国の日本版SOX法では、ITをベースにした業務の効率性や有効性にも役立つ仕組み作りを要求している。であれば、ERM(Enterprise Risk Management)の手法を用いて全社的にリスクを洗い出し、リスクに見合った内部統制の仕組みを構築する重点志向で進める べきであろう。
またいくら仕組みを構築しても社員にそれらを遵守する意識が薄ければ、結局は不祥事など防げない。つまり内部統制の仕組みの構築と共に、いかにして社員の意識を高めるかも併せて考える必要があるのだ。
本書は、近年多発する企業不祥事の実態を明らかにし、次に日本版SOX法で要求されている内容に沿って、どのように仕組みを構築すれば良いかを述べている。さらに近年我が国で起こった企業不祥事の代表的事例を挙げ、各々についてどのように企業内を改革したら不祥事が防げるかを解説した。」
本書は、0章から6章までの7つの章から構成されています。
0章では、、「企業不祥事はなぜ起きるのか?」として米国のエンロン・ワールドコム事件、ライブドア事件などを取り上げ、企業不祥事が発生する背景やステイクホルダーの企業に対する見方の変化などを解説しています。
1章は「なぜ日本版SOX法は必要か」として、内部統制、国際会計基準、ERM、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、ディスクロジャーなどの関連するキーワードを基に日本版SOX法の背景について解説しています。
2章は、「日本版SOX法と米国SOX法・会社法との関係」として、米国SOX法についての成立の経緯やその狙いなどを解説し、我が国の商法の改訂で見直されたいわゆる「(新)会社法」について解説し、とくに内部統制について触れ、会社法の特徴等を解説しています。
3章では、「日本版SOX法のすべて」として、日本版SOX法の構成およびその中味について解説しています。
4章では、「日本版SOX法における内部統制の仕組みづくり」として、システム構築をどのように進めるか、そのポイントやリスク評価、業務の標準化、内部監査、内部告発、事業継続管理、内部統制とISOとの関連、プロセスオーナシップの確立などを解説しています。
5章では、「事例に学ぶ日本版SOX法」として、ライブドア事件をはじめ耐震偽装事件など10件の事例を取り上げ、事件の概要、事件の背景と原因、日本版SOXからの考察、本事故からの教訓、日本版SOX法による企業改革ポイントなどについて説明しています。
6章では、「ITと日本版SOX法」として、ITと日本版SOX法との関連について解説しています。
なお本書の目次は、以下の内容です。
0章 企業不祥事はなぜ起きるのか?
0-1 米国エンロン・ワールドコム事件の真相
0-2 ライブドア事件はなぜ起きたか
0-3 企業不祥事のメカニズム
0-4 変わる企業の評価基準
1章 なぜ日本版SOX法は必要か
1-1 今の時代だからこそ内部統制が必要
1-2 性善説と性悪説
1-3 グローバル化と国際会計基準
1-4 ERMとは
1-5 コーポレートガバナンスとコンプライアンス
1-6 ディスクロジャー
1-7 執行と監督の分離
2章 日本版SOX法と米国SOX法・会社法との関係
2-1 米国SOX法とは?
2-2 米国SOX法の概要
2-3 会社法とは
2-4 会社法のメリット・デメリット
3章 日本版SOX法のすべて
3-1 証券取引法改正の経緯
3-2 日本版SOX法の構成
3-3 本基準案の内容(1)
3-4 本基準案の内容(2)
3-5 本基準案の内容(3)
3-6 本基準案の内容(4)
3-7 本基準案の内容(5)
3-8 監査基準の改定
4章 日本版SOX法における内部統制の仕組みづくり
4-1 システム構築をどのように進めるか
4-2 プロジェクト体制で臨む
4-3 システム構築のポイント
4-4 トップダウンの効果
4-5 リスク評価
4-6 リスクマネジメントの実際
4-7 業務の標準化を図る
4-8 プロセスオーナー・プロセスユーザーの役割
4-9 内部監査の重要性
4-10 内部告発の効果
4-11 事業継続管理の重要性
4-12 内部統制に有効なツール
4-13 内部統制にISOを活用
4-14 プロセスオーナシップの確立
5章 事例に学ぶ日本版SOX法
5-1 ライブドア事件
5-2 JR福知山線脱線事故
5-3 牛肉偽装事件
5-4 お粗末な医療事故
5-5 三菱自動車リコール隠し
5-6 みずほ銀行員の顧客預金着服事件
5-7 巨額脱税事件
5-8 東海村臨界事故
5-9 官製談合事件
5-10 耐震偽装事件
6章 ITと日本版SOX法
6-1 IT社会の光と影
6-2 日本版SOX法におけるIT活用
6-3 情報システム部門の重要性
6-4 ITと文書化
6-5 ITと仕組みづくり
6-6 財務報告と情報セキュリティ
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