ブランド牛にまつわる偽装やうなぎの産地偽装など最近でも「食の安全」を揺るがす事件が後を絶ちません。
先日のうなぎの産地偽装に関わる全国規模の捜査においても食品安全には直接関係しない『不正競争防止法』の違反容疑となっており、マスコミや消費者から食品安全の関連法令の規制強化を求める声が日増しに強くなっているように思います。
これらを受けて所管の大臣も「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(JAS法)の見直し改正の必要性を言及するといった状況になっています。
ISO 22000:2005規格:([Food safety management sstems−Requirements for any Organization in the food chain]:「食品安全マネジメントシステム−フードチェーンのあらゆる組織に対する要求事項」)について、消費者の「食の安全」への関心の高まりを背景に、食品製造事業者から流通や小売などの食品関連事業者において、ISO 22000に基づく食品安全マネジメントシステム(以降FSMSと略)の認証に向けて取り組む組織が増えてきているようです。
ISO 22000:2005規格において、法令との関係については、以下の要求項が直接に法令に関する要求を規定している他、その他の多くの要求項において法令と関係してきます。(5.1項 b)、5.2項 b)、5.6.1項 c)、5.6.1項、5.6.2項 h)、7.2.2項、7.2.3項、7.3.3項、7.3.3.2項、7.4.2.3項、7.9項、7.10.4項)
本日は、ISO 22000に基づくFSMSに関わる法令の解説書を紹介します。
FSMSの認証取得に必要な基本法令を体系立てて解説しています。
食品安全関係法の必要性やその成立してきた経緯を分かり易く解説すると共に基本法を中心とした関連法の体系と21の個別法令について詳解しています。
21の個別法の制定の背景、目的、定義、法律の対象者と履行義務等につい順序立てて分かり易く解説しています。
またISO22000:2005の要求事項と食品安全関連法との関係についても解説しています。
本書:「すぐ役立つ ISO食品安全関連法令の解説」です。
本書は、株式会社 日本環境認証機構(JACO)の監修ならびに池戸 重信 先生の編著(執筆者は、同先生に加えて、生田 博司 氏、菊池 泰雄 氏、志賀 直史 氏、新蔵 登喜男 氏、杉浦 勝明 氏、的早 剛由 氏)にて、2008年6月にぎょうせい より発行されています。
本書は、4章から構成されています。その概要は、以下のような構成です。
第1章では、「食品安全関係法の必要性と現行法体系の背景」
として、人と食べ物との関わりにはじまり、農耕・牧畜の歴史とそれにまつわるリスクに触れ、2001年の牛海綿状脳症(BSE)の問題を背景とした食品安全行政の流れと食品安全基本法の制定、リスク分析手法の導入と食品安全委員会などを中心とした行政組織といった今日の食品安全関係法に至る経緯と体系の背景などを解説しています。
第2章では、「食品安全基本法を中心とする食品安全関係法の体系と改正内容」
として、フードチェーンの関係する主な食品安全関連法を体系について総括するとともに食品安全基本法制定に伴って改正された内容をHACCP支援法(食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法)の延長をはじめとして、JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)の改正まで11件の法令の改正のポイントを概説しています。
第3章では、「個別法令の解説」
として、『1. 食品安全基本法』、『2. 食糧、農業・農村基本法』、『3. 食品衛生法』から『21. 農地の土壌の汚染防止等に関する法律』に至る21件の個別法令について、法律の性質によって若干ことなってはいるが概ね、「背景」、「目的」、「主な定義等」、「法律の対象となるもの」、「法律の対象となる関係者の責務」、「法律の対象となるものが対応すべきこと」、「留意点」といった順序で法令との条項番号を参照しながら解説しています。概念図や法令の参考資料等が多数挿入されていて、そのポイントが分かり易く解説されています。
第4章では、「ISO22000:2005の要求事項と食品安全関連法」
として、ISO 22000:2005規格の要求事項の要約が枠囲みで記載され、その要求事項がどのように食品安全関連法と関係していて、どのような対応が要求されているかについて、各種の指針など参照しながら解説しています。
本書は、食品安全に関係する法令についてISO 22000への適用の観点も交えて体系的に解説しています。
ISO 22000に関係する組織の関係者だけでなく、食品関連企業、外食産業、小売業にいたるまで、食品安全の危機管理の観点からも幅広く役立つ内容と思われ、フードチェーンに関わる関係者には、是非、手もとに備えて置くべき一冊かと思われます。
なお本書の目次は、以下の内容です。
第1章 食品安全関係法の必要性と現行法体系の背景
第2章 食品安全基本法を中心とする食品安全関係法の体系と改正内容
第3章 個別法令の解説
1. 食品安全基本法
2. 食糧、農業・農村基本法
3. 食品衛生法
(略)
19. ダイオキシン類対策特別措置法(ダイオキシン対策法)
20. 毒物及び劇物取締法(毒劇法)
21. 農地の土壌の汚染防止等に関する法律
第4章 ISO22000:2005の要求事項と食品安全関連法
(広告)